ガザ市高層ビル50棟破壊を発表:ハマス奇襲でイスラエル兵4人死亡 2025.9.10

9月7日(日)に、カッツ国防相が、ハマスに対し、「強力なハリケーンが来る」と警告した数時間後、イスラエル軍は、ガザ市にある高層ビルを複数破壊、崩壊させた。

A high-rise in Gaza City is destroyed by an Israeli strike, September 8, 2025. (X screenshot: used in accordance with Clause 27a of the Copyright Law)

いずれもハマスが関係するビルであり、それらの周辺には、イスラエル軍に備えた罠爆弾も仕掛けてあったと主張した。攻撃は、間も無く始まる地上戦での被害を最小限にするためとみられる。

攻撃の前には、周辺市民たちに避難するよう警告を発していたとのこと。

この日の夕方、ネタニヤフ首相が、2日間でガザ市にあるハマスの高層ビル50棟を破壊したと発表。これはガザ市制圧に向けた作戦の序章にすぎないと発表した。

www.timesofisrael.com/israel-said-to-strike-gaza-buildings-after-katz-vows-hurricane-in-skies-of-gaza-city/

しかしこの発表の数分後、戦車部隊のイスラエル兵4人が死亡していたことが発表された。

Israeli army tanks are positioned in southern Israel on the border with the Gaza Strip, on September 3, 2025. (Jack GUEZ / AFP)

それによると、8日(月)午前6時ごろ、ガザ市のシーカー・ラドワン郊外、カフル・ジャバリアにあるイスラエル軍戦車の駐屯地で、一台の戦車のハッチから指揮官が顔を出した瞬間に、ハマス工作員3人が、爆発物を戦車内に投げ入れた。これにより、中にいた4人が死亡した。

付近にいた兵士たちの反撃で、少なくとも2人のハマス工作員を殺害したが、この戦闘で1人が負傷した。

死亡した第401機構旅団第52大隊の4人は以下の通りである。この他、もう一人も中程度の負傷を負っていた。

マタン・アブラモビッツ中尉(21)、ウリ・ラメッド軍曹(20)、アミット・アリエ・レゲブ軍曹(19)、ガディ・コタル軍曹(20)

www.timesofisrael.com/four-soldiers-killed-in-hamas-attack-on-army-camp-near-gaza-city-idf-says/

石のひとりごと

20代になったばかりの兵士4人の戦死。日本の若者も思わせるような4人の顔を見て、なぜか今回はかなり心にささった。両親、家族友人たちの痛みは想像を絶する。

イスラエル人だというだけで、この青年たちは、軍服を着て、戦地に送られ、そしていなくなった。やりきれないとはこのことだと感じる。

ハマスがエルサレムの銃撃テロ犯行声明:イスラエルがテロリスト居住地に厳しい制裁措置 2025.9.10

(Photo: Menahem KAHANA / AFP)

9月8日(月)に発生したエルサレムでのバス銃撃テロ。市民6人が死亡し、13人が負傷。重傷者もいる。

犯行に及んだテロリスト、ムハンマド・タハ(21)とムサナ・アムロ(20)は、ハマスのメンバーであった。ハマスのカッサム旅団が、犯行同日の9月8日(月)、犯行声明を出した。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/hamas-claims-responsibility-for-deadly-jerusalem-attack-yesterday/

perpetrators of a deadly terrorist attack in Jerusalem on September 8, 2025.

テロリスト2人は、現場で殺害されている。しかし、イスラエル軍は、テロリストたちの出身地、ラマラ郊外の2つの村、ムサンナとクベイバを精査し、テロリスト2人の自宅を破壊した。

この措置は、イスラエルがテロの抑止力として行っている、ルーティーンの措置である。

加えて、テロリスト2人の親族と遠い親族なども含む750人のイスラエル領内での労働ビザを停止した。かなり広範囲な制裁で、2つの村の住民で、テロに無関係であった人も制裁の対象になっている。

