子供たち258万人が新学期開始:新1年生数・ユダヤ教系学校が世俗派系を追い越す

イスラエルの学校で新学期開始

イスラエルでは今日9月1日(月)、全国で258万7000人の子供たちが新学年を迎える。

このうち、ユダヤ教系学校で学ぶ子供は58万2000人、アラブ系学校では57万9000人。これ以外に天才児特別学校には2万4000人、超天才児教育学校には1万8000人で、それ以外の約138万人は、普通の世俗派系の学校ということになる。

今年は、北部でヒズボラの攻撃を受けて他地域へ避難している子供たちや、ガザ周辺でハマスの襲撃を受けた地域に戻って、学校生活を再開する子供たちもいるという。

全国に幼稚園は2万1600か所、小学校は5807か所。保育士、教師などのスタッフは24万8000人だが、Ynetによると教師不足が問題で、不足を補うために補充した12000人は正式な訓練や資格を欠いているとのこと。

増加するユダヤ教系学校への入学者数

統計によると、今年18万600人が新一年生だが、このうち6万6185人が普通の世俗派系公立学校、2万9470人が国立のユダヤ教系の学校、4万2751人がユダヤ教超正統派の学校となっている。

ユダヤ教系の学校へ進む子供の数は、2年連続で増加傾向しており、今年は、世俗派学校に進む子供たちより、約6000人多かった。この逆転はイスラエル史上初とのこと。

しかし、この傾向は過去25年の間進んでいたことだった。Times of Israelによると、2000年のデータでは、世俗派公立学校への1年生入学者の61%だったが、今年は48%にまで減っていた。一方、国立ユダヤ教系学校入学者は、20%から21%へ、超正統派学校入学者は20%から31%へと増加していた。

その背景にあるのは、2023年から2024年にかけて、政府の司法制度改革や、ガザでの戦争などに反発する世俗派たち8万2000人がイスラエルを去っており、帰ってきた人は2万4000人。中央統計局によると、この間の新移民3万人を足しても2万9000人の世俗派がいなくなっていた。

出生率の問題もある。世俗派の平均は2人から3人だが、ユダヤ教系では、6人というのも珍しくない。当然、ここからも新1年生の数の割合に影響は出てくる。

専門家によると、新1年生数の逆転は、来年も続くとみられており、イスラエル社会全体が、ユダヤ教に傾く傾向にあることは否定できないと語っている。

*イスラエルにはこの他は、1万1418人がベドウィンの学校、2702人がドルーズの学校、2万6975人がアラブ系の学校に通っている。

www.ynetnews.com/article/bjrhnxg9gx

ユダヤ教系学生が増えることの課題も

イスラエルの次世代がより、ユダヤ教系になっていくことへの懸念は、社会で働かない人、従軍を拒否することが増える点である。

また世俗派の学校で学ぶ数学、科学や、一般的に読むとされる書物の読書もユダヤ教系の学校では学ばない。国際的な資格試験も受けない。このため、イスラエルは世界有数の天才やIT技術者を生み出す中、学習という視点では、先進国OECDの中で、36カ国中31位である。(日本は韓国に次いで2位)

www.timesofisrael.com/for-the-1st-time-religious-1st-graders-in-israel-outnumber-secular-ones-by-thousands/

夏休み最終日:高校生がテルアビブで道路封鎖してガザ戦争継続に反対デモ 2025.9.1

8月31日(日)朝、数十人の高校生たちが、テルアビブのアヤロンハイウェイを封鎖し、ガザでの戦争継続に反対を表明。学校には、ストをするよう要求し、教室の机を燃やすなどした。

高校生たちは、「政府は人質解放に向けた交渉に応じていない。人質はトンネルで殺される。こんな世界で生きていたくない。通常通り、新学期を始める気はない」との声明を出した。

また、「今は高校生だが、1、2年後には軍服を着て戦地に行くことになる。国は私たちを本当に守ってくれるのか、道徳的、倫理的約束を守ってくれるのかを知っておきたい」とも言っている。

この運動は、高校3年生のハノック・コーヘンさんが、ハイファの地域評議会で、この訴えのために、夏休み明けの初日の授業をボイコットすると言ってから、支持者が拡大したという。ハアレツによると、Whats upのグループには、500人が参加していた。

