カオスに向かう?西岸地区:シンベトがパレスチナ自治政府崩壊の兆候指摘 2025.9.8

国際社会が、パレスチナ自治政府を土台に、パレスチナ国家を承認する動きに出ているが、そのパレスチナ自治政府に崩壊の兆候があるとシンベト(国内諜報部)高官が、イスラエルの政治指導者に伝えたと、イスラエルのチャンネル12が報じた。

それによると、パレスチナ自治政府は今、経済的な問題に直面しており、治安要因に給料を払えていない。失業率も上がっているという。

イスラエル政府としては、自治政府の存続自体は有益だと見ているので、経済的な支援をするべきだとの声もある。

しかし、自治政府が、昔からの伝統でテロ行為をして死亡したり、逮捕された者の家族に補償金を払っていることから、代理で徴収している税金の送金を遅らせたり、止めたりもしていた。

特にこの5月からは、スモトリッチ財務省が、この代理徴収している税金の送金を完全に停止させたことから、5月だけで9億シェケル(2億7000万ドル)のマイナスになっている。

この措置は、イギリスが、強硬右派のスモトリッチ氏と、ベン・グヴィル氏への制裁を発動したことで、その反撃として、実施していた。スモトリッチ氏ら二人については、ベルギーの外相が、ヨーロッパでの移動を可能にしているシェンゲン協定から外すことを検討していると表明している。

www.timesofisrael.com/shin-bet-said-to-warn-pa-at-risk-of-collapse-netanyahu-holds-discussion-on-west-bank/

パレスチナ自治政府が崩壊したら、まさにカオスになると思われるが、その混乱の中で、イスラエル軍が入って、事実上の併合になってしまう可能性も出てくるだろうか。。

なお、西岸地区には300万人以上のパレスチナ人と、50万人以上のイスラエル人(ユダヤ人)がいる。

イエメンのドローンがイスラエル南部ラモン空港ターミナルに着弾:イスラエル人1人軽傷 2025.9.8

9月7日(日)、イエメンのフーシ派が発射したドローンが、イスラエルの防空網を突破して、領内に入り、南部のラモン空港ターミナルに着弾した。安症で搬送された。

空軍によると、ドローンは、危険物として認識されなかったため、領内に侵入し、サイレンもならなかったという。これにより、男性(63)が破片にあたって軽傷を負った他、数人が急性不安症で搬送された。

イスラエル軍は一時上空を閉鎖したが、数時間後には、通常に戻った。ラモン空港は、最南端エイラットに近い空港で、国際空港ではあるが、発着はほぼすべて国内便である。

フーシ派は、イラン枢軸の一つで、2023年10月7日以来、ハマスに同調するとして、「イスラエルに死を。アメリカに死を」と言いながら、イスラエルに弾道ミサイルを発射している。

紅海を通過する世界商船への攻撃もあり、アメリカとイギリスがフーシ派を攻撃。2024年7月にフーシ派のドローンがテルアビブに着弾し、1人が死亡して以来、イスラエルも攻撃を行った。

以来、何度か、サナアへの攻撃に踏み切っており、最近では、8月30日にサナアへ攻撃し、アハメド・ガレブ・ラフウィ首相と軍幹部たちを殺害した。今回の攻撃はそれから1週間後ということになる。

イスラエルからイエメンは1800キロ離れているが、イスラエルはおそらく反撃すると思われる。

www.timesofisrael.com/houthi-drone-evades-defenses-smashes-into-ramon-airport-terminal-in-south-one-hurt/

イスラエルでも皆既月食:赤い“ブラッド・ムーン” 2025.9.8

9月8日(月)未明、日本でも皆既月食と、満月が赤く染まる現象が観測されたが、イスラエルでも、同じ頃(7日(日)午後7時半から8時52分)、この現象が観測されていた。

月食は、地球が太陽と月の間に入ることで、月を地球の影がゆっくり覆う現象である。その間、屈折した太陽の光で、月全体が赤色に染まって見える。ブラッド・ムーンと呼ばれている。

