東京でイスラエルのオハナ国会議長と人質家族がガザの人質解放訴え 2025.8.29

アミール・オハナ国会議長が日本を公式訪問

8月28日(金)、イスラエルのクネセト(国会)のアミール・オハナ議長が、ガザで今も人質になっているガイ・ギルボア・ダラルさん(24)の父イランさんと、兄ガルさんを伴い、来日した。イスラエル国会議長が日本を公式に訪問するのは、26年ぶりとのこと。

一行は、額賀 福志郎 衆議院議長、関口 昌一 参議院議長と衆参両議長と会談。藤井外務副大臣とも会談。人質の早期解放を訴えた。

外務省HPより

外務省HPによると、福井外務副大臣は、オハナ議長と40分にわたって会談。以下のように報告されている。

1. 冒頭、藤井副大臣からハマスによるテロ攻撃を断固として非難し、ハマスは武装放棄すべきと強調した上で、既に深刻なガザの人道状況が一層悪化していることを強く憂慮する旨述べるとともに、一刻も早い停戦の実現及び人道状況の改善に向けての一層の努力を求めました。

また、藤井副大臣から、我が国として当事者間の信頼醸成と交渉を通じた二国家解決の実現を一貫して支持している点を強調しました。

2. これに対し、オハナ議長からイスラエルの立場につき説明がありました。両者は、引き続き日・イスラエル関係について意思疎通を行っていくことで一致しました。

www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_02660.html

FCCJ(日本外国特派員協会)で記者会見:イスラエルへの圧力はハマス支援になる

Tokyo, Japan, August 28, 2025. (credit: Natan Weil/Knesset Spokesperson)

その後、日本外国特派員協会で、オハナ議長と、人質ガイ・ダラルさんの父イランさん、兄ガルさんが記者会見を行った。

オハナ議長は、最近公表された人質デービッド・エヴィヤタルさんの写真を提示し、「人質のエヴィヤタルは、骨と皮になっているが、食べ物を渡しているハマス拘束者の腕は健康そのものだ」と述べ、意図的な飢餓に遭っているのは、イスラエル人の人質だけだと訴えた。

また、10月7日の暴虐な犯罪の後で、パレスチナ国家を承認しようとする世界指導者について、宥和政策を選択しようとする弱い指導者だと批判。

「ハマスはパレスチナ国家を承認する国が出ていることを賞賛している。ということは、この動きがハマスに好都合だということだ」と述べた。

また、宥和政策は過去になんども行ってきたが、すべて失敗に終わってきた。今はその時ではないと述べた。

ガイさんの兄、ガルさんは、「もし本当に中東に和平を望むなら、ハマスとの融和はありえない。ハマスは人質を解放せず、カードとして使っている。私たちには、弟のために戦わないという選択肢はない」と述べた。

父親のイランさんは、「世界は、イスラエルに圧力をかけることでは、目標(人質解放、戦争終結)は達成できないと知るべきだ。ハマスが手をださなくても世界がイスラエルに圧力をかけてくれるので、ハマスは強気になって、交渉に応じなくなっている。

西側諸国の対応に落胆させられている。イスラエルをサポートせず、テロ組織の方をサポートしている上、パレスチナ国家という報酬まで与えようとしている。それは、双方に戦争を長引かせる結果になっている。

こうしている間にも私の息子は、地下の暗闇、光も新鮮な空気も食糧も医療ケアもないところで死にかけている」と訴えた。

ガザの病院や学校などの公共施設が攻撃されていることについて質問されると、オハナ議長は、「市民を標的にしたことは一度もない。しかし、戦場なので市民が巻き添えになることはある」と答えたとのこと。

オハナ議長は、「ハマスが武器を放棄し、人質を解放すれば、戦争は今日にも終わる」と述べた。

(The Hostages and Missing Families Forum)

なお、人質のガイさんは、日本とそのアニメが好きで日本語を学び、10月7日の時点で、2024年の桜の季節に日本を訪問する飛行機もとっていたという。

FCCJでの会見では、昨年、ネットで公開されていたクリップが流された。以下のサイトから閲覧可能。

www.guygu.co/watch-now

また、日本人漫画家の田中マコトさんが、ガイさんを思う投稿をアップしている。

*FCCJ( The Foreign Correspondents’ Club of Japan)

FJJCは日本に駐在する外国人の特派員やジャーナリストの会員制クラブ。1945年に設立され、公益社団法人として認定されている。日本人の記者クラブではない。

www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/topics/hyokei250826.html

new.embassies.gov.il/japan/ja/news/knesset-speaker-ohana-holds-talks-japanese-counterparts

www.jpost.com/israel-news/article-865621

日本でガイさん家族を囲む会:本日8月29日(金)14:30-16:00

本日、上記日程で、東京都生駒市で、人質ガイさん家族を囲む集会が行われる。主催者は、イスラエルと関係が深い、メシアニック系のクリスチャンたちである。

実会場での参加は申込が必要です
forms.gle/cETkffDQexFhYihq9

Zoom参加は登録不要です。
us06web.zoom.us/j/84425903363

集会にズームで参加させていただいた。ズームに35人、会場もいっぱいだった。

集会では、家族から直接、ガイさんに関することを聞き、皆で祈った。主催者代表のアイザック内山さんの妻メリッサさんは、イスラエル人なので、最後に、家族に手をおいて、イエスの名も出しつつ、ヘブライ語で祈っていた。

最後に角笛を吹いた内山アイザックさんは、ここでは、安息日ごとにガイさんやみなさんのために祈っていると覚えていてほしいと伝えていた。

家族たちは、ガイさんが来たかった日本で、暖かく迎えられ、多くの人が関心を持ってくれていることに励まされたと語っていた。

ガイさんが、無事に解放され、いつか日本に来ることができるよう、祈り続けよう。

スリホット初日:嘆きの壁は人でいっぱい 2025.8.26

8月25日日没後、エルサレムの嘆きの壁では、ユダヤ教のスリホットの初日の祈りが捧げられた。嘆きの壁は文字通り人で埋め尽くされていた。

スリホットとは、ユダヤ教の秋の例祭シーズンを前に、自分の歩みを振り返り、必要な人には謝罪して関係を回復させながら、神に対しても罪を告白して赦しをこう祈りのことである。

個人がそれぞれの生活でその祈りを捧げると共に、嘆きの壁では、ユダヤ人たちが、定期的に集まって、共に神の前に出て祈る。

今年は、8月25日に始まり、10月1日のヨム・キプール(大贖罪日)前夜までの間、毎週、木、土を中心に、行われる。

今年のスリホット初日には、元人質のキース・シーゲルさん、エレーナ・トルファノフさんが参加した。

戻ってきた人質たちの中には、囚われていた間に、神に立ち返ったと言っている人が少なくない。人間は、自分でどうにもできなくなった時に、ようやく神を発見するのかもしれない。

今年のスリホットでは、特にまだガザに残されている人質50人を覚える祈りも捧げられっている。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/former-hostages-join-thousands-for-pre-high-holiday-prayers-at-western-wall/