警察は高校生20人を拘束し、2人を逮捕したが、1人は17歳少年だった。2人は、2度とこんなことはしないとの約束で、午後には釈放された。

www.timesofisrael.com/high-schoolers-block-traffic-burn-desks-on-ayalon-in-protest-for-hostage-deal/

石のひとりごと

高校生は卒業後すぐに、義務である兵役につくことになるので、問題はもう目の前である。自分達だけで政府にこのような訴えをする姿に、自立して、自分の人生を切り開いていこうとするイスラエルの若者たちを思った。

ガザ市周辺道路の時限爆弾でイスラエル兵7人負傷:ガザ南部でIDF戦死者900人目

イスラエル軍は、ガザ市周辺への攻撃を進めている中、ハマスはまだまだ抵抗を続けている。8月29日(金)、ガザ市南部ゼイトゥーンの道路脇にしかけられた爆弾が、装甲兵員輸送車が通った際に爆発し、イスラエル兵7人が負傷した。

1人は中等度の負傷で、6人は軽傷だった。

この時、アルジャジーラなどが、イスラエル兵が多数死亡し、拉致された兵士もいると謝って報道し、イスラエル軍が訂正を表明するという混乱があった。

しかし、この翌日、ガザ南部カンユニスでは、予備役兵だったアリエル・ルブリナー第一軍曹(34)が死亡した。この戦争が始まってから900人目の戦死者となった。

調べによるとルブリナー軍曹は、友軍による銃撃に当たって死亡していたことがわかった。

遺族は、スペインからの移住者であった妻のバーバラさんと、生後9ヶ月の息子リオールさんである。

ルブリナー軍曹の兵役は、この翌日31日に終了する予定で、その後家族そろって、ブラジル旅行にいくことになっていたという。

バーバラさんとリオールさん悲しみは想像を絶するとしか言いようがない。

www.timesofisrael.com/idf-reservist-killed-in-suspected-friendly-fire-incident-in-southern-gaza/

ガザで保護した人質遺体・2人目判明:イダン・サティヴィさん(28)2025.9.1

(Courtesy/Hostages and Missing Families Forum)

8月29日(金)、イスラエル軍と諜報部シンベドが、人質イラン・ウエイスさんの遺体が発見した際、もう一人の遺体の一部も保護していた。

その後、イスラエル軍は、それが、イダン・シャラヴィさん(28)であったと発表した。

イダンさんは、ヘルツェリア・ライヒマン大学で、持続可能性について研究していた人で、ノバ音楽フェスには、ハマスの襲撃のわずか30分前に到着していた。

ハマスの襲撃を目撃し、ガールフレンドに電話したあと、仲間たちと共に車で逃げようとしたが、途中でハマスと遭遇。車は銃撃で穴だらけ、血だらけになっていた。

友人の遺体はそこで発見されたが、イダンさんは、この時おそらく死んでいたと思われるが、ガザへ拉致されていた。

ネタニヤフ首相とカッツ国防相が、家族に追悼の連絡をしたとのこと。

www.timesofisrael.com/body-of-slain-hostage-idan-shtivi-identified-days-after-recovery-from-gaza/

ガザ市空爆でハマスの顔的報道官アブ・オベイダ死亡:ガザ市からの市民避難はまだ1%のみ 2025.9.1

イスラエルがガザ市への空爆でハマス報道官アブ・オベイダ死亡と発表

中、8月30日(土)、ガザ市北部への空爆を実施した。その翌日の31日(日)、イスラエル軍は、この攻撃で、ハマスの顔とも言われる報道官、アブ・オベイダ(40)が死亡したと発表した。

アブ・オベイダは、2004年(ハマスがガザを制覇する前)から報道官として登場しており、2006年にイスラエル兵ギラッド・シャリート軍曹を拉致したことを発表したことで知られている。

イスラエル軍によると、プロパガンダを担当していた。10月7日の暴行の撮影をし、テロを扇動するビデオをアラブ諸国に配布し、人質家族へ送りつける人質のクリップの制作も行っていた。ハマスにとっては、非常に重要な人物である。

