オスカーに、パレスチナ・イスラエル紛争のドキュメンタリーがノミネート 2013.2.24

本日ハリウッドでアカデミー賞(オスカー)の授賞式が行われるが、ドキュメンタリー部門で、イスラエルからの2作品がノミネートされている。

「壊れた5つのカメラ」は、パレスチナ人農夫撮影映像で、西岸地区でのイスラエルの占領政策を批判する。パレスチナ人とイスラエル人の協力作品。
予告編:http://www.youtube.com/watch?v=q_93nOqwmhU&feature=youtube_gdata_player

「ゲートキーパース」は、イスラエルの治安組織シン・ベトの大物6人のインタビューを含むドキュメンタリー。シン・ベトは諜報機関でもあり、その指導者らがインタビューに登場するのは初めてで注目されている。
予告編:http://www.youtube.com/watch?v=FWx0e7KXg0Q&feature=youtube_gdata_player

双方とも、イスラエル政府には批判的な作品。それがイスラエル人自身によって発表されることで、イスラエルがいかに民主国家で、言論の自由が認められた国かを証明しているとの解説もある。

切れたシリア反政府勢力:世界にさじをなげる 2013.2.24

3週間前、シリアの反政府勢力・シリア国民連合が、アサド政権との対話の可能性を示唆。アメリカもロシアもこれを歓迎し、それぞれが代表らをワシントン、モスクワに招いていた。

しかし、その後も、政府軍による空爆やスカッドミサイルで市民が続々と死亡。アレッポの町は徐々に完全破壊になりつつある。

23日、シリア国民連合は、2年以上もシリア人の虐殺に対処しなかった世界に怒りを訴え、来月ローマで予定されている世界諸国による「シリアの友達会議」を欠席すると発表した。

同時にワシントン、モスクワへの招待も断ると発表した。特にロシアに対しては、シリア市民を殺害している武器がロシア製であると、名指しで批判している。

シリア国民連合は、来月2日、アサド政権後の暫定政権を発表する予定だったが、これで国際的な支持を得られるかどうか疑問となった。シリアの混迷は深まる一方である。

イラン:ウラン濃縮を加速 2013.2.22

核兵器開発疑惑の続くイラン。それを裏付けるように21日、「イランが、ウラン濃縮を加速する最新式の遠心分離器180基を稼働しはじめたことを確認した」とIAEA(国連原子力機構)が発表した。

この遠心分離器はIR2mとよばれ、これまでの3倍の速度でウランを濃縮することが可能となる。これは、予想した以上に、イランが核兵器を完成させる時期が早まる可能性を示唆するものである。

ただし、今回、IR2mの導入が確認されたナタンツはウランを5%まで濃縮する施設。もしこれが、20%に濃縮しているファルドーの核施設に導入されはじめた場合、事態はさらに深刻となる。

この報告を受けてイスラエルのネタニヤフ首相は、「(軍事介入への)”赤線”に近づいている。この問題は、来月のオバマ大統領のイスラエル訪問での最優先議題になる。」とのコメントを出した。

なお、欧米とイランとは来週26日にウラン濃縮問題について8ヶ月ぶりの直接対話を予定しており、その直前のこの動きは、世界に対し不遜とも言える挑戦行為である。

<イランは核兵器までどの段階か>

核兵器に必要なウランは濃縮90%と高い。その前段階としてまずは濃縮20%のウランを一定量、準備する必要がある。

20%のウランが核兵器一発分に達した場合、そこから90%にする時間は数ヶ月で、IAEAの査察の合間に核兵器を完成することが可能。そのため、ネタニヤフ首相は昨年9月の国連総会で、20%ウランが、核兵器一発分になった時点を軍事介入への赤線にするべきとの警鐘をならしていた。

アルーツ7によると、現在イランは170キロの20%ウランを保有している。これが280キロになれば核兵器一発分となる。

<現在のハマンはイラン!?>

イスラエルでは、明日日没からプリム(エステルの例祭)が始まる。(エルサレムでは24日日没から)この日、シナゴグでは、エステル記が朗読され、イスラエルを滅ぼそうとした敵ハマンが、どんでん返しで討ち滅ぼされ、イスラエルに勝利がもたらされたことを覚える。

