国連に向かうネタニヤフ首相 201.303.9

ネタニヤフ首相は、国連演説のため、今日からニューヨーク入りしている。演説を前に、現在、オバマ大統領、ケリー国務長官らと打ち合わせ中である。

ネタニヤフ首相は、ロウハニ大統領の国連での様子、国際社会の反応を見ながら、「イランは、羊の皮をかぶった狼だ。」と表現。国際社会は甘いことばとスマイルにだまされてはならないと警告している。

確かに、イランは、国連総会の直前に、軍事パレードを行い、イスラエルにまで届くミサイルを誇示。また本日は、新型ドローンを導入したと報じられている。決して羊ではなさそうである。

ネタニヤフ首相は、「核の平和利用だというイランの主張を受け入れ、たんに監視するだけに終わってはならない。完全に核開発自体を辞めさせなければならない。」と訴えている。

ネタニヤフ首相の国連演説は明日火曜日。

<イスラエルで逮捕されたイランのスパイ>

イスラエル側の作戦か。8日前に、ベングリオン空港でスパイ容疑で逮捕したイラン系ベルギー人マンソーリに関する情報が、ネタニヤフ首相が国連へ出発する当日、公開された。

調べによると、マンソーリはテルアビブのホテルからアメリカ大使館を監視し、その情報をイランに送っていた疑いがあるという。

大量破壊兵器を許さない世界へ 2013.9.28

1.シリアの化学兵器:安保理が一致・対処へ

シリアの化学兵器問題について26日、国連安保理の常任理事国は、先にアメリカとロシアがジュネーブで一致していた「来年中旬までにシリアの化学兵器すべてを処分する」という案について採択を取り、全会一致で可決した。

*常任理事国-アメリカ、ロシア、フランス、イギリス、中国

一致した内容は、①2014年中旬までに、シリアの化学兵器を完全に破棄処分する、②もしシリアが約束を守らない場合は、国連憲章第7条に基づき、軍事介入を含む制裁を行う。

ただし、軍事介入の場合は、再度安保理の決議をとるということになっている。つまり、もし仮に軍事介入という事態になった場合、ロシアが拒否権を発動するのは間違いなく、そのときは再び行き詰まりになるということではある。

しかし、アメリカとロシアが、安保理で2年半ぶりにはじめて一致し、今後は国連という公の機関の枠組みの中でシリアの化学兵器を取り扱うことができるようになったことは、大きなブレークスルーだと評価されている。

国連安保理と平行して、オランダのハーグでは、OPCW(化学兵器禁止機構)がアメリカとロシアの合意事項を検討し、27日、正式に可決。これを受けて28日、安保理では非常任理事国の15カ国も採択を行い、全会一致で可決するに至った。

<今後の手順>

10月1日、OPCWの専門家がシリアに入り、化学兵器の破棄に関する調査を開始する。どのように化学兵器を破棄するかだが、方法は二つ。①焼却 ②中和 作業の進捗はOPCWが定期的アセスメント、報告する。

イギリスはこの作業のために300万ドルを拠出すると発表した。

なお、安保理は、シリアの問題を化学兵器だけに終わらせず、最終的に新しい政権への移行を促すため、11月中旬にもジュネーブで、シリアの和平会議を開催する方向で合意している。

<評価と課題>

今回、シリアの化学兵器を、戦争なしに、国連主導で破棄する流れとなった。国際社会は、無能ではないというメッセージを発信できたことは特筆に値する。核兵器で問題になっているイランや北朝鮮にも一定の示しになったと思われる。

しかし、ネタニヤフ首相が言うように、問題はこれからである。シリア国内の内戦はますます激しくなっている。反政府勢力の中で、勢力を伸ばしているイスラム超過激派でサラフィスト組織アル・ヌスラは、この6月から公にアルカイダを名乗って、活動を続けている。国連の作業を妨害する可能性が高い。

専門家の中には、シリアが、まもなくアフガニスタンのようにテロの輸出元になると懸念する者もいる。難民問題で苦しむトルコの外相は、「化学兵器の解決だけでは十分ではない。」と釘をさしている。