最後の登場は、29日(金)に、イスラエル軍がガザ市への攻撃を進めたら人質を殺すと脅迫した時だった。その翌日にイスラエル軍は、アブ・オベイダを標的にした攻撃をしたということである。

IDFのザミール参謀総長は、イスラエル軍は、すべての点において、ハマスに対する優位性を保っており、ガザの外にいる指導者たちも例外ではないと語った。

www.timesofisrael.com/the-face-of-hamas-israel-confirms-terror-groups-spokesman-abu-obeida-killed/

www.timesofisrael.com/infamous-hamas-spokesman-abu-obeida-said-targeted-and-likely-killed-in-idf-strike-on-gaza/

(photo credit: Hatem Khaled/Reuters, SCREENSHOT/X)

ちょうど同じ頃、ハマスは、最高指導者だったヤヒヤ・シンワルの兄弟で、ヤヒヤの後を継いだとも言われていたモハンマド・シンワルが、今年、5月13日に、カンユニスでのイスラエル軍の攻撃で死亡していたことを認めるコメントを出した。

二人の重要指導者が死亡したことで、イスラエルとの対立が際立つイメージになっている。

www.jpost.com/israel-news/article-865782

ガザ市市民の避難はまだ1%ほど

Residents fleeing Gaza City
(Photo: Eyad BABA / AFP)

このように、イスラエル軍のガザ市攻撃は、少しづつ始まっている様相にある。

しかし、イスラエル軍の南部への非難の呼びかけに応じて、ガザ市から南部へ移動した市民は、1万から1万2000人と、まだ1%ほどにとどまっている。

www.ynetnews.com/article/hk7kkow5ex

こうした中、トランプ大統が、早くガザ市への攻撃を開始して、ハマスを一掃するように圧力をかけているとの情報もあり、ネタニヤフ首相が、昨日、緊急の閣議を行ったと伝えられている。

トランプ大統領がガザ新計画に向けてイスラエルにガザ市攻撃急ぐよう圧力か 2025.9.1

先週27日(水)、トランプ大統領、ルビオ国務長官、ウィトコフ特使、ジェレッド・クシュナー氏、元イギリス首相だったトニー・ブレア氏といった、まさに側近たちが集まってガザ情勢を論議した。

この中で、トランプ大統領は、ガザの悲惨な人道状況はもはや容認できないとし、イスラエルには、もはや人質交渉では話は進まないので、武力でハマスを早く一掃するようにと伝えたことが報じられていた。

その後、Times of Israelによると、ワシントンポストが、トランプ大統領が、ガザのハマスを一掃した後、10年はアメリカがガザを管理し、中東のリビエラにすると言っていた計画を進める計画を検討していると報じた。

それによると、ガザ住民200万人のうち4分の1(50万人)は、自主的にガザから他国へ移動一時的、もしくは永久に出ていくと予想しており、その人々には、新たな地での4年間の家賃と、1年間の食料をカバーするための現金五千ドル(約75万円)と補助金を出すとなっている。

計画書は、出て行ったガザ市民のうち75%(37万5000人)は、永遠に帰ってこないと予想している。それ以外でガザに残留する人々は、一定地域に居住を制限される。

そうして、瓦礫と化したガザを一掃し、電気自動車工場、データセンター、高級マンションとビーチリゾートの整備などが計画されている。ガザに土地を所有している人には、土地の所有を引き渡す代わりにデジタルトークン(?)が提供されるとのこと。

最終的にガザが非武装化、非過激化が完了したら、独立したパレスチナ人の政治的組織に移行するが、その組織は、アブラハム合意に加入するとなっている。

この計画にかかる10年のガザ再建計画へのアメリカの投資額は、相当な額だが、計画書によると、投資額の4倍にあたる1000億ドル(15兆円)規模になると見ている。

www.timesofisrael.com/trump-said-weighing-plan-to-pay-gazans-to-leave-put-strip-under-us-run-trusteeship/

石のひとりごと

この計画というか、ビジョンは、まさにビジネスマンらしい、合理的な計画であるのかもしれない。イスラエルも賛成だろう。

しかし、ビジネスマインドが全くないと言っても過言ではない、メンタリティが全く違うパレスチナ人やアラブ諸国が、これに応じるだろうか・・とは、トランプ大統領以外の人ならだれでも考えているのではないかとも思ったりする。

