偽物と思ったら本物だった!ヤロブアム2世(聖書)の封印 2020.12.10

ヤラベアム2世のブラ絵 ベングリオン大学

ベングリオン大学のユバル・ゴーレン博士は、新しい鑑定方法を用いて、10年以上前に、偽物だろうと放置していたブラエ(封印)が、紀元前8世紀にさかのぼる本物であることをつきとめ、承認された。

封印は聖書に登場するイスラエル王国の王で、2800年前にさかのぼるヤロブアム2世(788ー748BC)のものだという。大さは、23.4ミリ×19.3ミリの楕円形で、ライオンの絵と、”神の(?)しもべヤラベアム”という文字が記されている。

ブラエは、巻物とめる紐の結び目に石灰で止める働きをすると同時に、その巻物の権威を示した、いわば印鑑のような役割をしたと考えられている。これまでにエルサレムのダビデの町で発見されたヒゼキヤ王のブラエが有名である。

今回本物と承認されたヤロブアム王のブラエについては、これと同じ絵が施されたもう少し大きな碧玉の物が、1904年に発見されたとの記録が残されていたとのことである。(今は失われている)

今回、話題になったヤロブアム王のブラエは、1980年代に、ベドウインからわずか10シェケル(当時のシェケルなので、今の1セント)というあまりの安さから、ゴーレン博士は、偽物だと思い、放置していたという。

しかし、5年ほど前に、知り合いの学者から調べてみるよう示唆を受け、新しい技術で、鑑定を開始したところ、本物であることが分かったという。また一つ、イスラエルの宝であり、聖書の真実を証明するものが与えられたということである。

*ヤロブアム2世

ヤロブアム1世は、ネバテの子ヤロブアムで、ソロモンの後、分裂した北イスラエル王国の最初の王であった。ベテルとダンに金の子牛を置いた王である。ここでのヤロブアム2世は、その150年ほど後の王である。

ヤロブアム王は、ヨアシュ王の息子で、治世は41年に及び、北イスラエル王国の全盛期の王であった。

しかし、最初のヤロブアムと同様、偶像礼拝をやめず、イスラエルに罪を犯させた王と書かれている。没後約20年後、北イスラエル王国はアッシリアに滅ぼされた。

預言者ホセアは、この王の時代に預言している。(ホセア1:1)また、預言者アモスはヤロブアムが剣で死ぬと預言している。(アモス7:11)

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。