エジプト軍がシナイ半島空爆 2012.8.9

4日、シナイ半島、ガザ国境ラファ付近で、イスラム武装勢力*に警察官16名を殺害されたエジプト。ムルシ大統領が、無法地帯化しているシナイ半島の安定化に乗り出した。

*この武装勢力は、この直後奪った輸送車でイスラエルでのテロを実行しようとして国境を越え、イスラエル空軍に阻止されている。

<シナイ半島の武装勢力へ空爆>

まずは、昨日からガザとエジプトの間の密輸トンネルを閉鎖。今日8日には、ラファ付近、空軍を使ってシナイ半島北部を空爆した。これにより、武装勢力20-23人(情報によっては30人)が死亡している。

エジプトが、シナイ半島、イスラエルとの国境付近で本格的な軍事行動に出るのは1973年にイスラエルと和平条約を結んで以来のこと。

<諜報機関チーフとシナイ半島知事を解雇>

今回警察官が16人殺害された事について、エジプトの諜報機関長官は、数日前にイスラエルから警告を受けていたことがわかった。

長官は、情報を得ていたことを否定せず、「まさか、同じイスラム教徒が、ラマダンの断食明けの食事を取っている最中の警察官を襲うとは思わなかった。」とミスを認めた。

これを受けてムルシ大統領は、この諜報機関長官、ならびにシナイ半島知事を解雇した。シナイ半島には、暴動対処になれている部隊を派遣するよう、タンタウィ国防相に要請した。

焼身自殺未遂4人目 2012.8.9

先月、テルアビブでモシェ・スリマンさん(57)が政府の福祉政策に抗議して焼身自殺したが、その2週間後に、障害のある元イスラエル軍兵士が同様の焼身自殺を試み、死亡した。

その後精神病院で1人、今日また70才の女性が政府に抗議して焼身自殺をはかった。あとの二人は重傷となり、病院で手当を受けている。

無法地帯シナイ半島-防がれたテロ 2012.8.7

昨日発生したシナイ半島でエジプト警官16人を殺害し、APC(軍用車両)を2台を強奪してイスラエルに入ろうとしたテロ事件。犯行グループは500キロもの爆発物を持ってイスラエル領内2キロの地点まですすんでいたことがわかった。

車両は、空軍によって爆破されたため、市民に対する大きなテロは未然に防がれたことになる。作戦はわずか15分で終了しており、イスラエル軍のガンツ参謀総長は、現場にいた兵士らの的確な対処を高く評価した。

しかし、今回の事件でシナイ半島がいかに無法地帯になったのか、より明確となり、イスラエル軍は続けて警戒する。

<エジプトムルシ大統領の対処>

エジプトの警官16名が死亡した今回の事件は、エジプトのムルシ新大統領にとっては大きなテストとなる。ムルシ大統領は犯行グループを激しく非難。エジプト警備隊が殺害されたガザとの国境ラファを包囲して、付近にいるジハードのメンバーの逮捕を試みている。

<だれがなんの目的で???>

今回のテロ未遂事件は、だれの犯行か、何の目的かがよくわかっていない。ムスリム同胞団は、エジプトとガザ地区の関係を悪化させようとするイスラエルの陰謀だとイスラエルを非難した。無論、イスラエルはこれを否定。

今回のテロは国際ジハード(聖戦)の犯行と考えられており、イランやヒズボラ関係ではないとみられている。ではだれの犯行かということになるが、イスラエルのバラク国防相は、シナイ半島が本当に無法地帯になってきていること、エジプトのムルシ大統領がシナイ半島の現実に目を向けるきかっけになってほしいとのコメントを出している。

シリアのヒジャブ首相が離反 2012.8.7

昨日、シリアのヒジャブ首相がアサド政権から離反。自由シリア軍に助けられて、家族と共に国外へ脱出した。現在、どこにいるかは不明だが、ヒジャブ首相は、月曜、アルジャジーラを通じて、アサド政権から離反したことを表明した。

CNNによると、ヒジャブ首相の任命はわずか2ヶ月前であり、彼の離反はアサド大統領の面目をづぶすが、実質アサド政権に及ぼす影響は少ないとみられている。

シナイ半島からイスラエルへ、テロ集団 強行侵攻 2012.8.6

5日午後8時(日本時間6日午前2時)、グローバル・ジハーディスト(アルカイダ関係のイスラム過激派で聖戦主義者・・イスラムのために殉教する者)のグループが、シナイ半島北部ラファ付近を警護していたエジプト警備隊を、RPGミサイルなどで襲撃し、15名を殺害。