以下は、今年の嘆きの壁のスリホットへの参加の呼びかけのクリップと、その中で出て来るプロップの訳。

“今年はいつもより多くの人が、人生を置いて嘆きの壁に来るように。
互いにつながり、一つとなって、希望と慰めを受けとろう。
期待しながら人質たちと兵士たちが帰って来るように祈ろう。
負傷者の癒しのためにも祈ろう。

石のひとりごと

イスラエルは今、史上最も長い戦争を経験している。最強だったはずのイスラエル軍が、ハマスというテロ組織を相手に、2年経ってもまだ人質を取り返せないでいる。プライドも大きく崩された。

世界からは嫌われ孤立が深まっている。被害者なのに理解してもらえない。

しかし皮肉にも反ユダヤ主義の悪化で、世界中から戻って来るユダヤ人は増えている。現地友人によると、戦争で旅行客は来ないが、町では、移住プログラムなどで、やって来るディアスポラの若者たちがかなり増えており、マーケットも賑わっているとのことだった。

ユダヤ人たちが、不可能な状況で、耐え難い困難と痛み苦しみを共有する中、今、秋の例祭が近づいてきた。その前に、共に悔い改め、彼らの神である主に立ち返ろうとしている。主とその民が一つになろうとしている。

こんな民は世界のどこにもいない。うらやましい思いだ。

イスラエルが選びの民であるのは、その有能性ではなく、こういう姿を通して、主がおられることを証するということなのだと思う。

私たちの救いの神よ。御名の栄光のために、私たちを助けてください。御名のために、私たちを救い出し、私たちの罪をお赦しください。

なぜ、国々は、「彼らの神はどこにいるのか」と言うのでしょう。あなたのしもべたちの、流された血の復讐が、私たちの目の前で、国々に思い知らされますように。

捕らわれ人のうめきが御前に届きますように。あなたの偉大な力によって、死に定められた人々を生きながらえさせてください。主よ。あなたをそしった、そのそしりの七倍を、私たちの隣人らの胸に返してください。

そうすれば、あなたの民、あなたの牧場の羊である私たちは、とこしえまでも、あなたに感謝し、代々限りなくあなたの誉れを語り告げましょう。(詩篇79:9-13)

人質解放を訴える全国デモの日2回目「イスラエルの民はこの悪夢を終わらせたい」2025.8.26

嘆きの壁でのスリホット初日が行われた翌朝、8月26日(火)朝6:29(10月7日のハマス侵攻開始時間)より、先週日曜日の全国で行われたデモやストの2回目が始まっている。

今回は、特に人質家族が主催となっており、とにかく人質をすぐにでも解放させることが目標である。デモは、人質たちの写真があしらわれた巨大な旗を、テルアビブのアメリカ大使館前で掲げることから開始した。

人質広場では、朝一番に、家族たちの記者会見が行われた。人質、エイナブ・ザングーカーさんの母親マタンさんは、「愛する人々が拉致されてから今日で690日目になる。この間、兵士たちは命を失うリスクの中で、戦場に送られた。国民全員は、国家の重荷につぶれてしまいそうだ。

Protesters block the Yakum Junction area along Route 2 as they demand an agreement to free the hostages and end the war in Gaza, on August 26, 2025. (Simon/Pro-Democracy Protest Movement)

この戦争は、1年前にも終わらせ、人質全員と兵士全員帰宅させることができたはずだった。しかし、首相は、政権に留まるために、何度も、何度も、国民を犠牲にする道を選んだ。

ネタニヤフ首相。なぜあなたはずっと足をひきずっているのか。」と訴えた。

人質家族たちは、アヤロンハイウェイなど、全国主要道路の封鎖も開始している。

www.ynetnews.com/article/rjozxb9yxl#autoplay

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/the-people-of-israel-want-an-end-to-this-nightmare-families-of-gaza-captives-speak-at-hostages-square/

石のひとりごと

嘆きの壁とはまた違い、こちらは政府に人質解放を優先するようにと政府に訴えることで、一致してのデモである。

イスラエルでは、神に立ち返ろうとする人もいれば、テルアビブを中心に、人間の力を謳歌する世俗派文化もある。

こちらは、主を信じないわけではないが、それに頼るだけでは終わらない人々である。読者は混乱しないようにとも思うが、この多様性が今のイスラエルの一つの特徴でもあるということである。

ただ近年、苦難続きの中で、世俗派たちの間でも、神に立ち返る人が増える傾向にある。メシアニックとなって、救われる人も起こっているとも聞いている。

ハンユニスのナセル病院攻撃でジャーナリスト5人含む20人死亡:イスラエルへ非難殺到 2025.8.26

イスラエル軍のガザ南部ハンユニスのナセル病院攻撃でジャーナリスト5人含む20人死亡

8月25日(月)朝10時ごろ、ガザ南部ハンユニスにあるナセル病院が、イスラエル軍による攻撃を受け、ガザ保健省(ハマス)によると、医療従事者4人と、国際メディアに所属するジャーナリスト5人を含む20人が死亡した。

5人のジャーナリストは、AP通信、ロイター、アルジャジーラ、ミドルイーストアイなどの国際メディアに所属していたガザ在住のジャーナリストだった。

国際社会からは、イスラエルへの非難が殺到している。

Gazans journalists who were reportedly killed in the strike on Nasser Hospital in Khan Younis

これまでに明らかになったところによると、イスラエル軍は、ガザ南部、ハンユニスのナセル病院屋上に設置されていたカメラを発見。

イスラエル軍の動きを監視するものと勘違いし、戦車隊がこれに向けて発砲した。

カメラとその周辺を崩壊したあと、2発目を発射。被災者を救出しようとして集まっていた救急隊員に命中していた。砲撃を受けた病院の建物は、ガラスが割れるなど、パニックとなった。

記者協会によると、病院にはWi-Fiがあり、外階段は、ハンユニスを見渡せる位置にあるため、記者たちがカメラを抱えて動きまわる場所であった。

Nasser Hospital on August 25, 2025, stands next to his camera as he works at the hospital in this undated picture. (REUTERS / Mohammed Salem)

イスラエル軍が最初に砲撃したのは、ロイター所属のフッサム・アル・マスリさんが、ライブ配信していたカメラだった。

攻撃を受けた瞬間に映像は止まっていたという。同じくロイターのカメラマン、ハッテム・ハレッドさんが2回目の攻撃で負傷(死亡?)した。

その他、AP通信所属のマリアム・ダガさん(33)、アル・ジャジーラ所属のモハンマド・サラマさん、モアズ・アブ・タハさん、ミドル・イースト・アイのアフマド・アブ・アジズさんが死亡した。

パレスチナ系のメディア団体は、ガザでの戦争が始まってから死亡したジャーナリストは240人になったと発表した。

www.bbc.com/news/articles/cp89rp48246o

www.timesofisrael.com/horrified-allies-critics-condemn-deadly-strike-on-journalists-in-gaza-hospital/

