西岸地区テロでイスラエル人死亡、入植者らも暴走 2013.4.30

<パレスチナ人のテロでイスラエル人死亡>

30日朝、西岸地区北部のバス停でバスを待っていたイスラエル人男性を、パレスチナ人のサラム・ザアル(24)が、背後からいきなりナイフで刺して殺害。

被害者の銃を奪って、付近の国境警備隊に発砲し、反撃を受けて自らも負傷した。現在イスラエルの病院で手当を受けている。

被害者の男性は、ユダヤ教正統派で、西岸地区に住む”ナポ”・ボロフスキーさん(31)。演劇を通して、トラウマを受けた人々の心を癒しへと導く人気俳優だった。西岸地区だけでなくイスラエル全国で活躍していたという。7才を筆頭とする5人の子供の父親だった。

調べによると、犯人のサラム・ザアルは、パレスチナ自治区ツルカーム付近の村の出身で、ファタハに所属。彼の兄弟が昨日、イスラエルに協力したとの疑いでパレスチナ自治政府に逮捕されていた。今回、兄弟の無実をはらそうとしてイスラエル人を殺害したものとみられる。

<ユダヤ人入植者暴徒化>

この数時間後、付近のユダヤ人入植者らが、パレスチナ人の車両に投石を開始。パレスチナ人女児たちのスクールバスに当たって窓が割れ、運転手が負傷した。

入植者らは続いて近くのパレスチナ人村を襲撃。建物に火を放ち、投石もして住民1人が負傷している。イスラエルの治安部隊が駆けつけ、これまでに入植者7人を逮捕している。

治安部隊は、今後、まだ入植者らの暴力が予想されるとして、警戒を続けている。

<イシバ学生も暴徒化?>

この直後、エルサレムでは、複数のイシバ〔ユダヤ教神学校)学生が、アラビア語を話していた非ユダヤ系の捜査官2人と言い合いになった。学生らは催涙弾を使って1人を負傷させた。捜査官は1人を逮捕したが、その他の者は取り逃がした。

過激なテロリストはパレスチナ、ユダヤ双方にいる。しかし、それらは一部の者で、パレスチナ人もユダヤ人も、一般の人々は、こうした暴力には反対している。

しかし、こうした暴力の応酬が起こるたびに、一般人の内にも互いへの不信感と、怒りという壁が、積み上がっているようである。

ガザでイスラエル空軍が、爆弾テロのエキスパート暗殺 2013.4.30

4月末にエイラットなどへロケット弾が着弾していたが、イスラエル軍は本日、2回目のガザ空爆を実行。エイラット攻撃に関わっていたとみられる爆弾のエキスパート、アルミシャアル(24)を暗殺した。

軍事専門家によると、アルミシャアルは、どこの団体にも所属していない独立した爆弾のエキスパートで、ガザ以外にも自由に出入りしていたという。いわば’フリー’の雇われテロリストである。

アルミシャアルは、先月エイラットに爆弾を飛ばしただけでなく、新たなミサイルも準備中だったとみられている。

シリアのダマスカス市内でも爆破続く 2013.4.30

ダマスカスでは、昨日に続いて今日30日も市内中心地において、車に仕掛けられた爆弾が爆発。13名が死亡した。負傷者は70名を超えており、死者数はさらに増えるみこみ。

これについて、シリア政府は反政府勢力の犯行だと言い、反政府勢力の自由シリア軍は、政府軍の犯行だと言っている。

なお、昨日の爆破事件では、シリアの首相の車列が狙われ、6名が死亡した。首相自身は無事だった。

シリアでは3月に6000人以上が死亡し、これまでで最悪を記録した。以後、反政府勢力、政府軍が、シリアの首都ダマスカス周辺や市内で戦闘を繰り広げているが、今のところ、どちらが優勢ともいいがたい状況だという。

シリアが赤線を越えている!? 2013.4.28

アメリカのオバマ大統領は、先週、シリア国内で、シリア政府軍が、サリンを使ったもようとの報告を受けて、「赤線(容認の限界線)を越えた。”ゲーム・チェンジャー”(状況の変化”になる可能性がある。」と述べた。しかし、軍事介入するには、まだ証拠が必要とも語った。

イギリスのキャメロン首相も、「シリアで深刻な戦争犯罪が行われている。」との認識を述べたが、イラクでの教訓を生かして、情報収集には細心の注意が必要だと述べた。

これを受けて27日、シリア政府のスポークスマンは、「シリア政府は化学兵器を使っていない。アメリカとイギリスはでっちあげで攻撃の理由にしようとしている。」と返答した。