前回は2022年だった。イスラエルでは今回、夕刻の良い時間だったため、多くの人が外で赤い月を眺めることができたという。これほどフルでみられるのはめずらしく、次回は2028年とのこと。

www.jpost.com/science/article-866657

戦争が続く中でのブラッド・ムーン。タイミング的に、なんとなく嫌な感じがしないでもない。。

2023年10月7日から700日:ハマスが生存人質2人のクリップを公開 2025.9.6

2023年10月7日から700日

Protestors at Kikar Bet Berl near Kfar Saba mark 700 days of captivity in Gaza. (Gabriel Meltzer/Israel Pro-Democracy Protest Movement)

イスラエルでは、9月5日(金)、2023年10月7日から700日目を迎えた。まだガザにいる人質は47人。

このうち26人は死亡が確認されており、20人は生存していると予想されている。

しかし、アメリカなどの情報から、2人の状態は危険な状況にあると言われている。

以下は、700日目を迎え、IPACがまとめた10月7日のハマスの残虐な行為。恐ろしい限りだが、世界はハマスが何をしたのかを直視するべきである。

700日目を迎え、人質家族とその支援者たちは政府に対し、攻撃ではなく、交渉に戻って人質を取り戻すよう、全国で訴え続けている。

www.timesofisrael.com/hostage-families-rally-to-demand-deal-on-700th-day-of-loved-ones-captivity/

ハマスが生存人質2人のクリップを公開

こうした中、5日(金)ハマスが、生存する2人の人質のビデオクリップを送ってきた。アロン・オヘルさん(23)と、ガイ・ギルボア・ダラルさん(28)である。

アロンさんの姿を見るのは、実に2023年10月7日以来、初めてだった。家族はクリップの公開には同意していない。

ガイ・ギルボア・ダラルさんの父と兄は、日本好きだったガイさんを思い、先週、日本で解放を訴えていた。家族はガイさんのクリップの公開に同意した。ガイさんのクリップは8月28日付で28秒間である。

ガイさんは、今年2月に公開されたクリップに、エビヤタル・デービッドさんとともに写っていて以来になる。恐ろしいばかりには痩せこけていないが、弱々しい声で、「とのかく終わりにしてほしい。家族の元へ帰らせてほしい」と言っている。

なお、数日前、ハマスは、人質50人を全員解放すると表明した。しかし、武装解除はしないなど、イスラエルが受け入れられない条件を出していたことから、イスラエルはこれを受け入れなかった。

トランプ大統領によると、アメリカは、その後もハマスとの深いレベルでの交渉を続けているという。トランプ大統領は、ハマスはただちに人質全員を返すべきであり、そうしない場合は、ひどいことになると語っている。

攻撃を決めるのはイスラエルだが、始まれば酷いことになるだろうと語っている。

www.timesofisrael.com/hamas-publishes-video-of-hostages-guy-gilboa-dalal-alon-ohel-ahead-of-gaza-city-op/

野党ラピード氏は、政府は交渉に戻るよう訴え、一方、強硬右派のベン・グヴィル氏は、ガザ市の制圧を急ぐべきだと訴えた。

現在、イスラエルは、ガザ市への攻撃に向けて、準備を進めている。イスラエル軍によると、ハマスはその前に、人質をガザ市へ移動させようとすると見ている。まるで銀行強盗のように、人質を盾に立てこもる様相である。

人質家族たちは、イスラエル軍が人質の居場所を把握していないので、攻撃を開始したら人質に危険が及ぶとして、攻撃しないよう訴えた。ザミール参謀総長は、軍は、できるかぎりの対策をとっていると語ったとのこと。

www.timesofisrael.com/zamir-said-to-tell-hostage-families-he-believes-in-gaza-city-op-is-mindful-of-captives/

ガザ市高層ビル攻撃・崩壊:ガザ市の40%はすでに管理下とIDF 2025.9.6

A picture shows a view of a makeshift displacement camp at the Yarmuk Sports Stadium, once a soccer arena, with a view of Gaza City on September 4, 2025 (Omar Al-Qattaa / AFP)

イスラエル軍によるガザ市への攻撃は、すでに始まっており、すでに40%を管理下に置いたとの見方を発表した。

www.timesofisrael.com/idf-says-it-already-controls-40-of-gaza-city-ahead-of-main-offensive/