2.イランの核兵器問題:オバマ大統領とロハニ大統領が電話会談(35年ぶり)

化学兵器と並んで危険な大量破壊兵器が核兵器。その核兵器疑惑で世界から孤立しているのがイランである。今回国連デビューしたイランのロウハニ大統領は、3~6ヶ月以内にこの問題を終わらせたいとの穏健ムードを打ち出した。

ロウハニ大統領は国際社会からの経済制裁を受けて疲弊しきっているイラン経済を立て直したいのである。

<国際社会とイランの対話再会>

今回、大統領同士の会談はなかったが、外相レベルでの対話が再会された。国連総会の行われているニューヨークで、ケリー国務長官、イランのザリフ外相を含むP+1(安保理常任理事国+ドイツ)が直接会議を行った。

ザリフ外相は、アメリカで教育を受けており、流ちょうなアメリカ英語であるだけでなく、テレビで見るだけでも、にこにこととても愛想の良さそうな人物。

会議の中で、P+1は、①20%濃縮ウランの精製と貯蔵をやめること(核兵器直前の濃度)、②ファルドの地下核濃縮工場の閉鎖、などを要求したもよう。次回の会議は10月15日と決まった。

会議終了後、ケリー国務長官は、「まだまだイランは説明する義務があるが、会議は前向きだった。」と語った。

<ロウハニ大統領とオバマ大統領の電話会談>

今回、直接対談は実現しなかったが、ロウハニ大統領の帰国寸前に、オバマ大統領が電話をかけた。両国の大統領どうしが直接話をするのは、35年前ぶりだった。両国の関係改善のきざしかと注目されている。

<イスラエルの反応>

シリアの化学兵器、イランの核兵器、どちらもイスラエルにとっては生死に関わる大問題である。こうした国連での動きについてイスラエルはどう反応するのか、まだ明らかにはなっていない。

ネタニヤフ首相の国連演説は今回一番最後となっており、来週の予定。ネタニヤフ首相は、ニューヨークでオバマ大統領、ケリー国務長官と会談することになっている。

ダマスカス門での暴動を取材して 2013.9.28

27日は、イスラエルで第二インティファーダ(2000-2005)勃発から13年の記念日だった。これを受けてハマスとイスラム聖戦が、イスラエルに対する第三インティファーダを始めるとの宣言を行った。自爆テロも辞さないという。

27日は金曜日でイスラムの礼拝日である。エルサレムでは、イスラエル治安部隊が、暴動を起こす可能性の高い50才以下のパレスチナ人男性が、旧市街の神殿の丘へ入ることを禁止した。

正午12時:ダマスカス門周辺では、相当数のパトカー、救急車、囚人護送車、国境警備隊や暴動処理の機動隊、騎馬上の兵士などいつもより相当に数が多く、かなりものものしかった。ずらりと並ぶ騎馬上の兵士は、まるでかつてのローマ兵のようだった。

イスラムの礼拝が終わると共に、暴動が始まった。大勢の記者とともに暴動の撮影に走ったが、直径20センチもあるような石が、直ぐ横に飛んできて、地面で割れた。

すると今度はイスラエル軍の手榴弾が飛んできて、大きな音と共に破裂した。手榴弾といっても、後で聞くと、威嚇用の音だけのものだったらしい。

イスラエル軍は、実弾の武器を使わず、棍棒をもった兵士、騎馬上の兵士らが馬を使って暴徒を蹴散らしている。といっても馬が実際に人間を蹴り上げることはない。馬が大きいので逃げざるを得ないのである。

状況は常に動いている。はっと気がつくと機動隊真ん前、パレスチナ人との間に立っていた。この状況の中では、確実にパレスチナ人が投げてくる石の方が危ない。・・があわてて逃げた先はイスラエル側。

