22日に始まった過越の祭り。本日25日は、その中日にあたり、祭司の祈りが嘆きの壁で行われた。けっこう人で埋め尽くされている。
祈りの中では、人質たちの写真がかかげられて、祈る様子もある。(下側クリップ1:10:22あたり)
祭司とはコーヘン氏の家計の男性たちで、この人々が祈る時に、共に神の前に出ることが祝福と考えられている。過越だけでなく、仮案の祭りの時などにも中日の祭司の祈りがある。
22日に始まった過越の祭り。本日25日は、その中日にあたり、祭司の祈りが嘆きの壁で行われた。けっこう人で埋め尽くされている。
祈りの中では、人質たちの写真がかかげられて、祈る様子もある。(下側クリップ1:10:22あたり)
祭司とはコーヘン氏の家計の男性たちで、この人々が祈る時に、共に神の前に出ることが祝福と考えられている。過越だけでなく、仮案の祭りの時などにも中日の祭司の祈りがある。
いよいよイスラエルがラファへの攻撃を開始するという、このタイミングで、ハマスが、カタールを経由して、24日、人質になっているハーシュ・ゴールドバーグ・ポーリンさん(4日前に24)の映像をアップした。元気な時とはまるで別人である。
ハーシュさんは、アメリカとイスラエルの二重国籍であるため、ビデオは、22日、仲介のカタールからアメリカのホワイトハウスに直接届けられていた。そこから家族に届けられたということである。人質になっているアメリカ人は、ハーシュさんを含め5人。
ハーシュさんは、10月7日、ガザ近郊の音楽フェス会場で重傷を負った上で拉致されていたようで、その左手首が切断されている。撮影がいつであったかは不明だが、この傷口の治癒の様相から、最近である可能性が高いのではないかと思われる。
ハーシュさんは、絶望の表情で、目には正気がない状態で、3分間のメッセージを語っている。その中で、家族に会いたいと言い、また、いまだに救出に来ない、ネタニヤフ首相とその政府は恥を知れと、怒りも表現している。
また、人質70人がイスラエル軍の爆撃で死亡したとか、交渉においては、全てを拒否したと、祖国への非難も表明している。言わされたのか、言っているのかは不明だが、なかなか助けがこない軍や政府に、苛立ちがないはずはないだろう。
סרטון שפרסם חמאס של החטוף הירש גולדברג-פולין pic.twitter.com/7LYkjWVzLq
— הארץ חדשות (@haaretznewsvid) April 24, 2024
ハーシュさんの両親、ラケルさんとジョンさんは、多数のアメリカ人も拉致被害者であることを世界に発信すると同時に、もしかして、息子が見ていればと、「強くいて。生き延びて。」とメッセージを発している。
Hostage Hersh Goldberg-Polin’s parents:
“Seeing the video of Hersh today is overwhelming. We are relieved to see him alive but we are also concerned about his health and wellbeing as well as that of all the other hostages and all of those suffering in this region.
We are here… pic.twitter.com/MQwZITbGSO
— Eylon Levy (@EylonALevy) April 24, 2024
なお、こうしたビデオは心理的作戦の一環であるため、通常は一般公開はしないのだが、ハーシュさんの両親が、公開の合意したため、合意に至ったとのこと。
*人質の現状
人質の数字は、メディアによっても変化している。Times of Israelが出している数字によると、今もガザにいるとみられる人質は129人だが、どのぐらいの人が生きているかは不明。IDFは34人は死亡しているとみている。
10月7日時点で、拉致された人は253人。11月の人質交換で解放された人は105人。これまでに遺体となって帰国した人が12人。このうち3人は、イスラエル軍の誤爆で死亡していた。
ハーシュさんの映像が公開されたことを受けて、IDFのハガリ報道官は、10月7日の残虐性、ハマスがいかに狂気の組織であるかを思い出させることとなったとし、徹底的にハマスを倒すことが急務であるとし、一つの石も崩されないで残らないまでにすると宣言した。
イスラエル人の一部ではあるが、政府の方針に同意しない人も少なくない。24日、ハーシュさんが、政府に恥を知れと言っているビデオが公開された後、エルサレムの首相官邸周辺、アザ通りで、人質解放を政府に求めるデモが発生した。
תיעוד נוסף של תקיפת מפגין על ידי קצין משטרה.