また9月5日(金)には、ガザ市にある高層ビル、ムシュタハ・タワーを攻撃し、ビルが崩壊する様子が報じられた。

イスラエル軍は、この建物をハマスが作戦基盤として使用しており、戦闘員の逃走ルートになる地下施設もあったと主張している。

イスラエル軍は、攻撃の前に、市民には避難を呼びかけていたと言っている。

地元民によると、警告があってから30分もたたないうちに崩壊が発生したとのこと。

イスラエル軍は、この他にもガザ各地での戦闘を続けている。ハマスからの最終の報告(上記ビル爆破前)では、昨日だけで19人が死亡したとのこと。

ハマスの主張によれば、戦争が始まって以来の死者は6万4000人と推定している。イスラエル軍によると、これまでに2万2000人以上の戦闘員を殺害。この中に10月7日にイスラエル領内での戦闘で殺害したハマス1600人は含まれていない。

www.timesofisrael.com/idf-blows-up-a-gaza-city-high-rise-building-says-it-housed-hamas-infrastructure/

ガザの実情はどこに!?IDFに殺されたと報じられた子供の生存を確認・飢餓の中ご馳走食べるハマス 2025.9.6

イスラエル軍に殺害とGHF元スタッフ首相の子供の生存確認

今年7月、GHFの職員だったアンソニー・アグイラが、GHFの食糧配布所で、8歳のアミールさんに食べ物を渡した直後に、イスラエル軍の銃撃があり、アミールさんが死亡したと主張し、世界で大きな問題となっていた。

以下からその訴え視聴可能。

www.facebook.com/watch/?v=1460659868274940

事件を受けて、GHFは調査を開始した。この訴えを出したアンソニーが、元アメリカ兵で、GHFが戦争犯罪だと訴えていたからである。

調査の結果、アミールとして映像に写っていた子供が、アブドゥル・ラヒン・ムハンマド・ハムデンさん(9)であり、母親とともに元気に生きていることが判明。GHFがこれを発表した。

www.timesofisrael.com/gaza-aid-group-says-boy-reported-killed-at-site-is-actually-still-living-and-safe/

ガザ地区食糧事情他COGATのアラビア語Facebookより

ガザへは、食糧がどんどん搬入されており、一時炎上していたガザの飢饉や飢餓といったニュースが、最近は、少なくなっているようである。

イスラエル軍の政府活動調整を担当するCOGATは、フェイスブックにアラビア語で、避難情報や、食糧や医療など様々な情報を発信している。フォロワーは111万人(ガザ市民かどうかは不明)

www.facebook.com/COGAT.ARABIC

また、このページでは、ハマスが今年3月のラマダンの最終日に、肉などを含むご馳走を食べている様子や、ガザ市民の元学校長の男性が、息子をハマスに殺されたとして、激しくハマスを非難する様子もアップしている。

膨大な量のパンや、ピザが売られている写真もある。通常のメディアで見るガザとあまりにも違いすぎて、混乱するほどである。

実際のところ、ガザはいったいどうなっているのか。戦争が終わったらすべてが明るみに出ることだろう。

ヘルツォグ大統領がローマ教皇レオ14世を訪問:人質解放に協力を要請 2025.9.6

9月4日(木)、ヘルツォグ大統領が、バチカンのローマ教皇レオ14世を訪問した。

ヘルツォグ大統領は、人質がハマスに拉致されてから700日を迎えると述べ、早い解放のために協力を要請した。具体的には、今も人質になっている48人の解放に向けて、国際的な取り組みの強化を以来し、人質家族との面会も要請したという。

世界最大の信者数を持つカトリックのトップの声は、世界に大きな影響力があるからである。

しかし、ガザでは、唯一のカトリック教会が、イスラエルの攻撃で、教会にいた3人が死亡。司祭1人が負傷する時件が発生していた。ヘルツォグ大統領は、イスラエルにいるカトリック教徒や、ガザのカトリックの人々の保護を強調したという。