これについては、人権団体から批判が出ているが、イスラエルは、テロを抑止するための措置だと主張している。

またカッツ国防相は、2つの村の違法な建物をも破壊するよう命じた。

しかし、この2つの村は、ヨルダン川西岸地区のB地区(パレスチナ自治政府が管理するがイスラエル軍の出入りはあるとする地域)であり、完全なイスラエルの主権下にある地域ではないため、世界から批判が出ている。

www.timesofisrael.com/army-maps-jerusalem-terror-shooters-homes-for-demolition/

再度ガザに向かうグレタ・トゥーンベリ氏フロティーラ船20隻一団:チュニジアでドローン攻撃と訴え 2025.9.10

気候変動運動かのグレタ・トゥーンベリ氏(22)を代表とする、親パレスチナの350人(44カ国)が乗った船20隻の一団“グローバル・サムード・フロティーラ”(GSF)を率いて、ガザに向かっている。

船は、ガザでイスラエルが、飢餓を武器として使いジェノサイドを行っていることに反対を訴えている。世界の国々の政府とは無関係に、世界中にいる同じ思いを持つ人々の運動だと主張している。

一団は、2週間ほど前に、バルセロナを出発したが、悪天候で戻ることを余儀なくされたが、9月4日(金)、再び20隻の船を率いて、バルセロナを出発。ガザに向かっている。

Brazilian activist Thiago Avila speaks to the crowd of pro-Palestinian activists  Tunisia, September 7, 2025. (Yassine Mahjoub / AFP)

7日(日)、チュニジアに到着すると、1000人以上の支援者に迎えられた。そこから様々な国籍の130人が船に乗り込むことで登録しているとこと。

www.timesofisrael.com/hundreds-greet-protest-flotilla-in-tunisia-as-it-continues-journey-to-gaza/

しかし、9日(火)早朝、ここで一隻の船の甲板に燃える物体が落下。大騒ぎになったが、無事消火して、船に乗っていた6人に負傷者は出なかった。

GSFは、ドローン攻撃を受けたと主張している。チュニジアの国境警備隊は、ドローンは検出されていないと言っている。

船は10日(水)、トゥーンベリ氏を乗せて、ガザへと出発する予定である。

www.timesofisrael.com/thunbergs-gaza-flotilla-says-boat-attacked-by-drone-overnight/

なお、トゥーンベリ氏とその支援者は、この6月にも船で、ガザへ向かおうとしたが、イスラエル軍になんなく止められ、アシュドド港へ誘導され、そこから国外へと追い出されていた。

mtolive.net/ガザ・フロティーラ拿捕後グレタさんら3人送還:/

トランプ大統領がイラクで拉致されたロシア・イスラエル二重国籍女性解放を発表 2025.9.10

9月9日(火)、トランプ大統領が、2023年3月にイラクのシーア派に拉致された、ロシア国籍だが、イスラエル国籍も併せ持つ、米プリンストン大学大学院生のエリザベス・ツルコフさん(38)が解放され、現在、バグダッドの米大使館に保護されているとXに投稿した。

エリザベスさんは、プリンストン大学の博士課程学生で、ニューラインズ戦略政策研究所研究員で、人権活動家でもあった。

2023年、親イラン派とイラクのシーア派の研究の必要から、ロシア国籍を使ってイラクに入国していた時に、親イラン・シーア派組織、カタイブ・ヒズボラに拉致されたとみられていた。今回、2年ぶりの解放となり、家族たちは、トランプ大統領に感謝を表明している。

カタイブ・ヒズボラは、IS問題の際にイラン傀儡として立ち上がった親イラン・シーア派組織である。IS問題が落ち着いた後は、イラクの治安部隊に併合されていた。とはいえ、時々独自の動きにも出る状態にあった。

2023年10月7日以降、カタイブ・ヒズボラは、IS対策のため、イラクと協力して、シリア国境周辺に駐留していたアメリカ軍への攻撃を行うようになった。こうした中、イラクとアメリカは、2025年に10年以上続いた、対ISの協力を終えることを決め、2026年9月にそれを完了することになっている。

こうした中、イラク政府は、エリザベスさんの行方を探し、カタイブ・ヒズボラとの交渉を重ねながら、今回の解放に至ったとイラク軍報道官が語っている。

言い換えれば、エリザベスさんは、カタイブ・ヒズボラとの交渉や戦闘で解放されたのではなく、釈放だとの見方もある。

www.timesofisrael.com/israeli-russian-graduate-student-elizabeth-tsurkov-freed-from-captivity-in-iraq/