2003年のイラク戦争では、大量破壊兵器があるとして、アメリカが軍事介入に踏み切った。しかし、後にその情報が誤りだったとの発表がなされている。

戦争で破壊されたイラクではまだ国内が混乱したままだ。そのため、たとえ赤線を越えてもシリアにどう対処するかは、欧米も慎重にならざるを得ないようである。

イスラエルでは、同じように核問題について赤線を引かれているイランが、シリアの赤線超えに、アメリカがどう対処するのか、今、注意深く見守っているのではないかと分析する専門家もいる。

レバノンの若者がヒズボラに対するジハード(聖戦)!? 2013.4.28

レバノンでは、ヒズボラが、レバノンからシリアへ1000人以上の戦闘員を派遣し、アサド政権を支援していることについて、反発が高まっている。

レバノンでは、かつてシリア軍が駐留し、事実上、シリアに支配されていた時期があった。しかし2005年、当時レバノンのハリリ首相が、暗殺されたことをきっかけに、シリア軍を追放した経過がある。犯人がシリアだという疑いから起こった「杉の革命」と呼ばれる政変だ。

この時からレバノン政権は親シリア派から反シリア派に移行している。従ってレバノンは、国としてはシリアを支持している立場ではなく、だいたい隣国の紛争には介入したくないと考えている。

シリアの化学兵器をめぐっては、シリア政権が最終的に化学兵器をレバノンのヒズボラに持ち込んだ場合、レバノンに危険が及ぶことになる。

イスラエルは先週、地中海上でドローン(無人軍用機)を撃墜したが、ドローンがレバノンから来たもので、イラン製で、発信させたのはヒズボラだと言っている。

イスラエルは自衛のためなら、攻撃を躊躇しないので、今後のヒズボラの出方によっては、レバノンが再び戦場になる可能性もある。こうした状況を受けて、レバノン人たちが、ヒズボラのせいで国が危険にさらされているとして反発を強めているのである。

先週、スンニ派イスラムの指導者が、レバノン人青年たちに、シリアへ言って反政府軍に加わり、ヒズボラに対するジハード(聖戦)に加わるよう呼びかけた。

すると数百人が応じて登録したという。その数はまだ増えると予想されている。

ラグ・バオメル(たき火の祭り) 2013.4.28

イスラエルでは、ラビ・シモン・バル・ヨハイというユダヤ教ラビが、ローマ帝国の支配が続く1世紀に、カバラとよばれるユダヤ教の神秘主義を確立した。

神秘主義とは、いわばおまじないのような謎めいた教えで、ユダヤ教をベースとする偶像礼拝である。歌手のマドンナなどが信奉していることでも知られる。イスラエル北部ツファットに本山がある。

ラグ・バオメルには、シモン・バル・ヨハイが葬られているメロン山で巨大なたき火が行われる。今年も27日夜、20万人がメロン山を訪れ、夜があけるまで、踊ったり、歌ったり、トーラーの学びをするなどして過ごした。

この日のたき火の習慣は、本来の意味とは関係なく、特にキブツなどでは、たき火をする日、そのそばでマシュマロを焼いて食べる日などと、子供たちもよろこんで参加する行事となっている。

レバノンからドローン(無人軍用機)飛来、撃墜 2013.4.26

25日午後1時過ぎ(日本午後7時)、レバノン方面から来たヒズボラのものとみられるドローン(無人軍用機)を、ハイファ沖で撃墜したとイスラエル空軍が発表した。武器を搭載していたかどうかは不明。

この時ちょうとネタニヤフ首相がヘリコプターで北部を視察に向かう途中だった。ヘリは一時着陸し、空軍の対処が終わるのまで待機した。

ヒズボラは、昨年10月に、イスラエル上空で、ドローン2機を飛行させることに成功している。ほどなく空軍が撃墜したが、この時、数分間はイスラエル上空への侵入を赦したことになった。

