「イスラエルはユダヤ人国家」法案で内閣紛糾 2014.11.25

日曜、ネタニヤフ首相が強く推進する「イスラエルは、ユダヤ人の国でかつ民主国家」と明記する法案が、多数決で閣議を通過した。水曜には国会審議に入る予定となっていた。

しかし、まだインティファーダの波がおさまりきっていないこともあり、多数決で閣議を通過したとはいえ、反対派は後へは引けないようである。

国会で19議席(120議席中・第二の党)を持ち、財務相のポジションを持つ未来がある党のヤイル・ラピード氏は、「法案に反対しているわけではないが、時期が問題。党として賛成票は投じない。」との方針を明らかにした。

ツィッピー・リブニ法務相は、「まだその準備ができていない。この時期に国会で決議をとれば、過半数をとれない可能性がある。そうなれば法案そのものを失うことになる。」と警告。ごり押しした場合、内閣が崩壊する可能性も指摘する。

これを受けて、ネタニヤフ首相は、国会での審議を1週間延期すると発表した。しかし、ネタニヤフ首相は、この法案がイスラエルの将来のために、絶対必要だと考えている。何が何でも法案を通す意気込みである。

イランと国際社会の対話・期限切れで期限延長へ

イランの核開発問題に関して、イランと国際社会が最終合意の期限として定めていた昨日11月24日、結局、合意点を見いだすことができず、期間が延長されることとなった。

ケリー国務長官は、イランとの隔たりはまだまだ広いとの現状と伝えている。ネタニヤフ首相は、「悪い合意なら、ないほうがいい。」と期限延長を歓迎すると語った。

中国ーテルアビブ直行便開始か 2014.11.25

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4595641,00.html

中国からの観光客増加を目標に、イスラエルの観光省と交通省は、中国の航空界社役員らをイスラエルへ招待し、テルアビブへの直行便就航の準備をすすめている。

両国の合意によれば、北京など大都市からイスラエルへ、週に14便、貨物便7便が就航する事になる。

中国機はアラブ諸国上空を飛行できるので、本来なら2時間ぐらいの時間短縮がみこめるのだが、こちらは安全上、エル・アル航空に準ずることになるという。

しかし、今はイスラエルエル・アル航空しか飛んでいない北京ーテルアビブ間に、中国便が参入することになり、運賃が下がる可能性がある。日本からも、北京を経由してイスラエルへ行けば、運賃が安くなるかも!?

パレスチナ・イスラエル・接点のない紛争 2014.11.22

今日で、シナゴーグでのテロから4日目。エルサレム市内では、テロの可能性に対して政治的にも軍事的にも抜本的な対策案がない – すなわち終わりが見えないまま、これまで通りの日常が続いている。

警戒態勢がとられているようだが、少しでも落ち着けば警察はすぐに引き上げるので、ものものしい雰囲気はない。今のところ、エルサレムは、いつもと同じような様子である。12月のハヌカを控えて、色とりどりのスフガニヨット(揚げパン)が店頭に並び始めている。

4人のラビが虐殺された現場のシナゴーグでは、恐れるどころか逆に毎日、大勢のユダヤ教徒たちが来て、神に祈りが捧げられている。

水曜には、テロ現場に最初に駆けつけて負傷し、死亡した兵士ジダン・サイフさん(38)の葬儀が出身地のガリラヤ地方の村で行われた。

ジダンさんはドルーズ教徒だった。”ユダヤ人を守るために命を捧げた異邦人”として、葬儀にはリブリン大統領、アハロノビッツ治安相、ダニーノ警察庁長官に加えて、スファラディのチーフラビも参列。超正統派ユダヤ教徒たちは、ジダンさんに敬意と感謝を示そうとして葬儀への参列を呼びかけ、大型バスで数千人が葬儀に参列した。

<東エルサレム・西岸地区では衝突続く>

昨日は、ムスリムたちが神殿の丘で礼拝する金曜日だった。ハマスは、「怒りの日」だとして、相変わらずパレスチナ人民衆に、イスラエルの治安部隊に対して立ち上がるよう、呼びかけた。

エルサレムのイスラム指導者ラエード・サラも、第三インティファーダが始まったとして、ユダヤ・サマリア地域で暴力行動を起こすよう呼びかけた。 http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/187693#.VHA0baW9DCs (警察はまだ第三インティファーダだとは認めていない。)

イスラエル政府は、神殿の丘を開放するべきか、石を投げる若者を神殿の丘に入らせないよう年齢制限するべきか、ぎりぎりまで悩んでいたが、最終的には、完全に開放した方が衝突を避けられると判断。警戒態勢を維持しつつ、ムスリムたちの礼拝を制限しなかった。

結果、神殿の丘周辺、旧市街では衝突はなかったが、ヘブロンなど西岸地区各地で、パレスチナ人のユースが検問所にいる治安部隊に対して石や燃えるタイヤを投げつけるなどして衝突が発生している。