*ナセル病院はじめガザの病院は、普通の医療機関ではないということ

ハンユニスのナセル病院は、普通の医療機関ではない。10月7日の襲撃の後、この病院に人質が連行されていた。近くで殺された人質もいる。

今年3月には、イスラエル軍がこの病院を攻撃し、ハマス高官イシュマエル・バルフムが死亡。これはハマスも認めていたことである。さらに5月には、ハマス戦闘員であった、著名なパレスチナ人ジャーナリスト、ハッサン・エスライアがイスラエル軍の攻撃で死亡していた。

こうした状況にもあったことから、この病院周辺にジャーナリストが多数いたとも考えられる。

なお、ナセル病院に限らず、北部のシファ病院でも、地下に一時、人質が閉じ込められ、病院は、ハマスの指令センターになっていたことがわかっている。

www.timesofisrael.com/israeli-strike-on-hospital-kills-journalist-who-invaded-israel-with-hamas-on-oct-7/

イスラエルの反応:ネタニヤフ首相が攻撃に深い後悔を表明・本日緊急閣議開催

ネタニヤフ首相は、すぐにナセル病院への攻撃があったことを認め、深い後悔を表明した。

イスラエル軍のデフィリン報道官は、英語による声明を発表。イスラエル軍は、市民を標的にしているのではないと強調した。

イスラエル軍は、国際法の下にある軍として、市民の犠牲をできるだけ防止する対策をとっているが、現状は、テロ組織ハマスが狡猾にナセル病院を拠点として、市民の間にいるという非常に複雑な状況にあると説明した。

イスラエル軍は、ザミール参謀総長の支持で何があったのか、攻撃の前に上部からの指示はあったのかなど、詳細に調査していると述べた。

www.timesofisrael.com/strike-on-south-gaza-hospital-said-to-kill-20-including-rescuers-and-journalists/

世界からの反応:イスラエル非難殺到

イギリスのラミー外相はXに、「イスラエルによるナセル病院への恐ろしい攻撃だ。市民、医療従事者、ジャーナリストは保護されなければならない。」とアップ。

ドイツの外務省は、Xにショックを受けたと述べ、「攻撃は調査されなければならない」と書き込んだ。フラン酢のマクロン大統領は、攻撃は容認できるものではないと述べた。

スペインのアルバレス外相は、Xに、「今日のイスラエルによるガザの病院とジャーナリストを死に追いやった攻撃、意図的にもたらした飢餓、これらすべては非常に深刻な国際法違反だ」と書き込んだ

トルコの大統領府も「ナセル病院への攻撃は、報道の自由への攻撃であり、新たな国際法違反だ」と表明した。

国連のグテーレス事務総長は攻撃を非難。後で報道官が、「医療樹従事者やジャーナリストを含む市民は、常に保護されなければならない」との声明を発表した。

国連人権事務所のシャムダサニ報道官は、「ジャーナリストの殺害に世界は、沈黙を守るべきでない。責任と正義を追求する時だ。ジャーナリストも病院も標的になるべきではない」と表明した。

WHOのゲブレイヤスス長官もXにおいて、「攻撃で、重症患者を含め50人が負傷した。ガザの人々は飢餓に陥っており、すでに医療へのアクセスも制限されているのに、それに輪がかかった。医療機関を攻撃するな。ただちに停戦を」と書き込んた。

www.timesofisrael.com/horrified-allies-critics-condemn-deadly-strike-on-journalists-in-gaza-hospital/

石のひとりごと

世界の中では、イスラエルがガザの飢餓に陥れているという非難が出回る中で、なんとも最悪なことになった。イスラエルの孤立はさらに深まっていくだろう。

イスラエルはガザ市への攻撃を決行できるのか。ネタニヤフ首相は26日(火)夜に治安閣議を招集しており、ハマスとの交渉についても話し合われるとのこと。

イスラエルをとりまく状況は、もはや人間の理解をこえるカオスだが、主に予想外はない。すべての支配者である主、イスラエルを見捨てない主が、これからどう導かれるのか。祈りつつ見守っていく。

オーストラリアがイラン外交官追放:国内ユダヤ人施設テロ攻撃の背後にイランと 2025.8.26

ここしばらく、反イスラエルの風潮が高まっているオーストラリアだが、8月26日(火)、アルバネーゼ首相が、スパイ組織AISOの調査の結果、昨年発生した、2件の反ユダヤ主義放火時件の背景にいたのはイランであったことが判明したと発表。

イランがオーストラリア国内の分断を引き起こそうとしていたと述べ、他国でそのような事件を行うことは危険な侵略行為にあたると厳しく非難し、イランの革命防衛隊をテロ組織に指定。在オーストラリアのイラン外交官を追放したと発表した。

併せて、イランに派遣していたオーストラリアの外交官も呼び戻した。オーストラリアが他国の外交官を追放するのは、第二次世界大戦以来とのこと。

アルバネーゼ首相が指摘する事件は、2024年、10月20日早朝に、シドニーのボンダイビーチにあるコシェルのレストランが放火された事件と、同年12月6日に、メルボルンのアダス・イスラエル・シナゴーグが放火された2件である。いずれも物損だけで、負傷者はなかった。

オーストラリアのアルバネーゼ首相は、国内で広がる反イスラエルの風潮の中、パレスチナ国家承認の方針を発表。その後、イスラエルの強硬右派議員のシムハ・ロスマン氏の入国ビザを出発直前にキャンセルして、両国の関係はかなり冷え切っていた。

その後、ネタニヤフ首相が、アルバネーゼ首相に対し、反ユダヤ主義暴力に対してなにもしていないと個人的に非難する書簡を出したのは、今回の発表のわずか1週間前である。その後、オーストラリアでは、全国で、大規模な反イスラエルデモが発生していた。

政府のこの動きが、オーストラリア全体の反ユダヤ、反イスラエルの流れにどう影響していくかはわからない。しかし、オーストラリアのイスラエル大使館は、この方針に歓迎を表明。これは長い間、提唱してきたことだったと述べた。

www.timesofisrael.com/australia-says-tehran-behind-two-antisemitic-arson-attacks-expels-iranian-ambassador/

www.nytimes.com/2025/08/26/world/australia/australia-iran-antisemitic-attacks.html

イスラエルがイエメンの首都サナアを空爆:フーシ派がクラスター爆弾使用受け 2025.8.25

イスラエル軍がイエメン首都サナアを攻撃

イスラエルは、8月24日(日)、イエメンの首都サナアの大統領官邸、燃料貯蔵所、発電所つきの軍事施設を標的とした大規模な攻撃を行った。フーシ派によると、これにより、4人が死亡。67人が負傷した。

イスラエル軍は、この攻撃は、フーシ派の弾道ミサイルと爆発性ドローンによる攻撃に対する反撃だと発表した。

なお、攻撃した大統領官邸に大統領が住んでいるわけではなく、フーシ派が軍事施設の一部として使っており、一部地元メディアによると、ここ数年は、放置状態にあったとの情報もある。

