イランとイスラエル 2013.10.11

イランのロハニ大統領は、穏健ムードをアピールしながら、核開発を継続したままで、国際社会との関係回復を目指している。結局、イランのスタンスは全く変わっていないのだが、国際社会は、イランへの経済制裁を緩和する・・?流れになりつつある。

<イスラエルがイラン攻撃能力を示唆>

ネタニヤフ首相は、「世界はだまされてはならない。」とただ1人警告し続けている。イスラエルは単独でもいざとなればイランを攻撃すると言っている。

これをアピールするかのごとく、イスラエル軍は昨日、戦闘機への空中給油の訓練を行った。途中で空中給油ができれば、イスラエルの戦闘機がイランまで行って帰ってくることができる。

訓練は、イスラエルはイランを攻撃する能力があると言っているようなものである。

<イランは反シオニスト会議をキャンセル>

一方、イランのロハニ大統領は、前アフマディネジャド大統領の時に始まった毎年恒例の反シオニスト会議をキャンセルすると発表した。

穏健なイランに対し、好戦的なイスラエルというイメージになっている。ネタニヤフ首相に知恵と正しい判断が与えられるようにとりなしが必要である。

西岸地区でのテロ続く 2013.10.11

9月末にイスラエル兵2人が、パレスチナ人によって殺害されたが、先週には、西岸地区の入植地で、庭で遊んでいた9才の女の子が射撃された。女の子は負傷したが、命に別状はない。犯人のパレスチナ人2人が逮捕されている。

さらに昨夜夜中、ヨルダン渓谷の入植地の自宅にいたサリーヤ夫妻の敷地内にパレスチナ人テロリストが侵入。物音で、夫のオフィルさん(61)が様子を見に外へ出たところ、鉄の棒や斧で殴り殺された。

様子を察した妻のモニークさんは、ひそかにはってその場を脱出、約2時間後、通りかかった車に助けを求めた。イスラエル治安部隊が直ちに出動し、翌日の今日、パレスチナ人の容疑者5人を逮捕している。

オフィルさんの兄はちょうと40年前のこの日、ヨム・キプール戦争で戦死していた。兄の影響で、オフィルさんはイスラエル軍でもかなり貢献したベテラン司令官だったという。

モニークさんは、収容された病院で、「夫は皆に愛された人だった。なぜその彼にこんなことがおこったのかわからない。」と泣き叫んでいた。

アメリカの経済危機 2013.10.11

アメリカ政府は、これまでの借金がかさみ、とうとう借金額の限界に達している。この事態を受けて作成したオバマ政権の予算案が、先週、議会を通過しなかったため、アメリカ政府からの支払いができなくなった。そのため部分的な政府の休業状態が今も続いている。

もしアメリカ議会が10月17日までに、政府の経済活動をフルに再開できなければ、アメリカがいわば「破産」ということになる。するとアメリカ株(国債)を持っている国々が大きな打撃を受けて、世界経済が大混乱に陥る。

オバマ大統領は、先週、インドネシアでのAPEC(アジア太平洋経済協力)でロシアのプーチン大統領と会談する予定だった。しかし、これをキャンセルし、対処にあたっている。*APECにはケリー国務長官が代わりに出席した。

<どうすれば、アメリカの破産は回避できるのか>

回避の方法としては、議会が借金の上限額を上げて、さらに国債を発行して現金を得ることができれば、借金の支払いに充てることができ、とりあえず破産を回避できる。

実は、アメリカ政府が、借金の限界に達するのはこれがはじめてではない。実は歴代大統領の時代からもう40回以上も限界に達し、そのたびに、借金の上限を挙げてしのいできたのである。

オバマ大統領は、今その上限を上げるためにはどうしたらよいのか、議会、特に対抗勢力である共和党との交渉を行っているのである。しかし今回は、借金の上限問題だけが予算案が通らなかった理由ではないと言われている。

