10月7日を前に:ガザ北部で空爆・レバノンでヒズボラ440人死亡・イラクからのドローンでイスラエル兵2人死亡 2024.10.6

時が経つのは本当に早い。明日は、ガザ国境でハマスが雪崩れ込んで残虐にイスラエル人1200人を殺害、251人を拉致してからも1年になる。

1)ガザ北部への空爆も

ガザではまだ激しい戦闘が続いており、昨夜もガザ北部への空爆が報告された。しかし、ガザにいる約100人の人質は、まだみつかっていない。

シンワルもみつかっていない。(イスラエル軍は、シンワルの居場所を知っているが、北部との関係で今は保留にしているだけという説もある)

2)レバノンでヒズボラ440人死亡・ベイルート攻撃続く

レバノン南部へ入ったイスラエル軍は、戦死者を9人出しながらも、ヒズボラ440人を殺害した。南部国境だけでなく、ベイルートでの攻撃も続いている。イスラエルは、さらにレバノン市民に避難を警告しており、攻撃は拡大する様相にある。

レバノンは、イスラエルが救急車や病院を標的にしていると非難している。レバノン保健省によると、これまでに、9つの病院が標的になり、南レバノンの病院4つは閉鎖となった。45の医療センターが被害を受けた。また、救急隊員97人が死亡。199人が負傷したとのこと。

イスラエルは、ハマスと同様、ヒズボラも、医療施設が司令塔になっており、急車で武器や戦闘員を移動させていると主張している。しかし、ややこしいのは、ヒズボラが、本当に医療従事者であるという点である。

ヒズボラを殺せば、医療従事者が死ぬことになるので、レバノンのいうことも全くの嘘ではないのである。しかし、イスラエルにとってはヒズボラなのである。

www.ynetnews.com/article/s1jrvbkyje#autoplay

また、イスラエルは、ヒズボラのトンネルやインフラの破壊を継続している。第98師団は、南レバノンのイスラエル国境からわずか250メートルの地下にヒズボラの居住も可能なインフラを発見。

ヒズボラのエリート、ラドワン部隊の軍事拠点であったらしく、多数の武器のほか、シャワー室や、キッチンと備蓄食料などの生活施設もみつかった。国境からわずか250メートルである。まさにヒズボラはイスラエルへ侵攻する準備を進めていたということである。

www.ynetnews.com/article/hjam7z1j1e#autoplay

3)イラクからのドローンでイスラエル兵2人死亡・24人負傷

3日早朝、イラクにいるイラン傀儡民兵組織が、イスラエルのゴラン高原に向けて爆発物を搭載したドローンを発射した。

1機目は迎撃したが、2機目は数分後だったため察知できず、サイレンがならないまま、ゴラン高原北部の基地に着弾した。

これにより、イスラエル兵2人が死亡。24人が負傷した。このうち2人は重傷である。死亡した2人は以下の2人。2人とも19歳とのことで、もはや泣くしかない・・

ダニエル・アビブ・ハイム・ソファー軍曹(19)、タル・ドロル伍長(19)*ドロル伍長はITのスペシャリスト

www.timesofisrael.com/2-idf-soldiers-killed-24-wounded-in-iraq-drone-attack-on-golan-heights-base/

世界では反イスラエルデモ・親イスラエルデモ:明日10月7日:イスラエル全国で人質解放集会やイベント予定 2024.10.6

5日(土)イギリス、フランス、南アフリカ、アイルランド、スイスなど世界では、イスラエルの攻撃に反対する親パレスチナの大規模なデモが行われた。イギリスでは、「ナスララはテロリストではない」とのプラカードを掲げている者もいた。

Pro-Israeli counter demonstrators shout as pro-Palestinian activists take part in a ‘March for Palestine’ in central London on October 5, 2024. (JUSTIN TALLIS / AFP)

同時に、これに対抗する親イスラエルの集会も行われた。写真右はロンドン

イスラエルでは、イランの攻撃の懸念から、毎週土曜日に行われていた人質開放を求めるデモは、昨日はキャンセルされた。

しかし、明日は、ハマスのイスラエルへの襲撃があった10月7日である。イスラエル国内では、最大2000人までとの制限がある中、人質開放を覚える集会が、全国で計画されている。

www.timesofisrael.com/scaled-down-rallies-for-hostage-deal-held-nationwide-a-year-into-loved-ones-captivity/