イラン傀儡のフーシ派は、イエメンの貧しさの中、ガザのパレスチナ人に同調するとして、イスラエルへのミサイルやドローンによる攻撃を、いまだにしつこく、しつこく続けている。イスラエル人は、その度に、シェルターに駆け込まなければならない。

Yemenis hold placards and chant slogans during a rally in solidarity with Palestinians and in condemnation of Israel and the US, in the Houthi-run capital Sanaa on August 22, 2025. (Photo by Mohammed HUWAIS / AFP)

イスラエルももう何度も反撃して空港を破壊するなど大規模な攻撃にもなっていた。それでもまだフーシ派は、「アメリカに死を、イスラエルに死を」と言いながら攻撃を続けている。

最近では、3月にイスラエルがハマスへの攻撃を再開した際、フーシ派は、イスラエルにまで届かなかった分も含めると、弾道ミサイル71発、ドローン23機を発射していた。

最新の攻撃は8月22日(金曜)夜に弾道ミサイルを発射した。このミサイルに初めてクラスター爆弾が装着されいぇおり、迎撃した際に、一部が住宅に着弾した。幸い住民は、強化シェルターに入っていたので無事だった。これを受けて、イスラエルは、サナアへの大規模な攻撃を実施したということである。

at the IAF’s command center, August 24, 2025. (Elad Malka/Defense Ministry)

ネタニヤフ首相は、「我々を攻撃する者はだれであろうと反撃する。

イラン傀儡のフーシ派は、イスラエルへの攻撃で、代価を払うことになると知っているが、今もそれを学んでいる」との声明を出した。

www.timesofisrael.com/iaf-strikes-yemens-capital-after-houthis-fired-cluster-bomb-missile-over-weekend/?utm_campaign=most_popular&utm_source=website&utm_medium=article_end&utm_content=2

イエメンの飢餓状態

イエメンのフーシ派が、イスラエルに高度な弾道ミサイルを発射し続けているが、そのイエメンは、世界での最悪レベルの飢餓大国である。

今ガザの飢餓で話題になっているIPCは、イエメンについて、495万人がフェーズ3以上、150万人がフェーズ4以上としている。地図をみると、フーシ派がいる地域以外が、食料不足に陥っている形である。

www.ipcinfo.org/ipc-country-analysis/details-map/en/c/1159646/

news.un.org/en/story/2025/06/1164776

石のひとりごと

ハマスもそうだが、イラン傀儡の反イスラエルを掲げるテロ組織は、自分の周囲にいる市民など、まったくどうでもよいと言うことが、イエメンからもわかることである。

今回出ていたフーシ派の写真に写っている男性の顔は、なんとも悪霊の気配を感じた。それにしてもなぜそこまでイスラエルの存在を嫌うのか。その一点からだけでも、聖書の神の名がつけられている国だからとしか考えられないわけである。

ガザ市周辺攻撃継続も住民避難進まず:IDF兵士1人事故で死亡 2025.8.25

ガザ市周辺戦闘継続中:避難民の脱出進まず

イスラエル軍は、8月23日(土)から24日(日)にかけて、ガザ市北部ジャバリアに軍を進ませ、ガザ市に近い、ゼイトゥーンやシャジャイヤへの攻撃を実施。建物や家屋を破壊している。

ガザ市制圧にむけて、周辺のハマスのトンネル含め、この地域のハマス勢力を壊滅するためである。

ガザ地元メディアによると、23日(土)の攻撃で34人が死亡したと主張(戦闘員と民間人の区別不明)。ガザ市の国境なき医師団(は、搬送されてくる患者が急増していると言っている。

イスラエル軍は、これらの攻撃を認め、ガザ市制圧にむけて、その郊外を制圧していると表明した。地上にある建物を破壊することで、避難民が移動することも視野に入れているとも言われている。

ガザ市には、ガザ全体の半分にあたる100万人の避難民がいる。これまでに数千人が南部へ移動したとみられるが、大半は動く気配がみられていない。人々は、もう何度も移動を余儀なくされ、疲れ果てているのである。またガザ市には、ハマスの拠点もあり、移動させないでいるのかもしれない。

COGATは、ハマスがガザ市民を拷問する様子を公開した。

twitter.com/cogatonline/status/1959881470526329040

A displaced Palestinian man and his family warm up chickpeas as they sit amid the destruction in Saftawi neighborhood, west of Jabalia in the northern Gaza Strip, on August 24, 2025. (BASHAR TALEB / AFP)

Times of Israelによると、リスクは回避するとして避難する人もいれば、イスラエルが攻撃してきても逃げないと言っている人もいる。後者のアヤさん(31)は、家族が8人おり、テントを買うお金も移動費用もないので、避難したくてもできないと言っている。

www.timesofisrael.com/idf-pushes-into-gaza-city-outskirts-ahead-of-offensive-bolsters-troops-in-jabalia/

ガザ市への攻撃の備え、イスラエル軍はガザ北部での負傷者増加に備えるよう警告している他、南部の病院でも負傷者を受け入れる準備を開始しているとのこと。

www.timesofisrael.com/at-least-34-said-killed-by-idf-in-gaza-hospital-preps-for-gaza-city-evacuation-orders/

イスラエル兵1人:事故?爆発物で死亡

23日(土)、ガザ南部ハンユニスで、建物を爆破しようとしていた際に、予想外に早く爆発物が爆発し、イスラエル軍小隊長オル・ゲルリッチ中尉(20)が死亡した。事故とみられている。

この日ハンユニスの病院によると、この日、イスラエル軍の攻撃で少なくとも14人が死亡し、その半数以上は子供と女性だったと発表した。

なお、ハンユニスでは、先週、ハマスが駐屯地に突撃してきたが、軍は、これを撃退したところだった。この時イスラエル兵4人が負傷し、うち1人は重傷だった。

www.timesofisrael.com/infantry-officer-killed-in-gaza-in-apparent-accidental-detonation-of-idf-explosive/

IPC(総合食糧安全保障段階分類)がガザの飢饉を宣言:現代版「血の中傷」とネタニヤフ首相 2025.8.25

IPCがガザ北部の飢饉を正式表明

8月22日(金)、国際飢餓監視団体であるIPC(総合食糧安全保障段階分類)が、人口密度の高い、ガザ北部がフェーズ5、壊滅的な飢餓に直面しているとの正式な発表を行った。

それによると、ガザ地区では総人口の約4分の1にあたる推定51万4000人が、飢餓に陥っており、9月末までには、64万1000人になる可能性があるとしている。

また最も深刻なエリアは、ガザ市を含む北部で28万人、それ以外では、中部のデイル・アル・バラ、南部では、カン・ユニスで飢餓が広がっていると報告している。

この原因について、監視団体は、イスラエルが3月初旬から5月中旬までの2ヶ月半の間、支援物資の搬入を停止したことを挙げている。その後、物資搬入は再開されたが、以前のレベルには戻っていないとしている。

中東で、IPCの基準による飢餓の認定が出るのは初めてとのこと。

www.timesofisrael.com/global-hunger-monitor-declares-famine-in-gaza-for-1st-time-israel-rejects-biased-report/