<アメリカの国内事情:オバマ大統領の新しい医療保険制度をめぐって>

予算案が議会を通らなかった背景には、オバマ大統領が提唱する国民皆保険制度、いわゆる「オバマケア」を実現させたくないという共和党の思惑があるという。

アメリカには現在、日本のような国民皆健康保険制度がない。そのため貧しい人は医療を受けられないという課題がある。オバマケアでは、こうした人々を救済する一方、これまで雇用主からの社会保険を受けていたり、自腹で高い医療保険に加入していた人々にとっては様々な不都合が生じることになる。

つまり、共和党は、「政府の破産」を切り札に、オバマ大統領にオバマケアをあきらめるなら、予算案に合意するという、取引のような形となっていたのである。

ところが、オバマ大統領がなかなか譲らず、本当にアメリカ政府が休業に入ってしまった。このままだと本当に国が破綻するかもしれない危機的状態になりはじめている。

そのため、共和党議員らが、オバマケアを止めることはできないとして譲歩する方向で動いているという情報がある。

<アメリカがエジプトへの軍事支援を停止へ>

お金がなくて、てんやわんやのアメリカだが、昨日、アメリカ政府は、エジプトへの軍事支援を停止すると発表した。理由は、エジプト軍と、ムルシ派の衝突で50人以上が死亡するという事態になっているからだと言っている。

しかし、エジプトが今のところ内戦に発展しないでいるのは、エジプト軍が強大な力でイスラム主義勢力を押さえているからである。エジプト軍が弱体化することは、イスラエルの治安にも関わることになる。

また、アメリカとエジプトの関係が悪化することは、イスラエルとエジプトの和平条約が危うくなるという可能性も否定できない。これらのことから、アメリカのエジプトへの軍事支援停止は、様々な論議を呼んでいる。

シリアで活躍中のOPCW(化学兵器禁止機構)にノーベル平和賞 2013.10.11

今年のノーベル平和賞に、現在、内戦中のシリアに入って化学兵器の処分作業にあたっているOPCW(化学兵器禁止機構)が決まった。

OPCWは189カ国が加盟し、500人のエキスパートからなる組織。1997年に、前身である化学兵器協定をさらに補強する形で設立された。化学兵器協定は、1993年にその時点で現存していた化学兵器の80%を破棄して、世界平和に貢献している。

ラビ・オバディア・ヨセフ死去 2013.10.8

イスラエルのスファラディ系チーフ・ラビとして、また引退後も、霊的政治的にも絶大な影響力を持っていたラビ・オバディア・ヨセフ(93)が7日午後、心不全、腎不全で意識不明のまま、エルサレム市内の病院で死亡した。

葬儀はその日の夕方6時から、エルサレムのユダヤ教徒居住区メア・シャリームで始まった。全国から急遽、バスを連ねて黒服の正統派ユダヤ教徒たちが参列。地元紙によるとその数、85万人(総人口の1割)。

<イスラエル史上最大の葬儀>

エルサレム北部の交通網は午後3時すぎにはすでに遮断され、市内北部はほぼ麻痺状態。バスも停止。ユダヤ教居住区から中央バスステーションにかけては歩行者のみとなり、人々が続々と葬儀の方向へと歩いていた。

女性はあまり近づいてはいけないということで、女性たちの群れはイシバから遠く離れたところに子どもたちを連れて立っていた。しかし、中心部分に近いところにも女性が見えたので、進んで行ってみた。

葬儀自体はイシバ(ユダヤ教神学校)で行われていたが、通りに集まって立っている群衆にも聞こえるよう、その様子がスピーカーで流されていた。

父、オバディア・ヨセフの後をついでスファラディ系チーフラビとなった息子のラビ・ダビデ・ヨセフがおいおいと泣きながら祈りをささげているのが聞こえた。群衆はその声を聞きながら、別に泣いているわけでもなく、ただ無表情に立っている。時々ラビの祈りに応答するようにいっせいに神への祈りをささげていた。。

女性たちは道路脇。この大群衆の中でも、たくましくベビーカーをおして、乳幼児を連れている。女性どうし、談笑しながら、子どもたちにお菓子を与えたりしている。中には祈祷書をひらき祈っている人もいた。

