イスラエル選挙情報アップデート 2012.11.28

<ネタニヤフ首相リクード選挙名簿:右よりへ>

リクード内部の選挙が行われ、トップ20の選挙名簿が発表された。穏健派がリストから消え、フェーリン氏など右派勢力が参入。リクードは中道から右派に移行した。

<ツィッピー・リブニ氏 中道新党設立で出馬>

野党各党からラブコールを得ていたリブニ氏だが、新党「ツィッピー・リブニが導くムーブメント」を結成。独立して出馬することを発表した。

リブニ氏はかつてのカディマ党首。すでに6人がカディマを出てリブニ氏の新党に加わった。さらにカディマが分裂していく可能性がある。

いつまで続くか停戦・不穏なガザ国境付近 2012.11.26

<国境閉鎖緩和について>

イスラエルが、停戦の条件として合意していた国境閉鎖の緩和を始めている。とはいえ非常に微妙な緩和。陸ではガザ地区の農夫たちがイスラエルとの国境付近の畑地に近づくことを許可したのみ。

海では、漁師が6マイル沖まで漁にでることを許可したもよう。これについては、これまでの2倍の距離になる。

<不穏な国境フェンス周辺>

停戦2日目の24日、300人程度の若者がイスラエルとの境にあるフェンスに近づいたため、1人がイスラエル軍に射殺された。以後、ハマスの警察は、この地域に人が入らないように警備しているが、イスラエル軍兵士との微妙なトラブルが続いている。

25日早朝、ガザ国境付近エシュコル地方のユダヤ人のキブツに住む家に、侵入者が発生。子ども2人と一緒に寝ていた女性をナイフで襲った。女性は負傷しながらも犯人を撃退。駆けつけたイスラエル軍兵士が、犯人を逮捕しようとしたが逃走を試みたため射殺に至った。

犯人は、ガザからイスラエルへ国境を越えて侵入していた。犯罪ではなく、テロだったと見られている。

<エルサレムでも>

エルサレムでは市内を縦断する路面電車に偽物の爆弾をおく事件があった。東エルサレムではユダヤ人の過激派がパレスチナ人たちの車にひどい落書きをするなど、不穏な事件が起こっている。続いて、バスなどで爆弾テロなどが発生しないよう注意が必要になっている。

ダビデの石投げ・迎撃ミサイル 2012.11.26

イスラエルは25日、「ダビデの石投げ」と呼ばれる長距離迎撃ミサイルの実験に成功した。

今回のガザとの戦いで活躍したアイアンドームは近距離用の迎撃ミサイル。イスラエルはこれの次に長い射程を持つアローと呼ばれる迎撃ミサイルシステムも持っている。

今回の「ダビデの石投げ」はアローよりさらに長い、射程70キロ。70キロ先から発射されたミサイルを迎撃することができる。発射の様子はほとんどロケット打ち上げ状態である。

現在、レバノンのヒズボラが、イスラエルの最北端キリアット・シモナから南部のエイラットまで(イスラエル全土)ミサイルの射程に入れていると豪語している。「ダビデの石投げ」はこれに対処する。

こんなところに予算が割かれてか、今年のハヌカ(12月8-16日)のイベントは縮小気味だとか・・・。

*ダビデの石投げとは、聖書で、後にイスラエルの王となるダビデが、石投げで石をとばして巨人ゴリアテをたおしたところからきている。

<ガザもあくなき武器集め>

イスラエルが迎撃ミサイルの配備に躍起となる一方、ガザでは新たなミサイルの取得にはげんでいる。

イギリスのサンデー・タイムスによると、イランがすでにガザへ長距離ミサイル・ファジルを搬入していることがわかった。ハマスの軍事高官も、「今回のイスラエルとの戦いに対応できたのは、武器があってのこと。ハマスは武力回復をやめない。」と当然のように語っている。