エジプトのAPC(兵士運搬軍用車)2台を強奪して、イスラエルとの国境カレン・ショムロン検問所へ移動し、警備中のイスラエル軍に対して対戦車砲などで攻撃を開始した。イスラエル軍が応戦し、1台は爆破したが、1台はイスラエル領内へ侵入した。

エシュコル地域などイスラエル南部ガザ周辺住民には、一時外出禁止の指令が出されていたが、まもなくイスラエル空軍が侵入車両を空爆して、ジハーディストら7人はすべて死亡した。イスラエル市民、兵士らに被害はなかった。

<再燃するガザ情勢>

これに先立ち、イスラエル空軍は、ガザへのピンポイント攻撃を行い、1人(19才)が死亡した。イスラエル軍によると、ガザで死亡したのは、ジハーディストで、イスラエルに対するテロを計画中だったという。

その後まもなく6時ごろ(日本0時ごろ)、イスラエル南部スデロットなどに連発したミサイルが着弾している。

ゴラン高原にシリア人1人侵入 2012.8.5

上記事件の2日前の4日、ゴラン高原で、鉄条網を断ち切ってイスラエルへ侵入しようとしたシリア人1人がいた。イスラエル軍が発砲し、負傷している。

シリアではアレッポでの激しい戦闘で、町の60%を反政府勢力が制圧していると言われていたが、現在、2万人の政府軍がアレッポを包囲しているもようで、今後、ゴラン高原へのシリア人侵入もさらに増えるとみられる。

イスラエルが恐れるのは、南部シナイ半島からジハーディストが侵入してきたように、北部ゴラン高原からも、シリア内戦の混乱に乗じて、テロリストが侵入してくるのではないかということである。

<ゴラン高原のシリア側がシナイ半島と同様の無法地帯になりつつある>

今回、シナイ半島からジハーディストが侵入してきたが、これは、シナイ半島が、ムバラク政権が倒れた後、無法地帯と化し、今やアルカイダなどあらゆるイスラム過激派の潜伏地帯となった結果である。

シリアについても、アサド政権が倒れた後、ゴラン高原に接する地域が無法地帯となり、イスラム過激派のイスラエル攻撃の拠点になるのではないかとイスラエルは警戒を強めている。

シリア・アサド政権とイラン 2012.8.5

シリアでは、3000人のイラン革命軍兵士が、アサド政権を支えていることがわかった。アサド大統領は、イスラム教シーア派に近い少数派のアラウィー派。これに対し、大多数のシリア国民は、シーア派とは絶えず敵対するスンニ派である。追いつめられたアサド大統領が、離反者相次ぐシリア軍よりも、シーア派国家イランの方を信頼しはじめているのではないかと分析されている。

<自由シリア軍(スンニ派)がイラン人巡礼者48人を拉致>

昨日、ダマスカス近郊で、巡礼のバスが来ていたイラン人48人をシリア軍が襲撃48人を拉致した。誘拐されたイラン人の消息は不明。イラン人の拉致はこれが初めてではなく、1月にも発生している。

シリア内戦に、イスラムのシーア派対スンニ派の戦いという要素もあるということである。

パレスチナ国連問題再び 2012.8.5

昨年9月、パレスチナ自治政府は、国連安保理に対し、PLO(パレスチナ解放機構)の名目による国連の団体オブザーバーの立場から、パレスチナという国名による加盟国として、国連に加えられるよう安保理に要請を出した。

これについて安保理は、地域の安定化につながらないとして、採択せず保留にしたままである。これに対し、パレスチナ自治政府は、今年9月、別の切り口から再び国連にチャレンジする方針を明らかにした。

今年は、国連に対して、”国連の団体オブザーバー”から”国連の非加盟国オブザーバー”にアップグレードするよう、国連総会に要請する。同じオブザーバーでも、”団体”から”国”としての国際的な認識を得ることになる。

実際には、事務総会で何が決まっても実行力はないのだが、パレスチナが”国”であるとの認識が定着してくれば、安保理もパレスチナを加盟国として認めざるを得ない状況が生まれるとのねらいがある。

ゴラン高原にシリア人1人侵入 2012.8.5

4日、ゴラン高原で、鉄条網を断ち切ってイスラエルへ侵入しようとしたシリア人1人がいた。イスラエル軍が発砲し、負傷している。

シリアではアレッポでの激しい戦闘で、町の60%を反政府勢力が制圧していると言われていたが、現在、2万人の政府軍がアレッポを包囲しているもようで、今後、ゴラン高原へのシリア人侵入もさらに増えるとみられる。