そのうち、むこうで怒鳴り声がすると思ったら、パレスチナ人が逮捕されていた。いっせいにそこへ走る。このような動きのくりかえし。まるで大人の鬼ごっこのようだった。

午後3時すぎ、急に終了ムードになった。紛争は約3時間。緊張しながらあちこち走り、水を飲む暇もなかった。みると治安部隊の兵士たちも、ゆっくり水を飲みながら歩いている。多くの兵士が携帯で電話していた。近頃、兵士が2人死亡したので、家族に無事を知らせていたのかもしれない。

この後、路面電車で帰宅しようとすると、機動隊兵士たちもすでに電車で帰路についていた。重い防弾直帰を棍棒にさしてくつろいでいる。

7-8分もすると、もうオープン・マーケット、マハネイ・ヤフダに着いた。戦場から突然日常の世界へ。明日は安息日だ。

混雑するマーケットで普通になすびときうりを買ったが、私自身、ちょっと気が変になりそうだった。私はたった3時間、紛争の中にいただけである。戦場と自宅を1週間単位で往復するイスラエル兵たちの神経を思わざるを得なかった。

<神殿の丘のとりあい>

この暴動を見ていたパレスチナ人の男性は、「一般のパレスチナ人は通常は静かにしている。しかし先日、イスラエル軍がアルアクサ(神殿の丘のこと)でパレスチナ人を逮捕した。こんな事態になると、もう押さえられない。

ユダヤ人は今アルアクサを分割しようとしている。ユダヤ人はじわじわとアルアクサを取り上げようとしているのだ。第三インティファーダは起こると思う」と言った。

この男性に限らず、パレスチナ人は口をそろえて、「イスラエルはユダヤ人をアルアクサに入れるのに、アラブ人には制限する。こんなことは許されない。」という。

しかし、実際には、ユダヤ人が神殿の丘に自由に入れないのであって、東エルサレムのパレスチナ人は通常は自由に神殿の丘に入っているのである。

金曜日と、ラマダンなど特別な例祭の時は、東エルサレムだけでなく、西岸地区のパレスチナ人も神殿の丘に入っている。基本的にパレスチナ人の入場が制限されるのは、暴動が懸念されるときだけである。

また一昨日、パレスチナ人が神殿の丘で逮捕されたのは、治安部隊に石を投げるなどしたからである。この日はユダヤ人も神殿の丘への入場を許されなかった。

どこかでなにかの誤解が発生しているのか・・両者の憎しみは和平交渉では解決できそうもないようである。

イラン新大統領・国連デビュー 2013.9.26

<注目はシリアからイランへ>

シリアの化学兵器問題は、アサド政権が期限内に、化学兵器のリストを提出。昨日からは、国連の化学兵器査察隊が、シリア入りし、順調なすべり出しとなっている。このため、国連総会での注目は、イランの新しいロウハニ大統領となった。

<ロウハニ大統領演説>

25日に国連演説で、国際社会へデビューしたロウハニ大統領は、核開発問題について、改めて平和利用であることを強調。早期にこの問題における解決をめざしたいとの意向を語った。

具体的には3~6ヶ月以内に外向的解決をめざすという期限まで切っている。前のアフマディネジャド大統領と違って、過激な発言はなく、途中で退席する代表もまったくなかった。

しかし、ロウハニ大統領は、代表昼食会には欠席し、オバマ大統領との直接対面は避けた形となった。後に、「アメリカとイランの関係は5年以上とぎれたままだ。直接の会談までには準備と時間がかかる。」と語った。

大統領どうしは合わないが、26日、イランのザリフ外相とケリー国務長官が会談することになっている。アメリカの他、フランス、イギリス、ロシア、中国、ドイツ代表にも会うことになっており、イランが国際社会の孤立から脱出を試みているのは確かなようである。

<ネタニヤフ首相:”イランは偽善者”>

ロウハニ大統領の国連演説を受けて、ネタニヤフ首相は、即座に「イランは、シリアへ大規模に軍隊を派遣して虐殺しながら人権について語っている。」などと、イランは偽善者だとするコメントを出した。