アメリカが国連総会出席予定のPAアッバス議長の入国ビザを拒否:PAパスポート者のビザ発行も停止 2025.9.1

アメリカ国務省は、8月29日(金)、今月、ニューヨークの国連本部で予定されている国連総会に出席する予定だったパレスチナ自治政府(PA)のアッバス議長と、約80人のパレスチナ当局者のアメリカ入国ビザを発給しないと発表した。

この国連総会は、フランス、イギリス、オーストラリア、カナダが、パレスチナ国家を承認すると発表すると表明していた総会である。そこにPAがいないとなると、その国々の表明に大きく水をさすことになる。

EUからは、アメリカにこの決定の撤回への要求が出ているが、アメリカにその気はないようである。

さらに、ニューヨークタイムスによると、9月1日(月)、国務省は、アメリカがPA発行のパスポート所持者がアメリカ入国のビザを申請した場合は、ビザの発給は全面的に阻止するよう、指示を出した。

パレスチナはまだ国ではないが、1993年にオスロ合意が交わされて、将来のパレスチナ国家にむけた動きが始まった際、PAの名前でパスポートを発給することが認めらえるようになっていた。

しかし、その後、イスラエルに対するテロはむしろ増加することで、今に至る衝突が続く結果になっている。アメリカは、約束を履行していないということで、今回の措置を決めたと言っている。

またこれに先立つ8月16日、アメリカの極右政治家が、治療のためにガザから入国がみとめられている家族たちが、アメリカにとって脅威になりうると表明。

この時から、アメリカは、ガザ出身のパレスチナ人のアメリカ訪問ビザの発行を一時停止すると発表していた。

ただし、既に発行されたビザは取り消されないことと、二重国籍でPA以外の国のパスポートでビザを取得する場合は、ビザは変わらず発行されるとのこと。

www.timesofisrael.com/us-refusing-visas-to-palestinian-passport-holders-in-unannounced-policy/

ガザで人質1人の遺体ともう一人の遺体一部を発見・保護 2025.8.30

イスラエル軍は、8月29日(金)、ガザで人質イラン・ウエイスさん(56)の遺体を発見。保護した。この時、別の人質のものと見られる人体の一部も発見しており、現在確認が行われている。

ウエイスさんは、キブツ・べエリの緊急警備隊員だった。10月7日に侵攻しきたハマスからキブツを守ろうとしていた時に殺され、遺体はガザへと拉致されていた。

Kibbutz Be’eri. Noga and Shiri were taken hostage by Hamas, and released on November 25, 2023. (Courtesy)

この時、妻のシリさん(53)と娘のノガさん(18)も拉致され、人質となったが、2023年11月の人質とハマス収監者交換の時に解放されていた。

www.timesofisrael.com/presumed-captive-3-members-of-weiss-family-shiri-ilan-and-noga/

ウエイスさんは、料理が得意で、バーベキューが好きな人だったという。ネタニヤフ首相は、ウエイスさんの家族を訪問し、「イスラエルはすべての人質がかえって来るまで休まない」と語った。

ヘルツォグ大統領も、ウエイスさんへの賞賛とともに、家族への心からの哀悼と支援を送るとの声明を出し、Xにもウエイスさんとその家族を想う投稿をアップした。

今もガザにいる人質は48人。このうち20人は生存しているとみられているが、政府はこのうちの2人は生存が、厳しい状態とみている。

www.timesofisrael.com/idf-recovers-body-of-slain-hostage-ilan-weiss-remains-of-another-captive-from-gaza/

