限りなく戦争に近い?新年(ラッパ)の日 2012.9.18

イスラエルは日曜、新年(ラッパ)の日を迎えた。この日は、新年を祝うとともに、ユダヤ教シナゴーグでは一斉にらっぱ(角笛)をふきならす日である。終末論の視点では、この例祭が、将来おこるとされる携挙(第一テサロニケ4:16-17)に関連があるのではないかと考えられている。

*増え続けるイスラエルの人口

新年には毎年、統計データが発表される。今年、イスラエルの総人口は783万6000人(昨年より14万1000人増)と900万人に近づいた。このうちユダヤ人は590万人(75.3%)、アラブ人は161万人(20.5%)それ以外の人々は32万5000人(1.8%)。昨年度、イスラエルで生まれた新生児は16万6000人、移民者は17万5000人だった。

<ネタニヤフ首相、アメリカ国民にイラン攻撃をアピール>

イラン攻撃の可能性で緊張するイスラエルとイラン。ネタニヤフ首相はアメリカに対し、イランの核開発レベルの”赤線”(これを過ぎたら軍事攻撃に出るという数値的限界線)を明確にするべきとの要請を行っているが、アメリカはこれに応じていない。

ネタニヤフ首相は、CNNなどアメリカの有力な3テレビ局に出演。「イランが核兵器を持ったら中東の均衡が保たれると考えている人がいるが、それは間違いだ。」などと語り、イランの核兵器開発を阻止する必要性を訴えた。

<もしイスラエルが本当に攻撃したらイランはどう出るのか>

イランのジャファリ革命軍最高司令官は、もしイスラエルが攻撃してくれば、”(イランのミサイル攻撃により)イスラエルには何も残らない”状態になると豪語した。その際には、イスラエルは、イランと関係の深いレバノンのヒズボラ、ガザなど近距離からの攻撃も受けると具体的な状況まで語っている。

また、そうした事態になれば、ホルムズ海峡を閉鎖する可能性も示唆している。こうした事態に備え、アメリカはこの地域の海上に軍備を増強して警戒にあたっている。

<イランで電気系統爆破テロか>

イランの核濃縮施設で最も注目されているのがファルドの施設。8月中旬、この施設付近で不審な爆発があり、電気系統がダメージを受けて施設にも影響が出た。それがちょうどIAEAの予告なし査察の翌日だったため、イランは、この爆発がIAEAとなんらかの関わりがあるのではないかとの疑念を訴えている。

イスラム世界の反米デモ広がる 2012.9.18

先週、リビアでアメリカ領事館が襲撃され、スティーブン大使が殺害された件。リビア政府は現時点で50人のアルカイダ系犯行グループを逮捕した。

これとほぼ同時に、エジプトのカイロでもアメリカ大使館が襲撃され、星条旗が燃やされた。これについては、アメリカ国籍の人物が作成したイスラムの預言者ムハンマドの映画(予告編としてユーチューブに流されたもの)に反発したもので、その後、数千人の群衆のデモに発展している。

この映画をめぐるイスラム教徒の反米デモは、エジプト続いて、スーダン、チュニジア、イエメンなど、中東全域、北アフリカ、フィリピン、インドネシアなど20カ国に広がっている。

いずれも数百人から数千人規模の群衆で「アメリカに死を」などと叫びながらアメリカとイスラエルの旗を燃やしたりしている。ケンタッキーフライドチキンやマクドナルド(アメリカの象徴とされる)が襲撃されたという報告もある(インドネシア)。

<イスラエル>

金曜にはイスラエルにもこの波が上陸。東エルサレム、アッコで反米デモが行われ、治安部隊と衝突したが死者負傷者はなし。パレスチナでは、ラマラとガザでデモが行われた。

今週に入ってもこの波は収まらず、昨日パキスタン、アフガニスタンでは死者も出ている。ヒズボラのナスララ党首は、レバノンで3年ぶりに群衆の前に現れ、数万人とも見えるイスラムの群衆にむかって「世界はこの映画がいかにイスラムを侮辱しているのかみえていない。」と全世界的に反米行動をおこすよう呼びかけた。
*BBC www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-19623999

イランの最高指導者ハメネイ師は、この反イスラム的とされるビデオクリップについて、西側諸国指導者に対し、「西側は、イスラムに対する敬意を現すべき」とのコメントを出した。イランはこの映画について国連に陳情書を出すもよう。