イスラエルはイランを攻撃するか?:中東の米軍増強で軍艦10隻兵力4万3000人

イスラエルはイランを攻撃するか

イランがイスラエルへ弾道ミサイル200発を発射してから3日になろうとしている。イスラエルは、攻撃のあと、イランに対し、数日以内に、報復攻撃を行うと表明していた。

今のところ、イスラエルから、イランに対する直接の大きな動きには出ていない。

Washington, DC, October 3, 2024. (Saul Loeb / AFP)

しかし、イランの核施設、または石油関連施設への攻撃をするのではないかとアメリカは警戒を表明している。

バイデン大統領は、イスラエルにイランの核施設への攻撃に同意しなかったと発表した。そんなことをすれば、本当に中東戦争に突入するからである。バイデン大統領は、水面下で、両国の直接対決を阻止する交渉を行っていると発表した。

イスラエルとイランの今の動き

実際のところ、イスラエルもイランも直接の戦闘は阻止したいと考えているとみられている。

しかし、アメリカの存在があり、中東戦争になる危機があったにもかかわらず、イランが、イスラエルに向けて200発の弾道ミサイルを発射したのは、内部からの圧力もあったとも言われている。

ハニエや、ナスララに加えて、IRGC(イラン革命防衛隊)のニルフォルーシャン司令官も殺されたのに何もしないわけにはいかないのである。

. (KHAMENEI.IR/AFP)

また、イランのニルフォルーシャン司令官が、なぜ、この時にベイルートにいたのかについては、イランのハメネイ師のメッセージをナスララ党首に伝えるためだったことがわかっている。

そのメッセージとは、イスラエルは近く暗殺しに来るので、急ぎベイルートを出て、テヘランに来るようにということであった。しかし、ちょうどその時に、ナスララ共々死亡したということである。イランとしては、大きな屈辱である。

www.timesofisrael.com/irans-khamenei-warned-nasrallah-to-flee-lebanon-days-before-he-was-killed-by-israel/

その結果がイスラエルへの181発のミサイルだった。

イランのIRGC司令官たちは、イスラエルにミサイルを発射する際、イスラエルに暗殺された、ハマスのイシュマエル・ハニエ、ヒズボラのハッサン・ナスララと、ベイルートでナスララたちとともに殺されたIRGC(イラン革命防衛隊)のニルフォルーシャン司令官の写真の前で、攻撃の指示を出していた。

www.timesofisrael.com/irans-khamenei-warned-nasrallah-to-flee-lebanon-days-before-he-was-killed-by-israel/

また、テヘラン市内のビルには、ダビデの星の形の建物に向かって集中するミサイルの絵が描かれ、「シオニズムの終わりの始まり」と書かれている。

しかし、イスラエルはそんなことには、全く恐れていない。

181発のミサイルは、アメリカやヨルダンの協力も得て、物的被害はあったが、負傷者は2人という最小限と言えるものであった。

それ以後も、国際社会の批判もものともせず、ヒズボラ、ハマス、西岸地区、フーシ派への攻撃を大胆に、強力に行っている。「イスラエルを甘く見るな」という強力なメッセージを発している。

www.bbc.com/japanese/articles/ce8dgzd075zo

イラン市民の本音は?

日本に長く在住しているイラン系ユダヤ人と話をする機会があった。その人は、ペルシャ語がわかるので、現地からのニュースやSNSも追っているという。

その人物によると、今のペゼシュキアン大統領は穏健な姿勢をみせているが、この人は昔からのイスラム主義者で、大統領に就任してからすでに、反政府だとして300人が殺されたとのこと。(未確認)イラン人たちの多くはこの政府を歓迎していないと言っていた。

しかし、政府を倒そうとすると殺されるので、イスラエルがそれをやってくれることを待ち望んでいるということだった。

イラン市民は、海外に多く住んでいるが、国内にいるイラン市民の中にも、イスラエルがナスララ党首を暗殺したことを喜んでいる人は少なくないという。イラン人は、イスラエルとネタニヤフ首相に感謝もしていると言っていた。

アメリカが中東に軍備増強

バイデン大統領は、まだ戦闘を阻止する可能性はあるとしながらも、いつ戦争になっても不思議はないとの現状も視野に入れている。最新のニュースでは、アメリカは、イスラエルがイランの石油関連施設を攻撃する可能性を示唆している。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/biden-says-discussions-being-held-on-possible-israeli-strikes-on-irans-oil-sites/

USS Abraham Lincoln on September 11, 2024, at an undisclosed location at sea in the Middle East. (US Navy via AP)

