テルアビブのバス爆破の犯人は、犯行の数時間後に逮捕されていたことが発表された。調べによるとハマスとイスラム聖戦が協力し、アラブ人マフィアの町として知られるタイベイの男を雇って犯行に及んでいたことがわかった。犯人は、西岸地区出身のパレスチナ人で、イスラエル国内にいる家族と一緒になるための特別処置により、イスラエルの市民権を取得していた。
これをうけてイスラエル政府は、パレスチナ人のイスラエル国内に入る許可のシステムをみなおすことを検討している。
テルアビブのバス爆破の犯人は、犯行の数時間後に逮捕されていたことが発表された。調べによるとハマスとイスラム聖戦が協力し、アラブ人マフィアの町として知られるタイベイの男を雇って犯行に及んでいたことがわかった。犯人は、西岸地区出身のパレスチナ人で、イスラエル国内にいる家族と一緒になるための特別処置により、イスラエルの市民権を取得していた。
これをうけてイスラエル政府は、パレスチナ人のイスラエル国内に入る許可のシステムをみなおすことを検討している。
先週14日に始まった雲の柱作戦。21日も朝からベエルシェバなどにミサイルが着弾。エシュコル地方では6人(うち5人は兵士で1人は重傷)が負傷した。イスラエルもガザへの空爆を続けていたが、夜になり、イスラエルとハマスが停戦に合意。21日21:00(日本時間22日04:00)、双方ともに同時に攻撃を停止した。
今回の停戦は、ハマスと連絡を取り合っていたエジプトのムルシ大統領がスポンサーとなり、アメリカが支持。イスラエルのネタニヤフ首相が、オバマ大統領の「エジプトが提示する停戦案にかけてみてはどうか」とのすすめを受けて合意し、実現した。
<緊急記者会見>
停戦に入る30分前の21日20:30、ネタニヤフ首相は緊急の記者会見を行い、「今は(停戦への)最後のチャンスにかけてみることが正しいことだと判断した。」と語った。
同席したバラク国防相は、「ハマスとイスラム聖戦に打撃を与えた。」と作戦の目標は達成したとの見解を語った。(破壊したハマス拠点は1500カ所以上、ジャバリなど鍵となる指導者らを殺害。8日間のガザでの死者数は140人以上)
ただし、ネタニヤフ首相は、「もしハマスが停戦の約束を破るなら、市民を守るためにこれまで以上の武力で臨む用意がある」とのスタンスは崩していない。
*実際には、停戦成立後直後からもイスラエル南部都市にはロケット弾が着弾している。イスラエル側は空爆を控えている。ガザ国境に待機させている地上軍を帰還させるかどうかは22日(木)に決定予定。
<今後の手順>停戦発令から24時間はクーリング期間とし、その後、閉じられている国境を開放、物資や人の往来を再開する。しかし具体的にどの程度開放するのかなどは明らかではない。
<イスラエルに有利な解決?>
今回の停戦は、イスラエル、特にネタニヤフ首相のリクード(党)にとって有利な形になったとの分析がある。今や停戦が成功するか否かは、ハマスがイスラエルを攻撃するかしないか、ハマスが他の組織を統轄できるかにかかっている。つまりボールはハマスの側にあるということ。
さらにこの停戦以後は、エジプトがガザに関しての責任を負う形になった。これはリクードが以前から願っていた形である。(Yネット)
<ハマスも勝利宣言?>
ただし、ハマスもハマスで勝利宣言を行い、ガザの通りではお祝い騒ぎとなった。確かに、ハマスはイスラエルと対等に交渉し、テルアビブやエルサレムにまでミサイルを放った。ガザでは「歴史的勝利」と言っている。
今後、ここ2年以上、イスラエルとの接点を失ってている西岸地区のアッバス議長の立場が、パレスチナ人の間で弱体化するのは避けられないと思われる。
停戦に合意する8時間ほど前になるが、12:30テルアビブ市内でバスが爆破された。負傷者は、28人。うち2名が中等度から重傷だが、いずれも命の危険はない。ショックで対処を受けた人は4人。
今回は、自爆テロではなく、バス中央部の座席下に設置された爆弾によるものだった。犯行は当初ハマスと報道されたが、治安筋は後に犯行は、無名のテロ組織だと推測されると発表した。
その後テルアビブでは、町に入る主要道路で検問を実施したため、すさまじい渋滞になった。
<菓子を配って祝うガザ市民>
ガザでは互いに菓子を配りあって、テルアビブでのテロ決行を祝う姿が報道された。