ガザ市侵攻どうなる?ハマスの呪いは祝福に変わるか 2025.8.30

ネタニヤフ首相は、ガザ全域占領に向けて、ガザ市への攻撃を行うことを明言し、準備を開始するとともに、周辺をクリアにする作戦はすでに開始している。

ガザ周辺一掃作戦継続中:ガザ市市民に南部へ避難促す

イスラエル軍は、ガザ市占領に向けて、ガザ周辺地域の解体作業を行なっている。

ガザ市郊外のゼイトゥーンに入っている第7機甲旅団(戦車と地上軍)約400人は、この3ヶ月の間、ゼイトゥーンとシャジャイヤの解体をすすめている。

トンネルや、ハマスの隠れる場所を一掃することで、戦争が終わったあとに、生き残ったハマスがこの地域に戻ることがないようするためである。

一方で、ガザ市民の家屋はできるだけ破壊しないようにしなければならない。部隊が使用する地図には、破壊も戦闘も最小限にするべきエリアが赤で記されているという。

しかし、部隊長によると、民間人家屋とはいえ、爆弾や対戦車砲、ハマスの制服などがない家はほとんどないという。結果的にゼイトゥーンでは、ほぼすべての地上インフラを破壊しているとのこと。

 

Times of Israelによると、第7機構旅団は、10月7日直後に、この地域での戦闘に関わっていた。そのため、今もガザにいる人質48人のうち、6人は、この部隊に所属する兵士で、このうち2人は、今も生存していると考えられている。

10ヶ月の帰国期間を経て今、またガザのこの地域へ派遣されたこの部隊にとっては、特別な意味があるとも言われている。(イスラエル軍は常に同じ部隊単位で徴兵される)

www.timesofisrael.com/back-in-zeitoun-for-the-7th-time-idf-adjusts-its-methods-to-dismantle-hamas-stronghold/

ガザ市から南部へ避難するガザ市民 on August 28, 2025. (Eyad BABA / AFP)

イスラエル軍は、ガザ市にいる市民100万人(ガザ住民のおおむね半分)には、南部への避難を促している。また8月29日(金)、ガザ市とその周辺地域を戦闘区域と指定し、その地域では、それまで行っていた、人道支援物資搬入を円滑にするための約10時間/日の攻撃停止時間を停止すると発表した。

それ以外の地域への物資搬入は継続するとともに、市民を守るためのハマス攻撃は実施すると発表している。

ハマスがのろい?ガザ市攻撃は人質とイスラエル兵の命がリスクになると脅迫

こうした中、ハマス軍部報道官アブ・オバイダが、29日(金)、イスラエルのガザ市制圧は、「人質の命をリスクにさらすことになる。人質の命の責任は、イスラエル政府にある」と表明した。

さらに意地の悪いことに、イスラエルの攻撃で死亡した人質の写真を名前付きで公開すると脅迫した。さらに、ハマスは、その領域とともに、人質も維持する(解放しない)とも述べた。

また、イスラエル軍は、その兵士の血で支払いをすることになる。兵士を誘拐する可能性もある。「ハマスのテロリストの決意は固く、侵攻してくる者たちに厳しいレッスンをすることになるだろう」と語った。

www.ynetnews.com/article/bk6viefqxg

ガザ市侵攻するか・しないで済むか:人質交渉は継続中

ここまでの準備をしているのではあるが、実は、イスラエルは、いまだに、ガザ市への侵攻はするのかしないのか、しないという可能性もゼロではないかもしれない。

ネタニヤフ首相は、攻撃準備と同時進行で、ハマスとの人質交渉はまだ続けている。いわば、するどい刀を振り上げて、ハマスが降参することを待っているという感じである。

しかし、それ以外にも複雑な事情はある。ガザ市には100万人の市民がおり、そこでの戦闘は困難を極め、国際社会からの非難も必須である。

at the IAF’s command center, August 24, 2025. (Ma’ayan Toaf/GPO)

いつガザ市を攻撃するなら早いほうがいいという声もある中、イスラエル軍のザミール参謀総長など、軍司令官たちからは、交渉が進んでいる以上、そちらを優先すべきで、今、戦闘に突入するべきではないとの意見が政府に出していると報じられている。