רחוב עזה, ירושלים, 24/04/24 pic.twitter.com/mEma9Md1xd
— אלימות ישראל (@Alimut_Israel) April 24, 2024
ゴミ箱をひっくり返すなどの暴徒となり、警察が放水銃を使うまでの混乱となった。極右政治家ベン・グビル氏周辺での衝突もあり、4人が逮捕された。逮捕者の1人はハーシュさんの友人だったという。
アメリカでは、名門とされるコロンビア大学で、親パレスチナの学生たちが、イスラエルを非難するとともに、イスラエルの軍事力を削いで、ガザへの攻撃をやめさせようと、経済を含む接点を断ち切ることを大学に求める大規模な反ユダヤ主義デモを、継続している。
コロンビア大学に続いて、同様の反イスラエルデモが、全米200の大学にも拡大しており、反ユダヤ主義へと拡大して、ユダヤ人学生たちの安全が危ぶまれる事態になっている。
これを受けて、政府も動き始めた。共和党マイク・ジョンソン下院議長は、コロンビア大学を訪問後。記者会見にて、将来を担う学生たちにと呼びかけ、「発言の自由は認めるがこれはその方法ではない。このナンセンスを直ちにやめて、直ちに教室へ戻れ」と語った。またユダヤ人学生たちには、政府は全力を挙げて、安全を守ると強調した。
また、シャフィク学長は、混乱を鎮静化できていない責任をとって辞任を要求すると発表した。
1)コロンビア大学親パレスチナ・反イスラエルデモ:イスラエルとの経済・学術的関係断絶を要求
ニューヨークにあるコロンビア大学では、ガザでの戦争勃発以降、親パレスチナの人々がイスラエルを非難するデモを散発させていた。
特にここ数ヶ月、親パレスチナ主義の学生はキャンパス内にテントを貼って、イスラエルは、アパルトヘイト(じん酢差別)、ジェノサイド(民族強化虐殺)を行っていると、イスラエルへの激しい抗議活動を行っていた。
コロンビア大学のシャフィク学長は、これは大学の方針ではないとして、学生と交渉し、撤退を求めたが、理解を得られなかったため、18日、警察を呼んだ。学生たちは、警察と衝突となり、大混乱の中、デモ参加者の半分にあたる約100人が逮捕された。
この広場には、今も「ガザ連帯の野営地」と称して、テントで泊まり込みでイスラエルに抗議するデモが続けられている。100人逮捕されたが、新たに加わる学生がいるので、デモは小さくはなっていない。
デモ隊は、ユダヤ人学生が学内に入ることを妨害したり、十字軍の様相の者や、「ポーランドへ帰れ!」と言うなど、欧米社会の伝統的な反ユダヤ主義と、その流れの中で発生した、ホロコースト前夜を連想させるような動きにもなっている。
さらには、「アル・カッサムを誇りに思う」「テルアビブを燃やすことこそ正義だ」「ハマスよ。あなたを愛している。あなたのロケット弾もだ」と言った叫びも聞かれている。
America we have a problem
“Al-Qassam, you make us proud, take another soldier out”
“We say justice, you say how? Burn Tel Aviv to the ground”
“Hamas, we love you. We support your rockets too”
Extremists at @Columbia chant in support for Hamas terror.
— David Saranga (@DavidSaranga) April 21, 2024
コロンビア大学には、約5000人のユダヤ人学生がいる。在学生は約3万7000人なので、7-8人に1人はユダヤ人学生である。
ユダヤ人学生たちは身の危険を感じている。しかし、一方で、これはイスラエルに対する反発であり、ユダヤ人に対するものではないとして、恐れていないと言うユダヤ人学生もいる。
アメリカで生まれ育ったユダヤ人は、イスラエルに反発する人も少なくない。特に現政権が右傾化して以来、その傾向が目立つようになっている。しかし、反イスラエル主義の人は必ず反ユダヤ主義でもあるので、ユダヤ人である限り、イスラエルを支持しないからといって、反イスラエル主義と無関係であることはできないだろう。
www.nytimes.com/live/2024/04/18/nyregion/columbia-university-protests
2) 全米に拡大する反イスラエルデモ
コロンビア大学の流れは、南カリフォルニア大学、テキサス大学(30人以上逮捕)、ミネソタ大学、ハーバード大学、ミシガン大学、オハイオ州立大学、ブラウン大学、他、有名な大学で次々に波及している。
「パレスチナに自由を!」と叫び、パレスチナ人に対する爆弾を作らせないよう、イスラエルとの経済的な接点を断ち切ることを要求。
学生たちは、今自分達こそが、正しいところに立っていると主張している。
アメリカの大学で拡大する親パレスチナ、反イスラエルのデモについて、ネタニヤフ首相は、英語で「反ユダヤ主義の暴徒が大学を占拠している。その訴えは、イスラエルの滅亡であり、ユダヤ人学生や教授を攻撃する。これは、1930年代のナチドイツの大学で起こっていたことだ」と訴えた。
こうした動きは阻止しなければならないが、責任を負う大学は手をこまねいている。政府関係は動き始めているが、十分ではない。
またネタニヤフ首相は、イスラエルがジェノサイドの危機に立たされれいるのに、逆に間違って、イスラエルがジェノサイドだと非難されている。さまざまな嘘が信じられるのが、反ユダヤ主義だが、これは、後に世界に大きな危機をもたらす前兆になる。
世界は今、世界のためにもこの反ユダヤ主義の波を止めなければならないと警告した。
Anti-Semitism on campuses in the United States is reminiscent of what happened in German universities in the 1930s.