こうした中、アメリカは、同盟国の保護を理由として、中東(地中海東部からオマーン湾)における戦闘機や兵力を拡大した。戦艦は十数隻、兵力は、通常3万4000人のところ、4万3000人になっている。

戦闘機を搭載する空母は一時2隻になっていたが、今は1隻になっている。オースティン国防相によると、さらに追加の準備もできているとのこと。

空軍は、8月からF22戦闘機はじめ、F15, F16など最強の戦闘機を含む4部隊が配備

F22戦闘機 Wiki

されている。イランがイスラエルに攻撃すれば、それがイスラエルの攻撃への反撃であったとしても、これだけの米軍が、イランに、やり返す可能性があるということである。確かにイランもそう簡単には、手をだせないかもしれない。

www.timesofisrael.com/us-augments-military-presence-in-mideast-with-more-fighter-jets-other-aircraft/

しかし、いよいよ戦争が始まれば、アメリカが介入することになり、同盟のイギリスも巻き添えになっていく。

そうなれば、イランの背景にいるロシアや中国、北朝鮮がどう出てくるかである。世界戦争の可能性は今、私たちの目の前にあるということである。

 

ミサイル攻撃・迎撃のコスト:イスラエルの迎撃の負担はイランの2倍

イスラエルは日々数えきれないほどの迎撃ミサイルを発射している。ずっと気になっていたことだが、そのコストはどうなっているのか、エルサレムポストが伝えていた。

まず、ミサイルは攻撃用より、迎撃用の方が、コストがはるかに高いということである。

イランから飛来したミサイルの破片 October 2, 2024. (credit: AMIR COHEN/REUTERS)

イランが発射している射程1500〜2000キロの弾頭ミサイルは、ミサイル1発が少なくとも100万ドル(1億5000万円)。

今回発射したのが200発(12発はアメリカが迎撃してイスラエルに到達は181発)のコストは、は、2億ドル(300億円)だったということになる。

これはイランにとって、難しいことではないとエルサレムポストは解説している。

ロイターによると、イランの石油輸出量は、経済制裁下であっても、年間350億ドルなのである。

The Arrow 3 missile defense system that was delivered to the Israeli Air Force on January 18, 2017. (Defense Ministry)

一方、イスラエルがイランの弾道ミサイルに対して発射する迎撃ミサイルは、大気圏外で迎撃するアロー2、アロー3と呼ばれるものである。

アローは、危険地域に着弾するものだけを迎撃するのだが、最近イランのミサイルが精密になっており、発射を余儀なくされるケースが増えている。

古い型のアローは、1発300万ドルで、新しいもので200万ドル(3億円)。もしイランが発射した181発全部に対して迎撃していたら、4億5000万ドルとなり、イランのミサイル代の倍以上かかったことになる。

イスラエルの一人当たりのGDPは、イランの倍だが、イスラエルの人口が、約1000万人のところ、イランは9000万人なので、収入の総量はイランの方が格段に上である。

このイスラエルの防衛費の不足を補っているのが、同盟国アメリカである。言い換えればアメリカが支援してくれなくなったら、究極、迎撃ミサイルが使えなくなるということである。

防衛を他国に頼ることほど危険なことはない。今、イスラエルは、迎撃ミサイルの費用を抑えるため、イスラエルの国防省とラファエル(武器製造会社)は、アイアンビームレーザーによる迎撃システムを研究している。

ミサイルを使わないので、それに伴う電気代数ドルだけで、迎撃が可能になるという。防衛システムの革命になると期待されている。早ければ来年2025年末までに完成予定とのこと。

www.jpost.com/israel-news/defense-news/article-823148

レバノン・ベイルート攻撃でナスララ後継予定者死亡か:国境激戦でイスラエル兵1人死亡 2024.10.4

ベイルート攻撃で、ナスララ後継者予定者死亡か

イスラエル軍は、9月30日から、レバノンとの国境を超えて、その地域にいるヒズボラとの戦闘を続けている。同時にベイルートやレバノン各地でもヒズボラに焦点を当てた戦闘も継続している。

イスラエル軍によると、3日だけで、ベイルートのヒズボラ拠点15箇所を含む、全国200箇所以上を攻撃した。

ベイルート南部への攻撃は、11回に及ぶ激しい攻撃で(ヒズボラに近い情報筋)、レバノン保健省によると、この攻撃で、少なくとも6人が死亡。7人が負傷した。

Hashem Safieddine Jan. 12, 2022. (AP Photo/Bilal Hussein)