さらには、イスラエルの国民への負担が相当大きく、国内からは、戦争への反対意見は日に日に大きくなっている。

国内では、ガザ市攻撃に向けて、最終的に6万人が予備役兵として招集されることになっており、筆者の知人もすでに息子2人が招集されたと言っていた。

イスラエルでは、9月1日に、新学期を迎えるが、数百人の校長や教師が予備役兵に招集されて、不在になる見通しになっている。教師たちは、この戦争が始まった時に数千人が動員された、少しずつ学校に戻っていた。その人々がまた再動員されつつある形である。

www.ynetnews.com/article/rk000g2ateg

最終的な決断はネタニヤフ首相とカッツ国防省とその閣議が決めるのだが、ガザ市攻撃をするにしても中止するにしても、どちらの決断でも非常に大きなリスクを伴うことになる。戦闘か交渉か。最後まで選択肢を残しておこうとする、ネタニヤフ首相らしい動きかもしれない。

石のひとりごと

日本にいる20代の若者を見ていると、軍服を着ないですんでいることの祝福をわかっているのだろうかと思う。イスラエル人であるがゆえに、今その世代の若者はどんどん戦場に送られている。

それにしても、ハマスが言っていることは、のろいのようにしか聞こえない。これこそ、人の命を盾にする以外のなにものでもない表現である。国際社会はこれをどう理解するのだろうか。

ハマスの呪いの前に、イスラエルは今、非常に難しいところに立っている。ネタニヤフ首相は、日々、主の前に出ているだろうか。

主がハマスの呪いを聞いてくださったと想う。主が動いてくださり、戦わずしてハマスが倒れること、人質が全員無事に帰ってくること、主の御腕が世界に明らかにされ、のろいが祝福に変えられることを祈る。

バラムは彼のことわざを唱えて言った。「バラクは、アモスから、モアブの王は、東の山々から、私を連れて来た。『来て、私のためにヤコブをのろえ。来て、イスラエルに滅びを宣言せよ。』

神がのろわない者を、私がどうしてのろえようか。主が滅びを宣言されない者に、私がどうして滅びを宣言できようか。(民数記23:7、8)

ガリラヤ湖山火事でベツサイダの位置が明らかに 2025.8.30

ガリラヤ湖北部にあるエル・アラージ遺跡は、新約聖書に出てくるベツサイダではないかと言われていた町の遺跡である。

およそ確定とは言われていたが、ベツサイダの位置については、エト・テルなど別の候補地もあり、まだ確定されたわけではなかった。

ところが、先月7月、エル・アラージ遺跡一体で、野火が3日続いて、周辺の深い森林を消失させた。そのため、これまでにはわからなかった新たな遺跡が現れ、この町が予想以上に大きかったことが判明することになった。

これにより、ここがベツサイダであるという説を裏付けることになった。ここで発掘を行なっていたキネレット大学のモルデハイ・アビアム教授とそのチームに大きな喜びとなっている。

www.timesofisrael.com/ruins-revealed-by-wildfire-boost-galilean-sites-claim-as-new-testaments-bethsaida/

*ベツサイダ:ペテロたちの故郷・2匹の魚と5つのパンの奇跡

ベツサイダは、新約聖書に出てくる使徒ペテロ、アンデレ、フィリポが生まれた町である。また、イエス・キリストが5つのパンと2匹の魚から、男性だけで5000人(全体だと倍以上)の群衆全員を満腹にした奇跡が行われた町でもある。

マタイによる福音書:14章13-21節 マルコによる福音書:6章30-44節 ルカによる福音書:9章10-17節 ヨハネによる福音書:6章1-15節

アル・アラージがベツサイダではないかと考えられてきた理由は、漁師町らしく湖に近く、カペナウムとクルシの間に位置していること。1世紀の歴史家ヨセフスが記録しているベツサイダの位置とも一致してきたことがあげられる。

またローマ時代の浴槽跡があり、1世紀に町として存在していたこと、またその後の時代に、クリスチャンたちが建てていた教会の遺跡も発見されている。この地がキリスト教徒にとって重要だったからである。

A mosaic floor found in the remains of what archaeologists believe is a Byzantine church standing over the home of biblical figure St. Peter and his brother, Andrew. (Excavation Project)

2019年に、5世紀の教会の遺跡が発見され、2022年に「天の使者の頭であり指導者」「鍵の番人」とペテロを意味するギリシャ語の碑文(ビザンチン時代)が見つかり、ここがペテロに深く関係する町、彼の生まれ故郷であるベツサイダである可能性が高いとされた。