葬儀はまる2時間。群衆が動き出したのでついていくと、イシバからラビの遺体を乗せた車が出てくるという。押し合いへしあい、通りの両端の壁の上には男性たちがぎっしり立っている。

人がぎっしりになっているところへ車が数台出てきた。しかも対向車。警察や兵士が、叫びながら人々を車から引き離そうとするが、群衆はまったく聞く様子もなく、車の周辺にぎっしり状態。突然車がバックしてきた。押し合いへし合いから、押しくらまんじゅうに。将棋倒しの恐れがあった。ただ笑っている人もいて、不思議な空気だった。

しかし、ふと気がつくと回りは全部黒服の正統派の男性。ある男性は壁の方へ行きなさいと親切に言ってくれたが、「つまみだせ」と言われ、兵士が誘導してくれて、なんとか脱出できた。

あちこちに救急車が待機している。その屋根の上や電信柱のようなところに靴や帽子が山積みになっていた。後で新聞を見ると、群衆に押されてなぜか靴をなくした人が大勢いたらしい。

やがて群衆のうちの男性だけが、埋葬の現場、墓地へと流れていった。女性はあまり近づかないというのがラビへの敬意なのだと近くに立っていた女性が教えてくれた。

ここであきらめて帰途についたが、中央バスステーションでは、帰宅する正統派たちのための臨時バスがぎっしり。おかげで通常の市内バスが走らなくなっていた。

とりあえず町まで行ってみたが、通常は世俗派でにぎわう中心部がほとんどがらがら。わずかに開いているファラフェル屋で食べているのは正統派ばかりだった。町が麻痺する前に、一般の人々は家に帰っていたようだった。

かろうじて走っているバスをのりつぎ、最終的には歩いて、自宅についたときには12時をまわっていた。

<ラビ・オバディア・ヨセフ>

ラビ・オバディア・ヨセフは、律法を現代に適応するエキスパートとして、ユダヤ教正統派の間では、モーセのように尊敬されているラビ。多くの家庭や店舗などで彼の写真を見かける。

ラビ・オバディア・ヨセフは、イラクのバグダッド生まれのスファラディー(アラブ諸国からのユダヤ人)。4才で家族と共にイスラエルに移住し、20才でラビとなり、一時はエジプトのカイロのチーフラビも務めた。

イスラエルでチーフラビになったのは1973年、53才の時。この年のヨム・キプール戦争で生死がわからないまま行方不明になった兵士の妻が、離婚手続きをしないで再婚する許可をだしたことで有名。

またエチオピアのユダヤ人を律法に基づいて正式にユダヤ人と認め、イスラエルへの移住を可能にしたのもラビ・オバディア・ヨセフである。

1984年には、ユダヤ教正統シャスを設立。正統派ユダ教徒の社会的な存在感を政界で確立した。ラビ・オバディア・ヨセフは、いわばユダヤ教会では今世紀最大のカリスマ的存在というところだった。

シャス党は現在、党首争いがあり、ラビ・オバディア・ヨセフによってデリ氏とイシャイ氏の二人が立てられている。ヨセフ師亡き今、デリ氏は「私たちは孤児だ。これから誰が導いてくれるのか。」と泣きながら語った。今後のシャス党の動きが注目される。

*過激発言のラビ

ラビ・オバディア・ヨセフは、過激な発言でも有名だった。「ホロコーストで殺害されたユダヤ人は、罪人の生まれ変わりだったから罰を受けた。」「アメリカで大災害だったハリケーン・カテリーナに関して、”ガザからユダヤ人を追い出した罰だ”」など。

シリアの化学兵器処分作業開始 2013.10.8

アサド大統領が提出した化学兵器のリストに基づき、OPCW(化学兵器禁止機構)がシリア入りし、10月7日から化学兵器の処理作業を開始している。

ケリー国務長官は、よいスタートが切れたとして、アサド大統領が国際社会の要請によく応じていることを評価するコメントを出した。

しかし、こうした国際社会の動きに対し、反政府勢力は、「アサド政権にシリア市民を殺す時間を与えているだけだ」として反発している。実際、処理作業が行われている周辺地域でも、戦闘が続けられており、危険な状態。