多くのイスラエル人たちがこの時期、「イスラエルを地図から消し去る」といったイランのアフマディネジャド大統領から、ハマンを連想している。

<ナイジェリアにもイラン分子>

ナイジェリア政府は、国内でイスラエル人とアメリカ人をターゲットにしたテロを計画していたテロリスト3人を逮捕。イランに関係するグループであることがわかった。ナイジェリアにはイスラエル系の会社が150ある。

西岸地区での衝突がインティファーダになる!? 2013.2.22

西岸地区ラマラ近郊のオフィルの刑務所周辺で、刑務所内でハンガーストをしているパレスチナ人を釈放するよう求めるデモが、まだ続いている。

先週に続き昨日も、数百人がファタハ(アッバス議長の党)の旗をふりながらデモに参加。10代の若者たちが、石投げ等を使うなどしてイスラエル軍兵士に石を投げつけた。

イスラエル軍もこれに催涙弾で応酬。イスラエル人ジャーナリストを含む数人の負傷者が出ている。その様子は第一インティファーダ(1980年代のパレスチナ人の民衆蜂起)を思い起こさせるものである。

現在ハンガーストを行っている4人のうち、断食日数最長はイサウィだが、もし彼が死亡するなどすれば、暴動は西岸地区一帯にひろがると、パレスチナ政府関係者は警告する。

イサウィの健康状態については、断食200日に入り死にそうだとの報告があるが、イスラエル側の発表によると、イサウィは、断食の合間に時々食べており、命に別状はないとのこと。

パレスチナ交渉担当決まる 2013.2.21

難航している連立交渉だが、20日、中道右派のハツナ党(実質ツィッピー・リブニ氏を支援する党)の連立入りが確定したとの発表があった。ハツナ党の獲得議席は6席。まずは無難なところからの交渉成立というところ。

しかし、この党に割り当てられた役割は、6議席に不釣り合いなほどに大きい。党首のツィッピー・リブニ氏(女性)は法務大臣と、パレスチナとの交渉チームのリーダーを兼務する。

今後は、ネタニヤフ首相の監督の元、リブニ氏が直接交渉のチームを率いてパレスチナ側との交渉をすすめる。(ただし、リブニ氏がその場で何かを決めてしまうことはなく、合意事項は持ち帰って首相と相談になる)

<パレスチナ側は歓迎>

ツッピー・リブニ氏は、外務大臣などを歴任、前回の総選挙ではカディマ党を率いて最大議席を獲得している。この時、女性首相再来かともいわれたが、期限内に連立政権を発足させることができなかったため、現ネタニヤフ首相に首相の座を明け渡したという経過がある。

女性でハト派とも目されているリブニ氏は、外務大臣時代には、イスラエルの外務相にはめずらしく、穏健派アラブ諸国にも好評を得ていた。

今回、リブニ氏が交渉担当になるということについて、パレスチナ側は「リブニ氏は以前にも交渉チームにいたことがある。こちらの要求をよく理解している。」と歓迎する意向を表明した。

イスラエルの少年がタイの僧院に 2013.2.21

タイの仏教の僧院にイスラエル人(ユダヤ人)の12才の少年が1人で滞在していることがわかった。少年は、オレンジの僧服を着て僧侶たちと一緒にいたところ、イスラエル人旅行者が来たのでヘブル語で話しかけたため、発見された。

少年は、血液の病気で2年前には骨髄移植も受けるという重病を抱える。少年の両親は、イスラエル南部に住む仏教徒で、タイの僧院には「いのちの力」を与える僧侶がいると信じ、少年を僧院に預けたという。

問題は12才の少年が1人でタイの僧院にいるということ。少年自身は「もう慣れたから帰らない。」と言っているようだが、未成年をこれほど遠方の僧院に1人で放置することが違法にあたる可能性もあるという。