ガザの人質48人の解放が、なかなか進まない中、やはり人質の奪還を諦めてはならないとの励ましになった。イスラエルでトランプ大統領の白星がまた一つ増えた形である。

イスラエルがシリアの3都市(ホムス・ラタキヤ・パルミラ)を空爆 2025.9.10

イスラエルがシリア3都市を攻撃

8月9日(月)、イスラエル軍は、シリアの3都市、ホムス、ラタキヤ、パルミラへの空爆を実施した。

報道には上がっていないが、イスラエルは、シリアの新政権に接近しながらも、シリア領内には前政権以来の実に様々なテロ組織がいるため、危険因子となりうる勢力への攻撃を続けている。

これまでにも、攻撃はダマスカスや、クネイトラでも発生していた。

www.timesofisrael.com/syria-says-israel-bombed-3-locations-fumes-at-blatant-infringement-of-sovereignty/

イスラエルとシリア新政権との動き

シリアのシャラア大統領とアメリカの駐トルコ大使
(Handout / Turkish Foreign Ministry, AFP)

前アサド政権と倒して立ち上がった今のシリアは、アフマド・アル・シャラア・シャラア暫定大統領の元で国づくりを行っている。トランプ大統領は、シリアの制裁を終わらせて、国づくりを支援している。

こうした中、イスラエルも新しいシリアに接近している。イランとの間に位置するシリアが危険な国でなくなることはイスラエルにとっても好都合だからである。

しかし、シャラア大統領は、元アルカイダであり、どこまで信用できるのか、まだまだ油断はできない。

アメリカは、今年末までに、イスラエルとシリアの間で、安全保障協定が署名できるよう、両国の間を仲介している。

アメリカと湾岸諸国が、シリアの復興を支援することを条件に、ゴラン高原シリア側の非武装化、地域でのシリア軍の復興を禁止すること、イスラエルを脅かす武器の移送の禁止、またシリア側のドルーズ族のイスラエルへの安全回廊など、様々な条件が話し合われている。

シリアのシャラア大統領も、今はまだ、イスラエルと和平を結ぶ時期ではないと言っているが、シリアに有益になることには躊躇はしないと語っている。

なお、ゴラン高原は、1967年以来、その3分の2をイスラエルが支配しており、さらに、前アサド政権に対する反乱が発生した際、ゴラン高原全体(頂点を含め、半分はシリア領だった)とその最も高い地点を制圧し、以来、軍を駐留させて付近を監視している。イスラエルがこれをシリアに返還する可能性は低く、問題になる可能性がある。

www.timesofisrael.com/israel-said-to-close-in-on-security-deal-with-syria-as-us-envoy-meets-netanyahu/

ネパール反政府デモで議会炎上の大混乱:イスラエル人旅行者200人足止め 2025.9.10

SNS問題でネパール大規模暴力的デモ

ネパールの首都カトマンズでは、主要なSNSの利用を政府が禁じたたことで、これに反発する、いわゆるZ世代の若者が9月8日(月)大規模で暴力的なデモを開始した。これまでに少なくとも19人が死亡。300人以上が負傷している。

日経新聞によると、政府が、偽情報対策のため、SNS運営会社に、事前の登録と国内での事務所開設を要求したが、これに応じなかったため、フェイスブックや、ユーチューブなど、26のSNSへのアクセスを遮断した。

これに反発した若者たちによる暴動が、予想外のレベルに達し、9日早朝、オリ首相の自宅も燃やされた。オリ首相は、パイデル大統領に対し、辞任を表明。受理され、9日付で辞任となった。

しかし、暴動は止まず、政府は、外出禁止令を出したが、若者の怒りはさらに炎上し、暴動は拡大。国会にも放火された。政府は、9日午後には、カトマンズ国際空港を閉鎖した。

日経新聞によると、ネパールでは、観光が経済の柱であり、海外との連絡を取るSNSが必須であることと、貧しいネパール人の多くが海外に出ていて、SNSが家族との唯一の方法になっている人が多いため、予想外の反発が出たと分析している。

www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0991M0Z00C25A9000000/

イスラエル人旅行者200人足止め:ネパールのハバッド派(ユダヤ教超正統派)が保護

Israeli travelers at Kathmandu’s Chabad house
(Photo: Chabad Kathmandu)