また、「きれい事をならべて、時間稼ぎをしている。」とイランに対する不信をあらわにしている。

ネタニヤフ首相の国連演説は来週の予定。ニューヨークではオバマ大統領とも会談することになっている。ネタニヤフ首相がアメリカや国際社会に訴えていることは、イランがウランの濃縮を完全に停止することなどを含む完全な核開発停止である。

しかし、ロウハニ大統領が、前のアフマディネジャド大統領より穏健な態度であること、またIAEAがイスラエルの核保有には目をつぶったことなどから、国際社会がイランの核開発への制裁政策を緩和するのではないかと懸念する記事が、イスラエルでは出回っている。

オバマ大統領演説:中東政策骨子 2013.9.26

国連総会ではオバマ大統領も演説を終えた。

オバマ大統領は、国連が結成されたのは、第二次世界大戦中のユダヤ人大虐殺のようなことが、二度と起こらないようにするためだったと述べ、シリアで、1000人以上がガスで虐殺されたことを、国際社会は放置してはならないと語った。

また中東政策について、イスラエルの治安を守ることがアメリカや世界の治安を守るために重要であると語った。その上で、「イランの核開発がイスラエルの存在を脅かしている。一方で、イスラエルが存在し続けるためには、パレスチナ国家の設立が欠かせない要素だ。」と語った。

つまり、オバマ政権は、①イランの核問題②パレスチナ国家設立、の二項目を、中東政策の柱にしているということである。

「もちろん、この二つだけが中東問題のすべてではない。」とオバマ氏。しかし、これらを解決することが中東問題に大きく影響するととの考えを明らかにした。イスラエルは、今後もオバマ政権が、パレスチナ問題解決へ向けて、圧力をかけてくるものと構えているようである。

もめる神殿の丘 2013.9.26

イスラエルとパレスチナの和平交渉をごり押しするアメリカだが、エルサレムの神殿の丘ではもめごとが続いている。

今年は仮庵の祭り中、警察や警備隊が厳重にガードする中、大勢のユダヤ人が、なんとか神殿の丘へ入って祈ることができていた。

しかし、25日(水)、治安部隊はパレスチナ人の若者らが神殿の丘で暴動を起こすとの情報を受けて、部隊を大規模に神殿の丘内部へ投入。この日も、一部のユダヤ人が神殿の丘へ入っていたが、滞在時間はわずか2分。約1時間後、それも停止された。

やがてパレスチナ人の若者たちが、イスラエルの警備隊にむかって石を投げ、催涙弾を放ってきた。石といっても大きなごつごつの岩石で当たると大けが、または死亡するような石である。イスラエルの治安部隊は、暴徒を追ってアルアクサモスクへ乗り込み、11人を逮捕した。

その数時間後には、ユダヤ人一家が、こりずに子どもをつれて神殿の丘へ上がり、3人が治安部隊に逮捕された。これを受けて、26日(木)はユダヤ人は、神殿の丘へは完全に立ち入り禁止となった。

最近、神殿の丘でのこのようなもめごとが増加している。

<神殿の丘・完全分離へのよびかけ!?>

昨年の仮庵の時も同様のもめごとが発生している。この時ユダヤ人側の「神殿の丘」組織(神殿再建をめざす組織)は、ヘブロンのマクペラの洞窟がユダヤ人側とパレスチナ人側に完全に2分割されているのと同様に、神殿の丘も、完全二分割にするよう、警察に呼びかけている。

神殿の丘特別警備隊も、もめごとに対処しきれないため、神殿の丘内部にユダヤ人用の場所を確保するという、マルカ・アビブ裁判長の提案を実行に移すようにとの意見書を提出している。

その後、その件は頓挫したままだが、今後、神殿の丘がユダヤ人とパレスチナ人で分け合う形になるのか!?注目されるところである。

今年もクリスチャンのエルサレム・パレード 2013.9.26

今年もICEJ(国際クリスチャンエンバシー)の開催する仮庵の祭りカンファレンスが開催された。今年の参加者は3200人と、一時8000人を記録した2008年からするとかなり少なくなっていた。

クリスチャンからのイスラエル支持をアピールするパレードも例年より小さめとなったが、沿道に集まったユダヤ人たちの心を温めるイベントとなった。

中国、韓国、台湾、タイ、マレーシアからも代表団が国旗をたててパレードする中、今年も日本からの参加はなし。来年は、日本人兄弟姉妹もぜひ来られたし!