ニューヨークタイムスが伝えたところによると、この時、地下のバンカーでは、ナスララ党首のいとこで、その後継者と目されているハシェム・サフィディンが、幹部たちと会議をしていたことから、サフィディンが死亡した可能性がある。

サフィディンは、2017年にアメリカが、テロリストと認定していた人物である。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/nyt-strike-targeted-underground-bunker-where-safieddine-was-meeting-other-hezbollah-leaders/

国境激戦でイスラエル地上軍兵士一人死亡

9月30日から国境を超えてレバノン南部に侵攻したイスラエル軍は、すでに8人の戦死者を出しながらも3日、24時間で国境にいたヒズボラ60人を殺害したと報告した。

この中には、7月に、イスラエル北部ドルーズ族の村にロケット弾を発射し、12人の子供たちを殺害したヒズボラ司令官カダール・シャハビアが含まれていると、イスラエル軍は発表した。

また、今後、ヒズボラとの戦闘で問題となるのが、イランの武器がシリアを経由して、レバノンに入ることである。イスラエルは、10月7日以前からもずっと、武器がまだシリア領内の時点で、破壊し、レバノンに搬入されることを阻止してきた。

攻撃は、シリアの首都ダマスカスにも及ぶようになっていたが、3日にもダマスカスへの攻撃が行われ、3人が死亡した。

また今は、レバノンとの国境内にも地上軍がいる。国境検問所を標的とし、シリアからの武器が、ヒズボラに届かないようにする戦闘も行っている。

3日(木)この目標での戦闘で、空挺旅団大隊のベン・ザイオン・ファラック大尉(21)が死亡した。昨日戦死した8人に続いて、レバノンでの戦死者9人目となった。

これらの攻撃に対し、3日、ヒズボラは、イスラエル北部に200発のロケット弾を発射した。イスラエル市民はシェルター付近に止まったが、死傷者は出ていない。

レバノンでの死者は、レバノン保健省によると、子供127人を含む2000人となった。死者数には、戦闘員も含まれているとみられる。

レバノンから船で脱出する外国人たち

ベイルートの空港はまだ稼働しているが、戦闘が激化していることを受けて、民間航空会社の多くはが乗り入れを停止している。

ロシアは、3日、ロシア外交官のために特別機を手配。オーストラリアは、市民(1万5000人)のためにまだ飛んでいる飛行機の座席を確保した。

中国はすでの政府が200人以上の市民の避難を完了。カナダは1日に1000人を脱出させる船のルートを確保するなど、各国それぞれの対応を実施している。

こうした国による手配がない人々は、フェリーなど、船に乗って、レバノンを脱出している。

www.timesofisrael.com/foreigners-flee-lebanon-on-flights-and-ferries-as-israeli-offensive-intensifies/

西岸地区ツルカレム戦闘機による空爆で地域のハマス最高幹部含む18人死亡 2024.10.4

イスラエル軍は3日、西岸地区のツルカレムに対し、これまでになく激しい戦闘機による空爆を実施。パレスチナ自治政府保健省によると、少なくとも18人が死亡した。

西岸地区への攻撃はドローンやヘリコプターによるものがほとんどで、戦闘機による攻撃は、異例である。

イスラエル軍によると、この攻撃は、ツルかレムのハマスの最高司令官ザヒ・ヤセル・アブド・アル・ラゼク・オウフィと数人のハマスを標的にした攻撃だった。

オウフィは、ハマスのネットワークの首謀者であり、テロ攻撃を首謀してきた幹部である。今も間近に、イスラエル人に対する大きなテロ攻撃を計画していたとイスラエル軍は報告している。

西岸地区の戦闘は、ガザやヒズボラよりも激しいといえるかもしれない。10月7日以降に発生したイスラエル軍との衝突で、716人以上のパレスチナ人が死亡している。

www.timesofisrael.com/at-least-18-said-killed-in-tulkarem-airstrike-on-head-of-local-hamas-terror-network/

一方、イスラエル側では、治安部隊も含めて40人が死亡している。国際社会からは、スラエルの攻撃は、アンバランスだとして避難する声もあるが、パレスチナ側で死亡しているのは、多くが戦闘員で、市民の死者は、戦闘員の盾にされていたことや、危険地域にいたことも覚えなければならない。