ガザでは、武器を提供してくれたイランに感謝して、先週生まれた赤ちゃんに「ファジル(アラビア語で夜明け)」というミサイルの名をつけている親がいるとのこと。

エジプトで反ムルシ大統領デモ続行中 2012.11.26

ガザの停戦をみまもるはずのエジプトだが、ムルシ大統領が停戦直後に自分を最高権威に置くと発令して以来、エジプトでは各地で大規模で暴力的なデモがまだ続いている。

25日には、大統領反対派らが、大統領所属のムスリム同胞団オフィスを襲撃。同団体所属の15才の少年が死亡した。負傷者も続出している。

ムルシ大統領は、大統領権威に関する発令は「国が落ち着くまでの一時的処置だ。」と説明したが、蜂起した人々はまだ怒りの訴えを続けている。しかし、中にはムルシ大統領を養護するグループもおり、衝突しているもよう。

イスラエル総選挙にむけて 2012.11.26

イスラエルでは、停戦に入ってまもなく、選挙にむけた動きが活発化している。ネタニヤフ首相のリクード党も昨日から党首選挙が行われており、選挙名簿の作成が行われる。

2009年にネタニヤフ首相と首相の座を争った女性政治家のツィッピー・リブニ氏が政界復帰する。新党を結成するとみられているが、最大野党の労働党、新党の「未来がある党」が、リブニ氏に党に加わるようラブ・コールを送っている。

<バラク国防相政界引退>

26日、バラク国防相(70)が政界を引退することを表明。次の選挙に出馬しないと発表した。理由は「難しい決断だったが、家族との時間をもちたい。」と言っている。バラク氏はこれまでにイスラエル軍参謀総長、外務相、首相、労働党首など長い政治経歴を持つ。

恵みの雨 2012.11.24

停戦から2日目。今日は全国的に雷を伴う雨。2-3日降り続くみこみ。地上戦に突入していたら、大変困難な闘いだったと思われる。22日夜は北米系の人々にとっては感謝祭でもあった。

南部では、住民が避難先から帰宅、一部の子どもたちは登校し、徐々に日常生活へ戻りつつある。エシュコル地方では農家が約10日ぶりにガザに面する広大な畑に戻った。畑地にはあちこちにミサイルの破片があり、農作物への被害は大きいとみられる。鶏舎5棟も破壊され、鶏5000羽を失っている。

この雨で立ち上がれる-雨は農夫たちには励ましの雨、恵みの雨となった。

ハマスの息子 雲の柱作戦にコメント 2012.11.24

イスラエルのチャンネル2がハマスの息子モサブ・ハッサン・ユーセフ氏にインタビュー。今回の停戦は、時期的にも適切だったとの考えを明らかにした。

ただし「将来的には、ハマス政権を打倒しなければならない。それはイスラエルのためと言うよりは人類のためでもある。ハマスは破壊するために生まれた組織。建てあげることを知らない。一般のパレスチナの子どもたちは何も知らないで、人間の盾になる。いかに人々を巻き添えにしないでハマスと戦うかが課題。」とも語った。

<ガザ国境でイスラエル軍がパレスチナ人1人を射殺>

23日、イスラエルとガザの国境にあるフェンス前300メートルは侵入禁止区域となっている。23日、この中にパレスチナ人の若者が300人ほどが侵入し、警備しているイスラエル兵に向かって投石を始めた。

1人がフェンスにハマスの旗を掲げようとして近づいて来たため、兵士が空中砲火を3回行って警告。それでも近寄ってきたため射殺に及んだという。死亡したのはオマル・カデシさん(23)停戦から最初の死者となった。

この後、ハマスが若者たちをこの区域から脱出させている。

調子にのりすぎ!?エジプトのムルシ大統領 2012.11.24

停戦に大きな役割を果たしたムルシ大統領。来月を期限とする憲法制定を前に、22日、大統領の決断を最高裁であっても阻止できないとする法案を出した。つまり大統領は、エジプトで最高の地位-エジプト人曰くかつてのパロ-のような地位に立つということになる。

これに反発したエジプト人たちが23日、「ムルシはイスラム主義を持ち込もうとしている」「ムルシとムバラクは同じだ」と各地で大規模な反ムルシデモを行い、警察との衝突で100人以上が負傷した。カイロのタハリル広場では、座り込みのデモが続く見通し。

