昨夜宣言された停戦。その後5-10発のミサイルがイスラエル南部都市に飛来したが、被害はなし。イスラエル軍も空爆せず、22日は双方とも爆音のない1日となった。夕方になり、招集された5万の予備役兵たちも、徐々に任務を解かれ、帰宅しはじめている。
<ガザ地区の様子>
ガザでは、ハマスが22日、国民の祝日とし、大々的な勝利集会を行った。ガザのハマス代表ハニエ首相は「占領者(イスラエル)がガザを侵略する機会はなくなった。そのチャンスは二度とないだろう。」と語った。またジャバリの死については、「その血が無駄に流されることはない。」と相変わらずの敵意を語っている。
それにしてもガザ地区の破壊はすさまじい。銀行が破壊されたので、現金が極端に不足している。ビジネスはまひ。学校も破壊されている。ガザへ戻って取材している朝日新聞の山尾記者によると、一家11人が亡くなった現場では今も遺体の堀りおこし作業が続いているという。その日も男性の遺体が発見されている。
回復するには相当な資金と時間がかかるとみられる。それでも破壊されなかった通りでは、野菜が売られていたりファラフェルのスタンドが出て、買いに来る人々の姿が紹介され、活気ある様子も紹介されている。
イスラエルは、しばらくはミサイルを撃ち込めない程ハマスに打撃を与えたと言うが、実際にそうなのかどうかは、時間が明らかにするだろうと言われている。
<イスラエル南部の様子>
停戦に入る直前にイスラエル南部エシュコル地方のキブツに着弾したロケット弾で負傷し重傷となっていた兵士が、23日午後、病院で死亡した。28才だった。
イスラエルでは、万が一のことがあるので、南部都市では全域で、22日も学校は休校となった。安息日入りする明日も休校になる。22日、夜になり、ようやくスデロット、アシュケロンなどでも、買い物に出たり、レストランに出かけたり、人々が外の空気を楽しんでいる。
今回の戦闘でイスラエル側の被害総額は7億6000万ドル(608億円)。活躍した迎撃ミサイルは一発が100万円近くする。ネタニヤフ首相は、物理的心理的、また経済的回復のための特別チームを発足させた。今回の作戦中に被害を受けた地域や人々の対処に全力をあげる。
<停戦してよかったのか・・?賛否両論のイスラエル>
チャンネル2の調査では、今回の戦闘での勝利者はだれだと思うかとの問いに、どちらでもないと答えた人が46%、ハマスだと答えた人が28%、イスラエルだと答えた人は20%だった。
イスラエル市民、特に南部住民の多くは今、ハマスがまだミサイルを温存している状態で停戦することに大きな不満をもっている。ハマスが停戦約束を守ったことなど一回もないからだ。イスラエル人の中で、今回の停戦が長続きすると期待する人は0と言っても良いだろう。
南部住民の中には「ネタニヤフ首相には失望した。彼に投票するのはやめにした。」と言うものもいる。
昨日以来、ネタニヤフ首相のホームページには数え切れない停戦へ不満の書き込みがされているという。それに答えるように、ネタニヤフ首相は「もっと攻撃するべきだったと考えている人たちが大勢いることは知っている。しかし、今はこの停戦話にのってみることがイスラエルの益になると信じている。」と語った。
同時に、もし停戦の約束が破られた場合は、大規模な反撃をする用意があるとともに、「いずれは地上戦をしなければならないだろう。」との見解も示した。
しかし中には地上戦が回避され、ミサイル攻撃がとりあえずは停止したことを評価する意見もある。もし地上戦になっていれば、戦死者は少なくとも200人と予測される。予備役兵の家族たちは、5万もの大軍を招集しながら、実際に戦わずに終ったネタニヤフ首相の英断に感謝しているという。これもまた本音のようである。
<旅行キャンセル>
観光省によると、今回のガザでの戦闘の影響で発生した旅行のキャンセルは15%。クリスマス関連の旅行客にも影響が出ているという。