The world cannot stand idly by. pic.twitter.com/oHlwig1vCl
— Benjamin Netanyahu – בנימין נתניהו (@netanyahu) April 24, 2024
アメリカはいったいどうなったのか。世界で最も賢い人々が集まっているアメリカの名門大学で、ここまでイスラエルを完璧に非難できるというのは、どうにも理解できない事態である。
これまで名門大学は、数々のユダヤ人学者や、イスラエルとの技術協力もあったはずだが、それを全部断ち切るという。イスラエルではなく、虐殺をおこなっているハマスやヒズボラを支持するということだが、どうしてそうなるのか。
ネタニヤフ首相が言うように、かつて、ユダヤ人排斥運動ホロコーストが始まる前のドイツ社会と、今、全米の大学で見られる極端なイスラエル嫌悪に共通するものがあることは否定できないだろう。
この背景には、無意識のうちに世界にある反ユダヤ主義感情に火がついたという側面もあるような気がする。やはり、世界は今、イスラエルをどう見るのかで、ふるいにかけられているように思う。
聖書はなにはともあれ、イスラエルは見捨てられないとはっきり書いている。
イスラエルが無罪放免というわけでは、絶対にないが、私たちの理解を超えて、イスラエルは、人間の罪と愚かさを伴う形で、神、主の存在とその救いを、現実のことで証明する国なのである。
だから、たとえ理解に苦しんでも、イスラエルを敵に回すことは、賢明なことではないと、筆者は信じている。
あなたがた(イスラエル)はわたしの証人、―主の御告げ―わたしが選んだわたしのしもべである。これは、あなたがたが知って、わたしを信じ、わたしがその者であることを悟るためだ。わたしより先に造られた神はなく、わたしより後にもない。
わたし、このわたしが、主であって、わたしのほかに救い主はいない。聖書イザヤ書43:10-11
アメリカの名門大学が混乱する中、アメリカ政府も複雑な動きをしている。バイデン大統領の言動を聞いていると、イスラエルを支持していることは見えてくるのだが、同時に、人間的な正義も首をもたげてきて、両立しないことが多いように思う。
23日、アメリカ議会は、反対勢力を押し切り、戦争支援措置として、ウクライナ、イスラエル、台湾へ950億ドルを支援することで合意。24日、バイデン大統領がこれに署名した。
このうち、イスラエルへの支援額は170億ドル(2兆6000億円)で、ガザなど復興支援に90億ドルとされている。ガザへは、追加で10億ドルを加え、100億ドルを当てるとバイデン大統領は言っている。
イスラエルでは、これから戦争がエスカレートすると予想され、迎撃ミサイルも大量に必要な時、非常にありがたい決定だ。
ところで、イスラエル軍は、お金がありあまっているわけでなく、兵士たちのブーツや軍服などさまざまな物資を献品にたよっているというのが現状である。このアメリカの軍事支援はほっとしたというところだろう。
イスラエルに支援金を決定したアメリカだが、同時進行で、パレスチナ人への暴力を働いている、西岸地区の過激右派ユダヤ人入植者個人への経済制裁を発動。その対象が、これに協力したと言われているイスラエル軍部隊にも広がっている。
部隊の名は、ネツァ・ヤフディで、超正統派や宗教的シオニストたちからなる部隊である。この人々のイデオロギーは、過激入植者と同様、西岸地区は、神がユダヤ人に与えたものと信じている人々である。
西岸地区で、任務に当たっていた時には、入植者たちの暴力を取り締まらないなど指摘されていたが、特に問題となったのが、2022年1月に、78歳のアメリカ系パレスチナ人オマール・アサドさんを建築現場に放置し、ストレス性の新発作で死亡させたことが挙げられる。
オマールさんは、この部隊に、猿ぐつわされ、手錠をはめられた状態で死亡しているのが発見された。アメリカとの二重国籍でもあり、アメリカが問題視しているようである、
イスラエル軍は、調査した上で、オマールさんが心臓を患っていたことに兵士は気づいていなかった、オマールさんの死因とネツァ・ヤフディとは直接関係はないとして、刑事問題にはしないという判断に至っていた。その後、ネツァ・ヤフィディ部隊は、ガザで戦闘に当たっている。
アメリカは今、これを問題にし、これは重篤な人権侵害であり、アメリカの法律に触れるとして、この部隊に制裁を課そうとしているのである。
アメリカは、今、イスラエルへの軍事支援を決定したわけだが、この部隊には、アメリカの資金が行かないようにするということである。
ガンツ氏は、この部隊も、国際法に準じてガザで、活躍している最中だとして、今この時点で、IDF部隊への制裁を課すということは理解できないと反発している。
www.reuters.com/world/middle-east/what-is-israeli-netzah-yehuda-battalion-accused-2024-04-22/
入植者のパレスチナ人への暴力には、確かに問題はある。しかし、この部隊に制裁を課すほどのことがあったかどうかは、はっきりはしていないということである。