一方イスラエルは、市民を守るために最大の警護を行っているので、今の所市民の死者は、最小限だということである。

ガザ地区攻撃続く:シンワルの相棒的存在も死亡確認 2024.10.4

報道にはあまり出ていなかったが、ガザ全域におけるハマスとの戦闘も続いている。

3日、イスラエル軍は、ガザ中央での戦闘で、アジス・サハルが死亡したと発表した。

サハルは、2000年の第二次インティファーダの始まりの時に、拘束したイスラエル兵2人を残虐に殺害し、血まみれになった両手を、パレスチナ人暴徒たちにみせびらかしたことで有名なテロリストである。

www.timesofisrael.com/man-infamous-for-2000-lynching-of-soldiers-in-ramallah-said-killed-in-gaza-strike/

また、イスラエル軍とシンベトは、3日、ガザ地区ハマスの首相級高官で、シンワルの最も側近とも目される、ラウヒ・ムシュタハが、3ヶ月前の戦闘で標的とされ、その際に死亡していたと発表した。

 Gaza Strip, on March 15, 2021. (SAID KHATIB / AFP)

ムシュタハは、シンワルと同じ頃、イスラエルに身柄を拘束されていた。そこから共にハマスを武装組織に確立する計画を始めたとみられる。

シンワルと同様、人質となっていたイスラエル軍兵士シャリートさん解放の時に、交換で釈放され、ガザに戻り、ハマスの最重要幹部になっていた。

イスラエルはこれまでに、ムハンマド・デイフ、ラファ・サラメ、イシュマエル・ハニエと数々の最高指導者を殺害。これまでに、ハマス指導部の半数以上が失われたとみられている。

ガザでの死者数は4万人を超えたといわれているが、イスラエルに見方によれば、最低でも1万8000人は、武装組織であり、4万人のうち、市民の犠牲者がどのぐらいなのかは不明である。

www.timesofisrael.com/idf-says-it-killed-hamas-de-facto-pm-sinwars-right-hand-man-in-strike-3-months-ago/

イラクからガザへ11歳で売られたヤジディ女性をIDFが救出:イスラエル・アメリカ・ヨルダン協力で実現 2024.10.4

また、ガザでは、2014年に、イラクで11歳の時にISISに拉致され、ガザに売られたヤジディ女性、ファウジ・アミン・シドさん(24)が、イスラエル軍によって救出され、家族の元に帰ることができた。

イスラエル軍は、シドさんを拘束していたテロリストが死亡したことを受けて、シドさんを保護した。その後、ケレン・ショムロン検問所を通過し、イスラエルを経由して、アレンビー検問所を通過してヨルダンに入り、そこからイラクの自宅に戻った。

シドさんがすみやかに帰国できたのは、イスラエル軍のCOGAT(占領地政府活動調整組織)と、エルサレムのアメリカ大使館との協力、ヨルダンの協力があったからである。

イスラエル軍は、この件からも、ハマスがISISと繋がって、非人道的なことをしている証拠だと言っている。

2014年、ISIS(イスラム国)は、当時イラクにいたヤジディ族6000人以上を拉致した。若い女性たちは性的暴力を加え、多くは売り飛ばされ、少年たちは子供兵とされた。イラクによると、これまでに3500人が救出されたが、今もまだ2600人の行方も生死もわかっていない。

www.timesofisrael.com/israel-rescues-yazidi-woman-from-gaza-after-kidnapping-by-isis-at-age-11/

ローシュ・ハシャナ(新年)5785年:テルアビブへのロケット弾で年明け 2024.10.3

ローシュ・ハ・シャナ(ユダヤ教新年)5785年

イスラエルと世界のユダヤ人は、2日日没より、ローシュ・ハシャナ(ユダヤ教新年)を迎えた。

家族友人が集まって、特別な夕食を食べている時に、テルアビブに近い、グッシュ・ダン、続いてバットヤムにドローン2機が飛来。サイレンがなる中、迎撃ミサイルが撃墜し、負傷者なかった。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/idf-says-bat-yam-attack-included-2-drones-with-one-shot-down-and-other-landing-in-open/

一方、同じ頃、イスラエルもベイルート市内への攻撃を行い、破損したビルの様子が伝えられている。レバノン保健省によると、2日、イスラエル軍の攻撃で46人が死亡。85人が負傷していた。

訃報が相次いだ新年

今年の新年は悲壮な中での新年になった。前日の1日には、テルアビブで、ハマスによるテロが発生し、市民7人が死亡した。

またこの日はイランが、イスラエルほぼ全国に向けて181発もの弾道ミサイルを発射し、エルサレムでは、嘆きの壁で祈っていた人々も、シェルターへ逃げなければならなかった。