なお、ハマスは、これまでにガザで6万2000人以上が死亡したが、このうち2000人以上は、食糧配布や、搬送中での衝突で死亡したと主張している。また、これまでに少なくとも289人が栄養失調で死亡したと主張している。

*IPC(Integrated Food Security Phase Classification)とは

IPCは、2004年に国連食糧農業機関(FAO)の食糧安全保障ユニットが、ソマリアでの飢餓に対処するために設立したもので、食料が十分ある状態から飢餓にいたるまでを5段階に分けて警告するシステムである。

ja.wfp.org/stories/5-steps-food-security-famine

IPCのHPによると、現時点でのガザ地区では、危機的状況とされるフェーズ5は人口の16%で、フェーズ3以上が、91%となっている。

www.ipcinfo.org/ipc-country-analysis/details-map/en/c/1157985/

ガザ以外で、IPCが警告を出したのは、エチオピア、コンゴ、ソマリア、イエメン、スーダンで、1〜5のいずれかの飢餓状態にあるとの警告が継続して出されている。

特にスーダンでは、2024年12月に人口の約半数にあたる2110万人が飢餓に陥っていると認定していた。

国連からイスラエルの戦争犯罪指摘

この発表の後、国連人権高騰弁務官のフォルカー・トゥルク氏が、「飢餓を戦争の手段として使うことは戦争犯罪だ」と述べ、それによって死者が出た場合は、殺人罪に当たる可能性があると表明した。

グテーレス事務総長は、「看過できないことだ。即時停戦。即時人質全員解放とし、完全かつ制限のない人道支援アクセスを求める」と表明した。

国連緊急対応調整官のトム・フレッチャー氏は、「これは阻止できた飢饉だ。この報告を悲しみと怒りを持って読むべきだ」と非常に厳しく批判した。

イスラエルはガザの飢餓を否定:COGAT(イスラエル軍政府活動調整部)がガザへの人道支援状況を発表

これを受けて、イスラエル外務省は、IPCの文書は、ハマスのデータにのみ基づいていると指摘。加えて、IPCは、飢餓と判断する場合は、通常総人口の20%以上とするのに、今回は15%以上に下げて、飢餓と認定していること。

また、子供の3人に1人が急性栄養失調や、1万人に2人が毎日、栄養不足で死亡していることも条件となるのに、ガザではその条件は満たされていないのに、フェーズ5を宣言していると訴えている。

首相府からは、IPCの判断基準は通常、WHZと呼ばれる体重対身長から出されるデータに基づくが、今回ガザについては、MUACと呼ばれる中上腕周囲測定を使用しているとの指摘も出ている。

こうしたことから、今回のガザが飢餓に陥っているとの発表は、政治的に捏造されたものであるとし、ガザに飢餓は存在しないと反論した。

また、ガザ現地で国際社会の人道支援の手続などを担当するCOGAT(イスラエル軍政府活動調整部)のガッザン・アリアン氏は、次のように表明した。

「IPCの報告は、部分的で、信憑性の低い情報に基づいている。その多くはハマスの関連する組織からの情報である。イスラエルとその協力者である国際団体の人道支援に対する真摯な努力が、まったく無視されている。

国際社会は、根拠のないプロパガンダに惑わされることなく、完全なデータと現地の真実に目をむけることを期待する。」

COGATは、8月22日付で、8ページのにわたるガザへの物資搬入に関する報告書を公開した。以下はそのまとめ。

gaza-aid-data.gov.il/main/#AidData

以下はガザに入る物資の統計サイト(COGAT)

govextra.gov.il/cogat/humanitarian-efforts/main/

1)人道支援物資搬入について

戦争が始まって以来、支援物資のトラック10万台がガザに入っている。その80%は食糧である。

イスラエルは、今年3月初頭に、ハマスとの交渉決裂になった際、支援物資の搬入を停止したが、その前の1月の人質交換の際には、2万5200台のトラックがガザに入っていた。

搬入停止から、2ヶ月半後の5月中旬に物資搬入を再開し、それ以降、現在までに、1万台以上が入っている。加えて、空から物資の箱2300箱が投下された。

しかし、7月初旬、ちょうどハマスとの交渉が難しくなっていたころ、国連は、急にガザ各地への配送を激減させ、物資の多くが国境で、立ち往生になった。8月から搬送が再開されて、今は1日に300―400台のトラック(80%食糧)がガザ各地に搬送されている。

ガザに運び込まれた支援物資の70%は、国連と関連する支援団体に届けられている。現時点で、ガザ全域に、90のスープキッチンが展開しており、毎日60万食が提供されている。またベビーフードや幼児食は5000トン配布された。

運び込まれる支援物資の30%は、アメリカのGHFの食糧配布センター(4ヶ所)に届けられている。

国連などは、この周囲での混乱で死者が1000人以上出ていることや、そこまでのアクセスの悪さなどから、批判を出し続けている。しかし、これまでに220万箱(1億3200万食分の食糧含む)の支援物資が配布された。

こうした中、問題になっていたガザでの食糧価格高騰も落ち着いてきている。(小麦粉1kg10―12シェケル(約500円)、砂糖1kg15-25シェケル(約900円)、ひよこ豆1缶8シェケル(約360円)

2)支援物資搬送・配給に関するイスラエル軍の努力

イスラエル軍は、人道支援物資の搬送や配給を効果的に行うため、関係する地域への攻撃を朝6時から10時まで停止している。

また、配給やスープキッチンが行われている、特に避難民が集中している地域、アル・マワシ、デイル・アル・バラでは、朝10時から20時まで、人道休戦を実施している。

3)水の配給について

現在、ガザへはイスラエルからの水道管を経由した水の供給が行われている。戦闘で破壊された水道管の修理とボトルによる水の供給を行なっている。

海水淡水化施設を稼働させるための燃料も供給している。カンユニスの海水淡水化水道施設には、イスラエルからの電力も供給している。

現在UAEが、エジプトからアル・マワシに向けた淡水化施設の計画が進んでおり、完成すれば、60万人以上が水道にアクセスできるようになる。

4)医療支援について

現在、ガザには、18の医療施設と12の野戦病院が稼働している。これまでに搬入した医療物資は4万8000トン。

特に医療が必要な患者とその家族は、ガザを出て、第三国に出られるようにしている。2024年6月からこれまでに、4000人近くがガザを出た。2025年3月から、イスラエルは、ガザから第三国へ出ようとする際の手続きをかなり簡素化した。出ていく人の率は上昇傾向にある。

ガザの飢餓宣言は現代版「血の中傷」とネタニヤフ首相

飢餓監視団体の報告を受け、ネタニヤフ首相は、「イスラエルは飢餓政策をとっていない。飢餓を防ぐ対策を行なっている」との声明を発した。

首相府は、ガザに一時的な援助不足があったことを認めたが、その後。海上輸送や安全なルートの設置、空中投下などを行なっている。

それでも不足していることについては、国連が、7月中に1012台のトラックがガザに入ったが、途中で強奪されて、食糧庫に到達したのは、わずか10台だったと報告していたこと。