レオ14世は、人質の速やかな解放は主張したが、同時に、速やかな停戦と、人道支援搬入を急ぐこと、人道法の遵守、そして、2国家解決が唯一の解決だと述べた。

ヘルツォグ大統領は、少なくともこの時期に、レオ14世が、正式にイスラエルの大統領の訪問を受け入れたことは、重要な事だったと語っている。ヘルツォグ大統領は、レオ14世に、イスラエルへの訪問を歓迎すると伝えた。

www.timesofisrael.com/hosting-herzog-pope-calls-for-permanent-gaza-ceasefire-to-be-reached-with-urgency/

ハマスが武装解除なしで人質全員解放提案:ネタニヤフ首相は拒否・国内では論争 2025.9.4

ハマスが人質全員解放提案:ネタニヤフ首相は拒否

ガザでの戦闘は続いているが、ハマスとイスラエルの交渉もまた続けられている。交渉は基本的にアメリカのウィトコフ特使が出した60日間の停戦と人質の一部解放を土台にして行われている。

イスラエルは、当初これを受け入れたと表明したが、ハマスは強気姿勢を崩さず、最終的につぎのような条件を出してきた。

①60日間の停戦を開始し、その間に人質生存者10人と遺体18人の段階的解放する、②イスラエルは、パレスチナ治安囚人(テロで収監中)数百人と、ガザで拘束した約1000人を釈放する、③その間に残りの人質や恒久的な停戦の話し合いをする。この他、停戦中に、イスラエル軍が、ガザのどの範囲まで駐留を続けるのかでも取引が続いていた。

この間、ハマスは、狡猾に、人質の悲惨な様子を発信し、イスラエル国内から、政府にハマスの案を受け入れるようにと訴えるデモが大規模になっていった。

An Israeli tank rolls along the security fence on the border with the Gaza Strip in southern Israel, on September 3, 2025. (Jack Guez/AFP)

しかし、ネタニヤフ首相は、これでは何も変わらないとして、もはやガザを占領して、力で人質全員を取り戻すとともに、自ら治安維持を図るしかない、として、先月からガザ全域の占領に方針を切り替えた。

「ギデオンの戦車2作戦」として、明確にその準備をすすめている。

このように、ハマスに攻撃の圧力をかけながら、交渉は続けて、ハマスが折れて、戦争が回避できる道も残しているというのが、今の状況である。

こうした中、9月3日(水)、トランプ大統領が、ハマスに対して、「人質を全員解放せよ。そうすれば直ちに戦争は終る」と呼びかけた。するとハマスが、人質を全員解放すると表明。ただし、これまでに出していたその他の条件は変えず、人質全員解放の条件として以下のような条件を出した。

①現在交渉に上がっている条件であるパレスチナ治安囚人(テロで収監中)数百人と、ガザで拘束した約1000人を釈放、②イスラエル軍のガザからの完全撤退、③国境を全て解放してガザの復興を再開する。④戦後のガザはハマスが準備している独立した行政機関が担う。

これを受けて、ネタニヤフ首相は、これでは同じことの繰り返しになるとして、イスラエルが、戦争を終結するのは、10月7日が2度と繰り返されることがないと確証できる状況が整った時だと返答。

その条件として、これまでから掲げていたことだが、以下の5点を強調した。

①人質全員解放、②ハマス武装解除、③かざの非武装化、④イスラエルによる治安管理、⑤テロと無関係で、イスラエルに脅威にならない文民行政の確立

イスラエル軍は、ギデオンの戦車2を決行する方向で準備をすすめている。カッツ国防相は、「すべての人質を解放し、武装解除し、イスラエルの条件をすべて受け入れない場合は、ラファやベイトハヌーンのようになる(激しい攻撃で結局イスラエルが制圧する)」と語った。

www.timesofisrael.com/israel-tells-hamas-to-surrender-or-see-gaza-city-leveled-as-group-says-its-open-to-deal/

イスラエル国内から噴出する反論:ザミール参謀総長も警告

別項で述べるが、人質交渉に強気を崩さない政府に対し、人質家族とその支援者が、政府に交渉に応じるようにと訴えるデモがエスカレートを辿っている。

ハマスが人質全員を解放すると言っている以上、この動きはさらにエスカレートすると予想される。

野党代表のラピード氏は、ハマスの条件を全て飲む必要はないが、せめて交渉のテーブルに戻るべきだと主張。

IDF Chief of Staff Lt. Gen. Eyal Zamir surveys Gaza September 3, 2025. (Israel Defense Forces)