イスラエルでは負傷者が2人に止まったが、イスラエル空軍基地を含め、今少しずつ被害が明らかになってきているところである。

しかし、1日は、ローシュハシャナ前夜のスリホットの日でもあり、その後、嘆きの壁は、人で埋め尽くされていた。

そうして新年を迎える2日の夜、イスラエル人たちは、家族親族が集まって、新年を祝ったのだが、イスラエル人たちは、この朝、3日前から、北部国境を越えてヒズボラと戦っていた地上軍兵士8人が死亡した知らせを受け取っていた。

イスラエル人の友人は、家族そろって新年を迎えたことに改めて喜びを感じるが、同時にまた、この戦争であまりにも多くのイスラエル人たちが愛する家族を失ったことを思うと、心が痛い。喜びと深い痛み悲しみが同居する新年と書いていた。

これから、11日・ヨム・キプール(贖罪の日)、16日から仮庵の日、そして昨年、ハマスが攻め込んできたシムハット・トーラーと続く。ヨム・キプールの前夜は、最後の悔い改め、スリホットで嘆きの壁は文字通り超満員になるが、今年は、これをキャンセルと発表された。これはかなり異例なことである。

本来なら、今は、海外在住のユダヤ人や、クリスチャンたちが、最もイスラエルを訪問する時期であり、イスラエル人も世俗派たちが、いっせいに海外へ出かける季節である。本来なら、喜びに溢れるシーズンである。

しかし、イスラエルのエルアル航空以外の海外便は、ほとんどテルアビブへの乗り入れを停止している。エルアル航空はまだ発着しているが、着陸には北部を回らないルートになっているとのこと。

イスラエルのユダヤ人人口10万人増加:移住者数は前年から50%減

イスラエルのユダヤ人人口は、前のローシュ・ハシャナから10万人増えて730万人となった。移住者は、100カ国以上から3万1000人。このうち、最大はロシアからで、1万9850人だった。移住者が最も住んでいるのは、今毎日ロケット弾が飛来しているネタニヤである。

前年の同時期には4万6000人が移住していたので50%減となっており、戦争の影響ともみられている。

今年のローシュ・ハシャナの時点で、世界のユダヤ人人口は、1580万人。このうちの730万人が、イスラエルにいる。海外にいるユダヤ人850万人のうち630万人はアメリカにいる。これに続くのが、フランスの43万8500人とカナダの40万人。次に、イギリス、アルゼンチン、ドイツ、ロシア(12万3000人)と続いている。

www.timesofisrael.com/worlds-jewish-population-hits-15-8-million-on-eve-of-rosh-hashanah/

日本の神戸でのローシュハシャナ

神戸では、ハバッド派のシナゴーグで、ローシュ・ハシャナの例祭が行われ、200人以上が参加した。

以外にも若いイスラエル人たちが多く参加していた。兵役をいったん終えて、日本に旅行に来ている人々であった。

テーブルには、今回もそれぞれ人質のカードが置かれており、祈りがささげられていた。

レバノン国境での戦闘でイスラエル兵8人戦死 2024.10.3

レバノン国境で最初の戦死者8人

30日夜に、国境を越えてレバノン側に入ったイスラエル軍の第98師団。当初は、ヒズボラとの戦闘もなく、ヒズボラのトンネルやインフラを公開していた。イスラエル軍によると、これまでにヒズボラ関連の150箇所を摘発、破壊したとのこと。

しかし、その後は、やはり、ヒズボラとの文字通りの戦闘に直面している。2日になり、イスラエル軍は、レバノン入りしてから最初となる戦死者8人を発表した。

最大は、エゴス部隊という特殊部隊で、国境に近い村に入った時の戦闘である。エゴス部隊は、ヒズボラとの銃撃戦となり、ヒズボラは対戦車砲でも攻撃してきた。そこで6人が死亡。司令官1人と4人、計5人が重傷となった。戦死者は以下6人。

エゴス部隊指揮官エイタン・イツハク・オスター大尉(22)、同じく指揮官のハレル・エッティンガー大尉(23)、イタイ・アリエル・ギアット大尉(23)、ノアム・バルジレイ一等軍曹(22)、オル・マンツル一等軍曹(21)、ナザル・イトキン一等軍曹(21)

この一連の攻撃でヒズボラ側の死者は20人以上で、最終的には、イスラエル軍がこの地域を制圧したとのこと。

また別の場所でゴラニ部隊が負傷兵を救出しようとして2人が死亡。1人が重傷となった。戦死者は以下2名。

アルメキン・テレフェ軍曹(21)、イド・ボロヤル軍曹(21)

