前倒し国会解散・総選挙決定 2012.10.10

9日夜、ネタニヤフ首相が、国会の解散・総選挙を来年早々にも行うことを正式に発表した。来年10月の任期切れを待たずに行う前倒し選挙ということになる。イスラエル国内は現在、このニュースでもちきり。

ネタニヤフ首相は、解散の主な理由は、連立政権内で、新しい予算案に合意できなかったことだと述べた。

次に、総選挙のある年は、残念ながらどの党も国の利益よりも党の利益を優先せざるをえないことをあげ、不安定な中東情勢、イラン問題やヨーロッパの経済危機を前に、来年10月までゆっくりと選挙戦を行うことは国の益にならないとも述べた。

総選挙の日程はまだ明らかではないが、ネタニヤフ首相の発表によると、3ヶ月後の1月中旬から2月初頭になるみこみ。

ベン・グリオン空港付近で未確認飛行物体?2012.10.10

今朝現地時間5時ごろ、ベングリオン空港の管制塔で、あやしい飛行物体が確認されたため、一時、全旅客機の発着が停止された。空軍機がスクランブル発進し、安全を確認してから航空機の発着が再開された。

先日UAV(無人航空機)がイスラエルに飛来して撃ち落とされたため、緊張が続いているもよう。

フランスの反ユダヤ主義暴力再燃 2012.10.10

フランスでは3月にトゥルーズでのテロで、ユダヤ人4人が銃殺されたが、9月にも、パリ郊外のコシェル食品店(ユダヤ教の食物規定にあった食品を取り扱う専門店)に手榴弾が投げ込まれ、1人が負傷した。

さらに先週、パリ郊外で、走り去る車からユダヤ教シナゴーグに実弾が撃ち込まれた。幸い負傷者はなかった。現在、フランス警察は大規模な反ユダヤ勢力狩りを行っており、フランス中ですでに多数の逮捕者が出ている。

今週末、警察はパリ郊外のある駐車場への掃討作戦を実施。この時、犯行グループと警察の間で銃撃戦となり、一人が死亡、10人が逮捕された。

現場では、爆弾製造物資の他、多額の現金と武器も押収された。逮捕された者たちの中には遺書を書いていた者もいたという(自爆テロの可能性)。これまでに逮捕された者たちは、すべて最近イスラムに改宗したフランス人である。

警察は、フランス国内でかなり危険な勢力が動いているようだと懸念を語っている。

勇気のシンボル:タリバンと戦う14才少女重傷 2012.10.10

パキスタンで勢力を伸ばしているタリバン(イスラム原理主義組織)。2007年から支配する地域スワット・バレーでは、イスラムの法律を強化するとして、女子学校が次々に閉鎖された。これに抗議していた14才の少女マララさんが昨日、帰宅途中に銃で頭と首を打たれて重傷となった。

マララさんは、学校の閉鎖を脅迫するタリバン勢力に恐れず毎日登校。2009年からは、イギリスのBBC放送にブログを投稿し、タリバン政権下の毎日の様子を伝え、女子の学校を閉鎖しないでほしいと世界に訴えていた。

マララさんの勇気ある行動は多くのパキスタン人の支持を得ており「勇気のシンボル」となっていた。今回、マララさんが銃撃されたことで、パキスタンでは、反タリバン運動が燃え上がっているという。

救急で手術を受けたマララさんの状態は今、おちついたとのことだが、家族は「マララは、恐れていない。回復したらまた同じ抗議行動に出るだろう」と語っているという。

カルメル山にパトリオット迎撃ミサイル設置 2012.10.9

2日前、イスラエル軍に撃ち落とされたUAV(無人航空機)はヒズボラによる可能性が高いことがわかった。緊急性はないが、イスラエル上空で情報収集された可能性がある。

イスラエル軍は、万が一ハイファ(北部でヒズボラに近い)がミサイル攻撃された場合に備え、カルメル山、ハイファ大学近くに、パトリオット迎撃ミサイルを配置した。

*数日前、迎撃ミサイルに配置された兵士の劣悪な環境が指摘されている。南部の迎撃ミサイル担当の兵士たちはトイレもなく不潔な状態で任務についているという。

イスラエル南部にまたロケット弾の雨 2012.10.9

日曜、イスラエル空軍がガザ地区内にいた二人のパレスチナ人ジハーディスト(聖戦主義武装勢力)を、イスラム教モスクを含む地点への空爆で殺害。巻き添えで負傷者も発生した。

これを受けて本日月曜、ハマスはイスラエル南部の町々に50発以上の砲撃を行った。負傷者はなかったが、建物に一部損傷が出た。住民は1日シェルターですごした。

祭りのあとのひととき(シェミニ・アツェレート) 2012.10.9

レビ記23章36節によると、イスラエル人は仮庵の7日が終わった翌日、8日目も主の前に出るよう記されている。今年はそれが昨日8日だった。

ユダヤの例祭は、主がしてくださったこと、主がこれからしてくださることを覚えるために定められているのだが、この日だけは不思議に記念すべきできごとがなにもない。

ユダヤ教では、この日は、仮庵の週を民とともに過ごした主が、祭りが終わって帰途につく民と最後にもう一日共に過ごしたいと願われている日だと言われる。

この日は、主が何かをしてくださったから主を愛するのではなく、ただ主ご自身をよろこぶ日。主もまた、私たちが何もなしえなくても、ただ共にいたいと願ってくださっている。それを喜ぶ日である。