アメリカは、ムルシ大統領が独裁へと向かうのではないかとの懸念を表明している。

停戦から1日目 2012.11.23

昨夜宣言された停戦。その後5-10発のミサイルがイスラエル南部都市に飛来したが、被害はなし。イスラエル軍も空爆せず、22日は双方とも爆音のない1日となった。夕方になり、招集された5万の予備役兵たちも、徐々に任務を解かれ、帰宅しはじめている。

<ガザ地区の様子>

ガザでは、ハマスが22日、国民の祝日とし、大々的な勝利集会を行った。ガザのハマス代表ハニエ首相は「占領者(イスラエル)がガザを侵略する機会はなくなった。そのチャンスは二度とないだろう。」と語った。またジャバリの死については、「その血が無駄に流されることはない。」と相変わらずの敵意を語っている。

それにしてもガザ地区の破壊はすさまじい。銀行が破壊されたので、現金が極端に不足している。ビジネスはまひ。学校も破壊されている。ガザへ戻って取材している朝日新聞の山尾記者によると、一家11人が亡くなった現場では今も遺体の堀りおこし作業が続いているという。その日も男性の遺体が発見されている。

回復するには相当な資金と時間がかかるとみられる。それでも破壊されなかった通りでは、野菜が売られていたりファラフェルのスタンドが出て、買いに来る人々の姿が紹介され、活気ある様子も紹介されている。

イスラエルは、しばらくはミサイルを撃ち込めない程ハマスに打撃を与えたと言うが、実際にそうなのかどうかは、時間が明らかにするだろうと言われている。

<イスラエル南部の様子>

停戦に入る直前にイスラエル南部エシュコル地方のキブツに着弾したロケット弾で負傷し重傷となっていた兵士が、23日午後、病院で死亡した。28才だった。

イスラエルでは、万が一のことがあるので、南部都市では全域で、22日も学校は休校となった。安息日入りする明日も休校になる。22日、夜になり、ようやくスデロット、アシュケロンなどでも、買い物に出たり、レストランに出かけたり、人々が外の空気を楽しんでいる。

今回の戦闘でイスラエル側の被害総額は7億6000万ドル(608億円)。活躍した迎撃ミサイルは一発が100万円近くする。ネタニヤフ首相は、物理的心理的、また経済的回復のための特別チームを発足させた。今回の作戦中に被害を受けた地域や人々の対処に全力をあげる。

<停戦してよかったのか・・?賛否両論のイスラエル>

チャンネル2の調査では、今回の戦闘での勝利者はだれだと思うかとの問いに、どちらでもないと答えた人が46%、ハマスだと答えた人が28%、イスラエルだと答えた人は20%だった。

イスラエル市民、特に南部住民の多くは今、ハマスがまだミサイルを温存している状態で停戦することに大きな不満をもっている。ハマスが停戦約束を守ったことなど一回もないからだ。イスラエル人の中で、今回の停戦が長続きすると期待する人は0と言っても良いだろう。

南部住民の中には「ネタニヤフ首相には失望した。彼に投票するのはやめにした。」と言うものもいる。

昨日以来、ネタニヤフ首相のホームページには数え切れない停戦へ不満の書き込みがされているという。それに答えるように、ネタニヤフ首相は「もっと攻撃するべきだったと考えている人たちが大勢いることは知っている。しかし、今はこの停戦話にのってみることがイスラエルの益になると信じている。」と語った。

同時に、もし停戦の約束が破られた場合は、大規模な反撃をする用意があるとともに、「いずれは地上戦をしなければならないだろう。」との見解も示した。

しかし中には地上戦が回避され、ミサイル攻撃がとりあえずは停止したことを評価する意見もある。もし地上戦になっていれば、戦死者は少なくとも200人と予測される。予備役兵の家族たちは、5万もの大軍を招集しながら、実際に戦わずに終ったネタニヤフ首相の英断に感謝しているという。これもまた本音のようである。