またカレン・ショムロン検問所にとどいた物資の配送を、国連が拒否したこともあったとして、それらが、いまだに続く食糧不足の原因だと訴えた。

しかし、今は近代版「血の中傷」になっており、反論は嘘のでっち上げよりも難しくなっていると表明した。

www.timesofisrael.com/netanyahus-office-calls-gaza-famine-declaration-a-modern-blood-libel/

石のひとりごと

ガザは飢餓かそうでないのか?WCKの代表、ホセ・アンドレス氏は、それは数字で言うことではないと言っていた。何が原因であれ、ガザでは、今食料が不足していると言っていた。

まずそれを是正しなければならない。そのためには、戦争を止めなければならない。そのためには、ハマスが人質を全員解放するとともに、武装解除すること。それが実現すれば、イスラエルは攻撃をしなくてもすむ。単純明快である。

しかし、世界はもはや、イスラエルが、ガザの人々を意図的に飢餓に陥れようとしているとの概念に固まりつつあり、いくら論理的に反論してももはや聞く耳がない。

これは日本でも同様で、今、正義感が強く、人道的な人ほど、イスラエルを責める。昨日NHKはこの件を、ガザが飢餓に陥っている認定されたことを、やせこけた子供の映像とともに報じていた。

この飢餓を象徴するかのような写真に写っている、やせこけた子供たちは、遺伝性などの疾患に苦しむ子供たちであり、飢餓が原因でそうなったのではないということが、すでに世界で報じられた後に、である。ハマスが食糧を強奪していることも報じていなかった。

また、イスラエルがガザを苦しめているとの一点に集中し、イスラエル市民50人(生存者20人)が、ハマスにより、本当に飢餓のがりがりになっていることは、全く報じていなかった。言うまでもなく、イスラエルが行っている人道支援への努力も全く報じられていなかった。

今、ガザの現状を見ているのは、ハマス含むガザ市民と国連関係者や国際団体、そこで戦っているイスラエル軍である。何が真実なのか、第三者にはわからない中で、現場にいるイスラエルの主張は無視することが、国際社会の常識になっている。

ガザで食糧配給が混乱していることは否定できないだろう。しかし、それをすべてイスラエルのせいにするのは、どう考えても不条理である。

イスラエルを支援する、しないとは関係なく、私たちは、真実は何かをよく確かめないうちに、社会とともに誰かを責めることに陥らないよう、注意しなければならない。

オーストラリア全土で大規模反イスラエルデモ:政府にイスラエル制裁要求 2025.8.25

(ABIR SULTAN / POOL / AFP) and (R) Australia’s Prime Minister Anthony Albanese (Hilary Wardhaugh / AFP)

オーストラリアでは、先月、シドニーで大規模な反イスラエルデモが発生し、その後、政府が、条件付きではあったが、パレスチナ国家承認への方針を発表。

さらに、先週、オーストラリアが、イスラエルの極右政治家シムハ・ロズマン氏の入国ビザを取り消したことから、ネタニヤフ首相が、オーストラリアのアルバネーゼ首相を個人的に非難し、イスラエルとオーストラリアの関係は、悪化の途をたどっている。

こうした中、8月24日(日)、シドニー、ブリスベン、メルボルン、など大都市では、数万人規模のデモ、各地40カ所で、イスラエルに反発するデモが行われ、全国での参加者は、約35万人とも報じられている。

特にブリスベンでは、これまでで最大5万人という予想をはるかに超える参加者だったという。シドニーでは前回より少ない1万人だったが、それでもハーバーブリッジが封鎖されるほどだった。

今回のデモでは、特に、ネタニヤフ首相が、アルバネーゼ首相を非難したことへの反発もあったと言われている。

主催者は、パレスチナ・アクションと呼ばれる親パレスチナ組織である。シドニーでは、群衆がパレスチナの旗を掲げて、「パレスチナを解放せよ!」と叫ぶ中、主催者のジョシュ・リース氏が、「ガザでの大量虐殺の終結と、オーストラリア政府にイスラエルへの制裁を要求する」と述べた。

www.timesofisrael.com/tens-of-thousands-march-in-australia-demand-end-to-gaza-war-sanctions-on-israel/

石のひとりごと

ニュースの中での人々のコメントを聞いていると、正義感をもって、真摯にガザの人々を助けたい、また食べ物を届けたいと言ってイスラエルに反発を表明している。

オーストラリアという遠いところで、ガザに行ったこともない人々が、ここまで真剣になっている様子に、異様さを覚える。世界はどうなっていくのだろうか。

日本でこんな記事があった。北海道では、最近クマによる被害が深刻化しており、人里に出てくるクマは駆除を余儀なくされている。すると、これに反対する苦情が、10日間に120件も殺到したという。

この件を取り上げたカンテレの番組に出ていた弁護士は、「動物愛護の精神は野生動物にも適応されるが、人を襲うようになってしまったクマ、人のエリアに侵入してくるクマは、駆除せざるを得なくなり、感情論だけでは判断できない。苦渋の決断だと理解してあげてほしい」と語っている。

石原良純さんは、苦情を出す人に対し、「じゃあ自分の町に、そこにクマがいたらどうすんの?」と聞いていた。

この記事を読んで、イスラエルの立場を思わされた。イスラエルはハマスを駆除せざるを得ないところに立たされている。無論、一般市民への被害は全く除むところではないのだが、如何せん、ハマス・クマは、市民を盾にするので、非常に難しい戦いになっている。

オーストラリアでデモに参加する人々は、一度、ハマスと一緒住んでみたらいいとイスラエル人はいいたいところだろう。

 

イスラエル国内で停戦・交渉へのデモ:野党ベニー・ガンツ氏の試みは失敗 2025.8.25

イスラエル政府は、ガザへの攻撃を進めようとしている。しかし、国内ではもう人々が戦争に疲れ果てており、6万人もの予備役兵が招集されようとする中、戦争をやめ、人質を交渉で取り戻そうとする動きとのぶつかり合いもみられる。

Yehuda Cohen protests outside the home of Defense Minister Israel Katz on August 24, 2025. (Tanya Zion-Waldoks/Hostages Forum)

毎週土曜日のテルアビブを中心とする、人質家族によるデモは継続され、24日(日)には、カッツ国防相、ダーマー戦略大臣、サル外相など閣僚自宅間でもデモが行われた。

www.timesofisrael.com/sacrificed-on-the-altar-of-eternal-war-hostage-kin-protest-outside-ministers-homes/

明日8月26日を、「闘争の日」として、全国的なデモを行うことになっている。

www.timesofisrael.com/israel-stands-for-hostages-massive-day-of-protest-planned-for-tuesday/

政治の世界では、中道左派のベニー・ガンツ氏が、23日(土)夜、今、過半数割れに近くなっているネタニヤフ政権に対し、極右政治家を連立から追放し、代わりに、野党のガンツ氏、ラピード氏、リーバーマン氏の党が加わって過半数となり、ガザ攻撃ではなく、人質交渉重視に方向転換する案を表明した。