イスラエルではこの日は安息日と同じ扱いとなり、ビジネスやバスも止まる。この日は早朝から嘆きの壁で祈る人々でいっぱいとなった。

<シムハット・トーラー(みことばをよろこぶ日)>

シェミニ・アツェレートの翌日(一部の宗派ではシェミニ・アツェレートと同日)はシムハット・トーラーと呼ばれ、主がみことばを与えてくださったことを喜ぶ日とされている。ユダヤ教では、1年間の聖書通読が終わって新しくスタートする日となる。

嘆きの壁ではトーラーの巻物を抱えた男性たちが、喜びながら輪になって踊る姿が見られた。

この秋、イラン攻撃はない? 2012.10.7

イスラエルでは、ネタニヤフ政権がイラン対策において、大きく方向転換していると分析されている。

ここ数ヶ月、ネタニヤフ首相とバラク国防相の発言は、今にもイランを攻撃しそうな緊張感にあふれていた。国民にガスマスクを配布し、戦争にはどう対処するかといったパンフレットまで全戸配布していた。ところが、今は、イランとの戦争はない、または不要だとの空気になっている。

まずは、国連総会でのネタニヤフ首相の発言から、少なくとも来年春、または夏までは攻撃はないということがあきらかになった。さらに先週、イラン通貨リアルの大暴落を受けて、大規模な反アフマディネジャド・デモがテヘランで発生。世界の経済制裁が、予想以上にイランに影響を与えていることがあきらかになったためである。

これと平行して、ネタニヤフ首相とバラク国防相の関係が悪くなっていることも方向転換の原因と考えられている。

国民は胸をなでおろしているものの、ネタニヤフ首相の”ジグザグ政治”(ころころと方針を変える)にはやや食傷気味である。

新しい脅威:UAV(無人航空機) 2012.10.7

昨日土曜、地中海ガザ方面から一機の無人航空機(UAV:いわゆるドローン)がイスラエル領内に飛来。15分強飛んだ後、ネゲブの無人地帯でイスラエル軍戦闘機が撃ち落とした。

撃ち落とすまでに15分かかったのは、人口密集地上空を避け、さらに危険物を搭載していないか確認するためである。現在残骸の調査が急がれている。

<懸念されること>

イスラエルの脅威はイランなど周辺諸国からの弾道ミサイルである。しかし、最近はUAVが発達し、情報収集されるだけでなく、それらに爆発物や化学兵器が搭載されている可能性もあり、対処が難しい。

今回のUAVは、ガザ方面から来たのだが、ハマスはそうしたハイレベルな武器は持ち合わせていないことから、ヒズボラが、イスラエル南部ディモナにある原子力センターを偵察していた可能性がある。

なお、UAVの飛来は今回が初めてではない。2006年にもヒズボラが2回UAV(イラン製)をイスラエル北部に飛来させ、イスラエル軍に撃墜された経過がある。

トルコとシリアは戦争突入寸前-緊張続く国境周辺 2012.10.7

先週、シリアの砲弾でトルコ市民5人が死亡。トルコはすぐに報復攻撃し、シリア兵数名が死亡したと見られる。

シリア政府は、トルコに謝罪したが、その後も、シリアからは流れ弾などがトルコ領内に着弾している。トルコはそのたびに報復。今日で4日目となった。国境付近のトルコ市民はシリアからの砲弾をさけて避難中である。

トルコのエルドアン首相は、「トルコはシリアとの戦争は望まない。」としながらも、トルコは自国民を守る用意があるとも語っている。トルコ議会は、先週の攻撃を受けて、攻撃された場合は、国境を越えてシリアへ武力行使することを承認している。

<誰の責任かはわからない>

トルコはシリアへ反撃しているが、実際のところ、トルコに砲撃したのが、シリア政府軍なのかどうかは明らかではない。トルコは反政府勢力を支援している立場だが、反政府勢力は、様々なグループが集まった烏合の衆に近いものがある。反政府ゲリラ一派からの砲撃、または流れ弾である可能性も否定できない。

国民を守る義務のあるトルコのエルドアン首相は難しい立場に立っているといえる。

<無力な国際社会>

トルコとシリア国境の緊張だが、アメリカは、トルコを砲撃したシリアを非難したが、大統領選挙直前で、対処するどころではない。国連安保理も相変わらずロシアと中国との一致がなく、なんの対処もとれていない状況である。

ただひたすら、シリア内戦が、シリアだけで収まることを願っているというところか。

ヨルダンでも大規模市民デモ(指導はムスリム同胞団) 2012.10.7

「アラブの春」-市民デモによる中東独裁指導者の転覆の波ーが始まってから、夜安心して寝られないのがヨルダンの国王である。ヨルダン王室は、こうしたデモがヨルダンでも発生しないよう、議会政治の改革を国民にアピールしてきたのだが、今にいたるまで大きな変化がみられず、国民の反発が高まっていた。

こうした流れを受けて、ヨルダンのアブダラ国王は、先週木曜に現在の国会の解散しての改革を宣言。しかし、その翌日の金曜5日、首都アンマンで数千人規模のデモが発生した。市民は、憲法を改正し、王室が単独でもつ権威を減らすよう訴えている。

今回、特に注目されたのが、このデモを指導したのが、ムスリム同胞団だったということである。ヨルダンの政治には昔からムスリム同胞団が大きな役割を果たしてきているのだが、これが同団体の台頭につながるかどうかが注目されている。