深まる社会問題で焼身自殺未遂 2012.7.17

テルアビブで、社会の矛盾、不公平なシステムに抗議する大規模な市民デモが始まってからちょうど1年になる。15日には、テルアビブで、1万人が集結し、政府に「貧しい者から搾取し、金持ちだけが栄える仕組みを是正せよ」といったデモ集会を行った。エルサレム、ハイファでも同様のデモが行われた。

テルアビブでは、デモ隊が抗議の声を上げる中、モシェ・シルマンさん(57)が、国と、ネタニヤフ首相、シュテイニッツ経済相に、社会構造の問題を問う手紙を読み上げた後、ガソリンをかぶり、自ら火をつけて焼身自殺をはかった。周囲の人々があわてて火を消し止めたものの全身90%の火傷で重傷となっている。

<生活を保護できない生活保護制度>
シルマンさんはハイファ在住。父はホロコースト経験者である。予備役兵として46才まで従軍し、その後も時々徴兵されていたという。小さな運送業をしていたが、引っ越しを機に税金の請求書が届かなくなり、気がついた時には支払額が高額になっていた。

この額を全額支払うことができなかったため、国は会社のトラックを没収。最終的には自宅もさしおさえられた。このころシルマンさんは、脳梗塞を煩い、働けなくなった。しかし障害は軽いと判断され、障害者手当を受けることはできなかった。公営住宅を申し込んだが、これも聞き入れられなかった。

最終的に受け取れた年金は、1ヶ月たったの2400シェケル(約5万円)。これでは家賃はおろか、食事もままならない額である。妹に助けられながら、知り合いにワンルームの部屋をなんとか無料で借りていたが、そこからも来週には出ることになっており、ホームレスになる寸前だった。

シルマンさんのケースは、昨年から市民デモが訴えてきたことの集積のようなものであると言われる。(生活できない生活保護などの矛盾)お金のない人はどこまでも搾取され、金持ちは景気回復の名の元に常に利益を得るシステムだという。

こうした背景の中で、正統派が従軍しない、働かないのに、社会保障だけは受け取っていることもクローズアップされていいる。イスラエルの社会は、建国60年を過ぎた今、価値観が急速に変化している。システムがその変化についていけていないようである。ネタニヤフ首相の荷は大きい。

ロンドン・オリンピックのテロ対策 2012.7.13

27日から始まるロンドン・オリンピック。世界的にイスラム勢力が台頭する中、オリンピックで国際テロが発生するのではないかと懸念されている。イギリス政府は、昨日、治安のための兵力7500人に、さらに3500人を加えると発表した。

また、オリンピック会場上空を侵入禁止空域とし、1ヶ月間、空軍が監視することになっている。

なお、イスラム教徒は今月中旬よりラマダン(1ヶ月間、日がのぼっている間は断食する)に入る。ラマダンが、テロへの抑制となるか、イスラム意識の高まりとともに、逆に危険となるのか、とりなしが必要である。

シリアが化学兵器を動かし始めた!? 2012.7.13

12日、シリアではたった一日の政府軍による攻撃で、市民ら200人以上が死亡したことがわかった。またこれとは別に、アメリカからの情報では、シリアが、サリン神経ガスなどの化学兵器を倉庫から動かしはじめているという。

化学兵器を反政府勢力に対して使用するつもりなのか、反政府勢力に奪われないように安全なところに移そうとしているのかどうかは不明。シリアは世界でも最大の大量破壊兵器保有国と言われ、これまでからも、国際社会から、管理責任を問われてきたところである。

<シリアのイラク大使がシリアから離反>
シリア外交官のトップとも言えるイラクへのシリア大使、ファレス氏が、シリアからの離反を表明。現在、カタールにいるもよう。先に逃亡したシリア軍将軍のトラス氏につづいて、トップクラスの政府高官の離反は二人目。

しかし、アサド大統領本人は先週、ドイツのテレビインタビューで「国が危機にあるときに、大統領は逃亡しないものだ」と語り、この内戦の中、はでに軍事演習を行って、強気の姿勢を変えていない。

