アミール・オハナ国会議長が日本を公式訪問
8月28日(金)、イスラエルのクネセト(国会)のアミール・オハナ議長が、ガザで今も人質になっているガイ・ギルボア・ダラルさん(24)の父イランさんと、兄ガルさんを伴い、来日した。イスラエル国会議長が日本を公式に訪問するのは、26年ぶりとのこと。
一行は、額賀 福志郎 衆議院議長、関口 昌一 参議院議長と衆参両議長と会談。藤井外務副大臣とも会談。人質の早期解放を訴えた。

外務省HPによると、福井外務副大臣は、オハナ議長と40分にわたって会談。以下のように報告されている。
1. 冒頭、藤井副大臣からハマスによるテロ攻撃を断固として非難し、ハマスは武装放棄すべきと強調した上で、既に深刻なガザの人道状況が一層悪化していることを強く憂慮する旨述べるとともに、一刻も早い停戦の実現及び人道状況の改善に向けての一層の努力を求めました。
また、藤井副大臣から、我が国として当事者間の信頼醸成と交渉を通じた二国家解決の実現を一貫して支持している点を強調しました。
2. これに対し、オハナ議長からイスラエルの立場につき説明がありました。両者は、引き続き日・イスラエル関係について意思疎通を行っていくことで一致しました。
www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_02660.html
FCCJ(日本外国特派員協会)で記者会見:イスラエルへの圧力はハマス支援になる

その後、日本外国特派員協会で、オハナ議長と、人質ガイ・ダラルさんの父イランさん、兄ガルさんが記者会見を行った。
オハナ議長は、最近公表された人質デービッド・エヴィヤタルさんの写真を提示し、「人質のエヴィヤタルは、骨と皮になっているが、食べ物を渡しているハマス拘束者の腕は健康そのものだ」と述べ、意図的な飢餓に遭っているのは、イスラエル人の人質だけだと訴えた。
また、10月7日の暴虐な犯罪の後で、パレスチ
ナ国家を承認しようとする世界指導者について、宥和政策を選択しようとする弱い指導者だと批判。
「ハマスはパレスチナ国家を承認する国が出ていることを賞賛している。ということは、この動きがハマスに好都合だということだ」と述べた。
また、宥和政策は過去になんども行ってきたが、すべて失敗に終わってきた。今はその時ではないと述べた。
ガイさんの兄、ガルさんは、「もし本当に中東に和平を望むなら、ハマスとの融和はありえない。ハマスは人質を解放せず、カードとして使っている。私たちには、弟のために戦わないという選択肢はない」と述べた。
父親のイランさんは、「世界は、イスラエルに圧力をかけることでは、目標(人質解放、戦争終結)は達成できないと知るべきだ。ハマスが手をださなくても世界がイスラエルに圧力をかけてくれるので、ハマスは強気になって、交渉に応じなくなっている。
西側諸国の対応に落胆させられている。イスラエルをサポートせず、テロ組織の方をサポートしている上、パレスチナ国家という報酬まで与えようとしている。それは、双方に戦争を長引かせる結果になっている。
こうしている間にも私の息子は、地下の暗闇、光も新鮮な空気も食糧も医療ケアもないところで死にかけている」と訴えた。
ガザの病院や学校などの公共施設が攻撃されていることについて質問されると、オハナ議長は、「市民を標的にしたことは一度もない。しかし、戦場なので市民が巻き添えになることはある」と答えたとのこと。
オハナ議長は、「ハマスが武器を放棄し、人質を解放すれば、戦争は今日にも終わる」と述べた。