IDFのザミール参謀総長は、以前より、ガザ市への侵攻には、イスラエル軍側にも無理が出てくるとして政府に反対を表明していた。

しかし、基本的には政府の方針に従うとして、ギデオンの戦車作戦の準備に着手している。

しかし、今週行われた戦時内閣では、ネタニヤフ首相とザミール参謀総長の間で相当な火花が散ったと伝えられていた。

ザミール参謀総長は、ガザ市を制圧した後、イスラエルが長期間、軍事支配することに追い込まれるとの懸念を表明していた。

今、ハマスが人質全員解放を表明していることで、ザミール参謀総長が再び、ネタニヤフ首相に意見するだろうとも言われている。

www.timesofisrael.com/where-were-you-on-oct-7-zamir-said-to-upbraid-pm-and-ministers-at-heated-meeting/

最新のニュースによると、国会で行われた防衛外交会議において、イスラエル軍が、「ガザ市には今80万人の住民がいる。ガザ市を制圧しても、ハマスを制圧することにはならない」との意見書が届いたとのこと。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/idf-representative-to-key-defense-panel-not-certain-the-conquest-of-gaza-city-will-cause-hamas-to-budge/

石のひとりごと

日に日に、各方面からガザ市への攻撃にブレーキがかかっている。イスラエル軍までが、その効果に疑問を呈する中、ネタニヤフ首相はどう、決断するのだろうか。

今イスラエルは、戦況に優位に立っている。またテロ組織であるハマスと合意にいたる可能性はほとんど期待できない。今譲歩する時かどうかはわからない。

とはいえ、国内からも反対が出ている中、このまま突入した場合、人質、イスラエル兵、全ての死者の責任は、ネタニヤフ首相の上にかかってくるだろう。非常に重い決断である。

ネタニヤフ首相が、とにかく主のみこころ以外のことはしないように。首相が聞いてなくても、主が、進むべき道へのみ押し出してくださるように祈る。

ガザ市より移動した避難民は100万人中7-8万人のみ:ガザ市民の限界の声 2025.9.4

ガザ市からの避難民100万人中まだ7-8万人

ABC News

イスラエル軍は今月中旬に、ガザ市に突入を開始すると宣言し、市民には南部への避難を警告している。

しかし、ガザ市住民100万人のうち、避難したのは先週末の時点で1万人、それから2-3日の間に、大勢が移動したもようで、これまでに移動したのは、7-8万人と、まだほんの一部に留まっている。

1)2年間の移動続きで疲れ切っている

今ガザ市にいる市民の多くは、2023年戦争の初期に主に南部へ避難した人々である。居残ったのは25-30万人で、65万人は、その後、戦闘が落ち着いた時に戻ってきた人々である。

この人々は、避難していた間にも何度も移動を余儀なくされ、もはや疲れ切っており、戦争の恐怖に怯えながらももう避難はしないと言っている人もいる。

evacuating southbound from Gaza City on September 2, 2025 (Eyad BABA / AFP)

Times of Israelは、今、ガザ市にいる人々の多くが、子どもたちや高齢者、負傷している人を抱えており、移動に伴う資金(歩いて行けないのでタクシーなどが必要)もないと伝えている。

毎日食糧を確保するのがせいいっぱいの人々である。

また南部に移動しても、テントを貼る場所があるのかないかもわからない。

移動したところで、途中で死ぬケースもあり、どこにいっても同じだという思いもある。しかし、イスラエル軍の攻撃を目前にして、恐怖に怯えているという。

しかし、イスラエルとしては、できるだけ市民を巻き込みたくないので、避難を呼びかけながら、南部避難地域の改善も行なっている。

人道地域として指定している南部海岸沿いのアル・マワシには、現在60万人ほどがテント生活をしているが、200万人が滞在できるよう、水道などのインフラ整備と、食糧配給、医療設備の修理、拡大が進められている。

www.timesofisrael.com/despite-looming-israeli-offensive-many-in-gaza-city-insist-they-wont-flee-again/

2)ハマスが妨害している

9月3日(水)、イスラエル軍のCOGAT(政府活動調整部)が、住民男性との会話の中で「ハマスが待ち伏せしている」と言っている声の録音とともに、ハマスが市民の移動を妨害していると訴えた。