*映画の作成者は誰?
問題の映画だが、誰が作成したかは不明。当初イスラエル系ユダヤ人でアメリカ国籍の人物と伝えられたが、後にエジプト系コプト教徒(キリスト教の一派)でアメリカ国籍と伝えられた。別の人物の名も上がっているが、いずれにしても明確ではない。

<アメリカの反応>

アメリカのクリントン国務長官は先週、「この映画とアメリカはなんの関係もない」と反発。グーグルにこの映画の予告編の取り下げを申請したが、グーグルはこれを受け入れなかった。イスラエルでは「アメリカは、これまでイスラム世界の過激化についてのイスラエルからの警告を軽んじてきた。大使館が襲われて初めて気がついている。」との冷ややかな反応である。

シリアが化学兵器のテスト?2012.9.18

懸念されているシリアの化学兵器だが、ドイツ系メディアによると、8月下旬に、シリアで化学兵器を搭載できるミサイルに空の弾頭をつけてテストしていたことがわかった。

テストにはイランと北朝鮮の技術者が同席していたという。イランはこの事実を認める発言をしている。なお、シリアは世界最大の化学兵器所有国で、国内20カ所以上にそれらを動かしたとの情報がある。

内戦続くシリアだが、国連の人権保護団体は、戦いががシリア人だけによるのではなく、外国からきたイスラム武装勢力(聖戦主義者など)らによってより複雑になってきていると報告した。反政府勢力だけでなく、アサド政権も外国の支援を受けて戦っているという図式である。

18ヶ月におよぶ内戦での死者はこれまでに23000人となった。

続報 リビア米領事館襲撃 2012.9.12

リビアのアメリカ領事館襲撃による犠牲者は、当初大使館員1名と報道されたが、死亡したのは、クリス・スティーブンス駐リビア・アメリカ大使と、3人の治安スタッフの計4名であることがわかった。4人は、大使の乗っていた公用車をねらったロケット弾による攻撃で死亡したもよう。

犯行は、先の蜂起で死亡した故カダフィ大佐の支持者だという情報があるが、犯行が何者によるのかはまだ確認できていない。アメリカ政府は、リビアにいるアメリカ人、並びに全世界のアメリカ外交使節の治安強化を行っている。

<問題の映画はアメリカ国籍のイスラエル系ユダヤ人によるもの>

イスラエルのハアレツ紙などによると、今回リビア、エジプトのアメリカ領事館襲撃の原因となった映画は、2時間ものの映画で、安い費用で作成されたもの。制作したアメリカ人男性は、イスラエル出身のユダヤ人サム・バシルと名乗っており、現在行方をくらましている。

リビアの米領事館襲撃でアメリカ人1人死亡、カイロでも反米行為 2012.9.12

<リビア>

本日、リビアのベンガジにあるアメリカ領事館が、武装勢力によって、手榴弾などで襲撃され、アメリカ人大使館員が一人死亡、一人が負傷した。襲撃の原因となったのは、イスラムの預言者ムハンマドを侮辱したとされる映画。

この映画を作成したのは、アメリカ人男性で、エジプトのコプト教徒(キリスト教の一派)が制作に関係している。反イスラム的とされる映画の一部がアラビア語の字幕をつけてユーチューブに流され、今回の襲撃に発展した。(BBC)

<エジプト>

エジプトのカイロでも、同じ映画をめぐって暴徒ががカイロのアメリカ大使館におしよせた。暴徒は、9:11を覚えて半旗となっていた大きなアメリカ国旗を引き下ろし、代わりに黒地に「アラーこそ神」と書いた旗を掲げた。この後、暴徒らは、アメリカの国旗は細かく引き破り、数千人が、「アラーこそ神」と叫びながらデモ行進した。

アメリカ政府は、他の国でもアメリカ大使館などが襲撃される可能性があるとして警告を発している。

イスラエルとオバマ政権の不一致? 2012.9.12

イラン攻撃問題で緊張するイスラエル。ネタニヤフ首相は、アメリカに対し、「どの時点で軍事攻撃に踏み切るかを明確にしなければ、イランの核兵器開発を止めることはできない。」と語り、軍事介入への明確なライン設定を要請した。

これに対し、アメリカのクリントン国務長官は、軍事介入を前提にしたライン設定はしないと一蹴。ネタニヤフ首相は「世界はいったい何を、いつまで待つつもりか」と怒りを表明した。

<オバマ大統領、ネタニヤフ首相との面会を拒絶?>

ニューヨークでは来週25日から国連総会が行われる。ネタニヤフ首相は、総会で訪米するのに会わせて、オバマ大統領への面会を要請したが、スケジュールが会わないということで、ホワイトハウスは面会をいったん拒絶した。