憎悪ふつふつ再燃か・パレスチナ問題 2013.9.24

8月にイスラエルとパレスチナの間で、水面下の和平交渉が進められているが、”地上”では両者の関係は、悪化傾向にあると懸念されている。

*余談になるが、和平交渉にあたっているツィッピー・リブニ氏が、ネタニヤフ首相と一枚岩になっておらず、勝手な話をすすめているという情報が時々出ている。

<イスラエル側から>

8月26日、テロリスト捕縛のため、ラマラ近郊のパレスチナ人の町、カランディアに入ったイスラエル軍とパレスチナ人が衝突し、パレスチナ人3人が死亡。少なくとも15人が負傷した。

9月17日、テロ容疑者を逮捕しようとしてジェニンに入ったイスラエル軍と、それに抵抗して暴動をおこしたパレスチナ人が衝突。暴動を扇動していたパレスチナ人1人(20才)が死亡した。

最近、パレスチナ人の建物などに、悪質な落書きをする「値札」行為が報告されていた。

<パレスチナ側から>

1.イスラエル兵トメル・ハザンさん(20)殺害:ベイトアミン

19日夜、イスラエル兵のトメル・ハザンさんが、テルアビブ近郊の町でかつてともに働いていたパレスチナ人ニダル・アマールと西岸地区カルキリヤ近く、ニダルの村に一緒に行ったところ、そこで殺害され、遺体は井戸になげこまれた。トメルさんは武装していなかった。

ニダルは、殺害の動機について、トメルさんの遺体を使って、イスラエルの刑務所にいる兄を救出することだったと言っている。

これにいて、ニダルの父親は、息子の犯行を強く非難し、「もし銃をくれるなら、息子をただちに殺す。丸腰の人をここにつれてきて殺した息子はヒーローなどではない。」と語っている。

2.イスラエル兵ガル・コビさん(20)射殺:ヘブロン

上記事件発生から2日後、ヘブロンはちょうど仮庵の祭り期間中で、ユダヤ人が大勢マクペラの洞窟(アブラハムとサラ、イサクとレアの墓があるとされる廟)を訪問していた。

そのマクペラの洞窟付近で、22日夕方6時半ごろ、イスラエル軍に対して石や火焔瓶を投げる暴動が発生。大勢の訪問者らは直ちに誘導避難となった。

この時である。警備にあたっていたイスラエル兵ガル・コビさん(20)が、首を一発撃たれて重傷となった。すぐ病院に搬送されたがまもなく死亡した。

犯人は、遠くからねらい打ちする射撃手であったとみられる。イスラエル軍はヘブロンを閉鎖して犯人逮捕にあたり、パレスチナ人2人を逮捕している。

なお、ヘブロンでは、テロには屈しないとして、事件後も、なんらかわらず、同様の仮庵の行事が続けられている。

<イスラエル政府の対応:和平交渉は保留にすべき!?>

上記2件のテロ事件をうけて、右派でユダヤの家党・ナフタリ・ベネット党首は、ネタニヤフ首相が、凶悪なパレスチナ人テロリストの釈放をし続けていることについて、厳しく非難した。囚人釈放はやめて、和平交渉は保留にすべきだと言っている。

ネタニヤフ首相は、パレスチナ側との和平交渉を再開する条件として、104人のパレスチナ人テロリストを釈放うすることに合意している。すでに8月に26人を釈放。10月末にも数十人の釈放が予定されている。

ネタニヤフ首相は、ベネット党首ら右派をおさえるため、事件への対抗処置として、「マクペラ・ハウス」へのユダヤ人入植者の入居を許可すると発表した。

*ヘブロンとマクペラ・ハウスとは?