録音の男性は明確に、妨害しているのはハマスだと言っている。ハマスは西の海岸沿いなど幹線道路を塞いでいるとのこと。このため、人々は非常に恐れており、南部へ行くために、指定された以外の道を探そうとする動きもあるという。

ハマスは、市民たちに、南部へ行けというイスラエル軍の警告は罠で、南部は非常に危険だといった情報を流しているとの情報もある。

www.timesofisrael.com/israel-says-hamas-preventing-gaza-city-evacuation-but-70000-have-left-anyway/

www.jpost.com/israel-news/defense-news/article-866195

石のひとりごと

ガザ市民の置かれている立場の悲惨は、想像を絶する。よく2年生き延びたというほどである。

世界はどういうわけか、イスラエルだけを責めるが、もともとこういう事態を招いたのは、テロ組織であるハマスであり、終わらせないでいるのもまた、ハマスである。

ハマスが来る前は、ガザの人々とイスラエル人は、完璧ではないにしてもそれなりに隣人としてつきあっていた。

筆者はそのころのガザに行ったことがあるので、言わせてもらうことである。

Free Palestine と叫ぶ人は、Free Palestine from Hamasと叫ぶべきだと思う。

イスラエル軍が予備役兵4-5万人招集も出頭率低下傾向:心病む人471%増 2025.9.4

予備役4-5万人に召集令状:出頭率低下傾向

イスラエル軍は、ガザ市制覇を目標とするギデオンの戦車2作戦に向けて、6万人の徴兵を予定している。

イスラエル軍は、9月1日(月)、4-5万人に、2023年にガザでの戦争が始まって以来、最大規模となる4-5万人に徴兵令を出した。

しかし、いつもなら、すぐに応じる人がほとんどだが、今回は出頭率がスローペースで、個人的な理由や経済問題などをあげて、徴兵免除を要請した人も多いという。

今回は招集令状が9月1日に出されたため、新学期が始まった翌日にあたる、2日(火)に、指定の軍基地に出頭しなければならない。

その後、訓練の入り、ガザか西岸地区に配備されると、今月末からは、10月にかけてのユダヤ教の例祭の時に家族の元にいることができない。

Reservists of the Jerusalem Brigade May 15, 2025. (Israel Defense Forces)

もう2年になろうとする戦闘で、何度も徴兵された人が多く、疲れていることや、ガザ市への突入に、危険性と疑問を持っている人が少なくないことも考えられる。

9月2日(火)、テルアビブでは、365人以上の予備役兵で、ガザでの従軍経験もある人々が記者会見を開き、ガザ市制圧に向けて徴兵されても応じるつもりはないと表明した。

代表のマックス・クレッシュ第一軍曹は、ネタニヤフ首相の違法な戦争には協力しないと述べ、戦争の責任を指導者たちに問うことこそが愛国の行動だと考えていると表明した。

また、人質家族たちが、イスラエル軍が進軍することで、人質が殺されると訴えていることに答えるためにも徴兵には応じないと表明した。

イスラエル軍では、通常、同じ部隊が部隊単位で招集される。徴兵に応じない兵士が増えると、部隊長は十分なメンバーを確保できなくなる。中には、「衛生兵と射撃手求む。9月11日から70日」などとWhatsAppに投稿している上級部隊長もいるとのこと。

イスラエル軍は、すでに人手不足が深刻になっていることから、大変な反対運動の中、ユダヤ教超正統派への徴兵も開始したところである。しかし、ユダヤ教超正統派で従軍義務が発生する8万人(18-24歳)のうち、一部を除いて、多くは徴兵されても従軍を拒否しつづけている。

www.timesofisrael.com/tens-of-thousands-of-reservists-drafted-ahead-of-gaza-city-takeover-but-turnout-down/

www.israelnationalnews.com/news/414326

www.jpost.com/israel-news/defense-news/article-866168

戦争開始以降メンタルケア受けた人激増471%増

イスラエルの保健省によると、2023年10月7日以降、短期の心のケア(3回セッション)を受けた人の数が、2022年には3500人だったのが、2万人となり、471%増と急増していた。