<国連特使アナン氏の努力>
混迷し続けるシリア情勢について、ロシアと中国の協力がないため、国際社会は全くの無能状態である。アナン特使は、アメリカの反対をおしきってイランにまでおもむき、シリア休戦にむけた協力を要請したが、解決の糸口はみえていない

ユネスコがガザ・イスラム大学を議長大学に 2012.7.13

11日、ユネスコが、ガザ・イスラム大学を、天文学と天体物理学、宇宙科学に関する議長大学として認定し、その認定式がガザで行われた。(議長大学は、担当の学問での発展を促す役割と担う)

しかし、イスラエル外務省によると、ガザ・イスラム大学は、ハマスによる大学で、テロや武器の開発をしている大学だという。イスラエル空軍が大学の建物を攻撃した経過がある。

さらに、ハマスに拘束されてていたシャリート兵士は、この大学のキャンパス内に拘束されていたという情報もある。イスラエル外務省は、「今回のユネスコの措置にショックを受けている」との公式発表を出した。

ネタニヤフ首相、ピンチ-徴兵制をめぐって 2012.7.13

正統派ユダヤ教徒とアラブ人の徴兵を免除するとした法律「タル法」の期限が8月1日にせまっている。

もしこのまま何もせずにこの日をむかえた場合、正統派とアラブ人の徴兵に関する明確なポリシーが欠損する形となってしまうため、首相は、早急に政府としての方針を決めて新しい法律にまとめなければならない。
しかし、ネタニヤフ首相は、正統派にも徴兵の義務を求める世論とそれを支持するカディマ党、徴兵義務に難色を示す正統派の間をいったりきたりするだけで、迷走状態が続いている。どちらにもいい顔はできないというわけである。

万が一、首相が決断できなかった場合、または、正統派の従軍が義務づけられなかった場合は、カディマ党が連立を離脱することになり、再び総選挙になる可能性が高い。ネタニヤフ首相、難しい決断である。

アメリカからイスラエルへ移住 満面の笑顔 2012.7.13

12日、イスラエルのベン・グリオン空港に数百人の若いユダヤ人たち、あるものは小さな子どもをつれて家族連れでアメリカから到着。感動の移住の瞬間となった。

これらの人々は、ある程度経済力もあり、軍隊でも即戦力になる。さらには、イスラエルで生まれ育ったユダヤ人より愛国心がある場合が多く、イスラエルにとっては大きな力となる人々である。こうしたアメリカからの新移民を乗せた特別機は、8月にも来る予定。

ロシアの洪水で170人以上が死亡 2012.7.9

ロシアの黒海付近で金曜(6日)、2ヶ月分の雨が一気に降ったような大雨が降ったが、この雨で鉄砲水のような洪水が発生、これまでに170名以上の死亡が確認されている。今も地域は水に浸かったままで、行方不明者もまだ多数。

濁流に流された車が木にひっかかったままの姿で残されるなど、「津波のようだった」と表現されている。5000件以上が全壊しており、復旧には時間がかかりそうである。

人々は木や家の屋根などに上って助かったということだが、今回の災害では、避難命令が間に合わなかったとされ、検証がすすめられている。

リビアの議会選挙でムスリム同胞団が優勢 2012.7.9

カダフィ大佐が失脚してから、はじめての議会選挙がリビアで行われている。選挙結果が発表されるのはまだ先になるが、現時点で、イスラム主義候補、ムスリム同胞団が優勢と報道されている。

<エジプトでムルシ大統領が、ムスリム同胞団優勢の議会を招集か?>
エジプトのムルシ大統領が、軍最高評議会に解散させられた下院(人民議会)を招集し、軍との対立が表面化しはじめたと報じられている。

南スーダンへ帰国するビリーバーたち 2012.7.9

ダルフール紛争など激しい内戦を通って、南スーダンが独立を果たしてから、今日でちょうど1年になる。これをうけて、イスラエルは先月から、南スーダンからの難民を送還する措置を始めている。すでに数百人が送還、または自主帰国した。