右派系ユダヤ人部隊への制裁は、イスラエル支援に反対する国内勢力の怒りを和らげる方策なのかもしれない。
しかし、ガンツ氏が言うように、今、制裁を課すということは、ハマスと戦っている部隊に、ブレーキをかけることにもつながる。イスラエルの軍事支援とは相反する動きともとれるわけである。
これまでの流れを見ると、アメリカの大統領は、イスラエルを支えるために、時に、本人の意思を超えて、イスラエルを支えることに、用いられている時があるような気がする。
トランプ大統領が、大使館をエルサレムに移すという大それたことをした時もそうである。バイデン大統領も、社会派紳士ではあるが、軍事支援を決めて、イスラエルを見捨てるようなことにはなっていない。
しかし、同時に、社会派真摯であるベテラン政治家としては、できるだけ人間的な正義も守らなければならないという葛藤もそのスタンダードから見えてくる。それが、ダブルスタンダードだと言われることにつながっているのだろう。
次回のアメリカ大統領選挙では、そういう紳士的配慮がない、トランプ大統領復帰するようである。いったいどんなことになるのか、想像もつかないというところだろうか。。
イスラエル、また全世界では、4月22日(月)日没から、過越の祭り(ペサハ)が始まった。過越の祭りは、かつてヘブル人(ユダヤ人)たちが、奴隷となっていたエジプトから、モーセを筆頭に解放され、自由になったことを記念する、聖書に明記されている祝祭日である。
しかし、今年の過越は、皮肉にもガザ地区での戦闘が200日目(23日)を迎え、100人以上の人質がまだ解放されていないという状態での過越となった。いわば、神の約束とはやや違うのではというような、過越である。
過越の夜は、ユダヤ人たちは、エジプトを出る際、急ぎ種無しパン(イーストで膨らんでいないパン)を焼いて食べたと言われている。このため、ユダヤ人はこの日から1週間、種無しパンを主食とする。
ペサハの始まりには、「今夜はいつもと何が違うの?」と歌いながら、出エジプトの喜びを語るのだが、「今年はいつもと全く違う」との記事もあった。
以下はニューヨークのユダヤ人たちのセデルの夜の様子。人質を覚えている。またアメリカでは、今急速に、悪化する反イスラエルデモの中にいる。ホロコーストサバイバーの娘の女性は、同じこと(ユダヤ人迫害)が始まろうとしていると懸念を語っている。
1) テルアビブの人質広場で覚える過越
毎年、過越を準備してくれた母が10月7日、自宅から50メートル地点でハマスに殺され、それを目撃した妹(姉)は、今もまだガザで人質になっているという男性は、「今年は過越を祝えない」と語っている。
以下は、テルアビブの人質広場に設置された、まだ帰ってこない人々の空席となっているセデルのテーブルと、家族に犠牲者がいるイスラエル人たちのコメント
人質広場では、100人の犠牲者と、ガザ周辺のキブツ・べエリの住民たち約500人が、犠牲者や人質を覚えつつ、一緒にセデルの時を持った。
キブツ・べエリでは、当初30人が拉致され、人質となった。このうち13人が釈放され、その後6人の死亡が確認されたので、11人が今もガザにいるとみられている。以下は、アルジャジーラの報告(ユダヤ系メディアは撮影ができないため)
2) テルアビブの防衛省前で特別イベント:人質と不明者家族の会
セデルの翌23日夜には、テルアビブの人質広場で、6人のパネル(人質の親族、犠牲者遺族、国内避難民などさまざまな立場の人たち)を前に、オープンQ$Aのイベントが行われた。しかし、質問というよりは、それぞれの思いをシェアするような1時間半だったという。
集会の途中、人質解放を訴えるグループの中で、反政府デモを伴うデモを行うグループが、その主張をしたという。しかし、人質家族全てが、反政府を今訴えるとは限らない。
意見は違うが、どちらも人質家族である。イベントの主催者で、息子を、ガザのカンユニスでの戦闘で失ったアディ・エルドールさんは、こうした人質関連のイベントは、人々の関心を人質に戻すことであるとし、政府打倒については同意するものの、今は一致すべき時だと思うと語っている。
イベントの後、人質家族の中には、口にテープを貼り、手を赤く染めてしばりつけた様子で、その向かいにある防衛省(キリヤ)に向かって人質奪回を訴えた。
3)過越にネタニヤフ首相官邸で怒りをぶつけた人々も
過越は22日日没から、23日だが、その夜、人質家族のグループ数百人は、カイザリヤのネタニヤフ首相官邸前に集まり、人質がまだ解放されていないというのに、ネタニヤフ首相は、過越を祝うべきでないと訴えるデモを行った。
直ちに人質を取り戻すべきであり、それができない首相は退陣するべきだと訴え、「セデルではないテーブル」を象徴的に燃やした。
Caesarea – Families of the hostages set fire to the non-Seder table symbolizing the hostages still held captive in Gaza. It's been 199 days.
