イスラエル治安閣議がハマスとの合意承認:バルグーティら主要テロリスト4人は残留 2025.10.10

ハマスとの合意をイスラエル閣議が承認

ハマスとイスラエルの人質解放を含む、トランプ大統領停戦案第一段階に合意したことを受けて、ネタニヤフ首相は、10月9日(木)夜10時、予定より4時間遅れで、アメリカのウィトコフ特使、クシュナー補佐官を交えての治安閣議を開催した。

結果、賛成票を投じた議員が大多数であったことから、ネタニヤフ首相は、10日(金)朝、ウィトコフ特使とクシュナー補佐官とともに、閣議での承認を発表した。

トランプ大統領の第一段階に関する合意書 署名がなされている。

ネタニヤフ首相は、「2年間、目標を達成するべく戦ってきた。その中心の一つは人質を取り戻すことだった。それを今達成しようとしている」と語っている。

またそのために、アメリカのウィトコフ特使、クシュナー氏の並外れた支援なしにはありえないことだったと感謝を述べている。

ウィトコフ特使は、ネタニヤフ首相が難しい決断をしたことを称賛。過去に、ネタニヤフ首相が時に強情だと思うこともあったが、それがなかったら、今の状況には至らなかったというのが真実だと述べた。

www.timesofisrael.com/gaza-ceasefire-takes-effect-as-government-approves-deal-to-free-the-hostages/

バルグーティら主要テロリスト4人は残留

Marwan Barghouti, a popular Palestinian militant, during a court appearance in Israel in 2004.Credit…Pool photo by David Silverman

ハマスが、人質全員を解放するにあたり、イスラエルは、国内刑務所で終身刑になっているテロリスト250人と、ガザで拘束した1700人(10月7日の虐殺には関与していないがその後の戦闘に関与していた)と、攻撃には関与していない中で、拘束された未成年22人を釈放する。

現時点でイスラエルに、収監されているテロリスト(治安囚人)は270人なので、250人ということは、その大部分を釈放することを意味する。

250人のリストはまだ公開されていないが、Ynetによると、ハマスが要求していた、「4人のエース」と呼んでいる主要テロリスト、マルワン・バルグーティ(66・ファタハ幹部)、アフマド・サアダト(72)、アッバス・アル・サイード(59)、ハッサン・サラメ(85)は、除外されている。この他にも2人の終身刑テロリストがリストから除外されている。

これはハマスが、仲介者の圧力で譲歩したということだろう。

Aziz Salha with bloody hands during lynching in Ramallah in 2000. (credit: Wikimedia Commons)

しかし、リストの中には、ラマラで、迷い込んだ2人のイスラエル軍予備役兵をリンチして殺したテロリスト2人が含まれている他、イスラエル人18人を殺して、終身刑18回のイブラヒム・アリカムはじめ、相当な極悪テロリストがあがっている。

子供を殺したテロリストや、終身刑の判決を受けたが、服役が10年未満の者は、リストにはあがっていないとのこと。

www.jpost.com/israel-news/defense-news/article-870000

釈放先はガザ地区と、大半は、トルコとカタールに送られるとのこと。ガザ地区というのがどうにも理解に苦しむところだが。。

www.ynetnews.com/article/rypftxipgl

反対票を投じたベングヴィル氏とウィトコフ氏の激論

National Security Minister Itamar Ben Gvir visits the Temple Mount in Jerusalem’s Old City, October 8, 2025. (Temple Mount Administration)

ハマスとの合意に反対した議員は、次の通りであった。宗教シオニスト党スモトリッチ氏、強硬右派オツマ・ヤフディ党のベングヴィル国家安全保障相とその関係者数人である。

ベングヴィル氏とウィトコフ特使は、30分にわたって、激論になっていた。

ベングヴィル氏は、「釈放するテロリストのリストには、赤ちゃんを殺した者や女性を強姦した者も含まれている。

アメリカでこんなことがありうるだろうか。仲介には感謝するが、私たちを殺そうとしているハマスとの和平はありえない。」と訴えた。

ウィトコフ特使は、気持ちはわかるとしながら、自身の息子が、薬物過剰摂取で亡くなったというエピソードをあげ、「犯人を殺したいと思ったが、裁判で、その両親が恥じながら、許しを乞う姿を見て、許すことにした」と語った。

ベングヴィル氏は、「まさにそこが違う」と反論。10月7日に、私たちを殺害した者たちの両親は、息子たちの殺人を誇りにしている。彼らはユダヤ人を殺したいということだと述べた。

するとクシュナー氏が、ハマスは今や、世界から孤立しており、抑止されていると反論。ベングヴィル氏は、「ヒトラーと和平を結べというのか。ハマスはヒトラーだ。私たちを殺したいのだ」と言い返した。

その後、ベングビル氏は、人質が返還されることには、大きな喜びを感じているとは行っているが、その後、ハマスが武装解除されないなら、政府を倒すと言ったとのこと。

www.israelnationalnews.com/news/416056

石のひとりごと

人質を全員取り戻すためにこれほどのテロリストを釈放することに、とんでもない不条理を感じている人は少なくないだろう。しかし、人質を全員取り戻したら、条件は白紙に戻る。

もしハマスが約束を守らず、条件が整うなら、イスラエルは遠慮なく、ハマス殲滅に着手できる可能性が出てくると思う。まずは、人質全員が、戻ってくること。その完成を祈る。