<解決の見えない内戦>

先日、以前EUで働いていたイギリス人の友人が、「シリア問題のすべてのことが何かおかしい。」と言っていた。化学兵器を返上したことで、アサド大統領自身の罪状は棚上げになっているからである。

アサド大統領は、サリンで自国民を1400人も死亡させた。アメリカは証拠をあげてアサド政権の犯行だと断定したのである。

それ以前にも、アサド大統領は、国を内戦においやり、自国民10万人以上を死亡させ、周辺諸国に210万人もの難民を出して、迷惑かけまくっている。その罪と責任の大きさは計り知れない。

それが、化学兵器を返上したことでうすまってしまったかのようになっている。反政府勢力やシリア難民が反発するのも理解できるのである。

しかし、だからといって、アサド大統領が失脚し、代わりに反政府勢力にいるアルカイダが台頭してくるのはもっと悪い。アサド大統領かアルカイダか。この2者以外の選択が今のところみつからないのである。だからアサド大統領を容易に排除できないのだ。

国際社会も、化学兵器だけが解決でないことはよくわかっている。国連によると、210万人もの難民を養う限界がもう目前だという。難民を餓死させるのか。ともかく一日も早くシリアの内戦を終結させなければならない。

ケリー国務長官らは11月には、新しい政府樹立をめざしたシリア平和会議をジュネーブで行うと行っているが、シリアで戦っている双方とも悪の限りをつくして、憎みきっているので、会議の実現はまだまったく見通しがたっていない。

エジプトで治安部隊とムルシ派衝突:50人死亡 2013.10.8

エジプトでは6日、暫定政権の治安部隊と親ムルシ派が激しく衝突し、カイロで40人、10人は全国で勃発した衝突で死亡し、系50人が死亡した。

その後、シナイ半島南部のリゾート地にいた治安部隊をねらったとみられる爆弾テロで3人が死亡。昨日も系9人が死亡した。超過激なイスラム主義者サラフィフィストの犯行とみられている。

ネタニヤフ首相・国連スピーチ 2013.10.2

ネタニヤフ首相は国連でのスピーチで、ロハニ大統領は「羊の皮をかぶった狼だ。ロハニ大統領の言葉ではなく、していることに目を向けなければならない。」とダイレクトに言った。

「外交による解決がよいとは皆が思っていることだ。しかし、イランに関しては、軍事攻撃の可能性を含む強力な制裁があってはじめて外交的解決への可能性も高まる。」との見解を述べ、国際社会は制裁を緩和すべきでないと主張。

「単独で(イランに軍事的に)対処しなければならない場合は、単独ででも対処する。」との決意を語った。

パレスチナとの和平について、「イスラエルは、パレスチナ人との和平達成にコミットしている。」としながらも、イスラエルは、治安に関しては決して譲歩しないと言った。

イスラエルが隣国として認めるパレスチナは「非武装で、イスラエルがユダヤ人の国であることを認める。」国だと語った。

ネタニヤフ首相は、後半で、自身の祖父がホロコーストの時代、殴られて血まみれになりながら、昔マカベア戦争で大勝利したユダヤ人が、今は自己防衛すらできないという現状を思い知り、必ずユダヤ人の国に帰ることを誓ったという経験を鮮明に語った。

その結果自分が首相になっている。「イスラエルはユダヤ人の唯一の祖国である。イスラエルが出ていくことはない。」と宣言した。

また聖書のアモス書9章14,15節を英語に続いてヘブライ語で読み、イスラエルと聖書の関係をアピール。ここに書かれているように「イスラエルは二度と引き抜かれることはない。」と締めくくった。