この混乱の中、ネパールに旅行に来ていたイスラエル人約200人が、立ち往生となった。カトマンズに駐留するユダヤ教超正統派のハバッド派が、この人々を保護している。

www.ynetnews.com/article/rkchckacee

www.nytimes.com/live/2025/09/09/world/nepal-protests

エルサレムのバス停テロ・犠牲者6人は全員ユダヤ教正統派 2025.9.8

9月8日(月)朝のバス銃撃テロの犠牲者6人が公開された。全員ユダヤ教正統派の人々であった。

ラビ・レヴィ・イツハク・パッシュさん(57)、イスラエル・メツナーさん(28)、ラビ・ヨセフ・デービッドさん(43)、ラビ・モルデハイ・ステインザックさん(57)、サラ・メンデルソンさん(60)、ヤアコブ・ピントさん(25)

ラビ・レヴィ・イツハク・パッシュさん(57)は、エルサレムのコル・トーラー・イシバのメンテナンススタッフで、皆を助け、トーラーも学んでいて、皆に愛されていた人だった。

ラビ・ヨセフ・デービッドさん(43)は、ラモット在住で、書物を抱えて、イシバに向かっていたところ、殺された。

ラビ・モルデハイ・ステインザックさん(79)は、マーク博士とも呼ばれ、ベイト・シェメシュで、有名な“マーク博士のパン屋”を経営していた。10年以上前にアメリカから移住していた。

サラ・メンデルソンさん(60)は、エルサレム住民。ヤコブ・ピントさん(25)は、スペインからの移住者で、ロッドにあるデレフ・エムナ・イシバの学生で、最近結婚したばかりだった。

www.israelnationalnews.com/news/414571

エルサレム北部で銃撃テロ:イスラエル人6人死亡・13人負傷 2025.9.8

エルサレムで銃撃テロ:イスラエル人6人死亡

本日9月8日(月)10時過ぎ、(日本時間16時過ぎ)、エルサレムに北から入る、ラモット交差点付近のバス停で、バス62番の乗り降りの最中に銃撃テロが発生した。

駆けつけた救急隊によると、現場は、倒れている人や、ガラスなどの破片が散乱していたという。現在、付近の通行は、できなくなっている。

これまでに、イスラエル人6人が死亡。救急隊によると、4人は現場で死亡が確認され、2人は病院に搬送後、まもなく死亡した。

多くの重傷者を含む、13人が病院に搬送された他、負傷者合計は、20人を超えるとみられている。不安症で搬送された人も10人はいた。

テロリストは、エルサレムに近い村から違法にイスラエルに入ったパレスチナ人2人で、武器は手製のマシンガンだった。

2人は近くにいた非番のイスラエル兵と市民たちの反撃で、警察が来た時にはすでに死亡していたとのこと。

以下は事件発生後の様子

 

以下は、事件発生時の様子 バス停付近はかなり混んでいたもようである。

www.jpost.com/israel-news/article-866707

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/mda-says-11-being-treated-for-injuries-in-deadly-jerusalem-terror-attack/

ネタニヤフ首相が現場視察・国際社会からもテロ非難声明続く

Haim Zach (GPO)

ネタニヤフ首相は、本日、汚職問題で法廷で証言する予定だったが、テロ事件を受けて延期とし、国内治安相のベン・グビル氏とともに、現場を視察した。

ネタニヤフ首相は、犠牲者とその家族への哀悼を表し、イスラエル軍は今、テロリストの村を包囲していると語った。

また、「我々は今、複数の前線(ガザ、フーシ派、ヒズボラ、イラン)に直面している。しかし我々は引き下がらない。目標は必ず達成する。」と語った。

国際社会での孤立が深まっていたイスラエルだが、UAEから公式にテロを非難する声明が出された他、フランス、イギリス、スペインなどからも非難声明が出された。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/uae-slams-deadly-jerusalem-shooting-in-the-strongest-terms/

トランプ大統領がハマスに人質交渉最後通告:人質全員解放なるか 2025.9.8

9月7日(日)、イスラエルの有力紙はそろって、トランプ大統領が「ガザの交渉はまもなく合意に至る」と表明したことをトップに上げていた。

トランプ大統領がSNSにアップした内容によると、アメリカは、ハマスに終戦への最後通告を出した。ここでは、具体的な条件や内容かは明らかにしていなかったが、その後、チャンネル12がそのおおまかな内容を報じた。