しかし、ネタニヤフ首相がこの案に応じなかっただけでなく、リーバーマン氏はこれを「政治ショー」と嘲笑。ガンツ氏は、連立に入り込んでいると非難した。

ラピード氏は、ガンツ氏が、ネタニヤフ首相と手を組みたいというのが理解できないと述べ、ネタにヤフ首相の政権に入る気などない。ネタニヤフ首相は、首相にふさわしくない。10月7日に首相だった人が、今も首相であるべきでない」と表明した。

実際のところ、ガンツ氏は、ネタニヤフ政権に入って、結局その政権は崩壊するという経験を2回している。1回目は、2020年に、ラピード氏を裏切って政権に加わったが、コロナ問題もあり1年もしないうちに政権は崩壊。

2回目は2023年10月7日の後結成された戦時内閣に加わったが、結局ガンツ氏自身がこの政権から出ることになった。

反対意見はあるが、ネタニヤフ首相を超えるような勢力は今はないということである。

www.timesofisrael.com/lapid-liberman-balk-at-gantzs-plan-to-join-hostage-redemption-government-with-pm/

イスラエル軍がガザ市周辺の包囲に向けて戦闘中:IDF報道官が記者会見 2025.8.21

8月20日(水)夜、イスラエル軍のエフィ・デフリン報道官が、メディアブリーフィングを行なった。デフリン報道官が報告したことを交えながら、ガザ攻撃の現状を解説する。

www.idf.il/305882

1)ガザ市周辺を包囲に向けた攻撃:今のハマスは以前の軍事テロ組織でなくゲリラ組織

停戦と人質の部分的解放に関する交渉が進む中、イスラエルは、ガザ全面制覇にむけた作戦を開始。現役兵と予備役兵2万に加え、さらに6万人の予備役招集を開始するなど、本気度を見せている。そうすることで、強力な圧力となり、ハマスがさらに譲歩する可能性も視野から外していないということである。

今、焦点になっているのは、ガザ市への突入である。イスラエルは10月7日という日程をその日と表明している。しかし、ガザ市周辺への攻撃はすでに始まっており、ゼイトゥーン、ジャバリヤなどガザ市郊外はイスラエル軍が支配する状況になっているという。じわじわと包囲する様相である。

IDFのデフリン報道官は、今のハマスは、以前の軍事テロ組織であったハマスと違い、ぼろぼろになったゲリラ組織だと語った。

イスラエル軍は、それらに対し、やられる前にやるという原則で戦っていると語った。

また、ガザ市の地上地下のインフラを遮断し、住民のハマス依存を断つ作戦を行っている。住民たちには、戦闘の前に警告が出されており、南部へ避難する人も出ているようである。

2)ガザ南部でハマス18人と激戦:ヤルダン・ビバスさん拉致のテロリスト死亡

Hamas gunmen flee during an attack on an army encampment in southern Gaza’s Khan Younis, and dead Hamas operatives following the incident, August 20, 2025. (Israel Defense Forces)

一方ガザ南部、ハン・ユニスでは、8月20日(水)、18人のハマス・ゲリラが、駐留中のイスラエル軍に攻撃をしかけてきた。

後の報告によると、15人は破壊したトンネルから出てきて、対戦車砲などでイスラエル軍への攻撃をしかけていた。

銃撃戦となり、空軍も攻撃する中、ゲリラ10人が死亡。これを撃退した。

しかし、この戦闘で、イスラエル兵3人が負傷。1人が重傷となった。

デフリン報道官によると、他地域でもこのように、地下トンネルから出てきて、イスラエル軍がいる建物に突入してきて攻撃したとのこと。

www.timesofisrael.com/idf-says-troops-repelled-rare-large-scale-attack-in-south-gaza-10-terrorists-killed/

ガザのどの地域への攻撃かは明確でないが、シンベト(国内治安)は、19日(火)、イスラエル軍が、10月7日にキブツ・ニール・オズに侵入し、ヤルダン・ビバスさんを拉致したイスラム聖戦テロリスト、カマル・サレム・ナジャールが空爆で死亡したと発表した。

家族で一人だけ生き残った父親、ヤルダンさんは、治安部隊に感謝を表明し、「私の心に小さな終結があった。この男が他者を傷つけることはなくなった」と語った。

しかし、ヤルダンさんは、まだ2人の双子の友人含む50人がまだガザにいるとして、その人々が解放されて、残りの心の穴が閉じることを待っていると語った。

www.timesofisrael.com/idf-says-it-killed-hamas-terrorist-who-took-part-in-kidnapping-of-yarden-bibas/

3)ガザ南部への人道活動:市民のハマス依存断絶めざす

IDFのCOGAT(政府活動担当)は、避難民が増えると予想される南部地域で、人道的インフラの設立をめざす民間の取り組みを主導している。(イスラエルは、17日(日)、避難民用テントの搬入を開始している。)それにより、市民のハマスへの依存を断つことをめざすとデフリン報道官。

石のひとりごと

世界のニュースと見ていると、イスラエル軍があたかも無計画に、ガザの人々を虐殺しているようなイメージだが、実際のイスラエル軍はそうではない。しっかり計画を立てて、できるだけ無駄な死傷者は出さないようにしながら、前に進んでいる。

しかし、デフリン報道官によると、今のハマスは、以前のような軍事テロ組織でなく、ゲリラ組織になっているという。

まさにテレビゲームのように、敵は、エンドレスに湧き出し、どこから出てくるかわからない。当然市民たちの間から出てくることもある。まさにサタニック、ガザでの戦いは、前より難しくなっていると思われる。

こうした中で、イスラエル軍は、ヤルダンさんのケースのように、傷ついた国民を忘れることなく、その復讐をなしとげ、それをその本人に報告している。他の国では絶対にあり得ないことである。

世界の理解が得られず嫌われる中、イスラエル人たちは、究極の痛みについては、しっかり共有していると思う。逆に他人以上の近さであり、同じ船に乗っていることもよく知っているので、違う意見も遠慮なく出すのだろう。

イスラエルとその国に住む人々は、本当にユニークであり、他と違っている。人間的な理解での正しさや信仰深さではなく、こういう他にはない点こそが、主の民であることを証しているといえるのではないだろうかと思う。

WCK(ワールド・セントラル・キッチン)創設者ホセ・アンドレス氏ガザ訪問 2025.8.21

WCK(ワールド・セントラル・キッチン)のガザでの働き

ガザ地区で、食糧支援にあたっているWCKは、COGAT(イスラエル軍政府活動調整部)との協力の中で活動をしているNGOである。

8月初頭から、ガザで食糧支援が再開となり、活動が始まっていることから今週、WCKの創始者でありCEOのホセ・アンドレス氏(56)が、ガザの現地を訪問し、自らの考えを語っていた。

*WCK(ワールド・セントラル・キッチン)とガザでの活動について

wck.org

WCK(ワールド・セントラル・キッチン)は、自然災害や戦時下で、食糧難に陥っている人々に食糧を提供するNGO団体である。2010年にアメリカで設立され、世界各地、また足元アメリカでも活動している。