シナゴーグ・テロの犯人の出身地、東エルサレム南部のジャベル・ムカバでは、ほぼ毎日、アラブ人が、治安部隊に石、火炎瓶、爆竹などを投げつけて、衝突が発生している。

アルーツ7(チャンネル10)によると、警察は、犯人2人の遺体を、まだ家族に返還していないという。つまり、遺体は人質のようなもので、「もしテロをやめないなら、遺体は帰さない。」ということである。ジャベル・ムカバでは、家族や仲間たちが、イスラエルと徹底的に戦うと叫び、木曜は特に大きな紛争になった。    http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/187664#.VHAqxKW9BCs

ところでジャベル・ムカバは、記者宅から歩いて20分ぐらいである。夜8時すぎぐらいになると、紛争現場自体は見えないのだが、東側のアパート群の向こうからパンパンと、花火のような爆竹か何かの音が聞こえる。時にどかんという、けっこう大きな音がしたりする。

すぐそこで本物の紛争になっているのだが、その音のこちら側にはユダヤ人の普通のアパートや住宅があって、いつもとかわらない、ほのぼのとした明かりが点々と見える。日々の営みが変わらず続けられている。そういう自分も紛争の音を聞きながら、宿題をやっている。

こうした紛争の音は、だいたい夜10時ぐらいまでには、終わっている。パレスチナ人も寝るのだろう。日常になってしまい、もはやヘリコプターも来ないし、いちいちニュースにもならない。毎晩、暴動を起こしているパレスチナ人は、どこか自分で自分の首を絞めているのではないかと気の毒な感じがする。

<暴動をあおるもの>

これらの暴動を煽っているのは、まずは、「イスラエルが神殿の丘の現状維持を変えようとしている。」というハマスなどによる、宗教的な扇動と危機感があげられる。

ネタニヤフ首相は、内外に向かって「神殿の丘のステータスは変えない。」と明言し、ムスリムの礼拝の自由を保障しているのだが、一部の若いパレスチナ人たちは、神殿の丘を解放すること、さらにはエルサレムをユダヤ人から解放する時が来たと信じているのである。

また、パレスチナ人権保護団体は、そもそも自動車によるつっこみテロは事故だったといい、その場で射殺する治安部隊は過剰防衛だと非難している。

その上で、ここ数週間の間に治安部隊との衝突で死亡、負傷したパレスチナ人犠牲者の経緯をくわしく報じ、パレスチナ人たちの怒りを増長させている。暴動を繰り返しているのは、パレスチナ人にとって、この戦いは正義の戦いだと思っているのである。

また問題は、こうした大人の扇動に10歳代の子供たちが影響を受けていることである。西岸地区では、8才から12才ぐらいの子供たちが「インティファーダだ。最後まで戦う。」と叫び、フル装備の大人のイスラエルの治安部隊に投石している。

*未然に防がれた事件

イスラエルでも警察、治安部隊、諜報機関は、互いの情報交換の悪さ、協力性のなさが指摘されているが、それでも多くのテロを未然に防いでいる。

今日は、ハマスによるイスラエルのリーバーマン外相をミサイルで殺害する暗殺計画が未然に発覚した。ハマスは、8月のイスラエルのガザ攻撃への復讐だったと言っている。ハマスはこの直後も、イスラエルの閣僚はみなターゲットだと豪語した。
www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/187706#.VHAhyKW9BCs

大量の火炎瓶や爆竹、大型ナイフなど、治安部隊に向かって使われると思われる物資が、中国から東エルサレムの個人宛に届けられるところ、未然に発覚。警察に押収された。

また、金曜午後からは雨が降り始めた。来週1週間、天気はぐずつくと予想されている。しばらくは火炎瓶も爆竹も使いにくいということである。間が空いて、怒りが少しでも静まることを願う。

<増長する差別意識と暴力> http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4594415,00.html

エルサレム市内だけでなく、イスラエル各地では、ユダヤ人、アラブ人の間で、互いを敵視する空気が広がり、アラブ人を雇わなくなる傾向や、双方からの個人レベルでの暴力が散発している。

金曜、ユダヤ教セミナリー学生2人が、オリーブ山麓の学校近くで袋だたきにされた。一方、一瞬出たニュースだが、クファルサバで、35才のパレスチナ人が遺体で発見された。この他、イスラム教指導者がユダヤ人に酸をかけられる、アラブ人タクシー運転手がユダヤ人少女らから暴行を受けるなどの事件も発生した。

Yネットの調べによると、テロを恐れているのはユダヤ人市民だけではない。一般のアラブ人市民もユダヤ人からのテロと、西エルサレムでの職を失うことを恐れているという。http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4594415,00.html