それによると、ハマスは停戦の初日に、人質48人を全員解放し、その後の話し合いで本格的な終戦に持ち込むとしている。

in New York City, on September 7, 2025. (CHARLY TRIBALLEAU / AFP)

この構想は、ウィトコフ特使が先週、仲介国カタールの関係者とも話し合っていたとみられている。

しかし、Times of Israelによると、これに対し、イスラエルは、終身刑パレスチナ人テロリスト(殺人罪など)含む数千人を釈放することになっている。ガザ市への侵攻は中止し、その周囲に留まることも含まれているという。

ハマスは交渉のテーブルに戻る用意があると表明。イスラエルは検討すると返事していると報じられている。

www.timesofisrael.com/trump-issues-last-warning-to-hamas-to-accept-hostage-deal-says-israel-has-agreed/

石のひとりごと

ネタニヤフ首相は、先月、停戦の条件として5つの条件を出していた。

①人質全員解放、②ハマス武装解除、③ガザ地区非過激化、④イスラエル軍によるガザの治安維持、⑤ハマスでもパレスチナ自治政府でもない文民政府による政府の樹立。

これ以外は認めないとして、ガザ全域制覇に向けて、今動いているところである。

しかし、国内からは、戦争反対、人質交渉に応じることを要求する膨大なデモが続いており、イスラエル軍からも、ガザ市攻撃に反対する声が続いている。

今、人質を全員解放するとハマスが言っている以上、これを再び一蹴し、万が一にも人質が殺されることになれば、国内でのネタニヤフ政権への反発は内戦規模にもなりかねないだろう。

またガザ市での戦闘による膨大な犠牲からも、国際社会における孤立は、深刻化する。リスクはあまりにも大きい。

この状況について、Times of Israelのコメンテイター、ヨシ・クレイン・ハレヴィ氏は、「ガザにおける道徳的帰路」という分析を出していた。

ハレヴィ氏はまず、イスラエルが受けたハマスによる残虐すぎる被害とともに、ハマスがどんな犯罪も実行するテロ組織であるので、これを殲滅しよとするイスラエルの動きは十分理解できるとしている。

また、今世界からイスラエルの方が、ジェノサイドだと非難されることの不条理もまた理解できるとしている。

しかし、同時に、交渉のタイミングを逃してきたことや、ガザの膨大な破壊、一時的でも食糧の配給を止めたこと。

その後、効果的な食糧配布に成功したとは言えない様相からも、人道問題に発展してしまい、国際社会の人道的批判を積み上げることになった。ハマスが今、それを武器として使っていると指摘している。

ハマスに勝っても、イスラエルが負けになる。イスラエルは今、史上、最も複雑なジレンマに直面していると指摘している。(以下の記事より)

blogs.timesofisrael.com/our-season-of-reckoning-israels-moral-crossroads-in-gaza/?_gl=1*okx6m8*_ga*MTA4OTIzNDUxNS4xNjE1Mzg1ODc4*_ga_RJR2XWQR34*czE3NTcyOTcxMTYkbzEzMzkkZzAkdDE3NTcyOTcxMTYkajYwJGwwJGgw

帰ってきてください。主よ。いつまでこのようなのですか。あなたのしもべらをあわれんでください。(詩篇90:13)

エルサレムで大群衆デモ:ネタニヤフ首相非難・トランプ大統領に人質交渉訴えも 2025.9.8

9月6日(土)安息日明け、テルアビブとエルサレムで、大群衆による人質解放を求めるデモが行われた。

エルサレムでは、市内への入り口にある陸橋付近から、ネタニヤフ首相官邸に近い、アズザ通り、パリ広場までをマーチする大規模なデモが行われた。

このデモでは、「死の影の政府・なぜ彼ら(人質)はまだガザにいるのか」とかかげ、ハマスとの交渉に応じない政府を非難するデモだった。

人質バル・クーベルシュタインさんの母親オラさんが、ネタニヤフ首相に対し、「私は無政府主義者でもないし、右翼でも左翼でもない。私たちは家族だ。私たちは今すぐ人質を解放することを要求する」と訴えた。