今回は、イスラエル上空に侵入する前に海で撃墜できたことになる。現在、海軍が残骸を探しているところである。

なお、ヒズボラは、今回のドローンについては関与を否定している。しかし、ヒズボラは100機以上のイラン製ドローンを持っていると推測されている。

<ドローンとシリアの化学兵器>

こうしたドローンにイスラエルはかなり神経をどがらせている。シリアにある生物化学兵器他、危険な大量破壊兵器がヒズボラの手に渡り、それが使われる可能性があるからだ。

ネタニヤフ首相によると、イスラエルは、陸海空すべてを慎重に監視しているという。

実際、シリア国内ではすでになんらかの化学兵器が使われていると、アメリカのヘーゲル国防相も認めたところである。

イスラエルだけのアプリ”地区”・・テロ警告システム 2013.4.26

イスラエル、特に西岸地区ではパレスチナ人が走行中の車に投石して幼児が死亡するなどの深刻なテロが発生している。

そこで登場したのが、攻撃しようとして待ちかまえるパレスチナ人の集団の存在を警告するアンドロイド向けのアプリ。ちょうど日本で速度違反をとりしまる警察の存在を知らせるようなもの。無料でダウンロード可能。

このシステムは、イスラエルの事情に通じていないカーナビが、最短ルートを示したために、イスラエル人が間違ってパレスチナ自治区に入り込むことを防ぐ機能も備えている。

ベン・グリオン空港のスト回避 2013.4.23

本日から開始される予定だったベン・グリオン空港での全面ストライキ。エル・アル(イスラエル)航空と交通省、経済省との話し合いで、航空会社にかかるセキュリティ費用の98%(現在は60%)を国が負担することで合意し、空港閉鎖のストは回避された。

今回のスト騒動は、政府がEUと締結すると決めた「オープンエア」契約から始まった。もしこの条約が実施された場合、航空運賃が下がり、他国の航空会社にはないセキュリティの費用に苦しむイスラエル国内の航空会社が大きな打撃を受けると訴えるものだった。

<足止めイスラエル人救済>

21日から丸2日間、エル・アル航空が運行しなかったため、ベン・グリオン空港は足止めとなった人々が寝泊まりし、大変な混雑となった。

政府は、フライトがキャンセルされたために帰国できなくなったイスラエル人が海外にいないか、各国に問い合わせている。(チャンネル2によると、新しくチケットを購入するには1000ドル以上必要で、帰国できない人が出ているという)

毒舌?ラピード経済相、野党と激しい論議 2013.4.23

新党「未来がある党」党首で、新しく経済相に就任した政界では新人で若手のヤイル・ラピード氏。政府の膨大な財政赤字解消にむけて、防衛費削減、消費税1%アップ、子供手当の削減などを含む厳しい削減予算案を提出している。

昨日、国会で野党との対決に入った。野党には、古株のユダヤ教正統派政党シャスの議員がずらり。正統派は働かず、兵役にもつかないのに社会保障は受けるという特権を国会で主張してきた人々だ。

正統派家族には子供が多い。今はラピード財務相の子供手当の削減や、正統派の徴兵政策に大反対である。

ラピード氏はつい最近まで人気ニュース・キャスターだった。ゆっくりと嫌みをいう日本の国会と違い、けたたましいヘブル語でまくしたてるように、かなりはっきりと意見を述べる。

「あなた方は、これまでずっとそこに座っていて財政赤字を蓄積してきた。火星にでもいたんですか。まったくあなた方は金のかかる人たちだ。」「あなた方の要求を聞くのはもうあきあきしている。イスラエルはあなた方のものではない。」

「政府は子供たちが飢えることのないようにしなければならない。しかし、一つ言いたいのは、子供たちを飢えさせないようにする組織は”両親”と呼ばれる人々だ。子供を産み出したなら、育てる責任はまずあなた方にある。」

開催中の夏季国会で最もつるしあげにあっているラピード氏。全然負けをとっていないようである。

アメリカの中東テコ入れ展開中 2013.4.23

<ケリー国務長官、1ヶ月に4回中東歴訪>

先月オバマ大統領がイスラエルを訪問して以来、アメリカが中東へのテコ入れを活発に行っている。

ケリー国務長官にいたっては、オバマ大統領に同行した後、そのまま中東に残留して単独で中東を歴訪。2週間後、再びトルコ、イスラエルを訪問。先週、再度トルコに来て、エルドアン首相とアッバス議長にも面会している。

活発な訪問の目的の一つは中東和平問題の前進と、イスラエルとトルコの和解、シリア問題への対処である。

1)中東和平問題

ケリー国務長官は「イスラエルとパレスチナの交渉は、ここ2年以内になんとかしなければ、和解への道は完全に失われるだろう。」との見解を述べている。しかし、今のところ、めざましい前進は報告されていない。