Participants demand an immediate hostages release deal.
"Bring them all home now!", "There is no victory without the return of all… pic.twitter.com/q4daU690YD
— Or-ly Barlev in English 🎗 (@OrlyBarlevEng) April 22, 2024
しかし、基本的にどんな時でも、主にある希望は失わないとするのが、ユダヤ教である。
ユダヤ人は、ホロコーストの時代、周囲にいる同胞が次々に殺され、また餓死病死する人々が続出であった、解放の希望はまだかけらも見えないゲットーにいる時でさえ、過越は祝っていた。
日本にもユダヤ人がいる。写真は、神戸のユダヤ教シナゴーグでのセデルのテーブル。各席に、人質の写真が置かれていた。
その1週間前、ラビ・シュムリックとガザでの問題を話し合う中、ラビは、「さて、今は過越だ」と言っていた。
神戸のシナゴーグには、過越の夜、250人から300人近い在日ユダヤ人とその家族が集まった。ラビシュムリック含め、多くのイスラエル人は、戦争中の祖国に家族がある人々である。
セデルで人質を覚える際に、朗読されていた聖書箇所は、詩篇28であった。
主よ。私はあなたに呼ばわります。私の岩よ。どうか私に耳を閉じないでください。私に口をつぐまれて、私が、穴に下る者と同じにされないように。
私の願いの声を聞いてください。私があなたに助けを叫び求めるとき。私の手をあなたの聖所の奥に向けて上げるとき。どうか、悪者どもや不法を行う者どもといっしょに、私をかたづけないでください。彼らは隣人と平和を語りながら、その心には悪があるのです。
彼らのすることと、彼らの行う悪にしたがって、彼らに報いてください。その手のしわざにしたがって彼らに報い、その仕打ちに報復してください。彼らは、主のなさることもその御手のわざをも悟らないので、主は、彼らを打ちこわし、立て直さない。
ほむべきかな。主。まことに主は私の願いの声を聞かれた。主は私の力、私の盾。私の心は主に拠り頼み、私は助けられた。それゆえ私の心はこおどりして喜び、私は歌をもって、主に感謝しよう。主は、彼らの力。主は、その油そそがれた者の、救いのとりで。
どうか、御民を救ってください。あなたのものである民を祝福してください。どうか彼らの羊飼いとなって、いつまでも、彼らを携えて行ってください。
(詩篇28章 ダビデ王による詩)
22日夜、イスラエル人たちが、過越のセデルのテーブルについたころ、北部ツファット近郊のエイン・ツィキームではサイレンが鳴った。ヒスボラのロケット弾計35発が、南レバノンから発射された。負傷者はなし。イスラエル軍は反撃を実施した。
23日には、イスラエル軍が、南レバノンのタイヤ周辺の地域を空爆し、ヒズボラでかなり影響力がある指導者2人が死亡。
その数時間後、ヒズボラのドローンが、海岸沿いの町、アッコとナハリヤ沖に飛来し、イスラエル軍が迎撃した。以下は、アッコに飛来したドローンと、サイレンを聞いて、ビーチから逃げる人々
Another angle shows Israeli air defenses downing Hezbollah explosive-laden drones off the coast of Acre this morning. t.co/Km1MZNKQE6 pic.twitter.com/fbLfKo8QoZ
— Emanuel (Mannie) Fabian (@manniefabian) April 23, 2024
Watch: people flee from a beach in Acre as sirens warn from a possible drone attack pic.twitter.com/VrOkHrE79i
— Guy Elster (@guyelster) April 23, 2024
ナハリヤでは、海上沖に着弾予測であったため、サイレンはならなかったが、イスラエル第3の都市、ハイファに近いため、警戒が高まった。このように、過越とはいえ、緊張感や防衛については、いっさい手抜きはないということである。
アメリカとの取引があったかどうかは、定かではないが、イランへの本格的な攻撃は差し控えたイスラエル。ガザ地区への本腰を入れたかのような攻撃が再開されてる。
イスラエル軍は、部隊の大部分撤退させ、精鋭部隊のみをネツアリム回廊に集中させていたが、21日より、そこから、ベイトハヌーンを中心としたガザ北部、中部、南部とガザ全域に空爆と砲撃を再開している。