<旅行キャンセル>

観光省によると、今回のガザでの戦闘の影響で発生した旅行のキャンセルは15%。クリスマス関連の旅行客にも影響が出ているという。

テルアビブのバス爆破 犯人に関する続報 2012.11.23

テルアビブのバス爆破の犯人は、犯行の数時間後に逮捕されていたことが発表された。調べによるとハマスとイスラム聖戦が協力し、アラブ人マフィアの町として知られるタイベイの男を雇って犯行に及んでいたことがわかった。犯人は、西岸地区出身のパレスチナ人で、イスラエル国内にいる家族と一緒になるための特別処置により、イスラエルの市民権を取得していた。

これをうけてイスラエル政府は、パレスチナ人のイスラエル国内に入る許可のシステムをみなおすことを検討している。

停戦成立 21日21:00(日本時間4:00) 2012.11.22

先週14日に始まった雲の柱作戦。21日も朝からベエルシェバなどにミサイルが着弾。エシュコル地方では6人(うち5人は兵士で1人は重傷)が負傷した。イスラエルもガザへの空爆を続けていたが、夜になり、イスラエルとハマスが停戦に合意。21日21:00(日本時間22日04:00)、双方ともに同時に攻撃を停止した。

今回の停戦は、ハマスと連絡を取り合っていたエジプトのムルシ大統領がスポンサーとなり、アメリカが支持。イスラエルのネタニヤフ首相が、オバマ大統領の「エジプトが提示する停戦案にかけてみてはどうか」とのすすめを受けて合意し、実現した。

<緊急記者会見>

停戦に入る30分前の21日20:30、ネタニヤフ首相は緊急の記者会見を行い、「今は(停戦への)最後のチャンスにかけてみることが正しいことだと判断した。」と語った。

同席したバラク国防相は、「ハマスとイスラム聖戦に打撃を与えた。」と作戦の目標は達成したとの見解を語った。(破壊したハマス拠点は1500カ所以上、ジャバリなど鍵となる指導者らを殺害。8日間のガザでの死者数は140人以上)

ただし、ネタニヤフ首相は、「もしハマスが停戦の約束を破るなら、市民を守るためにこれまで以上の武力で臨む用意がある」とのスタンスは崩していない。

*実際には、停戦成立後直後からもイスラエル南部都市にはロケット弾が着弾している。イスラエル側は空爆を控えている。ガザ国境に待機させている地上軍を帰還させるかどうかは22日(木)に決定予定。

<今後の手順>停戦発令から24時間はクーリング期間とし、その後、閉じられている国境を開放、物資や人の往来を再開する。しかし具体的にどの程度開放するのかなどは明らかではない。

<イスラエルに有利な解決?>

今回の停戦は、イスラエル、特にネタニヤフ首相のリクード(党)にとって有利な形になったとの分析がある。今や停戦が成功するか否かは、ハマスがイスラエルを攻撃するかしないか、ハマスが他の組織を統轄できるかにかかっている。つまりボールはハマスの側にあるということ。

さらにこの停戦以後は、エジプトがガザに関しての責任を負う形になった。これはリクードが以前から願っていた形である。(Yネット)

<ハマスも勝利宣言?>

ただし、ハマスもハマスで勝利宣言を行い、ガザの通りではお祝い騒ぎとなった。確かに、ハマスはイスラエルと対等に交渉し、テルアビブやエルサレムにまでミサイルを放った。ガザでは「歴史的勝利」と言っている。

今後、ここ2年以上、イスラエルとの接点を失ってている西岸地区のアッバス議長の立場が、パレスチナ人の間で弱体化するのは避けられないと思われる。

テルアビブのバス爆破 2012.11.22

停戦に合意する8時間ほど前になるが、12:30テルアビブ市内でバスが爆破された。負傷者は、28人。うち2名が中等度から重傷だが、いずれも命の危険はない。ショックで対処を受けた人は4人。

今回は、自爆テロではなく、バス中央部の座席下に設置された爆弾によるものだった。犯行は当初ハマスと報道されたが、治安筋は後に犯行は、無名のテロ組織だと推測されると発表した。

その後テルアビブでは、町に入る主要道路で検問を実施したため、すさまじい渋滞になった。

<菓子を配って祝うガザ市民>

ガザでは互いに菓子を配りあって、テルアビブでのテロ決行を祝う姿が報道された。