20日に南部エシュコル市域のキブツに着弾したミサイルで死亡したイスラエル軍兵士ヨセフ・パルトゥックさん(18)の埋葬式が21日、エルサレムの広大な墓地で静かに行われた。本来なら軍葬となり、大きく報道されるところだったが、家族がこれを断ったという。
ヨセフさんは、ユダヤ教超正統が設立した西岸地区入植地エマニュエルの出身。違法な入植活動でイスラエル軍と常に対立する町である。当然、エマニュエルから従軍する者はいない。ヨセフさんは、こうした町の方針に同意せず、2ヶ月前に町を出る形で国防軍に入隊していた。
ガザ地区ではイスラエル軍の攻撃で死亡した場合、町を挙げて憎しみを叫びながらの葬儀をしている。ハマスに殺されたヨセフさんだったが、その埋葬はあまりにも静かだった。
<若者たちの涙>
埋葬には、ヨセフさんと同じ部隊に所属していたという18歳前後の若い兵士たち5-6人がいた。談笑してはいたが、1人の顔には、いいしれない苦悩の表情があった。
また埋葬には、アメリカからイスラエルに1年間のユダヤ教学習で来ている17-18才の美しい少女たちも大勢来ていた。
気がつくと、となりから鼻をすする音がする。少女が静かにこらえるように泣いていた。ユダヤ人としてのアイデンティティを喜び、イスラエルに来た。しかしそこで見たのはハマスのミサイルで亡くなった18才の青年・・。これが彼女のアイデンティテイなのだ。この埋葬がどんな影響を若い彼女の心に残すのか・・と思った。
たばこの煙のにおいがした。こんな時に・・と思って見ると、中年ぐらいの女性がたばこをすいながら埋葬を見ていた。鼻をすすっている。目から涙がこぼれるのが見えた。
ユダヤ人として生きることはたやすいことではない。どんなに厳しくて、どれだけ批判されてもここにしか生きる場所はない。それをあらためて実感させられた時となった。
12:30(日本時間19:30)テルアビブでバスが爆破された。未確認だが、テロだとみられる。負傷者は15人。重傷者もいるもよう。イスラエル警察のスポークスマンによると、昨日から、イスラエル中央部テルアビブやエルサレムでテロが起こる可能性があるとして警戒していたところだった。
20日夜、エジプトのムルシ大統領が、「あと数時間、21時ごろには停戦にこぎつける。0:00には停戦に入る。」という見通しを発表した。このニュースはすぐに世界をかけめぐった。
しかし、イスラエルのネタニヤフ首相は「まだ停戦については協議中であり、停戦を発表するのは早すぎる。」とのコメントを出した。つまり、エジプトは、まだ合意に至っていないのに、勝手に停戦の発表をしたということである。
予想通り、20日21時になっても停戦発表はなく、ガザ地区からの攻撃、イスラエル軍の空爆が続いている。20日のガザでの死者は20人。
*ガザでイスラエルへの協力者とみられる住民6人を処刑
ハマスは20日、イスラエルに協力していると見られる住民6人を、裁判なしに射殺、そのうちの1人の遺体を複数のバイクで引きずり回す写真が公開された。ハマスがイスラエルへの協力者を処刑するのは、先週14日から2回目という。
<地上戦延期>
地上戦については、20日、カイロとエルサレムを国連総長が訪問。またアメリカのクリントン国務長官もエルサレム入りして地上戦を見合わせるようネタニヤフ首相に要請。イスラエルは突入を延期したもよう。
ネタニヤフ首相は、クリントン国務長官に、「ガザからのミサイル攻撃が収まり次第”長期的な”合意に至る用意がある。」と語った。
<停戦への話し合いの背後で・・イスラエル人も2人死亡>
カイロで停戦に向けた外交努力が進められる中、20日、午前中ベエルシェバには20発ものミサイルが撃ち込まれた。アシュケロンではアパートに直撃したが、住民は警報で避難していて軽傷が2人のみ。
午後にはスデロット、エシュコル地方のキブツにも撃ち込まれ、イスラエル軍兵士1人(18)が死亡。同じエシュコル地方への攻撃で市民1人が死亡。1人が重傷。兵士15人が負傷した。
夕刻には、テルアビブに近いリション・レチオンのアパートに着弾。住民2人が軽傷を負った。
20日は、テルアビブ、エルサレムでも警報が鳴った。テルアビブに飛来したものは、迎撃ミサイルが撃墜。エルサレムに飛来したミサイルは、再びグッシュ・エチオン付近のパレスチナ人の村に着弾したが、負傷者はなし。
<ガザから1.2キロ・・スデロットの住民>
エルサレムから南へ1.5時間ほどにある町スデロット。ガザからわずか1.2キロのところにある。写真はスデロットから見えるガザ。昔はスデロットからガザのビーチへ自転車で行っていたという。