シナゴーグでのテロ以来、ユダヤ人の元で働くアラブ人たちの多くは、欠勤したままである。エゲッド(バス会社)ではアラブ人運転手が数百人欠勤し、バスの本数がかなり減っていた。なんとかユダヤ人運転手を都合したのか、現在、バスの本数は2日前より増えているようである。

これについては、市民の足にかなりの影響が出たのだが、ニュースにもならず、誰一人文句を言わなかった。アラブ人労働者がいなくなることに文句はないという民意の現れだったかもしれない。

大手チェーン・スーパーマーケットのラミレビでは、シナゴーグでのテロが発生した直後に、ユダヤ人の報復を恐れて、多数のアラブ人職員を帰宅させた。するとソーシャルメディアを通じて「ラミレビはアラブ人労働者を1000人以上解雇しようとしている。」という噂が流れた。ラミレビはこれを否定している。

Yネットによると、シナゴグで5人を殺害した犯人の姉妹は、エルサレム市職員として働いていた優秀な社会福祉士だった。この女性も欠勤している。エルサレム市は、彼女には犯行に関わるようなサインはなかったと言っている。(他の家族は、公に犯行を支持)
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4594525,00.html

そんな中、昨日、アシュドド市長が、「安全確保のため、幼稚園近隣での公共事業にアラブ人は雇わない。」という方針を打ち出した。ただちに「人種差別だ。」と非難と物議となった。ネタニヤフ首相は、「イスラエルのアラブ人への差別はありえない。」との声明を出している。

またエルサレム市長は、テロ被害のあった町が模範になるとして、アラブ人労働者の雇用を続けるよう、市民たちに呼びかけている。

<イスラエルはユダヤの国か?>

こうした社会的な流れの中、イスラエルは、ユダヤ人の国だということを明記するという法案が浮上している。この法案は以前からあったものだが、あまりにも繊細な問題であるため、棚上げされたままだった。

ネタニヤフ首相は、「民主国家・ユダヤ人の国イスラエル」という定義をはっきりさせるべきだとの考えを明らかにしている。しかし、時期的に今は火に油を注ぐようなものだとして反発もあり、今のところ、実現の可能性は低い。

*CGNTV オリーブ山便り 「神殿の丘とパレスチナ人の憎しみ」http://japan.cgntv.net/newsub.asp?pid=2751&gubun=0309

テロとエルサレム市民 2014.11.19

<その後の主な動き>

昨夜、重傷となっていた警察官のジダン・シフさん(30)が死亡。犠牲者は5人となった。シフさんには妻と4ヶ月になる男の子があった。葬儀は本日。シフさんは、現場に最初に駆けつけた警察官2人のうちの一人だった。

今回のテロの犯人2人の実家があるジャバル・ムカバでは、夜間、治安部隊との衝突が散発。昨夜も花火のような音が時々聞こえていた。また、治安部隊は昨夜のうちに、シロワンで、先のテロで3ヶ月の乳児を死亡させた犯人の実家を破壊した。*こうした犯人の実家の報復破壊については、イスラエル国内からも逆効果だという非難が出ている。

警察は、市内の治安確保に全力をあげている。アラブ人地区周辺に検問所を設けて、怪しい人物の早期摘発を行っている。また19日朝からは、子供たちのいる学校が襲撃されかねないとして、エルサレム市内の学校の警備を特に強化している。

一方、昨夜、ユダヤ人右派300人ほどが、エルサレムへの入り口付近で、一時道路をふさぐなどして「ユダヤ人は立ち上がれ!」と叫び、政府に強硬なテロ対処を要求するデモを行った。神殿の丘に関連する内容、イスラムに対する扇動的な叫びもあり、鎮圧に来た警察と衝突している。23人が逮捕された。 
www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/187631#.VGxT8aW9BCs

エルサレム市内では昨日から、日曜にバス内で死亡したアラブ人運転手(警察は自殺と言っているがアラブ人側は認めず)を悼むとして、アラブ人運転手が出勤していない。そのため、バスの本数が極端に減り、来たと思ったら、超満員で乗れないなど、いつもは1時間以内で行けるところ、2時間かかった。

運転手は少なくともあと2日は出勤しないと聞く。さらには、未確認情報ではあるが、スーパーマーケットで働く多くのアラブ人が出勤していないという情報もある。

<被害シナゴグの様子>

テロ事件翌朝、地元テレビは、被害にあったケヒラット・ヤコブの様子を報じていた。周囲に警察官が立っている以外、いつもとほぼ同じ。早朝から、30人以上の男性たちがタリート(祈りのショール)をつけた姿で、シナゴグに出入りしていた。今朝は、右派のベネット経財相もここで祈りを捧げた。

昨日、現場にいてテロリストに殺されかかったバルザニさん(オリーブ山便り18日参照)も、いつも通り、シナゴグにやってきて、昨日とまったく同じ場所に立って祈りを捧げた。

出口でのインタビューでは、「今日は、入り口に来た時、思わず泣いてしまった。しかし、私たちは神を信じる者だ。ここではいつもと同じようにしている。でも皆、内面は複雑だと思う。