2)トルコとイスラエルの和解

トルコとイスラエルとの実質的な和解交渉は、まだ成立していない。逆にエルドアン首相は、これまで保留になっていたガザ訪問を5月に行うと発表した。

ケリー国務長官は、「それは、イスラエルとの和解を促進する行為ではない。」として、ガザ訪問は控えるよう、エルドアン首相に要請した。しかし、聞き入れられなかったという。

なお、トルコとイスラエルの関係は、政府レベルでは途絶えているが、民間レベルの両国間のビジネスは実質今も活発に行われている。

3)シリア問題

ケリー国務長官は、トルコにおいて、シリア反政府勢力代表と会談。人道支援物資2億5000万ドルを追加支援すると伝えた。

シリアでは昨日も、政府軍による空爆で市民を含む80人が死亡している。現在、反政府勢力が要求しているのは武器だが、シリア内部にアルカイダなどの過激派がいるので、アメリカが武器を提供することはできないのである。

この点、トルコは軍用車両などの武器を反政府勢力に提供している。

*シリアの化学兵器は・・?

先月、シリア内部で、化学兵器が使われたとの報告が2度ほどあった。昨日、ヨルダンは、シリア内部の化学兵器を監視するイスラエルのドローン(無人偵察機)が上空を通過することに対する許可を出した。

アブドラ国王は、先月オバマ大統領がヨルダンを訪問したときにこのことを決断したという。ドローンは偵察機であるが、攻撃する能力も備える。

また、シリアの化学兵器に対処するため、ヨルダンにアメリカ軍が配備される予定との報告もある。

<ヘーゲル米国防長官訪問、100億ドルの武器を同盟国へ提供>

ケリー国務長官に加えて、21日から、アメリカのヘーゲル国防長官がイスラエルを訪問中。今日はテルアビブでヤアロン国防相と会談している。ヘーゲル氏は、「イスラエルの直面しているイラン問題は、アメリカにとっても全く同じだ」と述べ、イスラエルの現状に対する理解を示した。

ただし「イスラエルとアメリカでは、「いつ」武力行使に踏み切るのかという点で異なっている。」と語った上で、「もしイスラエルが、自己防衛のためにテヘランの攻撃を決断するなら、アメリカがそれを止めることはない」との立場を強調した。

ヘーゲル氏は、イスラエルの他に、サウジアラビア、アラブ首長国連邦と3国あわせて100億ドル分の最新武器を売却する協定を締結する予定だ。

イスラエルは、これに加えて、今年度30億ドル分の武器現物支給も受けることになっている。今回注目されるのは、空中給油機(飛行中の戦闘機に給油する飛行機)と、世界で初めて兵員輸送機オスプレイを購入する点である。

この他にも最新式のレーダーも導入する。これらの装備があれば、地域での戦力を優位に保つことができるとヘーゲル氏。

また、ヘーゲル氏は、イスラエルだけでなく、アメリカに友好的でイランの進出を快く思わない湾岸アラブ諸国に武力支援することで、シリアやイランへの強いメッセージ(核開発の停止要請)であると語っている。

エル・アル(イスラエル)航空倒産の危機!? 2013.4.22

イスラエル政府は先週、EU(ヨーロッパ連合)と、「オープンエア」契約を締結することを決めた。これにより、ヨーロッパの航空会社すべてがイスラエル入りでき、イスラエルの航空会社3社もヨーロッパのすべての国に乗り入れできるようになる。

これにより、航空運賃が下がり、より多くの旅行者がイスラエルに来ることがみこまれている。しかし、これは日本のTPP問題と同様、国内の航空会社にとって脅威になりうる。

特にエル・アル航空は他社よりも治安対策に費用がかかるため、すでに運営が危ない状況で、もしこの条約が締結された場合、倒産に追い込まれる可能性があるという。

ただし、航空会社のセキュリティにかかる費用は、国がその60%(年間1億3700万ドル・137億円)を補助している。国は補助を80%にすると提案しているが、航空会社側は100%の補助を要求しており、ストはまだ終わっていない。

<ベン・グリオン空港が前面スト>

21日、エル・アル航空の職員らは、オープンエア反対を訴えるストを開始。40便ほどがキャンセルされた。明日23日からは、エル・アル航空に協力するとして、ベン・グリオン空港が前面的なストライキに入る。

つまり、明日朝5時からいかなる航空会社もベン・グリオン空港に着陸、離陸できないということになる。