(カペナウムにあるペテロの家は、妻の実家)

www.timesofisrael.com/inscription-points-to-sea-of-galilee-site-as-st-peters-home-say-researchers/

ガリラヤ湖は今、夏で40度をはるかに超える暑さなので、発掘はできないが、10月に学者たちが戻って調査が進められるとのこと。

ただし、もうここがベツサイダであり、1世紀前後にユダヤ人の漁師町があったことが確定しているので、保護のため、必要以上の発掘はしないとのこと。

www.timesofisrael.com/ancient-galilee-church-unearthed-said-to-be-home-to-apostles-peter-and-andrew/

以下は2年前(ハマス襲撃前)のエル・アラージ発掘のクリップ

石のひとりごと

イスラエルに行くと、聖書がリアルに見えてくる。2000年前、確かにユダヤ人たちはここに住んでいた。弟子たち、そしてイエス・キリストも実在していたことをイスラエルは示している。聖書は、宗教の本ではなく、実在のことが書かれている本である。

そのイスラエルの存在をハマスはなきものにしようとしている。発掘する若者も今は、多くが兵役に行っているかもしれない。

しかし、ハマスが、実在のイスラエルを消すことはない。イスラエルを憎む者の方が消えることになるということもまた聖書は、現実のこととして示しているからである。

フーシ派との本格戦闘に向かうか:先のサナア攻撃でフーシ派首相と閣僚2人死亡 2025.8.29

イスラエルは、8月28日(木)、イエメンからしつこく弾道ミサイルやドローンを発射してくるフーシ派に向けて、首都サナアの大統領府も標的にした攻撃を行った。

Sayyid Abdul Malik Al-Houthi [RuneAgerhus/Wikipedia]
この時、イスラエルは、フーシ派の指導者、アブドルマリク・バダル・アル・ディン・アル・フーシ(46)の演説に集まっていた閣僚10人を標的にしていたことがわかった。

これまでに、この攻撃で、フーシ派国防相のモハンマド・アル・アティフ少将、軍参謀総長のムハンマド・アブ度・アル・カリム・アル・ガマリ少将が死亡したと報じられていた。ガマリ少将は、6月のイスラエルの攻撃で重傷を負ったが生き延びたと伝えられていた人物だった。

www.timesofisrael.com/israeli-strike-on-yemen-said-to-kill-houthi-prime-minister-other-top-officials/

しかしその後、フーシ派系メディアが、アフマド・アル・ラハウィ首相も死亡していたと伝えた。フーシ派は、断固戦いを継続すると表明している。

イエメンとイランに詳しいINSS(イスラエル治安研究所)のダニー・シトリノービッツ研究員によると、イエメンはアメリカからは言うまでもなく、イスラエルからも1800キロと遠いこともあり、毎日断続した攻撃が難しい。

そのため、どうしても、インフラの破壊をして経済的な打撃を与えることがほとんどだった。

しかし、イエメンが世界でも有数の貧困国であるにもかかわらず、フーシ派の背後には、イランがいるため、そうしたダメージは、すぐに回復してしまう。

そうした中、今回、イスラエルは、初めて、インフラではなく、フーシ派トップクラスの指導者の殺害に成功した可能性がある。

しかし、それもまた回復するのは時間の問題で、結局のところ、イスラエルはアメリカと湾岸諸国、また反フーシ派のイエメン軍などとも協力して、フーシ派を全部排斥するまで、解決はないとシトリノービッツ氏は語っている。

言い換えれば、この戦いは、長引く可能性があるということを覚悟しなければならないということである。

www.ynetnews.com/article/h1ng6hatxe#autoplay

WFP(世界食糧計画)事務局長ガザとイスラエル訪問:とネタニヤフ首相と物資搬入倍増努力で合意 2025.8.29

WFPマケイン事務局長がガザとパレスチナ自治政府、イスラエルを訪問

8月22日(金)にIPC(国連食糧安全保証段階分類)が、ガザ地区の食糧不足が深刻になっており、一部地域が、スケール5の飢餓状態に陥っていると発表したことを受けて、WFP(国連世界食糧計画)事務局長のシンディ・マケイン氏が、ガザのハンユニスと、デイル・アル・バラを訪問。