しかしこの報道が出た直後、ホワイトハウスは拒否した事実はないと発表。CNNによると、両首脳は、電話などでしょっちゅうコンタクトをとっており、関係が悪化したわけではないと報じている。しかし、昨今こうしたことが相次ぎ、両首脳の間に溝ができはじめていることは否めない感じである。

<カナダは在イラン大使館を閉鎖、イランとの外交を停止>

親イスラエルで知られるカナダのハーパー政権は、イランのシリア(アサド政権)支援と、国連の核開発視察の非協力的であることなどに抗議して、イランのカナダ大使館の閉鎖を決めた。在カナダのイラン外交関係者も追放し、事実上外交関係が停止する。

これに対しイランは、「カナダはこれに対する支払いをすることになる。」と語った。イスラエルはカナダの動きを歓迎している。

破算寸前のパレスチナ自治政府 2012.9.12

今回の国連に国としてのオブザーバー(現在はPLOの団体としてのオブザーバー)にアップグレードを申請すると主張するパレスチナ自治政府。台所事情は火の車だ。ラマダン前にもすでに政府関係者への給料を支払えない事態となっていたが、湾岸諸国からの送金でなんとかのりきった。現在は、10月分の給料を支払えないという。

パレスチナ自治政府のお膝元ラマラでは、先週、物価上昇と給料不払いで自治政府に対するデモが発生。週末には暴力的な様相となっていた。ハアレツ紙によると、イスラエル政府は、代行で徴収している物品税2億5000万シェケル(約50億円)を前払いとして、急遽パレスチナ自治政府に送金した。

イスラエル人の出国ラッシュ-9月13日から10月11日- 2012.9.12

イラン攻撃で議論が飛び交うイスラエルだが、人々は今年もバケーションを楽しむ。イスラエルでは、9月16日から、新年、大贖罪日(ヨム・キプール)、仮庵と秋の例祭が続く。これにあわせて海外旅行に出かけるイスラエル人は、今年は120万人と推測されている。

最も人気の出国先はギリシャ。ドイツ、アメリカ、イタリア、ロシアと続く。イランがイスラエル人旅行者をねらったテロを計画しているとの情報は相変わらずである。この時期、旅行者が守られるように。

最新 イスラエル情勢まとめ 2012.9.8

1.シリアとの関連

シリア内戦は、ダマスカス、アレッポ(日本で言えば東京都と大阪といった二大都市)で激しさを増しており、停戦のきざしは見えていない。これまでに死者は21000人。8月だけで5000人が死亡している。

政府軍が、至近距離で射殺するなど、残虐性を増している。兵士たちに麻薬を与えて人間性を麻痺させ、反政府勢力や市民を虐殺させているとの情報もある。

シリアを出た難民は8月だけで10万人。周辺諸国に現在、234000人がテント生活を送っている。シリア国内の難民は120万人。国内で食料などの支援を必要とする人は250万人(先月から2倍)と推測されている。

シリア総人口2300万人・・・現時点で、国民の20%以上が戦闘に直接巻き込まれているということ。また直接戦闘にまきこまれていなくても、国が全く機能していないため、全国的に無法状態で非常に危険である。

9月6日、シリア難民を含む100人を乗せた船がトルコ沖で沈没。これまでに58人の死亡が確認された。

国連のシリア問題特使が9月からブラヒミ氏に交代。近くアサド大統領との会談も期待されている。

<化学兵器に動き>

シリア内戦に関して、イスラエルと世界が最も懸念するのはシリアの化学兵器。これらがヒズボラやアルカイダに流れると非常に危険である。9月6日の記事で、アメリカ情報局によると、シリア政府が、サリンなどの化学兵器を国内20の町に分散していることがわかった。実際には、知られている以上の化学兵器があるはずだと懸念されている。

化学兵器が分散していると、テロ組織に流れることを阻止するのが難しいとみられる。

<アサド政権を支持するイラン>

ニューヨークタイムスによると、アサド政権を支持するイランは、イラク経由で、シリアの政府軍への武器の輸出を再開し、問題となっている。

2.イランとの関連

<イスラエルのイラン攻撃近し?>

イスラエルの紙面は、イラン攻撃に関する記事が連日トップである。IAEA(国際原子力機関)の報告によると、イランの一部の地下核施設で、ウランの濃縮活動が2倍になっているという(BBC)。核兵器開発活動(?)の証拠隠滅の形跡も指摘されている。