精神科のケアを受けた人の総数は、2024年だけで40万人にのぼっており、この傾向は2025年にかけても続いている。

www.ynetnews.com/health_science/article/bkz11okbqgx

イスラエル人は、短期決戦には強いが、長期には弱い傾向があると聞いたことがある。

エルサレムの国立図書館・首相官邸前で人質家族たちデモ:エスカレートの様相も 2025.9.4

9月3日(水)、人質家族たちとその支持者たちによる、「混乱の日」と命名された3日間のデモが始まった。ネタニヤフ首相と政府に、攻撃をやめ、ハマスとの交渉に応じて、人質を解放させるよう、要求するデモである。

初日には、エルサレムのネタニヤフ首相官邸前で、ビンやタイヤを燃やすデモ、また、国会に近い、国立図書館の屋上から訴える様子などが報じられていた。

しかし、その後、燃やしたタイヤが、近くの車に延焼し、ごみ収集箱も燃えて、近所の人々が一時避難する騒ぎとなった。これを受けて、ネタニヤフ首相は、デモ隊は、ファシストのように行動したと非難した。

車は小さな子どもを持つ予備役兵、ヨアブ・バル・シャイさんの車だった。ヨアブさんは、人質と人質家族の思いには理解するが、こんなことをされたら憎しみになってしまうと語っている。

www.timesofisrael.com/car-burns-near-pms-residence-as-protesters-torch-dumpsters-drawing-politicians-ire/

この翌日4日(木)、デモ隊は、クネセット(国会)から、ネタニヤフ首相官邸前まで歩いたグループや、国道1号線、431号線を封鎖したグループもいた。

デモに参加した、人質マタン・アングレストさんの母親アナットさんは、「ネタニヤフ首相が望みさえすれば、息子は秋の例祭までにも帰って来れるのに」と訴えた。「軍隊で1日も奉仕していない政治家が、決意したことで、兵士たちが死んでいる」との訴えもあった。

www.timesofisrael.com/hostages-families-supporters-march-on-netanyahus-residence-ahead-of-large-rally/

新世界秩序アピール:中国が上海協力機構と露・北朝鮮招いての軍事パレード 2025.9.3

中国では、8月31日(日)から2日間、中国では、上海協力機構(SCO)が開催され、ロシアのプーチン大統領と、インドのモディ首相が出席している様子が注目された。

その2日後の本日3日(水)、中国が日本に勝利してから80年を祈念する、壮大な軍事パレードが開催され、ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党書記はじめ、反米と目される26カ国首脳が参加した。

トランプ大統領がグローバリズムから多国間主義に進む中、中国の習近平国家主席は、この流れに対抗する「人類運命共同体」構想を打ち出している。

上海での軍事パレードでは、これまで世界を先導してきた欧米諸国首脳の姿はなく、新しい世界秩序をアピールするようなイベントとなった。

また中国では、このイベントに合わせて、南京事件など、日本が戦争中に中国にしたことを題材とする映画が多数出されているという。今の日本人とは違うと冷静に見ている人もいるが、反日感情を煽られている人もやはり出ているようである。

中国が経済不審で若者の失業率が悪化をたどる中、反日感情を煽って、国を統一しようとするねらいもあるとみられている。

この件は、日本でも大きく報じられ、詳しい解説もある中、オリーブ山通信でも簡単にまとめておくこととした。

上海協力機構:アメリカとの亀裂の中で中国に接近するインド

上海協力機構(SCO)とは、2001年に、NATO(北大西洋条約機構)に対抗する形で、中国、ロシア、中央アジア4カ国が立ち上げた国際グループである。

Wikipedia

現在の加盟国は、10カ国(中国、ロシア、カザフスタン、タジキスタン、キルギス、ウズベキスタン、インド、パキスタン、イラン、ベラルーシ)