イスラエルがより多くの物資を搬入していることは認めてたが、まだ足りていないと語っている。

AP通信の取材を受けた際、自分の目で重度の栄養失調に陥っている子供たちに会ったと語り、とにかくどんどん食糧供給を急増させなければならない。

スープキッチンやパンの配布所など、200箇所に及ぶ広大なネットワークを早急に立ち上げなければならないと語った。

www.timesofisrael.com/gaza-at-breaking-point-un-food-chief-says-after-visit-to-hunger-stricken-strip/

IDF Chief of Staff Lt. Gen. Eyal Zamir, left, meeting with UN World Food Program executive director Cindy McCain in Tel Aviv on August 27, 2025. (IDF)

その後、27日(水)、イスラエルでIDF のザミール参謀総長、COGATの責任者マリアン少将と会談。その後、パレスチナ自治政府のムスタファ首相と会談した。

28日(木)、マケイン氏は、エルサレムでネタニヤフ首相を会談。ガザの民間人への人道支援の継続的提供に関する会議を開催した。

その後の共同声明で、マケイン氏とネタニヤフ首相は、ガザの食糧事情は限界に達しているとの認識を共有し、ガザの中で最も脆弱な人々に食糧を届けなければならないこと。

物資は民間人のみに届けられるべきだという点で合意したと発表した。

イスラエルは、検問所4つを開き、毎日支援物資のトラック300台以上を、ガザに搬入している。GHFの配布センターは、市民が遠くまで取りに行かなければならないことや、混乱の中で、1000人以上の死者が出ていると言われており、国連はこれを非難している。

また新たに、配布センター付近で、子供たちが失踪しており、強制的にどこかに連れて行かれているとの報告も出ている。

イスラエル軍は、今後、GHFの配布センターを、ガザ南部に新たに2か所増やして、混乱を軽減すると発表しているまた、避難用テントなどの必要品を南部へ搬入している。

マケイン氏は、「必要なのは停戦だ。ガザの母親たち、子供たちがガザで飢えていると心配するイスラエルの人質の母親たちのことを想うと心が痛む」と語った。

www.timesofisrael.com/netanyahu-tells-un-food-chief-that-israel-will-redouble-efforts-to-boost-gaza-aid/

www.wfp.org/news/wfp-chief-visits-palestine-and-israel-calls-immediate-surge-aid-gaza-and-safe-access-reach

見えない停戦:ハマスは撃滅するしかないとダーマー戦略大臣

マケイン氏が言うように、本当に必要なのは停戦である。現時点の交渉では、停戦60日間の停戦と、人質10人(生存者20人の半分)を解放する。その間に、イスラエルは、人質1人につき、15年以上の刑期を宣言されている囚人60人を解放する(600人)としている。このうち140人は終身刑である。

さらに、10月7日の関係者として拘束されているパレスチナ人1000人を解放するとしている。残り10人の人質をどうするかは、この60日の間に決めることになる。冗談のような要求である。

イスラエルは、人質は全員一度に解放することを要求している。要するに、テロ組織であるハマスが、人質を全員解放し、武装解除すれば、今日にも戦争は終わると繰り返し訴えている。

at the White House in Washington on August 26, 2025. ( Mandel Ngan/AFP)

Times of Israelによると、26日(火)、アメリカでは、トランプ大統領がホワイトハウスで、関係者を集めて、「ガザの包括的計画」を話し合っていた。この時、ネタニヤフ首相の右腕的存在のダーマー戦略大臣にイスラエルが何を望んでいるのか聞いてきたという。

ダーマー戦略大臣は、イスラエルは、ガザを恒久的に占領し、支配することは望んでいないこと。ガザで、イスラエルを脅かさない統治機関に引き渡すことになるが、その前にハマスは壊滅すると伝えたとのこと。

www.timesofisrael.com/blair-and-kushner-join-trumps-gaza-meet-official-calls-it-a-simple-policy-session/

石のひとりごと

問題はぐるぐる回っている。食糧に困っている子供たちがいることは否定できないだろう。なんとかしなければならない。しかし、同時に今回は、イスラエルが妥協するという選択肢もないとも思われる。

要するに。。ハマスがいなくなればよいとしか言いようがない。