様々な憶測が飛び交う中、イスラエルは8-10時間におよぶ防衛会議を行うなど、11月のアメリカ大統領選の前にイスラエルがイランを攻撃する可能性も否定できないと言われている。しかし、政府内部からメディアへのリークがあり、ネタニヤフ首相は、防衛会議を急にキャンセルするなど、対処に追われている。

<揺れる?アメリカ>

オバマ大統領が所属する民主党は4日、「エルサレムはイスラエルの首都」という文言を、民主党綱領から削除する方針を発表。しかし、ユダヤ勢力などの批判をあびたのか、翌日、上記事項を綱領に復活させると発表した。ネタニヤフ首相は、オバマ大統領は信用できないとの見解を示している。

<非同盟国会議と、二極化する世界の流れ>

8月末からイランのテヘランで開かれていた非同盟国会議。参加したのは、120カ国の発展途上国。エジプトや国連総長も参加し、”イランは孤立していない”というメッセージを世界に発信する結果となった。会議では、イランの最高指導者ハメネイ師が改めて「新世界秩序」を宣言。西側中心世界への対抗姿勢を明らかにした。

*新世界秩序・・・大国が支配する現在の世界のしくみをかえようとする考えのこと。黙示録の時代には獣を中心とした新世界秩序になっていると思われるので、この発言は注目されるところである。

<中国、北朝鮮とイラン>

近年めだって軍事的にも経済的にも勢力を伸ばしている中国。イランでの上記、非同盟国会議ではオブザーバーとして参加していた。3日の読売新聞によると、中国はすでにアメリカ全土をミサイルの射程に治めているという。

また北朝鮮は、先週、イランと科学技術の分野において協力するということで正式な合意をかわした。

世界は、イラン、シリア、ロシア、中国、北朝鮮などと、アメリカやヨーロッパ、トルコ、湾岸アラブ諸国という二極化がすすんでいるようである。

<日本の立場>

尖閣諸島問題などで中国と日本の対立ムードが高まっている。もし世界の二極化という視点でみるならば、現時点では、日本はアメリカなど西側勢力の側に入っているといえる。

3.エジプト、ガザ地区との関連

隣国エジプトのムルシ大統領は着々と大統領としての力をつけてきている。シナイ半島には、観光地にまで戦車を駐留させ、治安の確保を行っている。シナイ半島への軍の派遣はイスラエルとの和平条約に反することであるが、「これは武装勢力掃討のためで、イスラエルとの和平は守る方針だ」とエジプトは言っている。

ただし、ムルシ大統領はイランを訪問。また最近、髪を覆った女性キャスターをテレビに登場させた。これらは、世俗派のムバラク政権下では行われていなかったことで、エジプトのイスラム化の一歩かと話題になった。

<相変わらず、ガザ地区・・・>

ガザからは、先週、ガザ地区周辺にむけて、再びロケット攻撃があり、イスラエル軍が空爆、パレスチナ人6人を殺害している。イスラエル側に被害なし。

4.西岸地区、パレスチナ関連

先のウルパナに続いて、未認可の西岸地区ユダヤ人入植地ミグロンの住民が撤退を完了した。
懸念されていた軍との大きな衝突はなく、1日で撤退は完了した。現在、撤退者は国が要した地域に移動している。

撤退がスムースだったのは、これらの地域では撤退したが、実際には西岸地区のユダヤ人住居数は増えるというネタニヤフ首相の”一部無くして多くを得る”政策が功を奏した形だ。

しかし、油断はならない。一昨日、ラトルンの修道院にひどい落書きがなされ、ミグロン撤退の対するユダヤ教過激右派による「値札」行為とみられている。治安当局は、さらに値札行為がおこらないよう、警戒を続けている。

大国支配に対立:テヘラン・サミット 2012.8.26

26日から、イランの首都テヘランで、非同盟国会議(NAM:Non-Aligned Movement)のサミットが開催される。

<大国支配に対立する勢力:非同盟国会議>

非同盟国会議(以後NAMと略す)とは、東西冷戦時代からの大国が支配する世界に対し、どちらの陣営にもつかないと宣言する国々の集まりのこと。弱小発展途上諸国の声を、国際社会に反映させることを目的として、1961年に設立された。