またこの他の地域でもヒズボラとの戦闘となり、医療部隊の兵士1人が重傷を負った。

レバノン国境では、ここに挙げられていない地域でも激戦になっているようである。ヒズボラは、マルーン・アル・ラスという村での戦闘の際、イスラエル軍最強と言われる戦車メルカバ3両をロケット弾で破壊したと発表した。オゼイダという村では、イスラエル軍に撤退させたとも言っている。

また、この間には100発以上のロケット弾がイスラエルに向けて発射されていた。

今後の予測:レバノンの村民にリタニ川以北へ避難するよう要請

国境周辺の村の一般家屋のほとんどが、ヒズボラの軍事活動に利用されているため、イスラエルは、今後、大規模に破壊するとみられる。第98師団に続いて、第36師団をレバノンへ送り込む予定である。

イスラエル軍は、これまでの作戦の前に、攻撃の対象となるレバノンの24の村に避難するようアラビア語で警告していた。今また新たに28の村へ警告を発している。

BBC

アラビア語によるこの警告では、住民にリタニ川より北へ移動するよう警告し、安心して帰宅できるようになれば、知らせると言っている。

しかし、こうした情報は、イスラエル軍の動きを敵に知らせることになり、自国の兵士たちには、大きなリスクになる。

それでも敵はヒズボラであって、レバノン市民ではないと強調しているので、民間人をできるだけ巻き添えにしないというのが、イスラエルの方針なのである。しかし、戦場では、それが兵士たちに大きすぎるリスクになっている。

ネタニヤフ首相の国民へのメッセージ

激戦が始まり、戦死者が8人も出ると、ネタニヤフ首相は、戦死者の家族に心からの哀悼を表する声明を発表。今は、イスラエルを滅ぼそうとするイランとその枢軸との戦いにある述べ、必ず南部ガザの人質を救出し、北部国境住民に安心して自宅に戻れるようにする。神の助けの元一致して、共に勝利得ることになると語った。

石のひとりごと

本格的な戦争の様相に、殺し合いという現状を思わされる。新年の朝に、21歳や23歳の息子たちの戦死を聞いた両親、家族の心を思うと頭が白くなりそうだ。大事な息子がもう二度と帰らない。会えない。いったいなんのために?あまりにも厳しい現実である。

テルアビブでのテロ犠牲者7人:ハマスが犯行声明 2024.10.3

Israeli emergency services following a shooting attack in Jaffa, Israel, on October 1, 2024. Ammar Awad/Reuters

1日夜にテルアビブの路面電車を襲ったパレスチナ人によるテロ。犠牲となった7人の身元が全員判明し、発表された。この他、16人が負傷していた。

レビタル・ブロンステインさん(24)、イリア・ノザデさん(42)*ジョージア市民、シャハル・ゴールドマンさん(30)インバル・セゲブ・ビグデルさん(33)、

ナディア・ソコレンコさん(40)、ヨナス・クロシスさん(26)*ギリシャ市民 (もう一人は公表の許可がクリアではない)

それぞれに、人生があり、家族があり遺族がいる。たとえば、シャハル・ゴールドマンさんは有名なダンサーで、1年前に結婚していた。

インバル・セゲブ・ビグデルさんは、昨年12月にアリ君を出産していた。レビタル・ブロンステインさんは、バットヤム市から、才能あるコミックブック作家と称賛されたばかりだった。

スクリーンキャプチャ

犯人は、ヘブロン在住のテロリスト2人で、モハメド・メセク(19)は射殺されたが、アフマド・ヒニム(25)は重傷でまだ生きているとのこと。ハマスが犯行声明を出した。

2人は、ヘブロンから違法にイスラエルに入り、反抗現場に近いモスクで、反抗の準備をしていたことがわかっている。モスク自体は、テロには関係していないとみられる。

このテロ直前に犯行があった路面電車の駅で、パリオリンピックで、銀メダルを受賞した新体操のダイアナ・スヴェルツォフさんが、テロリスト2人と接触していた。

2人はダイアナさんのオリンピックのネックレスを見て、微笑みかけてきたという。

1人はライフルを持っていたが、イスラエルでは兵士が私服でライフルを持っていることも少なくない。また、1人は人質解放の黄色のバッジをつけており、ダイアナさんはこんなテロリストとは予想できなかったと言っている。

www.timesofisrael.com/five-victims-of-jaffa-terror-attack-named-as-more-details-about-shooting-emerge/