<イランの反応>

イランの国連大使はネタニヤフ首相のスピーチを、軍事的な雰囲気をちらつかせて挑発的だったとコメントした。「イスラエルはイランを攻撃するなど考えない方がいい。イランはいかなる攻撃にも準備できている。」と語った。

イランのザリフ外相は、ネタニヤフ首相を「国連で最も孤立した男」と呼び、「イスラエルは『イランは6ヶ月以内に核兵器を完成する』と過去22年間、言い続けてきた。(しかしまだ一度も完成していない)」として、イスラエルは嘘つきだと言った。

また「イランは、核開発を完全に放棄するべき」と主張するイスラエルに対し、「イスラエルこそNPT(核拡散防止条約)に署名すべきだ。」と主張している。

ケリー国務長官はこれに対し、「今、核兵器問題で立場を明確にしなければならないのはイランの方である。まずは自分の疑惑をはらしてから、他国に指図するべきだ。」と語った。

アメリカは、イランへの対処について、現時点ではネタニヤフ首相と同様の疑いと警戒を持っており、当面、制裁処置の緩和はないと表明している。

<イスラエルの反応>

現在、国際社会がイランに対して外交解決ムードになっている中、イスラエルがあまりに厳しい立場を主張しすぎるのは得策ではないとの意見も出ている。

国家治安研究所(INSS)所長で軍事分析のエキスパート、アモス・ヤディン氏も、イスラエルは今の外交努力がどこへ向かうかをまず見極めるべきだと言っている。

アメリカ政府の臨時休業 2013.10.2

経済危機にあるアメリカだが、議会が予算案に合意しなかったため、今日から政府に入る資金が差し止められてしまった。そのため、アメリカ政府関係省庁すべてが臨時休業となっている。

このため、公務員200万人が影響を受け、80万人近い政府関係者が無給の休暇を無理矢理とらされた状態におかれている。ビザも発給されないので、旅行者など様々なところで影響がでている。

オバマ大統領は、マレーシア訪問を取りやめ、この問題に取り組んでいる。シリアやイラン問題に加え、なかなか忙しいオバマ大統領である。

”無宗教”のユダヤ人増加傾向:アメリカ 2013.10.8

ネタニヤフ首相のアメリカ訪問に合わせて、アメリカのユダヤ人に関するユニークな調査結果がPew Research Centerから報告された。

それによると、アメリカにいるユダヤ人の22%は、無宗教と答えていた。ところが、94%がユダヤ人であることを誇りに思うと答え、70%はイスラエルに愛着を感じているという興味深い結果となった。

つまり、アメリカにいるユダヤ人は、若者ほどユダヤ教なしでユダヤ人のアイデンティティを持つ傾向にあるということである。

最近イスラエルに移住する北米のユダヤ人が増加しているが、移住するのはユダヤ教関係者とともに、ユダヤ教なしにユダヤ人のアイデンティティとイスラエルへの愛着を持って移住してくる者もいるということである。

イスラエルに投資する日本企業 2013.10.2

日本の電子義足などを扱うロボット工学で知られる安川電機が、数百万シェケルをイスラエルの会社に投資する。安川電気では、2005年にもイスラエルの企業に570万ドルを投じ、関連事業として展開している。

イスラム主義勢力の終わりなき殺戮 2013.9.30

<パキスタン:タリバン同士の争い>

先週日曜、パキスタンのペシャワールにあるキリスト教会で二つの自爆テロが発生し、85人が死亡したが、その後もペシャワールでは2件の爆弾テロ事件が発生している。

2回目の爆弾テロは27日(金)、政府関係者を乗せたバスが爆破され、17人が死亡。3回目になる昨日の爆弾テロは、混雑する市場にある警察署付近で発生し、少なくとも33人が死亡した。

犯行は、先の2回はパキスタン・タリバン。3回目も同じ組織の犯行との見方が強い。パキスタン・タリバンが急に、爆弾テロを繰り返すようになったのは、現在のパキスタンのシャリフ首相が、アフガニスタンのタリバンと和解しようとしているからであると分析されている。