今日は、私が生き延びているという神の奇跡に感謝する祈りを捧げた。テロリストがどこに立つのか、私がどこに立つのかすべては神の手の中にあったのだから。」と弱々しい笑顔で答えていた。
www.mako.co.il/news-military/security-q4_2014/Article-ef3cbc15736c941004.htm?sCh=31750a2610f26110&pId=2082585621

ここ数週間の間のテロで親を失った子供たちは24人となった。また、これからやっと、共に人生を楽しめる年頃になった息子、娘を失った親たちもいる。これら遺族の喪失を思うと耐え難い混乱と、痛みを覚える。ユダヤ教徒の間では、遺族を献金で支えようとする動きがはじまっている。

一方、テロリストの家族たちも若い息子たちを失っている。彼らは、息子がヒーローになったと、テロの”成功”を祝って通りでスイーツを配ったのだが、昨日のテロの犯人の一人には妻と、乳児の子供があった。その家族は悲しんでいないのか、本当に”殉教”だったと喜んでいるのか、理解に苦しむところである。

<復讐は神のもの!?>

ところで、地元紙をみていると、今回の被害者の名前のあとに、「hy”d」とつけられている。これは、こうした事件で殺された人にのみつけられるヘブライ文字の英訳で、「神が復讐してくださいますように。」という意味。これは、「犯人に被害があるように」という意味ではなく、「復讐は神にまかせる。」という告白なのだという。

しかし、現実的には、そうはいかないようである。ネタニヤフ首相は、厳しく対処すると述べて復讐を示唆、右派のベネット経財相にいたっては、「イスラエルは防衛から攻撃に転じるべきだ。第二インティファーダを西岸地区での軍事作戦で鎮圧したように、今回も東エルサレムで軍事作戦を行い、テロを根こそぎにするべきだ。」と言っている。

国内世論、強硬右派議員たち、さらには国際社会の間で早急に治安回復をせまられるネタニヤフ首相。昨夜、左派陣営に対し、連立に加わって、一丸となってこの治安問題に対処しようとよびかけたが、あっさり断られている。

<一般市民の様子>

エルサレム市内では今、テロがいつ何時どこで発生するかわからない状態である。しかし、どこかで自分があたるとは思っていないのか、治安部隊を信頼しているのか、恐れてもしかたないのか。恐れている様子はほとんどなく、バスにも乗るし、レストランにも行く。

一般市民は、何があろうが、ここで生活しているのだから、日々の日常生活を続けている。・・が、なんとなく、いらつく。無口になる・・・そんな感じだろうか。

ある友人宅では、今、家の改修をしているが、働いているのはアラブ人大工さん。友人によると、このアラブ人たちは、シナゴグでのテロを非難しているという。一般アラブ市民も、複雑な思いだとは思うが、多くは生活のために、今日もいつものように、ユダヤ人の元で働いている。

しかし、こうした状況が続くにつれて、双方の間の溝と偏見、不信感は確実に広がっている。普段は穏やかなユダヤ人の友人が、アラブ人、イスラム教への怒りを口にし始めている。同じ土地の上にいるのに、両者の関係はますます悪化しているようである。

続報:シナゴーグ・テロ 2014.11.18

18日朝発生したテロの現場は、エルサレムの閑静な住宅街、ハル・ノフにあるイシバ(ユダヤ教神学校)を併設するシナゴグ、ケヒラット・ブネイ・ヤコブという英語主流のシナゴグだった。

敬虔なユダヤ教徒の男性たちは毎朝、早朝にシナゴグに来て、祈りを捧げてから出勤する。今日も、いつものように、朝7時ごろ、男性たちがタリート(祈りのショール)をかぶって祈っていたところ、パレスチナ人2人が入って来て、ピストルと大きな斧、肉切り大包丁などで、「アラー・アクバル!(アラーは偉大なり)」と叫びながら、4人を殺害。8人が負傷した。

これは教会でいうなら、早朝、礼拝堂で静かに個別に祈っている人々のところにテロリストが入り込み、礼拝堂で、残虐きわまりない犯行に及んだと想像してもらえばよい。

現場は、相当な出血で、壁も床も血まみれ、祈りのショールや聖書、祈禱書なども血まみれになっており、悲惨きわまりない犯行現場となっている。以下は現場の様子

www.mako.co.il/news-military/security-q4_2014/Article-5984eddf562c941004.htm?sCh=31750a2610f26110&pId=2082585621

現場にいたヨシ・バルザニさんによると、テロリストが入って来るとシナゴグ内はパニックになった。テロリストが机一つはさんでバルザにさんにも向かって来たので背を向けて逃げた。祈りながら逃げたが、途中でタリートがひっかかった。それを後に残して外へ走り出たという。途中、悲惨な状態でころがっている遺体を見たという。