先週14日に「雲の柱作戦」が始まって以来、学校もビジネスも休み。皆、シェルターに入っているのか、町はひっそり静まりかえり、屋外で人をみることはほとんどない。それでも洗濯物は干されている。ミサイルの合間に干したのだろう。
緑豊かな美しい町並みだ。こんな閑静なところにミサイルが落ちてくるのかと、いかにも不自然な感じがした。
<警報ツェバ・アドン(赤色)>
20日午前11:30ごろ、私たち報道陣は、10分前にロケット弾が着弾したという現場にいた。建物に近い道路に5穴が空いており付近に金属片が飛び散った後があった。100メートルくらい離れてこの地点に面するアパートのガラスが、爆風で粉々になっていた。幸い、被害者はなかったもよう。
写真を撮っていると、付近に住むユダヤ教正統派の男性が、片言の日本語で話しかけてきた。以前、東京に3年住んでいたという。と突然、警報「ツェバ・アドン」と繰り返される低い女性の声。
あわてて、それぞれ付近の家のシェルターにかけこむ。蜘蛛の子を散らすとはまさにこのことかといった光景。スデロットでは警報が鳴ってから着弾まで15秒しかないのだ。
走っている間、不謹慎だが大人の鬼ごっこのような気がした。しかし命をかけた鬼ごっこだ。走りながら、一瞬、どこか地震や津波の警報の恐ろしさに似たものを感じたような気がした。
シェルターに駆け込むと同時に爆音が聞こえた。付近の住民宅にあるシェルターは、わずか3畳くらい。そこにカメラを抱えた報道陣が満員状態。安全が確認されて出ていくと、先の日本語を話していた男性が警察にエスコートされて救急車で運ばれていくのが見えた。
住民はこの警報、走る、の毎日を13年以上も続けている。いい加減にしてほしいと思うことが悪いだろうか。「ならばイスラエルはそこから出て行け」と世界は言うが、それもまた不条理ではないのか。
<コミュニティーの底力>
スデロットの後は、ガザから2.5キロ、エシュコル地方のキブツ・アルモニを訪問した。住民は500人。緑と花、果樹に囲まれた楽園のような所だった。この状況下でよくこれだけ管理する余裕があるものだと関心させられた。
しかし、スデロットもそうだが、このキブツもあまりにもガザに近く、警報が間に合わない。突然ロケット弾が着弾することもあるという。
こうした異常な状況下で子どもたちは育つ。夜中に起こされてシェルターに駆け込むことも頻繁にある。母親たちは、警報が夜中になると、熟睡しているティーンエイジャーの息子を起こすのかどうかから考えるという。
社会福祉士のエステルさんは子どもたちの心を守るため「ツェバ・アドン」という絵本を書いた。写真はその絵本からのスキットを披露してくれた子どもたち。
この子どもたちに「こんな危ないところから引っ越したくはないか」と聞くと、一斉に全員が「ここから離れたくない!」叫んだ。理由はここに彼らのキブツ、コミュニティーがあるからだ。
日本でも災害時にコミュニティーが一緒にいることの大切さが報告されているが、それはここでも証明されている。ミサイル攻撃にさらされながらも住民の顔には元気な笑顔があった(写真:キブツの女性たち)。
このキブツでは、ただ恐れて家にこもるのではなく、できるだけ一緒にすごすようにしているという。特に子どもたちは、兵士たちへの励ましのプレゼント作るなど様々なボランティア活動を毎日行っている。忙しくする。結果、キブツの子どもたちがPTSDに陥ることから守られているという。
写真はキブツに撃ち込まれミサイルの残骸で作られた大きな風鈴。手で触れると美しい音を出す。「恐ろしいものかから、美しいものを作り出すことは可能です。きっと平和がくると信じています。」とエステルさん。短い滞在を終え、私たちは今夜もミサイル攻撃を受けるであろうキブツを後にした。手を振って見送るエステルさんの笑顔が印象的だった。
帰り、ガザのボーダー付近で待機するイスラエルの大軍の一部が見えた。戦車もいる。地上戦にならないで解決が与えられるようにと願った。
<イスラエルはなぜ攻撃をやめないのか>
世界の報道を見ると、イスラエルからガザへの攻撃の激しさが強調されている。確かにガザでの圧倒的な破壊をみれば、イスラエルのアパートの一角がミサイルで破壊された写真は、アピール力に欠ける。死者の数もガザの方が圧倒的に多い。イスラエルの被害はニュースにはならないのだ。
