異常事態に慣れているイスラエル人 2014.11.11

テロ事件はいつどこで発生するかはわからない。しかし、今のところ第二インティファーダのようにバスやレストランが爆破されて多数が一度に死亡するような事態にはなっていないので、イスラエルでの日常生活にはほとんど影響はない。

事件が発生したら、道路は封鎖され、一気にものものしくなる。しかし、落ち着いたと判断されるやいなや、数分以内に、道路は開放され、あっというまに全くの通常に戻っている。そうなれば、もはやだれも気にしなくなる。すぐに忘れられる。これが異常事態に慣れているイスラエルの日常生活である。

この流れの中で、昨日日曜、群衆といってもいいぐらい大勢の観光客が、問題の神殿の丘へ入って観光を楽しんだ。その前日、パレスチナ人と治安部隊が火花をちらしていた神殿の丘である。負傷者も出たその場所が、今日は世界中から来た観光客でいっぱいになっている。なんとも不思議な感覚だった。

ツアーガイドのアロン・ヤンガーさんは、観光客のほとんどは今イスラエルがどうなっているのか、ほとんど何も知らないと言っていた。今の暴力の波が、死者数が1人などと劇的なものでないため、世界のメディアがほとんど取り上げていないことも原因の一つと思われる。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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