シリア難民の悲惨:極寒の中で洪水 2019.1.13

先週、レバノンからイスラエルにかけて5日間、冬の嵐が到来した。これにより、リタニ川の支流が氾濫して、シリア人少女(8)が死亡。

レバノンの難民キャンプ361箇所(11300人)で洪水となり、テント内部にまで水が入って悲惨な状態になった。一部では雪も降り、厳しい寒さの中、なにもかもが濡れて、難民たちは夜も寝られなくなっている。

ベッカー谷では、シリア難民600人が避難所からの避難を余儀なくされた。

UNHCRビデオ:https://www.unhcr.org/news/latest/2019/1/5c386d6d4/storm-flooding-brings-misery-syrian-refugees-lebanon.html

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は雨の中、難民たちにマットレスや毛布を配布している。

www.unhcr.org/news/videos/2019/1/5c3715214.html

*レバノンには、この7年でシリア難民が100万人以上になっているが、そのほとんどはまだ難民キャンプから出られないままである。

<イスラエルではガリラヤ湖水位20センチ上昇>

同じ嵐は、イスラエルでは恵みの雨となった。北部レバノンとの国境、シリア難民らが避難を余儀なくされたベッカー谷のあるヘルモン山では、記録的な寒さから大雪となり、積雪量は1メートル近くにもなった。イスラエル全国で雪化粧が記録されている。

この大雨により、ガリラヤ湖の水位は19.5センチ上昇している。イスラエルはここ5年、干ばつにあるが、ひとまず解決とも言われている。

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5443714,00.html

<石のひとりごと>

レバノンとイスラエルで大雪、大雨となり、8歳のシリア難民少女が死亡。人々は寒さに凍えながら悲惨きわまる状態に置かれている。その同じ頃、日本では10歳の女の子が史上最年少で将棋のプロになったということが、トップニュースだった。

ちょうど筆者もそのころは帰国していて、大阪のデパ地下にいたころなのであるが、日本のあまりの豊かさに圧倒されてしまった。物は超・あふれるているだけでなく、そのどれもが、素晴らしいものばかり。デパ地下の食べ物、特にケーキの華やかさには、脱帽であった。

まことに、まことに人生は不平等である。今平和にも物にも恵まれている私たちは、恐れをもって感謝すると同時に、世界には、悲惨な中で生きることを余儀なくされている人々が山のようにいることを忘れてはならないと思った。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。