しかし、知って頂きたいことは、イスラエルは、ガザを攻撃したくてしているのではないということ。イスラエルは、ただガザからの攻撃をやめてほしいだけである。地上戦などだれがやりたいと思っていることか。
ガザとの紛争に終止符を打つため、イスラエルはまず2005年に市民と軍隊をガザから完全に撤退し、パレスチナ人に土地をゆずった。しかしその後逆にイスラエルへの攻撃は増えた。攻撃されるたびに報復攻撃を繰り返してきたが、いっこうに攻撃がやまなかった。それで2008年、大規模侵攻を行った。
しかしそれでもミサイル攻撃はやまず、今年10月に入ってからはその頻度が高まっていよいよ堪忍袋の緒が切れたのである。「今回は徹底的にハマスの攻撃能力をたたいてほしい。」というのが現時点でのイスラエル世論。ただし、イスラエルも、”ハマスが言うように”この作戦でガザからの暴力がなくなるとは考えていない。
せめてこの先10年でも15年でもガザからの攻撃がなくなる、というのが雲の柱作戦の目標である。(イスラエル軍スポークスマン)
<イスラエルはガザ市民を狙っているのか>
ハマスは、「イスラエルは女性や子ども、市民をねらっている。」と主張する。はっきり言うがそれは大きな誤りである。イスラエル軍は攻撃の合間に携帯メールを送り、「ハマスから離れよ。ハマスはあなた方を人間の盾にしている。」とのビラをまき続けている。
イスラエルは民主人権保護国家である。イスラエル市民だけでなく、ガザ市民の命を守ることは最優先事項である。法的に見てもガザ市民の巻き添えは避けるための手だてを最大限に行わなければならない。
軍事専門家によると、今回の作戦で注目されるのは、ピンポイント攻撃の技術力。そして、諜報活動能力である。2008年のガザ侵攻の時とは格段に進歩しているという。こうした努力は世界には報道されていない。
今も諜報活動を続けているガザ内部のエージェントたちがいることを覚えたい。
イスラエルはガザ国境に地上軍54000人の準備を完了し、あとは指令を待つのみとなっている。今日は、ガンツ参謀総長が現地入りして、兵士たちを激励する様子も報じられた。予備役兵たちのコメント http://www.idf.il/1283-17683-en/Dover.aspx
しかし、地上戦になればはかりしれない危険が予想されるため、アメリカはじめ西側諸国がいっせいに反対。イスラエル政府に地上戦には突入しないよう、圧力をかけている。
これを受けてイスラエル政府は19日夜、9人からなる重要閣議を行い、地上戦突入まで24時間待つという結論を出した。
もしそれまでに、ガザからの攻撃がないならば、イスラエルも攻撃しないということになり、「停戦」の可能性が見えて来る。
しかし20日朝4時(日本時間11時)現在、イスラエル南部へのミサイルが再開され、イスラエルもガザへの攻撃を行っているもよう。CNNによると、アメリカは万が一の場合、アメリカ市民をイスラエルから避難させるため、地中海の戦艦を周辺海域にもどしたとのこと。なお、現在は各航空会社ともに通常に運行している。
<停戦への努力>
停戦については、カイロで、エジプトが中心となり、トルコ、カタールがハマス、イスラエルの代表も入って停戦に向けた協議を続けている。
19日、ハマスは「イスラエルは停戦を要請した。」と発表。まるでイスラエルが停戦を懇願したかのような表現だったため、イスラエルは激怒、ただちに否定する声明を出した。
20日、バン・キ・ムーン国連総長がカイロ入りしてハマス、イスラエル双方に停戦を促すことになっている。
18日、ガザではイスラエルの空爆で一家7人を含む11人の市民の死者が出たが、19日はイスラエルが再びハマスのメディアが入っているビルを攻撃し、24人が死亡した。ガザでの死者はこれで104人になる。
急に市民の巻き添えが増えたのは、イスラエル空軍が、ミサイル発射地に加えて、ハマスやイスラム聖戦の活動家らもターゲットにし始めたため。19日のメディアビルへの攻撃で、イスラム聖戦の著名な活動家4人が死亡した。
<イスラエルへのサイバー攻撃>
イスラエルがガザへの空爆をはじめてから、イスラエル政府に対するサイバー攻撃が4400万件に上っていることがわかった。政府はバックアップをとるなどして対処にあたっている。イスラエル軍にはサイバー部隊もある。
19日、イスラエル南部へ飛来したロケット弾やミサイルは130発。アイアンドームが20発撃ち落としたが、アシュケロンでは小学校の屋根を突き抜けて教室を直撃した。子どもたちは登校しておらず、負傷者はなし。