イスラエルが恐れるのは、南部シナイ半島からジハーディストが侵入してきたように、北部ゴラン高原からも、シリア内戦の混乱に乗じて、テロリストが侵入してくるのではないかということである。

<ゴラン高原のシリア側がシナイ半島と同様の無法地帯になりつつある>

今回、シナイ半島からジハーディストが侵入してきたが、これは、シナイ半島が、ムバラク政権が倒れた後、無法地帯と化し、今やアルカイダなどあらゆるイスラム過激派の潜伏地帯となった結果である。

シリアについても、アサド政権が倒れた後、ゴラン高原に接する地域が無法地帯となり、イスラム過激派のイスラエル攻撃の拠点になるのではないかとイスラエルは警戒を強めている。

シリアとレバノン(ヒズボラ) 2012.8.4

シリアでは、アレッポとダマスカスでひっきりなしに爆音が聞こえ、激しい戦闘が続いている。ダマスカスでは、パレスチナ人難民キャンプが爆撃され、21人が死亡した。

反政府軍も本格的な武器で応戦しており、3日だけで死者は120人に上る。数ヶ月前からアメリカが、自由シリア軍(反政府勢力の一派)を軍事的に支援しているもよう。

<シリアがレバノン国境に地対空ミサイル配備>

戦闘が激しくなる中、3日、シリアがレバノンとの国境付近に、地対空ミサイルを新たに設営していることがわかった。

レバノン国境にミサイル基地があるということは、万が一ヒズボラとイスラエルが交戦状態に陥った場合、化学兵器を含むシリアの武器が簡単にヒズボラの手に渡ることを意味する。

この情報を伝えたのはヒズボラ関係の情報筋であったため、シリアとレバノン(ヒズボラ)の間になんらかの軍事的な合意があるのではないかと懸念されている。

イスラエルの国連大使は、国連総会において「世界はシリア、ヒズボラ、イラン三者協力の危険性に気づくべきだ」と訴えた。

<アナン特使辞任>

シリア問題の特使として尽力していたアナン元国連総長が、8月31日をもって働きから解かれることになった。シリア情勢が悪化の一途をたどり、もはや仲介ができる様相ではなくなってきたためである。

<国連総会による決議>

アナン氏辞任の翌日、国連では事務総会が開かれ、加盟193カ国が、殺戮続くシリアへの非難と、何の介入もできていない国連安保理への非難、また先月アラブ同盟が出した停戦案に関する決議を行った。

結果、賛成133、反対12、棄権31の圧倒的多数で可決。バン・キ・ムーン事務総長が、シリア政府と安保理に対する非難声明を出すとともに、シリアには、政権移行を強く訴えた。*安保理と違って、事務総会決議に実効力はない。

この決議に反対したのは、ロシア、中国、シリア、イラン、北朝鮮など。ロシアは、反政府勢力だけを支援するのは、一方的で和平につながらないとして、この総会決議を批判した。

<ロシアのアサド政権支援>

そのロシアだが、4日、アサド政権からモスクワに派遣された使節団の要請に応じ、シリアから原油を購入、代わりにガソリンなど石油製品をシリアに輸出することを決めた。実質シリアへの経済支援ということになる。シリアは、昨年、混乱が続く中で、ロシアから10億ドルにも及ぶ武器を購入している。ロシアとシリアの関係は深い。

イラン問題再燃-イランを攻撃するのはアメリカか!? 2012.8.4

イランの核兵器配備に関する情勢が再燃しはじめ、イスラエルが9月、10月にも攻撃するのではといった記事が出回っている。

しかしアメリカのパネッタ国防秘書が先週、イスラエルを訪問。改めて、「アメリカはイランに核を保有させない。」と、アメリカの対イラン政策の確実性を明らかにした。実際、アメリカは先週、イランに対する経済制裁を開始している。

現在、湾岸地域には、アメリカをはじめ、イギリス、フランスも戦艦を配備しており、海空双方からイランの動きを権勢中。西側諸国が対イラン体制を本格的に固めている。

こうした世界情勢から、イランをイスラエルがあえて単独攻撃するよりもむしろ、アメリカに攻撃してもらう方が賢明だと考えるのが自然である。今後ネタニヤフ首相とバラク国防相が、どこまでアメリカを信頼し、どう決断するのか、注目されるところである。