警察が到着したのは事件発生から約5分後。犯人と銃撃戦の末、テロリスト2人を射殺した。犯行から犯人殺害まですべては7分で終わったという。

犠牲者は、現場シナゴグ併設のトラット・モシェ・イシバ校長のラビ・モシェ・トウェルスキーさん(60)。TOMOと呼ばれ、皆に親しまれたラビだった。加えてラビ・カルマンレビンさん、アリエ・カピンスキーさん、アブラハム・シュムエル・ゴールドバーグさん。

3人はアメリカ、1人はイギリスとの二重国籍のイスラエル人だった。ラビ・トウェルスキーさんらの葬儀、埋葬は、本日午後、すでに行われた。会場はテロ現場のシナゴグ。イスラエルは行動が早い。

現在、負傷者8人のうち、3人が生死をさまよう重傷。3人が中等度。負傷者のうち2人(重傷と中等度)は警察官。

<テロリスト宅を破壊>

朝、上空でヘリコプターと爆音がアルモン・ハナツィブの記者自宅でも聞こえていたが、すぐ隣のアラブ人地区ジャベル・ムカバで暴動があり、警察が対処していた音であったことがわかった。

今回のテロの犯人2人はこのジャベル・ムカバ出身のイスラエル在住アラブ人で、治安部隊がさっそく、朝のうちに彼らの自宅を破壊しに来たのである。治安部隊は、同時にこの地域から複数の関係者を逮捕している。

今思えば、毎朝4時ごろから聞こえるアザーン(イスラム教の祈り)が、今朝はいつもより、大音響で、しかも、いつもよりきちんとした祈り声だったので、いったい何事かと思わされた。そこから犯人を送り出したのだろう。

<パレスチナ人の反応>

ハマスとイスラム聖戦は、このテロ行為を賛美した。ハマスは、「ハッサン・ラモニ(バス運転手で一昨日死体で発見)を殺した復讐だ。イスラエルが、アルアクサ(神殿の丘)で暴虐を働いているからだ。」とコメント。さらにユダヤ人を攻撃するよう呼びかけている。

Yネットによると、射殺されたテロリスト2人は従兄弟同士。家族は、2人はヒーローだと言っている。西岸地区とガザでは、通りでスイーツを配って祝いが行われた。ガザでは、少年たちが、斧を掲げて並ぶ姿が撮影されている。

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4593292,00.html (犯人の写真もあり)

ネタニヤフ首相は、テロを扇動しているアッバス議長の責任だと非難。「イスラエルは厳しくこれに対処する」と言っている。現在、緊急治安会議中。右派のベネット経済相は、「アッバス議長はイスラエルに戦争をしかけている。」とまで言った。

午後になり、アッバス議長がテロ行為を非難する声明を出した。しかし、「イスラエルは、アルアクサモスク(神殿の丘)への侵攻と、ユダヤ人入植者の挑発行為、政府閣僚の挑発発言をやめさせるべきだ。」とも言っている。

*神殿の丘と治安部隊の現状

アッバス議長は、”治安部隊が神殿の丘へ侵攻”と言っているが、イスラエルの治安部隊は、原則、アルアクサモスクの中には入らない。パレスチナ人たちがアルアクサモスクにこもって、石や火炎瓶を投げつけてくるので扉の外から、鎮圧をはかるのが治安部隊である。

治安部隊が神殿の丘に駐留する(いつもは少人数)理由は、神殿の丘から下に位置する嘆きの壁を守るためと、神殿の丘に来るユダヤ人と観光客を守るためである。

つまり、治安部隊が挑発するから問題になるのではなく、パレスチナ人が攻撃して来るから大勢の治安部隊が出動しなければならなくなるのである。それが証拠に、先の金曜日は、落ちついたと判断されたため、イスラエルは神殿の丘を年齢制限なしにイスラム教徒に開放している。

また、先週の衝突の時に、火炎瓶で治安部隊の隊員一人が指を2本失うという事態になった。これを受けて、イスラエルは、今後は治安部隊を攻撃してくる者には実弾を使ってもよいということになった。

ケリー国務長官は、ネタニヤフ首相と電話会談を行い、その後「祈っている人々を残虐に殺害する純粋なテロ行為。パレスチナの指導者は、これを非難し、すぐに対策をとるべきだ。」とのコメントを語った。

現在、午後3時半。ラビたちの葬儀中である。上空では、今もヘリコプターが監視を続けている。頭に血がのぼっている若者たちに恐れと疑いが与えられ、恐ろしい犯行に及ぶ事のないように。エルサレムの平和のためにお祈りください。

<北部の様子>

2日前、北部のアラブ人地域でのイスラエルとの衝突だが、イスラエルと対峙していたはずが、イスラム教徒とドルーズ(アラブ人だが、イスラムから分家した宗教で、イスラエルに忠実な少数民族。イスラエルに忠実で従軍もする)というアラブ人同士の争いに発展。互いに暴徒となり41人が負傷した。まるで聖書に出て来るような話である。