エルサレムアッセンブリー(キリストを信じるユダヤ人教会)でもスーダン人兄弟姉妹たちを送り出さなければならなくなり、なごりおしい別れが始まっている。今まだエルサレム・アッセンブリーに残っているスーダン人にもここ1-2週間の間に、帰国命令が内務省から届く予定だという。

一般のメディアで報じられるのは、帰国を拒否するスーダン人のイメージだが、これらのビリーバーたちは、イスラエルで過ごした5年間に感謝するとともに、笑顔で祖国への帰国に喜びと希望を語る。

ある若い家族(夫婦と小さな子ども二人)は流ちょうなヘブライ後で、「帰国後はレストランをはじめて、新しい生活をスタートしたい」と語る。南スーダンの現実はまだまだ厳しい。そんな中でも希望を語る彼らは、主を力強く証している。

<エルサレム・ユダヤ人教会から南スーダンへ宣教師派遣>
イスラエルにいる間に、エルサレムアッセンブリーのサポートで献身者として育てられたスーダン人の兄弟がいる。彼は、数ヶ月前に帰国、祖国で宣教活動をはじめ、すでに会堂建築の基礎工事がはじまったと連絡があった。

エルサレムアッセンブリーでは、この働きを経済的にもバックアップする。送金に関する政府の許可もとれたとのこと。エルサレムのユダヤ人教会が、海外に宣教師を送り出すという、初代教会の形が実現している。

シリア:アサド大統領の側近が離反 2012.7.7

内戦と混乱が日々激化しているシリア。アサド大統領の側近にいる人物で、シリア軍トップの一人であるマナフ・トラス将軍(スンニ派)が離反し、7日、トルコ経由で第三国へ移動したことがわかった(行き先は不明)。アサド大統領内部から離反者が出るのは初めて。

7日は、パリで「シリアの友人会議」と称する国際会議(ロシアと中国を除く世界107カ国参加)が開催されていたところで、このトラス将軍離反のニュースは「よいサイン」と受けとめられた。

<あと何人死ぬことになるのか・・・>

今回の「シリアの友人会議」において、アメリカのクリントン国務長官は、「アサド政権が崩壊するのは明白。問題はそれまでにあと何人死ななければならないのかということだ。」と述べ、ロシアと中国に対し、傍観はやめて具体的にシリアに働きかけるよう強く訴えた。これに対しロシアは「不適当な発言だ」と反論している。

シリアでは先週前半、特に死者数が増え、3日間だけで300人が死亡したと報告されている。またシリア難民からの証言で、シリアには、国営の拷問施設が27カ所あることや、拷問の具体的な様子なども明らかになり、世界を震撼させている。

福島第一原発、イスラエルに技術支援要請 2012.7.7

修復作業がはかどらないばかりか、半壊状態の施設の破壊がすすんで、放射能漏れがますます指摘されている福島第一原発。イディオト・アハロノト紙によると、日本(復旧を担当する会社)は、エキスパートによる技術協力と、起業家らに復旧プロジェクトへの参加を呼びかけたもよう。

今回、技術協力を要請しているのは、放射能に汚染した水の処理。支払われるのは約1280万ドル(1億240万円)。

福島第一原発については、6日、「津波の被害である前に、人災であった」と日本政府が発表したとの報告がBBCなどでトップニュースだった。大飯原発の再稼働と、反対デモの様子も同時に伝えられている。

アメリカ軍、ホルムズ海峡付近に軍備増強 2012.7.7

7月1日、ヨーロッパからの新しい経済制裁発動と同時に、長距離ミサイルの発射実験をするなど、強気を見せているイラン。アメリカは、湾岸地域に空母を配置、ホルムズ海峡付近の水雷除去兵力を2倍にするなど、「ホルムズ海峡には手をださぬよう」との無言のメッセージをイランに送っている。

*中東から日本を含む世界に石油を運ぶタンカーの35%は、ホルムズ海峡を通過している。イランは、中東35カ所のアメリカ軍基地をいつでもミサイル攻撃する用意がある、またホルムズ海峡を閉鎖すると脅迫している。