ヘブロンでは、ユダヤ人虐殺事件、また逆にユダヤ人によるパレスチナ人虐殺という悲しい歴史がある。そのため、ヘブロンは一つの町でありながら、イスラエル管理地域、パレスチナ管理地域、またその中間に分けられている。

いわば、父アブラハムの墓の前で、ヤコブとエサウが血みどろのけんかを続けているというわけである。(リバイバル・ジャパン記事参照)
マクペラ・ハウスは、マクペラの洞窟の近くにある建物で、入植者たちは、アラブ人から購入したと主張している。しかし、建物がパレスチナ側にあるため、イスラエル政府は、入植者たちの入居を許可しなかったのである。

ここ数年来、マクペラ・ハウスに強引に入居しようとする入植者とそれを無理矢理ひきずり出すイスラエル軍とといった対立が続いてきた。そのマクペラハウスへの入居を、今回、許可したということである。

ネタニヤフ首相は「ユダヤ人を追い出そうとしたら、逆に住み着く。」と言うことを示す、と語っているが、これが新たな暴力を生み出さなければよいがと思う。

<第三インティファーダへの呼びかけ 9月27日(金)>

ハマスによると、27日(金)、第二インティファーダ(パレスチナ人蜂起・自爆テロを含む対イスラエル闘争13周年を記念して、第三インティファーダへの呼びかけが行われているという。

しかしながら、一般大衆のパレスチナ人はこうした対立に辟易しており、よびかけに応じるかどうかは読みにくいところである・・。

勇気あるクリスチャン・アラブの人々 2013.9.24

上記のようなイスラエルとアラブ人の対立が続く中、イスラエルに住むアラブ人は複雑である。本音を言えば、イスラエルで平和に暮らす方がいいと考えているアラブ人は少なくない。

しかし、その本音を言えば、身に危険が及ぶため、皆黙っているのである。しかし、この現状を打開しなければならないとして立ち上がったアラブ人もいる。まだ一部だが、イスラエル国籍のアラブ人クリスチャンたちである。

23日、イスラエル国籍のアラブ人クリスチャンたちが、「アラブ人全員が反イスラエルではない。」と訴えるシンポジウムを行った。

シンポジウムに並んだのは、ナザレ在住のギリシャ正教司祭、アルメニア人で、アラブ人クリスチャンの兵役をすすめる担当官など。

最近アラブ人クリスチャンの若者たちが、イスラエル軍への従軍を希望するようになっており、実際に兵役につく若者が増えているという。

<明確な福音を語るギリシャ正教神父>

ギリシャ正教のガブリエル・ナダフ神父らは、キリストの教えがユダヤの教えなしにはありえないこと。そこに明確な継続性があると語った。

この原理の上に、福音があるとして、神父は、40人ぐらいのユダヤ人とみられる記者たちを前に、ヘブル語で、イエスの十字架の死による罪の赦しと復活まで、はっきりと明確に、福音を語った。

神父らは、アラブ人クリスチャンたちは昔から聖地に住んでいたのであり、イスラエルとは関係が深い。イスラム勢力が台頭している今、イスラエルはクリスチャンにとっても守るべき聖地。だからイスラエル軍に従軍してユダヤ人と共に、この地を守るのは当然だと語った。

特記すべきことは、彼らが「イスラエルはユダヤ人の国であるべきだ」と明言したことである。自分たちは、ユダヤ人が支配するイスラエルの一員として住むことを願っていると全員一致で語った。

中東諸国をみれば明らかだが、ユダヤ人の支配するイスラエルでのみ、クリスチャンも平和に生きているからだと語った。なお、このような思想を推進しているためナダフ神父の身辺は非常に危険になっているという。

*パキスタンでは22日日曜日、礼拝中のキリスト教会で2つの自爆テロがあり、81人が死亡している。

祭司の祈り:嘆きの壁 2013.9.26

嘆きの壁では、22日朝、年に二回の祭司の祈り(ブリカット・コハニーム)が行われた。これは祭司の末裔とされるコハニム(コーヘン家やカッツ家などの男性たち)が、民数記6:23-27に基づき、イスラエル全体の祝福の祈りを捧げるというもの。