北部にいるドルーズ、アラブ人クリスチャン、特にイスラエル軍への兵役を推進するナダフ神父らも覚えてお祈りください。

シナゴーグでテロ4人死亡:エルサレム 2014.11.18

18日朝、数時間前、エルサレム北部ハル・ノフのシナゴーグ内で銃撃とナイフによるとみられるテロが発生。チャンネル2によると、朝8時(日本時間午後3時)の時点で4人が死亡。9人が重傷となっている。

テロリストは2人で、かけつけた治安部隊に射殺されている。まだ発生して間もないため、テレビでは断続的にニュースを流しているが、情報はまだ若干、錯綜している。先ほどからエルサレム南部記者宅の上空でもさかんに監視のヘリコプターが飛び始めた。

エルサレムでは一昨日、エゲッド・バス会社(イスラエルの会社)の運転手で東エルサレム在住のユーセフ・ハッサン・アル・ラモウニさん(32)が、バスの中で首をつった状態で死亡しているのが発見された。

警察は、解剖の結果、自殺の可能性があると発表したが、パレスチナ人たちは納得していない。昨夜の東エルサレムでの葬儀に遭わせて暴動となり、治安部隊と衝突していた。ハマスは、ユダヤ人に対するテロを行うよう、扇動している。

ユダヤ人とパレスチナ人の憎しみが、復讐心にあおられて、だんだんイスラム教対ユダヤ教の様相になりつつある。これ以上、テロが発生しないよう、また病院で重傷となっている負傷者を覚えてお祈りください。

なお、これに先立ち、ベルギーのシナゴーグでは、ユダヤ人が首を刺されるという事件も発生している。こうしたイスラエルの事件に感化され、海外でもユダヤ人を標的としたテロが発生する可能性がある。こちらもあわせてとりなしを!

金曜日・神殿の丘に平穏・各地はデモ 2014.11.15

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4591988,00.html

ここ数週間、毎週金曜になると、神殿の丘とその周辺で、暴動が発生していたが、今週金曜は、神殿の丘に久しぶりに平穏が戻った。パレスチナ人の年齢による入場制限も行われなかった。

しかし、エルサレム北部、エルサレムとラマラの間、カランディア付近では、パレスチナ人150人が防護壁を超えてイスラエル側へ入り、パレスチナの旗を降りながら、「エルサレムをイスラエルから解放せよ!」と叫ぶデモを行った。

ヘブロンでは約300人が治安部隊に投石し、紛争となった。未成年2人が逮捕されたが、負傷者は報告されていない。

北部では、クファル・カナで、警察を襲ったアラブ人が、警察に射殺されたことへの抗議と、神殿の丘の解放を訴えるデモが、今日も数百人規模で続けて行われた。今日は、イスラエルのアハロノビッツ治安相がカナを訪問し、町の指導者らと会談している。

また、普段からイスラエルへの敵意で知られるウム・エル・ファハンでは、アラブ系議員2人と女性や子供たちを含む1500人が、パレスチナの旗を降りながらのカナと同様の、反イスラエルのデモを行った。

<イスラエルの対処>

イスラエルは続けて、各要所に治安部隊を配置するとともに、上空からは、監視バルーンや、ヘリコプターで、テロになりそうな動きを早期に察知する警戒態勢を続けている。

守るだけではない。ネタニヤフ首相の指示により、これまでにエルサレムで発生したテロの犯人たちの自宅を罰として破壊することが、それぞれの家族に通知された。みせしめであり、将来のテロに対する抑止を目的とした措置である。

また、イスラエル政府は、テロが発生するたびに、報復として、グリーンラインよりパレスチナ側にユダヤ人の家の建築を許可するという措置もとっているが、ネタニヤフ首相は、今回も東エルサレムに新たに200軒の建築許可を出した。

こうした措置は、アメリカ、EUなどから「問題の解決にはつながらない。」として非難されている。しかし、中東のアラブ文化においては、実質的に強さを示すことだけが、相手にものを伝える手段なので、イスラエルは、国際社会から(一部の自国民から)非難されても、気にしている場合ではないといったところか。

<ケリー国務長官登場>

神殿の丘は、ユダヤ教、イスラム教双方が、聖地として一歩も譲れない場所で、まさに一触即発の繊細きわまりない場所である。ここでいったん、わだかまりが発生すると、双方に大義名分となり、一気に深刻な紛争へとつながっていく。

今回も、一時的だったが、イスラエルが神殿の丘を全面的に閉鎖し、イスラム教徒も入場できないようにしたことは、イスラム教徒全体に「ユダヤ人に神殿の丘をとられる。ユダヤ人の暴挙だ。」と思わせるに十分だった。