複雑なところだが、同じタリバンでもパキスタンのタリバンと、アフガニスタンのタリバンは立場が違っており、対立しているということである。

アフガニスタンのタリバンは最近、若干、穏健ムードで、ドーハに事務所を出して、アメリカのケリー国務長官と会談したりして、和解を試みている。

ただし、この事務所、あたかもアフガニスタンを代表するかのような旗をあげ、アフガニスタンの正式なリーダーであるカルザイ大統領をさしおいて、アメリカと交渉したため、大きな問題となった。

しかし、パキスタンとしては、アフガニスタン・タリバンのこの穏健ムードにのって、これ以上、パキスタンにタリバンが流れ込んでテロを起こさないようにしたいというところだ。シャリフ首相は、先週、和解推進のため、アフガニスタン・タリバンの創始者の1人という大物を釈放している。

こうした動きに反発しているのがパキスタン・タリバンだ。この一派は、いっさい妥協せず、パキスタンを厳格なイスラム法に基づくイスラム主義国にしたいのである。だからキリスト教会を攻撃したのである。

なお、パキスタンは、基本的にイスラム国なので、過激派でないシャリフ首相もキリスト教徒の保護はしていない。

*オール・セインツ教会の犠牲者・その後

ペシャワールの病院は、まだ負傷者でいっぱいである。先週の教会での自爆テロは、50人の子どもたちが日曜学校で「よき羊飼い」という賛美をしている時だったという。子どもの死者は7人。7才で両親を失い、自分も大けがをした男の子がいる。

ある信者が小さな女の子に十字をきって祈ろうとしたところ(カトリックと思われる)「やめて。そんなことをしたら殺される。」と言っていたという。子どもたちの信仰、心のトラウマは計り知れない。

パキスタンでは、教会や、コミュニティ全部が放火されることもある。キリスト教徒が生きたまま焼き殺される事件も発生している。今後も政府の保護があるとは思えず、家から一歩も出られない人もいるという。

*大地震の救援活動も妨害か

その同じパキスタンでは、南西沿岸部ケッタで24日、M7.8の地震が発生。28日には、余震M6.8も発生し、死者は500人を上回ると推測されている。

被災地は、かなりの僻地で、非常に貧しいだけでなく無法地帯だった。パキスタン軍が救出にあたっているが、司令官の乗ったヘリがロケット弾攻撃されている。

まだ被災地に入ることも難しいという。救援物資も十分に届いていない。BBCによると、人々は素手でがれき(泥の家)の下敷きになった家族を掘り出そうとしているという。

日本でも報じられていると思うが、この地震で、パキスタン沖に小さな島が出現している。なお、パキスタンではこの現象は初めてではない。

<ナイジェリア:イスラム主義勢力が農業大学襲撃で50人死亡>

アフリカでは、イスラム主義勢力とそれを押さえようとするアフリカ連合軍が戦っている。これに対抗して、イスラム過激派らが、各地でテロを頻繁に行っているもようである。

ケニアのショッピングモールが襲撃された事件が記憶に新しいが、これは、ケニアがアフリカ連合軍に軍を派遣し、ソマリアでイスラム主義勢力と戦っているからである。犯行はソマリアのイスラム主義勢力だった。

ナイジェリアでは、昨日アフリカで活動しているイスラム主義過激派勢力ボコ・ハラムが、夜中に農業大学の寮を襲撃し、就寝中だった若い学生約50人を殺害した。

ボコ・ハラムは、パキスタン・タリバンと同様、現在のナイジェリア政府を追放し、ナイジェリアを厳格なイスラム法に基づくイスラム主義国にしたいのである。

ボコ・ハラムは、この目的の元、以前にも、小さな子どもたちの学校を襲撃している。

<石のひとりごと>

イスラム過激派のしていることは、まさに殺戮と破壊の繰り返し。そこに、愛、あわれみ、平和というものはいっさない。どこにそんなエネルギーがあるのかと思えるほどエンドレスに、悪の限りを尽くして破壊している。

まさにイスラムを利用しているサタンの働きのようである・・・・