人質マタン・アングレストさんの母親アナットさんは、国防関係者が、ガザでの戦闘拡大に伴うリスクに関する連絡を受けたと訴えた。リスクはすでに高まっていると告げられたという。

アナットさんは、ネタニヤフ首相は、マタンと全ての人質に対して、「ハンニバル指令」を出したのだと訴えた。ハンニバル指令とは、敵に人質を取られることを防ぐためなら、味方を傷つけても良いという指令である。イスラエル軍は、レバノン戦争の時、最近では2016年にこの指令を出したと言われている。

アナットさんは、ネタニヤフ首相は、ガザへの侵攻をするにあたり、ガザにいる人質を見捨てるように指示したと訴えているのである。(真偽は不明)

人質ニムロッド・コーヘンさんの母親ヴィッキーさんは、「私の息子は明日にも生きて帰ってくることができるのに、ネタニヤフ首相が妨害している」と述べた。群衆は、ネタニヤフ首相を「裏切り者」と叫んだという。

www.timesofisrael.com/traitor-mass-jerusalem-crowd-pans-pm-as-hostages-mom-calls-him-worst-foe-of-jewish-people/

これに先立つ2日(火)には、人質家族たちが、テルアビブで、トランプ大統領に対して、「Trump Make History」と掲げて、人質解放と、戦争終結に向けて動くよう、今、その時だとの訴えもしていた。

ガザ市高層ビル3棟目攻撃で崩壊:イスラエル国防相がガザ市への“強力なハリケーンを予告 2025.9.8

人質解放、停戦にむけた訴えや動きが出ている一方、ガザでは、ガザ市でイスラエル軍が、今週末、高層アパートを続けて2棟破壊し、9月7日(日)未明、さらにもう一棟、全部で3棟を破壊した。ビルは崩壊し、瓦礫となっている。近くにいた人は、地震かと思ったと語っている。

イスラエル軍は、この建物に、ハマスがイスラエル軍の位置などを監視する、情報収集の拠点があったと主張している。

これに先立ち、イスラエル軍は、周辺住民に南部への避難警告を出していた。近くの病院によると、このビル崩壊での死者は一人となっている。

またイスラエル軍は、8日(日)、ガザ市郊外のゼイトゥーンで、数百メートルにおよぶ地下トンネルを破壊した。

イスラエル軍は、その他の地域でも戦闘を継続している。ガザ中部、デイル・アル・バラでは、10月7日に、ユダヤ人10人を殺したと誇らしげに両親に電話していたマフムード・アファナを殺害。その両親にアファナが死んだと電話したという。

ガザ保健省(ハマス)によると、この24時間の間に、イスラエル軍の攻撃で死亡した人は50人(戦闘員と市民の区別なし)で、栄養失調で5人が死亡したとのこと。

www.timesofisrael.com/idf-hits-3rd-gaza-city-high-rise-in-as-many-days-after-evacuation-warnings/

こうした中、カッツ国防相は8日(月)、Xに、「今日、ガザ市は強力なハリケーンに見舞われるだろう。人質を全員解放せよ。そうでなければ、ガザは崩壊し、おまえは抹消されるだろう」と書き込んだ。

なお、これまでに、ガザ市から避難した市民は10万人以上とみられている。ガザ市の住民は100万人とみられるので、まだ一部である。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/defense-minister-today-a-powerful-hurricane-will-strike-the-skies-of-gaza-city/

石のひとりごと

Palestinians inspect the damage after an Israeli army strike on a building in Gaza City, Sunday, Sept. 7, 2025, after the Israeli army issued a prior warning. (AP Photo/Yousef Al Zanoun)

イスラエルのガザ市への攻撃がいよいよ本格化するのか。人質解放になるのか。

まさに、どちらが先に折れるかの最終の瞬間かもしれない。ハマスが降参すれば終わるが、そうなるようには見えない。

記事を書いている者もだが、読んでくださっている方も、この緊張に疲れ果てているかとお察しする。

しかし、ガザにいる人々、徴兵されて戦場に行かされているイスラエル人たちは、終わりのない爆音と振動、瓦礫と死の中にいる。疲れはもうはるかに限界を超えているだろう。

この写真では、今回、破壊され、瓦礫と化したアパートの前に、呆然とした様子で立っているパレスチナ人たちが写っている。

こんなことは誰も望んでないことである。いつまでこんなことが続くのだろうか。人間同士、苦しめ合い殺し合う。家を破壊する。これほどに愚かなことはない。わかっているのに、終われない。