標的は、ハマスなどの拠点、見張り地点、ロケット発射地、さまざまな組織のためのインフラや建物となっている。
これに対し、23日朝には、スデロットに向けて5発のロケット弾が発射されたが、アイアンドームが全部迎撃した。
www.timesofisrael.com/on-wars-200th-day-israel-intensifies-gaza-operations-soldier-killed-in-action/
これに対し、イスラエル軍は、ロケット弾発射地であったガザ北部のベイト・ラフィアへの攻撃を行ったが、その前に、住民たちには、指定された地域へ非難するよう、アラビア語で呼びかけていたとの情報がある。
ハマス側の報告によると、この攻撃で、モスクが破壊され、少年一人が死亡したと言っている。なお、ベイト・ラフィアからの攻撃は、ハマスではなくイスラム聖戦が発射元であったと、主張している。
これまでの戦闘の中で、ドルーズ族で、イスラエル軍のサレム・アルクレシェット第一軍曹(43)が死亡した。ガザ地上戦戦死者261人目となった。
サレムさんは、妻と12人の子供の父親で、末の子は2週間前に生まれたばかりであった。(写真左:IDF)
www.ynetnews.com/article/sk4w0pr11c
現在、注目されているのは、今後、イスラエル軍が、いつどのように、140万人とも言われる避難民がいるラファへ踏み込むかどうかである。
ウオールストリートジャーナルは、イスラエル軍が、ラファの避難民の移動の準備を開始していると伝えているとのこと。
www.timesofisrael.com/on-wars-200th-day-israel-intensifies-gaza-operations-soldier-killed-in-action/
*イスラエル軍のラファ攻撃を奨励する「ハマスの息子」
ハマス創始者の一人の息子として、ラマラで生まれ、ガザで育ち、成長してからイスラエルに行って、クリスチャンに改宗した、「ハマスの息子」と呼ばれるモサブ・ハッサン・ユセフ氏(45)。
穏健な生活をと考えていたが、10月7日の事件で再び目覚めたと語り、亡命先のアメリカで、声をあげようとしている。
ユセフ氏は、2007年にアメリカに亡命後、「ハマスの息子」と題する自叙伝的、ハマスの実態も発する本を発表した。
www.revival.co.jp/rj/2012/07/post-243.php
しかし、その後、ユダヤ人の間からも、言われのない嫌疑をかけられたりしたことから、あまり発言はしなくなっていた。
しかし、10月7日の事件が発生した時、ハマスの中にある、イスラムのイデオロギーの問題、ユダヤ人への憎しみを知っている者として、黙っているわけにはいかないと、確信したと語っている。
ユセフ氏は、ハマスの性質からして、ハマス打倒は必須だと考えている。特に、4部隊がいるラファを今すぐにでも攻撃すべきだと語っている。
www.timesofisrael.com/son-of-hamas-mosab-hassan-yousef-if-we-finish-rafah-we-finish-hamas/
こうした状況を受け、ドバイにいるハマス報道官の一人、アブ・オベイダは、23日、イランのイスラエルへの攻撃が、戦闘の新しいルールだとして、戦闘が200日目を迎える今、西岸地区とヨルダン領内からもイスラエルを攻撃すると発表した。
ハマスとイスラエルの人質解放、停戦への交渉は、ハマスが、イスラエルが戦闘を完全に、かつ永遠に停止することを条件としていたため、イスラエルは、非現実的と言っていた。ほぼ頓挫する様相にあり、仲介のカタールも、仲介役から手を引くと示唆もしていた中での変化である。
www.timesofisrael.com/marking-200-days-of-war-hamas-calls-for-escalation-across-all-fronts/
23日、激しい戦闘の中、ガザ南部ハンユニスにある、ナセル病院の敷地内から、283人の遺体が発見された。ハマスは、イスラエル軍が埋めたと非難した。日本でも概ねその空気で報じられていた。しかし、イスラエル軍は、それが誤りであると発表した。
ハンユニスのナセル病院では、今年、1―2月、医療スタッフを中心とする約200人が、ハマスに関係しているとして、イスラエル軍に拘束されていた。
mtolive.net/ハンユニスと中部・北部ガザ市での戦闘続行:ガ/