テロはこれに反発する形で拡大し、西岸地区、ガザ地区のパレスチナ人、イスラエル国内のアラブ人敵意まで表面化させることになった。さらに、今この問題の対処を誤れば、ヨルダン、エジプトから中東のイスラム全体にまで影響が広がる可能性もある。

実際、ヨルダンは、イスラエルへ抗議として、駐イスラエル・ヨルダン大使を呼び戻している。また、パレスチナの国連代表は、国連に「イスラエルはイスラムの神殿の丘での礼拝に敬意を払わず、妨害している。」として国際社会の介入を要請している。

そこで登場したのがケリー米国務長官。木曜、ヨルダンのアンマン訪問し、まず、パレスチナ自治政府のアッバス議長と会談。夜には、神殿の丘の管理者であるヨルダンのアブドラ国王と、ネタニヤフ首相を引き合わせて、双方、以前の均衡状態に戻すために実質的な方策を講じるということで合意をとりつけた。

ケリー国務長官によると、ネタニヤフ首相は、エジプトのシシ大統領にも神殿の丘を以前の”現状維持”に戻すための方策を連絡しているという。

バチカンで超教宗教者会議:リック・ウオーレン牧師も参加へ 2014.11.15

ワシントンポストによると、今週末明け17-19日、バチカンで、超宗教者会議が行われる。議題は、現代社会において危機にさらされている男女の結婚・家族関係に関することで、同性愛をどう扱うかというもの。

参加するのは、ユダヤ教、イスラム教を含め23カ国、14の宗教指導者が参加する。福音派プロテスタントからも、南部バプテストのラッセル・ムーア牧師、サドルバック教会のリック・ウオーレン牧師が参加する。

バチカンでは、先月、法王フランシスの提案で、教会に同性愛者を迎え入れるかどうかの公会議が行われた。フランシスの立場は、同性愛者だからといって教会から拒否するのではなく、愛をもって迎え入れようという立場である。

しかし、議決文「同性愛者も教会に貢献することができる。」は、賛成68、反対118で否決された。これは法王にとっては、大きな痛手となったが、68人もの司祭がこれに賛成していたことは特記すべき事であるとも報じられた。

週末空けの会議に参加するにあたり、ムーア牧師は、「呼ばれれば、どこででも、福音派プロテスタントの考えを述べる用意がある。」と言っている。

www.washingtonpost.com/national/religion/russell-moore-rick-warren-to-join-vatican-conference-on-marriage-and-family-life/2014/11/03/e8950652-6399-11e4-ab86-46000e1d0035_story.html

テルアビブ・エルサレムで刺傷テロ/ 2人死亡 2014.11.11

<テルアビブで兵士刺され死亡>

10日午後、テルアビブの鉄道ハガナ駅付近で、イスラエル軍兵士アルモグ・シロニさん(20)が、所持していた銃を奪いに来たパレスチナ人ともみあいになり、ナイフで腹部を数回刺されて、出血多量の重傷となった。シロニさんは後に搬送先の病院で死亡した。

事件発生時、車で通りかかった男性市民(50)が、兵士が襲われるのを見て、車を降りて犯人を取り押さえようとしたところ、犯人はナイフを取り落として逃走。男性は、「テロリストだ!」と叫びながら追跡した。犯人は、数百メートル先で、警察に逮捕された。

犯人は、パレスチナ自治区ナブルス出身のアブ・カシヤ(18)で、違法にイスラエルに滞在していたパレスチナ人だった。

<エルサレム入植地で市民3人刺され、1人死亡> 

上記事件発生約4時間後、エルサレムとベツレヘムの間のグッシュ・エチオンので、ヒッチハイクポイントに立っていた3人がパレスチナ人に刺された。

刺された3人のうち、ダリア・レミクスさん(26)は、駆けつけた救急隊が蘇生を試みたが現場で死亡した。この他、20代と50代の男性が中等度から軽度の負傷を負っている。

3人目の50代男性は、車で通りかかって事件を目撃し、車を降りてテロリストを制止しようとしたところ、自分も負傷した。

犯人のマヘル・アル・ハシャムン(30)は、最初、ダリアさんら2人を車ではねようとして突っ込んだが失敗。車を降りて2人を刺し殺そうとしたもよう。ハシャムンは、グッシュ・エチオンのセキュリティに撃たれ、死亡した。

アル・ハシャムンは、ヘブロン在住で、イスラム聖戦に所属。2000年~2005年、投石、暴動によってイスラエルの刑務所に収監されていた。今回のテロにつては、イスラム聖戦が犯行声明を出した。

なお、事件が発生した場所は、6月に3人の少年が誘拐され、殺害されたヒッチハイクポイントから100メートルほどしか離れていなかった。

<タイベイで、男性リンチ寸前で救出>

エルサレムとテルアビブの中間にある町タイベイで昨日、ユダヤ人男性が、乗っていた車から引きずりだされ、「アラー・アクバル!(アラーは偉大なり)」と叫ぶアラブ人らに殴られ、リンチされそうになった。幸い、別の住民に救出されたが、男性の車はこの後、火をつけられ炎上した。