イランから弾道ミサイル181発:西岸地区のパレスチナ人1人死亡 2024.10.2

イランから弾道ミサイル181発:2人負傷・パレスチナ人1人死亡

イスラエルが、南レバノンへの侵攻を開始した後の10月1日午後、アメリカがイスラエルに対し、イランの攻撃の可能性を警告していた。

その警告通り、夜午後7時半過ぎ(日本時間深夜1時すぎ)、イランから弾道ミサイルが大量に、4波にわたって飛来した。その数181発と報じられている。

イランは、今年4月にもイスラエルにUAVや各種ミサイル300程を発射したが、今回UAVは飛来しておらず、ミサイルの数としては、前回の倍だった。

ミサイルは、北部だけでなく、テルアビブ、エルサレムとその周辺、西岸地区、ネゲブ砂漠にいたるまで、サイレンが鳴らされ、約1000万人(ほぼ全人口)が、シェルターに駆け込んだ。

ミサイルはほぼ迎撃された。しかし、映像を見ると結構あちこちに着弾しているようである。IDFのハガリ報道官によると、イスラエル中部と南部に複数が着弾したとのこと。

ミサイルそのものによる被害ではなく、迎撃した後に地上に降ってくる破片などで、建物が破損し、火災になった建物も発生した。特にガデラでは、学校が大きな被害を受けていた。

(AP/Tsafrir Abayov)

しかし、これまでのところ、イスラエル人に死者はなく、2人が負傷しただけであった。

一方、エリコ近郊在住のパレスチナ人、サメ・アル・アサリさん(37)が、道を歩いていた時か、大きなミサイルの破片にあたって死亡。他4人が負傷した。

アサリさんは、子供3人の父親で、ガザから出稼ぎに来ていたが、イスラエルとの戦争勃発で、ガザに戻れなくなっていたパレスチナ人数千人の1人であった。

www.timesofisrael.com/palestinian-man-killed-by-shrapnel-from-iranian-missile-near-jericho/

イランは、イスラエル軍の施設を標的にしたと言っているが、イスラエル軍の空軍基地や戦闘機などは、全く被害を受けていなかった。しかし、テヘランでは、攻撃の成功を祝う動きがみられている。

www.timesofisrael.com/celebrations-erupt-on-the-streets-of-iran-as-irgc-hails-missile-attack-against-israel/

ネタニヤフ首相は、イランは、まだイスラエルの決意を読み取っていないようだとして、必ずこのツケを受けることになると反撃を宣言した。

具体的にどんな攻撃をするかだが、イランの核施設するのではないかとの憶測も広がっている。

www.ynetnews.com/article/s1jkijqac#autoplay

なお、シェルターに駆け込んだイスラエル人だったが、今は通常に戻っている。なお、イスラエルでは、2日日没から、ユダヤ人たちのローシュ・ハシャナ(新年)に入る。

www.timesofisrael.com/israel-warns-of-consequences-after-iran-launches-181-missiles-in-major-attack/

今回もアメリカ・ヨルダンがイスラエルを防護:国際社会もイランを非難

(AP Photo/Mark Schiefelbein)

181発のミサイルを迎撃したのは、イスラエルの迎撃ミサイルや戦闘機だけでなく、4月の時と同様、ヨルダンとアメリカ海軍とイギリスなどその協力諸国も迎撃に協力していた。

バイデン大統領は、アメリカは、イスラエルを最大限に支持すると、イスラエルへのコミットを強調。軍にイスラエルの防衛に協力するよう軍に指示したと発表した。

すでに、中東でのエスカレートを懸念して、アラビア海、地中海など周辺の海には、アメリカ海軍の軍艦、ミサイル駆逐艦などが、駐留している。

www.timesofisrael.com/us-we-will-help-israel-exact-severe-consequences-from-iran-for-missile-attack/

イギリスのスターマー首相も、地域情勢をエスカレートさせたと、強くイランを批判した。

この他、ドイツ、フランス、スペインなど、欧米諸国は、それぞれ首相が、イランの攻撃を非難し、中東戦争に拡大する可能性が高まったと懸念を表明した。

日本の石破新首相も、イランのイスラエル攻撃は容認できないとし、エスカレートを防ぐために、アメリカと協力すると表明した。

www.timesofisrael.com/west-denounces-irans-ballistic-missile-attack-cautions-against-further-escalation/

石のひとりごと

これだけのミサイルを受けて、イスラエルに負傷者2人。世界では多くのクリスチャンがイスラエルを覚えて祈っている。ところどころにその祈りが聞かれている感触もある。

しかし、イランの攻撃でパレスチナ人が死亡したというのも悲惨につきる。主のあわれみを祈るしかない。。