創設者のホセ・アンドレス氏は、スペイン生まれだが、20代の時にアメリカに移住。有名な料理家になって、アメリカ全国に高級レストランを展開、経営していた。

しかし、高級料理を食べにくる人ではなく、被災地で食事がない人に食事を提供したいと考えるようになり、2010年、WCKを立ち上げた。WCKでは、基本的には、現地の食材や現地人を用いて活動行い、将来的な回復にもつなげることを目標としている。

World Central Kitchen in Rafah in the southern Gaza Strip on March 17, 2024. (Mohammed Abed/AFP)

WCKは、2023年10月、イスラエル南部でハマス侵攻の被害に遭って避難していたイスラエル人、また北部で、ヒズボラの攻撃を受けて避難していたイスラエル人たちの支援活動を行った。

同時に、ガザの人々への支援も開始した。ガザ沖から船で食糧を運び込む方法である。WCKは、国連より、イスラエル軍との協力でこの活動を行なっていた。

しかし、2024年4月に、WCKのスタッフ7人が、イスラエル軍のドローン攻撃で死亡する。イスラエルは誤爆であったことを認め、謝罪した。

mtolive.net/イスラエルが誤爆を正式に謝罪:wck(世界中央キ/

その後WCKの活動は一か月停止したが、再開していたもようである。しかし、今年5月にイスラエルが、ガザへの搬入を2ヶ月半ほど全て停止すると、現地で得られる食材が不足したことから、その2ヶ月後に、活動ができなくなっていた。

WCKのHPより

8月初頭から、またガザへの物資搬入が再開されたことから、今、WCKもガザの中での活動を再開しているとのこと。

COGAT(イスラエル軍)との協力で、激戦地でもあったデイル・アル・バラに中央フィールドキッチンを設立。ガザ全体の25か所でキッチンを運営している。

WCKによると、8月14日時点で、1日に20万食を提供している他、清潔な飲み水と、地元のパン屋を支援してパンを供給している。

アンドレス氏は、今後1日100万食を目指すと表明している。

ホセ・アンドレス氏のガザに関する考え方

1)ガザの破壊はハリウッド映画か黙示録か

NYT 2025年1月 Credit…Abed Hajjar/Associated Press

ホセ・アンドレス氏は、2024年4月に、スタッフ7人がイスラエル軍の誤爆で死亡した際、ガザに入り、ハンユニスの現状を見ていた。

続いて今週、再びイスラエルから、ガザに入り、活動の様子を視察した。

アンドレス氏は、ガザの荒廃を見たとき、これは、ハリウッドか、黙示録の後かと感じたという。

破壊の中の道路脇には、トラックがひっくり返って燃えており、マッドマックスの1シーンにも見えたとも語っている。

これだけの破壊を置いて出ていけない。イスラエルも出ていくべきでないと感じたと語っている。(以下は13日前の映像)

2)ガザの食糧不足は現実:銃を持っている者たちは飢えてない

今年5月、イスラエルは、ガザに搬入する食糧は、ほとんどハマスが強奪しており、ハマス存続を助けているとして、その後2ヶ月半ほど、ガザへの食糧搬入を停止した。

アンドレス氏は、これは賢明ではなかったと語っている。食糧を止めて困ったのはガザ市民であり、ハマスではなかったからである。

the Nuseirat refugee camp in the central Gaza Strip on April 26, 2025 (Eyad BABA / AFP)

「5000人を降伏させるために、100万人から食糧を奪ったようなものだ」とアンドレス氏。また、結局のところ、ガザでは今は、強者が弱者のものを取り上げているので、弱者が先に犠牲となり、イスラエルが標的とするその5000人は、最後まで残ることになるからである。

アンドレス氏は、ガザの飢餓は現実問題だと語っている。しかし、WCKは、飢餓を数字で訴えることはしていない。飢餓は数字では定義できないと考えているからである。

一人の子供だけが飢餓だったら飢餓ではないのか。もし10万人だったら?50万人だったら?飢餓と定義づけするのかということである。飢餓の数字を誇張しているとか、していないとかは問題ではないとアンドレス氏は語る。

「イスラエルは今月初頭から、食糧搬入を開始したが、まだ支援は十分でない、満たすまでには時間がかかる」とアンドレス氏。

ハマスによる略奪はまだ深刻で、8月10日から17日までの間にWCKの199台のトラックのうち、189台が強奪された。食糧の実に8%しか届いていなかったという。

これについてどうするか聞かれると、単純に、あふれるほどに搬入するだけだと語った。そして治安問題を解決することとアンドレア氏。

要するに、空腹がなくなれば、略奪もなくなると言っているのである。WCKは、1日に100万食を供給することを目標にしているとのこと。

3)ガザは人類の最低点

ガザの現状を見たアンドレス氏は、イスラエルの人々は、このハリウッド的な破壊を知らない人が多いことに驚いたと語っている。

アンドレス氏は、イスラエルに自衛の権利は認めるが、相手方にここまでの破壊をせずにそれを成し遂げた国も多数あると語る。イスラエルとは協力しつつも、同意できない点もあるということである。

一方、イスラエルで、最も被害が大きかったノヴァ音楽祭現場や、被災したキブツを訪問したアンドレス氏は、ガザの人々もイスラエルの事を知らないと述べ、もしここに来て、被災者の証言を聞けば、ガザの市民も100%共感するだろうとも指摘した。

アンドレス氏は、自分は両方を見た者として、どちらにもつかないと言っている。結局のところ、これは人類の最低点、最低の愚かさだと語っている。

アンドレス氏は、かつて、イスラエルからはガザのビーチへ行っていた時いたことがあると語り、その時代以降からずっとやりあいが続いて、ここまでの崩壊になった。

「我々はこの45年の間、いったい何をしていたのか。あの頃に戻れるのか?それしか道はない」と語っている。共存するしかないということである。

www.timesofisrael.com/after-seeing-misery-up-close-the-man-feeding-gaza-says-theres-no-doubt-strip-is-starving/

石のひとりごと:人道主義者にわかってもらえない点

アンドレス氏の証言で、ガザの様子が少しはうかがえただろうか。アンドレス氏の飢餓の考え方もユニークだと思った。WCKの働きが祝福され、ガザの食糧不足が少しでも早く改善するように祈る。

しかし、この著名な人道主義者のアンドレス氏が、見ていない点があると思う。それは、ハマスが、イスラエルを亡き者にしようと、ただそれだけのために、存在しているという点である。

イスラエルを壊滅させるためには、ハマスは、同胞の食糧を奪い、同胞が死んでもなんとも思わない。そしてそのイデオロギーは、ガザに深く染み込んでいる。この人々との共存は、アンドレイ氏が考えるほど簡単ではない。それを本当に実感できているのは、おそらく、当事者であるイスラエルだけかもしれない。

しかし、主はすべてを見通しておられる。私たちは人間の正義に流されず、主に目を向けて、そのみこころを基準に、イスラエルのため、そしてガザについても、祈りとりなしていきたいと思う。