その人々の証言から、この病院には、一時人質が匿われていたことがわかったので、イスラエル軍は、その付近にあった墓地の遺体をイスラエルに持ち帰り、イスラエル人の人質が含まれていないか、DNAなどでの鑑定に取り組んだ。
その後、イスラエル人でなかった遺体を、元の場所に戻したとIDFは報告している。(ナセル病院敷地内ではない)
ナセル病院内で発見した遺体についても、同様の調査を行ったが、人質がいたかもしれない部屋などに焦点を絞っての少数の調査であり、遺体には、最大限の経緯をはらっていたとIDFが主張する。なお、ナセル病院に、イスラエル人人質の遺体は発見されなかったとのこと。
だいたい、今回、283遺体が発見されたとハマスが主張しているその場所は、イスラエルが突入する以前、また戦闘中も、パレスチナ人たちが、遺体の埋葬場所として使っていた場所であったと、イスラエル軍が主張している。
その様子は、アルジャジーラ自身が報じていたとTimes of Israelは指摘している。
以下は、今掘っている場所と、2月にパレスチナ人たち自身が遺体を収めていたのが同じ場所であることを訴えている資料
Still of the footage in VID 03 showing the source, the date and the digging of a mass grave. pic.twitter.com/zLinsBc2V0
— GeoConfirmed (@GeoConfirmed) April 22, 2024
NYTが伝えたところによると、19日金曜早朝(日本時間昼ごろ)、イラン中央イスファハン近くのイラン空軍施設へ、ドローンによる攻撃があり、爆発音が聞かれた。
イスファハンには、核関連施設があるが、そこへの攻撃はなかったとのこと。
この他にも、イスファハンから800キロ北部のタブリズに、小さいドローンの群れが現れたため、イラン軍が迎撃したとのこと。
ここでも爆発音が聞かれていた。しかし、領空外からの飛行物体の侵入は観測されていなかったため、イラン当局は、イラン領内から発射されたドローンの可能性もあると言っている。
www.nytimes.com/live/2024/04/18/world/israel-iran-gaza-war-news
イランでは一時、空港が閉鎖されるなどの動きもあったが、まもなく通常に戻り、イラン当局は、「イラン軍が友好的に迎撃したため、被害は限定的であった。爆発音は、迎撃の音だった。」と発表した。
また「イスラエルはイランからの500発のミサイルをほぼ全て迎撃したと言っていたが、その反撃はみすぼらしい3機のドローンだけで、それらはすべて撃ち落とした」とも発表した。
なお、同じ頃、シリア南部ダラアに近い、シリア軍関連地点(レーダー基地?)への攻撃もあった。
イスラエルからの攻撃したとの正式な声明はないが、イスラエルは、18日、アメリカに24-48時間以内に、イランを攻撃すると報告していたとのこと。
また、NYTは、イスラエル軍関係者2人が、イスラエルによる攻撃と認めたとも伝えている。もし本当にそうであれば、イスラエルがイラン領内を攻撃するのは初めてである。
アメリカとオーストラリアは、イランの反撃を懸念してか、イスラエルにいる外交官など自国民に対し、テルアビブやエルサレムといった大都市から出ないよう、警告を出したとのこと。
しかし、イスラエルでは、住民にシェルター近くにいるようにとの警告や指示は出ていない。今のところ、イランが、事を小さく収めようとしている様子からも、イスラエルに反撃してくることはないのではないかとの見方が有力である。
www.timesofisrael.com/iranian-air-base-reportedly-attacked-in-limited-israeli-reprisal-strike/
www.israelnationalnews.com/news/388768
しかし、このイランへの攻撃の前日18日、イランは、イスラエルの攻撃に備え、シリアにいるIRGC隊員や、ヒズボラ隊員を、イランから避難させていた。
また、特に懸念されたのが、イスラエルがイランの核施設を攻撃するのではないかいう点であった。
IRGCで核を取り扱うアフマド・ハグタラ上級司令官は、「もしイスラエルがイランの核施設を攻撃したら、必ず報復する。
イスラエルの核施設がどこにあるのか、把握している」と、イスラエルの核施設を攻撃し返す事も示唆していた。
ハグダラ長官は、核兵器は、イスラムの教えにも反するので作っていない。平和利用だけだと主張しているが、IAEA(国際原子力機関)のグロッシ長官は、イランが、ウラン濃度を、平和利用では必要がない、60%にまで上げており、兵器に必要な90%にあと一歩(6ヶ月?)であると報告している。