なお、人質のガイさんは、日本とそのアニメが好きで日本語を学び、10月7日の時点で、2024年の桜の季節に日本を訪問する飛行機もとっていたという。
FCCJでの会見では、昨年、ネットで公開されていたクリップが流された。以下のサイトから閲覧可能。
また、日本人漫画家の田中マコトさんが、ガイさんを思う投稿をアップしている。
ハマスによりガザ地区に拉致されているガイ・ギルボアさん。彼は日本をとても愛してくれていて日本を訪れる予定でした。この度ご家族の訪日に際し似顔絵をプレゼントさせて頂きました。
ガイさんが1日も早くご家族の元に帰り、日本を訪れてくれる日を願っています。… pic.twitter.com/N0HHM9Sm7v— 田中マコト🎗️Makoto Tanaka@Japanese manga artist. (@tanamakomakoto) August 27, 2025
*FCCJ( The Foreign Correspondents’ Club of Japan)
FJJCは日本に駐在する外国人の特派員やジャーナリストの会員制クラブ。1945年に設立され、公益社団法人として認定されている。日本人の記者クラブではない。
www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/topics/hyokei250826.html
new.embassies.gov.il/japan/ja/news/knesset-speaker-ohana-holds-talks-japanese-counterparts
www.jpost.com/israel-news/article-865621
日本でガイさん家族を囲む会:本日8月29日(金)14:30-16:00
本日、上記日程で、東京都生駒市で、人質ガイさん家族を囲む集会が行われる。主催者は、イスラエルと関係が深い、メシアニック系のクリスチャンたちである。
実会場での参加は申込が必要です
forms.gle/cETkffDQexFhYihq9
Zoom参加は登録不要です。
us06web.zoom.us/j/84425903363…
集会にズームで参加させていただいた。ズームに35人、会場もいっぱいだった。
集会では、家族から直接、ガイさんに関することを聞き、皆で祈った。主催者代表のアイザック内山さんの妻メリッサさんは、イスラエル人なので、最後に、家族に手をおいて、イエスの名も出しつつ、ヘブライ語で祈っていた。
最後に角笛を吹いた内山アイザックさんは、ここでは、安息日ごとにガイさんやみなさんのために祈っていると覚えていてほしいと伝えていた。
家族たちは、ガイさんが来たかった日本で、暖かく迎えられ、多くの人が関心を持ってくれていることに励まされたと語っていた。
ガイさんが、無事に解放され、いつか日本に来ることができるよう、祈り続けよう。


8月25日(月)朝10時ごろ、ガザ南部ハンユニスにあるナセル病院が、イスラエル軍による攻撃を受け、ガザ保健省(ハマス)によると、医療従事者4人と、国際メディアに所属するジャーナリスト5人を含む20人が死亡した。



イスラエル軍は、8月23日(土)から24日(日)にかけて、ガザ市北部ジャバリアに軍を進ませ、ガザ市に近い、ゼイトゥーンやシャジャイヤへの攻撃を実施。建物や家屋を破壊している。
23日(土)、ガザ南部ハンユニスで、建物を爆破しようとしていた際に、予想外に早く爆発物が爆発し、イスラエル軍小隊長オル・ゲルリッチ中尉(20)が死亡した。事故とみられている。
8月22日(金)、国際飢餓監視団体であるIPC(総合食糧安全保障段階分類)が、人口密度の高い、ガザ北部がフェーズ5、壊滅的な飢餓に直面しているとの正式な発表を行った。
搬入停止から、2ヶ月半後の5月中旬に物資搬入を再開し、それ以降、現在までに、1万台以上が入っている。加えて、空から物資の箱2300箱が投下された。
運び込まれる支援物資の30%は、アメリカのGHFの食糧配布センター(4ヶ所)に届けられている。


8月20日(水)夜、イスラエル軍のエフィ・デフリン報道官が、メディアブリーフィングを行なった。デフリン報道官が報告したことを交えながら、ガザ攻撃の現状を解説する。
今、焦点になっているのは、ガザ市への突入である。イスラエルは10月7日という日程をその日と表明している。しかし、ガザ市周辺への攻撃はすでに始まっており、ゼイトゥーン、ジャバリヤなどガザ市郊外はイスラエル軍が支配する状況になっているという。じわじわと包囲する様相である。
家族で一人だけ生き残った父親、ヤルダンさんは、治安部隊に感謝を表明し、「私の心に小さな終結があった。この男が他者を傷つけることはなくなった」と語った。