午前中は、南部都市全域で、警報がなりっぱなしに近い状態だった。住民はシェルターで過ごしている。イスラエル中央部や北部に親戚がいる人などは避難しはじめている。
テルアビブ、エルサレムに警報はなかった。テルアビブにまで届くミサイルはイラン製ということで、19日、イスラエルは「イランがガザにミサイルを供給している。」と名指しで非難した。イランはこれを否定。
<ジョークで危機を乗り越える?>
イスラエルには「アレツ・ネエデレット(スペシャルな国)」という人気コメディ番組がある。イスラエルをとりまく厳しい時事問題をパロディにして笑い飛ばしてしまおうという番組だ。たとえば、コメディアンがネタニヤフ首相やバラク国防相、時にはヒズボラや、シリアのアサド大統領などに紛争して一こまを演じる。
地上戦を控えた緊張をほぐすためか、19日夜、ニュースのすぐ後でこの番組が登場していた。たとえば「アイアンドーム個人用!」の一こま。ミサイルにそなえ、母親が、子どものランドセルを迎撃ミサイルパックに変えているところ。
日本ではクレームがさっとうしそうだが、これを笑えるところがイスラエル人である。
<テルアビブの表情>
18日には2回警報が鳴ったテルアビブに行ってきた。いたって普通の日常があった。あわてたってしょうがない、というのがイスラエル人の反応だ。
テルアビブのビーチでは、ミサイルの飛来にそなえて張り込みをしているテレビ局車両の横で、のんびり横になっている人の姿もあった。アイアンドーム(迎撃ミサイル)がなければこうものんびりしていられなかったと思うが・・・。
小さな孫を連れてファラフェル屋さんに来ていた高齢の女性は、備え付けのテレビニュースをみながら、ファラフェルをほおばり、「もしかしたら停戦になるかもね・・。」と語っていた。
<迎撃ミサイルに安心しすぎ>
迎撃ミサイルが、かなりよい成果をあげているため、人々の緊張が解けすぎているようである。警報が鳴ったときに本来はシェルターに駆け込まなければならないところ、バルコニーに残って迎撃ミサイルの追撃を撮影しよとする人が増えているという。
しかし、迎撃ミサイルは100%ではない。先日キリアット・マラキで3人が死亡したが、迎撃ミサイルがうかく作動しなかった間に着弾していた。
ガザとイスラエルの紛争がターニングポイントを迎えている。地上戦に突入してから停戦するのか、地上戦をせずに今停戦に入るのか。ネタニヤフ首相の責任は非情に重くなってきている。
エジプトのカイロでは、停戦に向けた動きがあるが、ネタニヤフ首相は、交渉を”始める”条件として、「まずはハマスがロケット攻撃をやめること」というスタンスを譲っていない。ハマスは、「イスラエルが攻撃をやめること」が条件と言っている。双方に接点はない。
<イスラエルから停戦の条件>
カイロからの報告によると、イスラエルが具体的に出した停戦の条件は以下の通り。(Yネット)
注)これは、カイロからの報告でイスラエルからの報告ではない。
1.15年以上、イスラエルに戦いをしかけない
2.ただちに武器をガザへ密輸することをやめる
3.ガザにいるすべての組織がイスラエル領内、ならびに国境にいる兵士への攻撃をやめる
4.もしテロリストがイスラエルを攻撃した場合、またそうした情報が入った場合、イスラエルが、追跡逮捕する権利を維持する。
5.ガザとエジプトの国境は開放を維持するが、ガザとイスラエルの国境は閉鎖を続行する。
6.ガザのムルシ大統領が停戦の保証人となる。これは政治的な保証ということで、武力による保証ではない。
イスラエルはこれに対する返答を48-72時間以内(期限11月21日)に出すようにと要求し、もし応じない場合は地上戦を開始すると言っているという。
<地上戦になった場合はどうなるか?>
今後、もし地上戦に突入した場合、ハマスは、イスラエル国内で自爆テロをはじめると言っている。イスラムに聖戦へのよびかけがなされ、北からはヒズボラが攻めてくる可能性が高い。ヒズボラの背後にはシリア、イランがいる。
シリアが国境から化学兵器を使われるかもしれない。イランが参入してきて中東全体にまで戦闘が拡大するというのが最悪のシナリオ。できれば地上戦は回避したいところだが、いったん始めた戦闘を中途半端に終わることもできない。
今、ネタニヤフ首相が直面している決断は、地球規模の問題である。