当局は「仏教でやりたいなら、イスラエルでやればよい。または両親が一緒にタイにいるべき」と言っている。

西岸地区各地で暴動 2013.2.19

月曜、ヘブロン、ベツレヘム、ラマラ、ジェニンなど西岸地区各地で、パレスチナ人ら50から数百人が、デモを行い、投石するなどしてイスラエル軍兵士と衝突。

イスラエル軍は催涙弾を使って沈静化をはかった。双方に1人づつ負傷者が出ている。ヘブロンでは夕方にもパレスチナ人らが火炎瓶をなげるなどして暴動が続いた。

デモ隊の要求はイスラエル国内の刑務所に拘束されているパレスチナ人の解放である。現在、収監されている約4500人のうち、4人がハンガーストを行っている。

そのうちの1人は、シャリート兵士と交換に釈放され、再逮捕されたイサウィ。イサウィは、飲食を絶ってから200日以上になり、死にかかっているという報道もある。

このようなハンガーストの囚人をサポートするパレスチナ人のデモは15日にも発生し、イスラエル軍とぶつかった。この他、西岸地区で問題となっている場所に数百人がテント村を立てるデモも行い、9日、イスラエル軍が強制撤去している。

西岸地区でのパレスチナ人とイスラエル軍の衝突の回数は、今年に入ってから激増している。

<暴力の連鎖:双方、虐殺記念日>

ヘブロンでは、来週、マクペラの洞窟でユダヤ人のゴールドステインがパレスチナ人29人を虐殺してから19回目の記念日を迎えるため、緊張が高まっていた。

17日、ユダヤ側でも、西岸地区のイタマルで3ヶ月の乳児ら子供3人を含むフォーゲルさん一家5人が、パレスチナ人に虐殺されてから2年目となる記念日を迎えた。イタマルでは、数百人が集まって記念の集会が行われた。

遺族となったフォーゲルさん一家の父親は、「それでもここに残って前進する。それが信仰を持つ者のすることだ。」とたんたんと語った。

ユダヤ教は変わるか!? 連立難航:ネタニヤフ首相 2013.2.19

今回の連立交渉の焦点のひとつは、ユダヤ教正統派も一般市民のように徴兵の義務を与えるかどうかである。正統派も徴兵して社会変革をしようとするのが、未来がある党(ラピード党首)と、ユダヤの家党(ベネット党首)である。

この2党は今回の選挙で、広く市民の支持を集めた。もしこの2党と連立を組めば、正統派の徴兵に反対するユダヤ教政党シャスは、おそらく連立からはずさなければならない。

しかし、伝統的にイスラエルの政権には常にシャスが入っており、ネタニヤフ首相もシャスをはずしたくないと考えている。もしシャスをとれば、上記2党は連立には入らないだろう。すると右派のネタニヤフ首相が、左派の労働党と組まなければならなくなる。苦しいところである。

ここ1週間ほど、ネタニヤフ首相は、未来がある党と、ユダヤの家党とのコンタクトを絶っているという。

ユダヤの家党のベネット党首は昨日、エルサレムで最大のイシバ(ユダヤ教神学校)を訪れ、「時代は変わった。ユダヤ教の勉強は、国の大事な部分ではあるが、同時に国防軍でも国に貢献するべき時が来ている。」と語った。ベネット党首自身は、宗教的シオニスト(ユダヤ教徒だが、率先して国防軍で戦うグループ)。

すると、シャスのイシャイ党首は、「国防軍は正統派を必要としていない。」と語った。

シリア人負傷者イスラエルの病院へ 2013.2.17

16日、ゴラン高原のシリア側、イスラエルとの国境からわずか5キロの地点でシリア軍と反政府軍の戦闘が観測された。

この戦闘で負傷したシリア市民7人が、ゴラン高原のイスラエルとの国境フェンスに近づいてきたため、イスラエル軍が応急処置をほどこし、イスラエル領内ツファットの病院へ搬入して治療を続けている。

このうち1人は重傷。4人は中等度の負傷、2人も外科手術が必要なほどの負傷である。

<悲惨なシリア情勢続く>

シリアでは15日の戦闘だけで170人が死亡したもよう。シリア内戦の死者は現在までで70000人(アメリカのケリー国務長官は9万に至るだろうとの見通しを語っている)