このほか、オブザーバーとして登録している国も多数ある。今回の出席者は、加盟国10カ国他20カ国以上となっている。

NHKによると、習主席は、演説で、上海協力機構が、世界最大の地域組織に成長し、国際的な影響力が高まっている」と述べ、さらなる結束を呼びかけた。

また、加盟国の安全保障や経済面の協力を支援するとして、「上海協力機構開発銀行」を早期に創設すると表明した。

www3.nhk.or.jp/news/html/20250901/k10014909001000.html

Sept. 1, 2025.Associated Press

今回、特に注目されたのがインドのモディ首相だった。インドと中国の関係は、2020年にヒマラヤ山脈で、両国の軍隊が衝突し、インド兵20人が死亡して以来、関係が途絶えていた。

インドのモディ首相が中国を訪問するのは7年ぶりだった。なぜ今回訪問を決めたのか。

インドは、ロシアから原油を輸入していることから、アメリカの怒りを買い、関税50%と言われている。こうした中で、中国を訪問し、プーチン大統領と手をつなぐまでして、アメリカにいうことは聞かないぞと示した形である。

インドは人口が多く、中国に並んで巨大経済圏でもあるので、この両国がつながることによる経済への影響は小さくないかもしれない。

中国軍事パレードにロシアと北朝鮮首脳が出席

80th anniversary of the end of World War II.Credit…Ng Han Guan/Associated Press

9月3日は、第二次世界大戦で日本が降伏文書に署名した翌日にあたる。NHKによると、習近平主席が、2014年に「抗日戦争勝利記念日」として定めた。

この日に合わせた軍事パレートは、2015年と今回が2回目になる。

今回は、「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年」とされ、北京の天安門広場で、軍事パレードが行われた。

パレードには、過去最大規模の1万人以上を動員。核弾頭搭載でアメリカにまで到達する、潜水艦発射型弾道ミサイル、新型ドローンなど、軍備の増強を誇示した。

NHKによると、中国の国防費は、10年前の2倍になっているとのこと。これだけの武器をお披露目する背景には、武器の販売も視野に入れているのではとの分析もあった。

今回特に、衝撃だったのは、このパレードに、中国と、ロシア、北朝鮮の首脳が一堂に介したことである。ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩書記は、いずれもアメリカの制裁を受けている首脳たちである。

それを国賓として迎えたということは、明らかに中国は、アメリカに対抗していることを強調するものである。

この他、欧米主要国を含まない、26カ国の首脳(イラン含む)も参加していた。日本からは、正式な代表は送っていなかったが、中国は、鳩山由紀夫氏が参加していた発表した。

習主席は演説で、戦勝国としての立場を強調しており、アメリカには屈しないと強調した形である。

www3.nhk.or.jp/news/html/20250903/k10014911111000.html

www.nytimes.com/2025/09/02/world/asia/xi-putin-kim-parade.html

トランプ大統領の反応:二人によろしくと皮肉

トランプ大統領は2日、SNSにコメントを投稿。それによると、第二次世界大戦を終わらせたのは中国だけでなく、連合軍にいたアメリカ兵もいたことを忘れるべきではないと釘をさした。

また、アメリカが対立している、プーチン大統領と、金正恩書記によろしくお伝えくださいと皮肉っていたとのこと。

www3.nhk.or.jp/news/html/20250903/k10014911111000.html

石のひとりごと:日本がこれからの世界で生き延びるために

世界の秩序が今大きく変化しようとする中、名前は忘れたが、中国情勢に詳しい専門家が、「これから、日本はどういう国になるのかを明確にする必要がある」と言っていた。

また、日本にはシンクタンク(専門家によるご意見番)が少ないとの懸念も指摘していた。

これまでの日本の政治は、ベテランの政治家が全てを決めていたことや、日本文化では意見が対立とみなされる傾向があり、論議が苦手な風潮からか、シンクタンクが育っていない可能性がある。

たとえば、イスラエルはユダヤ人の国であり、他国に滅ぼされてはならない。世界がどう変わろうとこの原則は変わらない。これを維持するために、さまざまなシンクタンクが存在しており、政府に対して情報や意見を提供している。

日本は、どういう国になるのか明確にする必要があるというのは、日本は、国の原則がどうもはっきりしていないので、世界の動きにふりまわされる傾向にあること。

またシンクタンクが少ないので、政府が間違った方向に行ってしまうのを止めるものがないということではないかと思う。

日本の政治も大きく変わろうとする今、激動の世界に立っていけるような政府、またシンクタンクが立ち上がるよう祈る。