NAM参加国は年々増えており、現在、国連加盟国の3分の2を占める120カ国、世界人口の55%が参加していることになる。国連以外では最大の世界組織である。

NAMの発言力は、徐々に大きくなってきており、2009年、カイロでのサミットでは、”ニュー・グローバル・オーダー(新世界秩序)”樹立を宣言している。

NAMが対立するのは、アメリカ、ロシアといった大国だが、ヨーロッパ連合、イスラエルも含まれる。日本もNAM参加国ではない。一方、NAM参加国は、イランやエジプトなどの中東諸国やアフリカ諸国、中南米、アジアの国々。

また、NAMには、加盟国ではないが、オブザーバーが17カ国あり、その中に中国が含まれている。
(添付地図Wikipediaより:紺色部分は参加国 うすい青はオブザーバー国)

NAM地図

<最も対立的な国イランが議長国>

NAMの国際会議は3-5年に1度開催される。この8月26-30日の弟16回サミットは、今、核兵器開発問題で、世界とまっこうから対立しているイランの首都テヘランで開催される。今後3年はイランが議長国となる。会議ではシリア情勢にも言及するとみられ、注目されている。

*ブログ内取材記事「イランがめざすもの」参照

<テヘラン・サミットに参加するかしないかが問題となる人々>

1.バン・キ・ムーン国連総長

アメリカとイスラエルは、国連総長の立場でこのサミットに出席することは、イランに経済制裁を貸している国連の方針と逆行することになると、強く反対してきた。しかし、ムーン国連総長はその反対を押し切り、出席を決めている。

2.ハマスの指導者イスマエル・ハニエ

イランは、ガザ地区ハマスの指導者イスマエル・ハニエを会議に招いた。ハマスをテロ組織と認定するアメリカ西側諸国に対抗するものである。これで困るのがパレスチナ自治政府のアッバス議長。西側の支援なしには生きのびることができない。苦渋の決断だったと思うが、アッバス議長は、ハニエ氏が来るならサミットには出席しないと発表した。

今回、エジプトのムルシ新大統領も出席することになっている。エジプトもまた西側からの支援が必要不可欠だが、同時にイスラムの立場も守らなければならず、イスラエルとの関係も含めて、綱渡り状態である。

シリア:24日だけで、330人死亡(1日の死亡者数最大を記録) 2012.8.26

シリアで24日、1日の死亡者数としては最大となる330人を記録した。うち200人は、ダマスカス郊外で発見された遺体群の数。シリア政府軍が、激しい空爆の後、戦車と地上軍を投入し、反政府勢力とみられる市民を至近距離で殺害する”虐殺”を始めていると分析されている。

現在の戦況は、シリア政府軍がダマスカス中心部をおさえてじわじわと周辺へ反撃しているもよう。8月に入ってからの死者は3700人を超え、すでに一月の死者数では最大となった。周辺諸国への難民の数は、さらに増えて20万人。

イスラエル軍兵士の現状:憎しみのないところに憎しみがうまれる 2012.8.26

今朝、Yネットニュースに、一瞬出た記事(すぐに取り下げられたということ)。イスラエル人自身の調べによると、イスラエル軍に従軍した兵士約300人が、西岸地区での任務中、パレスチナの子どもたちへの暴力を経験したと証言。

たとえば、西岸地区ではいきなり、5才の子どもに銃をつきつけなければならないことがある。普通の家族たちを一つの部屋に押し込めて見張りをする、など。最初は、「何かおかしい」と思っていても、そのうちなれてきてしまう。そうしたことをしていても、パレスチナ人の石投げやテロはおさまらない。やがてなんのためにこんなことをしているのかわからなくなるという。

イスラエル人は、18-19才で徴兵され、十分な心理的準備がないまま西岸地区へ派遣される。憎しみに満ちたパレスチナ人の目をみるうちに、落ちこんで自殺するか、心に彼らに対する憎しみを持つようになると報告していた。

この記事からわかることは、まだ10代の若いイスラエル軍兵士が、自分も死ぬかも知れないという恐怖の中で、パレスチナ市民に対し、特に子どもたちに対して暴力をふるわなければならない、またふるってしまうことがあるということである。

それが、パレスチナの子どもたちだけでなく、イスラエル軍兵士の心にも重大な傷を残す場合があるということである。(*これは一部の兵士のことであり、すべての兵士に当てはまるものでないことに注意してください。)

憎しみのなかった心に憎しみが生まれる・・・。ちょうどリバイバル・ジャパンに、イスラエルの中高生と従軍したビリーバーの青年の証の記事を執筆したところでこの記事に遭遇した。次号リバイバル・ジャパンを参照にしていただければ幸いである。