国連の難民登録を申請しているシリア人は71万4831人。ヨルダンに22万4055人。レバノン23万2425人。トルコ16万3161人。イラク7万9469人。エジプト1万4375人。シリア国内では200万人が自宅を失い、300万人が食料支援を必要としている。(ロイター1月末時点)

イスラエルへは難民は1人も来ていないが、今回の負傷者収容をきっかけに難民が流れ込む可能性も指摘されている。

<ロシアのシリア政府軍事支援続行中>

ロシアは、「契約だから」と、いまだに大量の武器をシリア政府に送り続けている。フィンランド政府によると、昨年中に押収されたロシアからシリアに向かっていた武器(戦車部品)は10トンにのぼるという。

<イスラムのシーア派対スンニ派>

シリアの内戦は、政府軍(シーア派)対反政府軍(スンニ派)という構図も含んでいる。この構図に火がつけば、戦乱がさらに拡大、長引くことになる。

パキスタンでは、1月にシーア派の町ケッタの中心でスンニ派が爆破テロをおこして92人が死亡したが、昨日、その同じ町で再び爆破テロが発生。79人が死亡した。現場が混雑するマーケットだったため、死亡した人々の多くが女性と子供たちだった。

具体的?ヒズボラの脅迫 2013.2.17

ヒズボラのナスララ党首は、ベイルートの”殉教者記念式典”において、「ヒズボラはイスラエルと戦う準備ができている。もしイスラエルや連合軍が攻撃してきたら、発電所や空港を攻撃する。

発電所が破壊されたら、修理に半年はかかるはず。イスラエルは半年も暗闇に耐えられるだろうか?その点、レバノンは電気なし状態になれている。」と妙な”強気”発言。

これは、ブルガリア政府が、「昨年のブルガリアでのバス爆破テロ(イスラエル人5人死亡)にヒズボラが関わっていた。」と発表したことで、イスラエルがヒズボラを攻撃するのではないかと考え、釘をさしたものと思われる。

ネタニヤフ首相の好みはピスタチオ・バニラ 2013.2.17

先週、ネタニヤフ首相が、エルサレム市内のアイスクリーム店グリダー・メトゥデラで、年間10000シェケル(約25万円)もアイスクリームを購入していたことが発覚。首相官邸では、ただちにこの出費を停止すると発表した。

しかしこの件で、ネタニヤフ首相の好みはピスタチオ・バニラと報じられたため、エルサレムのグリダー・メトゥデラには、ピスタチオ・バニラを買いに来る人々が殺到。たちまち売り切れとなった。

<平和が続くように>

イスラエル周辺は、非常に不安定、政府も連立政権設立にむけて日々交渉が続けられているが、イスラエル国内では、アーモンドの花が咲き、昼下がりには親が子供を迎えに来るといったいつもと変わらぬ日常がくりひろげられている。

安息日前、エルサレムのマーケットに行ってきた。あるれるばかりのカラフルな野菜や果物。あまりにも混み合っていて、動けないほどだった。パキスタンのマーケットで起こった爆破テロのニュースをきいて、その遺族を思いつつ、エルサレムの平和が続くようにと祈らされた。

ロシアで隕石落下・負傷者も 2013.2.15

15日朝、ロシア西部のウラル地方チャリャビンスク州上空で隕石が大気圏内で爆発し、破片が落下した。落下した地域は、広大な荒野に民家が点在する地域だが、衝撃波で窓が割れるなどして100人以上の負傷者が出ているもよう。

空に大きな光る物体が現れ、落下する様子が撮影されている。その様子は200キロ先、またカザフスタンからも観測されたという。http://www.youtube.com/watch?v=R8QjaAPrxvQ&feature=youtube_gdata_player

ロシア政府は現在、2万人を派遣して調査にあたっている。

なお明日、50メートルの隕石が、地球まで34000キロに接近すると予測されている。地球に落下することはないが、万が一落ちたら、直径1Km程度のクレーターになるとのこと。