祝福を受けられるということで、嘆きの壁広場は、再び立つ場所もないほど人で埋めつくされた。嘆きの壁男性セクションに近いところに立っていたが、ふと気がつくと、後ろに祝福をうけたい女性たちがぎっしりで出られなくなった。

結局朝7時半から11時近くまで3時間、スファラディとアシュケナジーのチーフラビがそれぞれ祈りをささげ終わるまで立ち続けるはめになった。

祈りの内容は、イスラエルの祝福がろうろうと、ややメロディのついたお経のごとくに祈られた。民も時々「アーメン」と言っていた。

*重病のラビ・オバディア・ヨセフ

今回は特に、息子に代を譲ってから病床についているラビ・オバディア・ヨセフの回復への祈りから、イスラエル中の病人を覚える祈りも捧げられた。

ラヒ・オバディア・ヨセフは元チーフラビで元シャス党の霊的指導者。現在、腎不全で透析・心臓ペースメーカー装着。意識なく、呼吸器にもつながれている。

先週の悔い改めのスリホットは夜だったので、大晦日の神社のようだったが、祭司が祝福するこの日は、ちょうどお正月の神社のにぎわい、いや混み合いにそっくりだった。

そういうわけで、今、エルサレムではどこへ行っても満員。道路も渋滞しまくりである。この時期、海外から多くのユダヤ人、クリスチャンがイスラエルを訪問中だが、逆に多くのイスラエル人は海外旅行を楽しんでいる。

初めの雨!2013.9.22

仮庵を祝うエルサレムでは、21日午後7時ごろ、今年初めての雨が降った。30分ほどだったが、しとしとと、けっこうしっかり降っていた。

仮庵の祭りは収穫祭である。ということは、新しい農耕サイクのはじまりということでもある。したがって、長い乾期の後のこの時期に、初めて降る雨のことを「初めの雨」という。

初めの雨は、穀物の種が土に定着しやすくする。この後、春までは、時々雨が降り、冬にかけては雨期となって穀物が育つのである。

これに対し、後の雨は2,3月ごろに降る大雨を指す。これは春の収穫まぎわに大雨を降らせて、穀物をさらに豊かにしてくれる雨である。(エレミヤ5:24、ヤコブ5:7)

神学的には、一般に、初めの雨は、最初に聖霊が下ったペンテコステを現し、後の雨は、主の再臨の前の大リバイバルを指すと言われている。(ホセア6:3、ヨエル2:23、ゼカリヤ10:1)

イスラエルの核兵器非難決議、すれすれ回避 2013.9.22

現在、国連では様々な会議が進行中だ。一つはIAEA加盟国196カ国の会議。アラブ諸国がイスラエルも核拡散条約(NPT)に加盟するべきとの議題を提出。審議が行われた。

イスラエルは、核を持っているとも持っていないとも明確にはしていないが、持っているのはほぼ確実と考えられている。保持する核弾頭は80発とも言われる。

イスラエルは核拡散条約に加盟していない上、IAEAの査察も一部を除いては逃れるしくみになっている。こうした状況に対し、非難決議を出して、イスラエルにもNPTへの加入を義務づけようとしていたのである。

しかし審議の結果、反対51 賛成43 棄権32とぎりぎりで非難決議を逃れた。

イスラエルは、核の保持からどのぐらいあるのかまで、すべてを謎にしている。それで中東諸国がイスラエル攻撃に慎重となり、なんとか平和が保たれているのである。

核拡散条約に加盟したら、これまでのように謎にしておくことができなり、場合によっては非核化をせまられる可能性がある。これは逆に危険。

イスラエルは核兵器OK,イランは核兵器NOというところに、なんとなく不公平感は残るが、”平和維持のため”に、イスラエルを非核化させてはならないということである。