ひやっとしたが、イランについては、一応これで落ち着くだろうか。今日からの安息日、月曜からの過越と種無しパンの1週間の平穏がどうぞ守られるように。
17日(水)、国連は、アメリカ含む48カ国で、13-14日にかけてのイランのイスラエルへの攻撃を避難する声明を出した。現在、G7外相会議がイタリアで行われており、イランやウクライナ問題についても話し合われている。
しかし、イランへの厳しい対処を求めるアメリカと足並みはなかなか揃わないようである。こうした中、アメリカとイギリスが、イランへの経済制裁を開始したと発表した。
OFAC(アメリカ財務省外国資産管理室)が対象とするのは、イランでドローン製造に関係する16個人と2団体、鉄鋼に関係する5企業、イラン軍と関連が深い自動車メーカーのバフマン社である。
イギリスも、イランのドローンや弾道ミサイルに関連する個人への制裁を開始した。こうした制裁は、個人対象であり、影響は限定的とみられている。
apnews.com/article/iran-israel-treasury-sanctions-g7-f031a8bbcc54734a2eac152b36859ee9
シャイ・ハル・ツヴィ博士は、イスラエル軍で26年働き、政府の政策にも関わってきた防衛や政策に関する専門家である。
www.runi.ac.il/en/research-institutes/government/ips/about/ips-team/shay-har-zvi/
イスラエル政府プレスオフィスは、ツヴィ博士の解説を記者たちに提供した。
ツヴィ博士は、今のイランとイスラエルの対立が、たんに2国家間のものではないことを強調する。中東問題とウクライナ問題を通して、大きく世界が2局化しているとツヴィ博士は語っている。
今、ロシアはイランをはっきりと非難しない態度を続けているが、ウクライナはイランを非難した。この違いが、世界の2局化を象徴しているというのである。世界は大きく分けて次のように2分している。
① アメリカとイスラエル、ウクライナ(一部)、西側諸国と湾岸穏健派アラブ諸国
② イラン、ヒズボラ、フーシ派などの過激諸国とその背後にいるロシア、中国、北朝鮮
ロシアは、ウクラナイ攻撃において、イランからドローンの供給を受けている。この2年ほどに間に、ロシアとイランは、軍事だけでなく、政治、経済においても急速に接近した。
こうした中、欧米は今、ウクライナへの支援疲れに入っているとも言われており、ロシアのウクライナへの攻撃は激化している。イランへの制裁についても、欧米は一致しておらず、限定的にとどまっている。
この流れからすると、将来、ロシアのイスラエルに対する態度方針にも変化が出てくるとツヴィ博士は語っている。つまり、現時点でロシアは、イスラエルに表立って敵対はしていないが、敵対する方向に変化するということである。
この混乱の中、パレスチナ自治政府は、国連に対し、今のオブザーバーの地位から、正式な加盟国の地位にあげてほしいとの要請を、国連安保理に出していた。言い換えれば、正式な国家として認めてほしいということである。
しかし、ハマスにとどまらず、イスラム聖戦や、数々のテロ組織を生み出し、治世はカオスに近いパレスチナ自治政府を国家として認めるというなど、とてもできることではないだろう。
この要請は、これまでからも何度か提案されたが、これまでは、賛成票が不十分ということで、否決になってきたのであった。
今回も、そうなるよう、アメリカは各国に働きかけた。しかし、今回は、12カ国が賛成票を投じることになったことから、否決にするためには、アメリカが拒否権を発動しなければならなかった。
今回、特に注目されたのは、パレスチナ自治政府を国家と認めていないのに、この決議案に賛成票を投じた3カ国、日本、韓国とフランスである。
アメリカは、これら3カ国は、アメリカが拒否権を発動することを知って、賛成票を投じたとアメリカは理解していると言っている。
イスラエルは、国連安保理でこれを論議すること自体に怒りを表明していた。拒否権を発動したアメリカには感謝を表明している。
一方で、パレスチナ自治政府のアッバス議長はこの結果に「不公平だ」とアメリカを非難した。
<石のひとりごと>
世界の動きはどうにもばらばらになってきつつある。確かにイスラエルとそれを支える欧米諸国、またそれにつく日本や韓国の間に一致がなく、その場その場の結果が出ているように思う。
確かに、レイヒマン大学のツヴィ博士が言うように、ロシア、イラン、中国、北朝鮮の勢力が、じわじわと脅威になってくる予感も感じさせられる。