主があわれんでくださるように。主の義により、この地獄をもたらした悪を取り去ってくださるように祈る。

強硬右派スモトリッチ財務相が西岸地区82%併合案表明:UAEが西岸地区併合するならアブラハム合意は崩壊と警告 2025.9.8

フランス、イギリスなどG7諸国が、次回国連総会で、パレスチナ国家を承認すると表明して以来、イスラエルでは、強硬右派たちが、これを阻止しようとする動きに出ている。

Bezalel Smotrich
(Photo: Shalev Shalom)

先月、強硬右派の宗教シオニスト政党のスモトリッチ財務相が、エルサレムと、西岸地区のユダヤ人の町、マアレイ・アドミムの間に位置するE1と呼ばれる地域に、ユダヤ人の家屋3412戸の建設を許可する計画、E1プロジェクトを表明し、物議となった。

これが完成すると、マアレイ・アドミムが拡大されることになり、人口は現在、3万8000人のところ、1万2000人から1万5000人増えることになる。しかし、これが実現すると、西岸地区が南北に分断されることになり、パレスチナ国家設立はおよそ不可能になる。

スモトリッチ財務相、ベン・グビル治安維持相は、最終的には、西岸地区をイスラエルに併合すると言う野望がある。

www.timesofisrael.com/netanyahu-to-sign-e1-framework-agreement-in-maale-adumim-this-week-report/

これを受けて、9月2日(火)、UAEが、「西岸地区の併合は、レッドラインだ」として、もしそんなことになれば、アブラハム合意は崩壊すると強く警告した。

www.timesofisrael.com/uae-warns-israel-annexing-west-bank-a-red-line-that-would-end-regional-integration/

Washington, DC, September 15, 2020. (SAUL LOEB / AFP)

アブラハム合意とは、イスラエルとUAE、バーレーンは、トランプ大統領の仲介で、経済技術などで協力し、共に発展して行こうとするもので、2020年に実現した合意である。UAEがこの合意に言及したことは世界にも大きく報じられた。

しかし、その翌日3日(水)、スモトリッチ経済相は、西岸地区の82%を併合する案を表明。今国際社会が、西岸地区にパレスチナ国家を設立しようとしていることの危険性を訴えた。パレスチナ人の地域はラマラなど点在する18%ということになる。(西岸地区にいるパレスチナ人は約310万人、イスラエル人は50万人以上)

スモトリッチ財務相は、「ヨルダン川西岸地区」ではなく、聖書からの名称である「ユダヤ・サマリヤ地区」を使い、この地域をイスラエルの主権下に置く時だと表明した。国会での審議では、これに賛成が71、反対が13だった。

www.timesofisrael.com/smotrich-proposes-annexing-82-of-west-bank-in-bid-to-prevent-palestinian-state/

こうした中、9月7日(日)、サウジアラビアのビン・サルマン皇太子が、UAEの動きを称賛する声明を出した。

それだけでなく、もし、西岸地区を併合する動きが見られる場合、イスラエルとサウジアラビアの間で、進んでいる協力にも影響すると表明した。

Times of Israelによると、サウジアラビアのビン・サルマン皇太子は、先週、UAEのモハンマド・ビン・ザイード大統領と、リヤドで会談していたという。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/saudi-arabia-uae-said-to-agree-on-freezing-normalization-over-west-bank-annexation-plans/

ネタニヤフ首相とトランプ大統領は、アブラハム合意の拡大を目指しており、特に、サウジアラビアが入ることを強く願っている。しかし、サウジアラビアは、加盟の条件として、パレスチナ国家設立をあげており、合意から5年たった今も、まだ加盟する様子はない。

今回の動きで、サウジアラビアの加盟はさらに遠のいたとみられる。こうした中だが、ネタニヤフ首相は今週、11日に、西岸地区のE1地区を視察するとともに、マアレイ・アドミムを訪問する予定になっている。

www.timesofisrael.com/netanyahu-to-sign-e1-framework-agreement-in-maale-adumim-this-week-report/