<警察の対策は?>

日常生活の中でテロが頻発しているが、警察はどうも後手にまわっている感がある。テルアビブの兵士が刺された現場では、アハロノビッツ治安相が現れると、人々が、「治安はどうなっている。テロリストを殺せ」と怒る場面もあった。

警察の公式スポークスマン・ミッキー・ローゼンフェルド氏によると、現在警察は24/7で警戒態勢を保っている。エルサレムでは、暴動が多発している東エルサレムのパレスチナ人の町は、監視バルーンが上空から監視している。怪しい動きがあれば、すぐに察知できるという。

また先週、イスラエル政府は、石や火炎瓶を治安部隊に投げつける行為も犯罪行為とみなし、20年を上限とする禁固刑を課すという法律を可決した。未成年であっても逮捕されれば、犯罪記録が一生ついてまわることになる。

ローゼンフェルド氏によると、今回の様々な暴動は、小さなスケールのものが頻発している状態で、未成年が関わっている率が高いというのが特徴。学校の行き帰りの時間帯に投石事件などが発生する傾向にある。

ここ2週間ほどの間に逮捕された200人のうち、71人が未成年(18才以下)だった。こうしたことから、警察は今のところ、深刻なインティファーダではなく、青少年の問題としての捉え方をしているという。

今日の2件の刺傷テロ事件については、組織的、計画的なものではなく、単独・突発テロ行為である可能性が高い。これはすなわち、予兆がまったくなく、特定の団体を非難することもできず、対処が非常に難しいということを意味する。

また、時間が経ち、犠牲者が増えるにつれて、ユダヤ人の間にアラブ人に対する怒りが高まりつつある。西岸地区ナブルス近郊のフワナでは、パレスチナ人と入植地ユダヤ人が互いに石を投げつけ合って、治安部隊が双方を落ち着かせるという事態になったところもある。

ネタニヤフ首相は、アッバス議長がテロを激励するような発言をしたために、パレスチナ人が暴挙に出ていると、アッバス議長を非難している。

北部ガリラヤのカナでの暴動 2014.11.11

金曜に、ナイフを振り上げて警察車両を襲ったアラブ人ハムダンを、警察官が射殺した件について、アラブ人(イスラエル国籍)は過剰防衛だった、ハムダンは殉教者だとして、怒りをぶつけている。

カナでは、事件発生直後から、今日もまだマスクをつけた若者たちが、治安部隊に石や火炎瓶、火をつけたタイヤなどをなげつけて、衝突している。これまでに25人が逮捕された。

下ガリラヤ地方では、カナとサクニンの数千人の高校生が、”ハムダンを殺した警察官に刑罰を要求する”デモを行った。高校生たちが掲げたバナーには、「私たちはアルアクサ(神殿の丘)と殉教のために命を捧げる」と書かれていた。

こうした暴動はナザレでも発生している。ナザレでは2人が逮捕されたが、1人は15才だった。ナザレにある教会の一つには、「ユダヤ人を殺せ。」との落書きが発見されている。

イスラエルのアラブ系住民は全人口の約20%。ユダヤ人と同じ権利を持って生活している。ネタニヤフ首相は、暴動に出ているアラブ人に対し、「イスラエルを非難するなら、パレスチナ自治区かガザ地区へ行けばよい。イスラエルはそれと止めない。」と発言した。

アラブ人議員からは、「少数派に対する挑戦だ。言ってはならないことだ。」と非難し返している。

異常事態に慣れているイスラエル人 2014.11.11

テロ事件はいつどこで発生するかはわからない。しかし、今のところ第二インティファーダのようにバスやレストランが爆破されて多数が一度に死亡するような事態にはなっていないので、イスラエルでの日常生活にはほとんど影響はない。

事件が発生したら、道路は封鎖され、一気にものものしくなる。しかし、落ち着いたと判断されるやいなや、数分以内に、道路は開放され、あっというまに全くの通常に戻っている。そうなれば、もはやだれも気にしなくなる。すぐに忘れられる。これが異常事態に慣れているイスラエルの日常生活である。

この流れの中で、昨日日曜、群衆といってもいいぐらい大勢の観光客が、問題の神殿の丘へ入って観光を楽しんだ。その前日、パレスチナ人と治安部隊が火花をちらしていた神殿の丘である。負傷者も出たその場所が、今日は世界中から来た観光客でいっぱいになっている。なんとも不思議な感覚だった。

ツアーガイドのアロン・ヤンガーさんは、観光客のほとんどは今イスラエルがどうなっているのか、ほとんど何も知らないと言っていた。今の暴力の波が、死者数が1人などと劇的なものでないため、世界のメディアがほとんど取り上げていないことも原因の一つと思われる。