これからどうなる?人質解放プロセスと今後:米軍200人が停戦監視へ 2025.10.10

人質解放とパレスチナ収監者釈放の流れ

ハマスとの現時点での合意に乗っ取り、イスラエル閣議での停戦・人質交換に合意してから24時間以内に、イスラエル軍は、定められたラインまで撤退を完了する。この時点で、イスラエルが支配するガザの地域は53%となる。

それが完了してから72時間以内に、ハマスは人質と遺体の解放を完了する。ハマスによると、20人(外国人4人含む)の生存者は、確認ができているが、遺体28体のうち、9体の位置は把握できていないとのこと。

人質の解放は、以前のような式典はなく、赤十字に引き渡された後、イスラエル軍に引き渡される。そこから国境のレイム基地で健康チェックなど行い、家族ともここで面会する。緊急状況にある人は、レイム基地を経由せずに、ベエルシェバの病院に空輸される。

www.timesofisrael.com/from-hamas-to-red-cross-to-the-idf-in-gaza-how-the-hostage-releases-will-be-handled/

人質解放は、早ければ11日(土)にも始まると言われていたが、おそらく来週13日(月)、14日(火)になるとみられている。この日はシムハット・トーラーの祝日(聖書を覚える日)にあたる。この日、トランプ大統領が、イスラエルに到着し、国会で演説する予定となっている。

www.ynetnews.com/article/hjfwjaraex

イスラエルは、おそらく、人質が解放されるのと並行して、パレスチナ人収監者250人と、ガザで拘束した1700人、未成年者22人とを釈放する。行き先はガザ地区と、トルコ、カタールなどとなっている。

イスラエルはまた、パレスチナ人350人の遺体も引き渡すが、これについては、ハマスが引き渡す人質の遺体1体に対し、15体を引き渡すとのこと。

アメリカ地上軍200人が停戦監視に派遣予定:アラブ諸国の軍もチーム入りか

アメリカ政府高官によると、アメリカは、イスラエルとハマスの停戦を監督するため、アメリカ軍200人(地上部隊)を中東に派遣するとのこと。この監督チームには、エジプト、カタール、トルコ、UAEからも参加があるとみられている。

ただし、アメリカ軍はガザ内には入らないとしている。一報によると、エジプトで共同制御センターを設立し、まだガザに駐留しているイスラエル軍と連絡を取り合う形になる。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/team-of-200-american-troops-to-oversee-israel-hamas-ceasefire-in-gaza-us-officials/

第二段階はあるのか?:アモス・ヤディン氏分析

イスラエル防衛エキスパートのアモス・ヤディン氏の分析によると、トランプ大統領が出している停戦案20項目のうち、現時点の第一段階でクリアするのは4.5項目にすぎない。

仮に第一段階が仮に完了したとして、次の第二段階では、イスラエルの完全撤退し、ハマスの武装解除と恩赦・ガザからの撤退などとなっている。その後、次の管理者が立つことになるが、簡単には進まないことは明らかである。

ハマスの武装解除がなく、ガザにとどまることになれば、イスラエル国内の強硬右派が、反旗を翻すことになり、ネタニヤフ政権に大きな問題となる。

加えて、パレスチナ自治政府が登場するパレスチナ国家問題も関わって来て、サウジアラビアや中東諸国との問題にも拡大していく。

限りなく先が見えないということである。結局のところ、トランプ大統領は、「まずは戦争を終わらせる。それから先は、どうなるか様子をみよう」と言っているのである。

www.timesofisrael.com/trump-we-ended-gaza-war-the-hostages-are-coming-home-after-that-well-see/

トランプ大統領は、今、ハマスに対し、イスラエルの攻撃が止まることを保証している。一方で、イスラエルには、ハマスの武装解除がない場合は、攻撃の余地も補償するという非常に狡猾な約束で停戦に持ち込もうとしている。

ヤディン氏は、何はともあれ、人質を全員取り戻して、戦争を終わらせること。これは、イスラエルにとってもよいことだと語っている。

停戦直前のハマスとイスラエルの攻撃応酬:イスラエル兵1人死亡 2025.10.10

ハマスとイスラエルの人質交換と停戦という流れになっているが、ガザの現場の様子はまだまだ一触即発である。

10月8日(水)、ハマス工作員ら5人が、トンネルから出て来て、ガザ市南部のイスラエル軍駐屯地に近づいて来た。気づいたイスラエル兵が銃撃し3人を殺害。2人は逃げた。

www.timesofisrael.com/hamas-attempts-raid-on-army-post-in-gaza-city-outskirts-idf-says-3-gunmen-killed/

その翌日9日(木)、ネタニヤフ首相が、ハマスとの合意についての閣議を行っていた時に、イスラエル軍が、ガザ市への空爆を実施。建物が倒壊して4人が死亡。パレスチナメディアによると、まだ40人が瓦礫の下にいると言っている。

イスラエル軍によると、標的は、イスラエル軍に差し迫った脅威になっていたハマスの一団が標的だったと言っている。ハマスは住民たちに、イスラエル軍や国境に近づくと殺されるとして、近づかないように都の警告を出した。

www.timesofisrael.com/idf-carries-out-airstrike-in-gaza-city-as-cabinet-set-to-approve-ceasefire-deal/?utm_campaign=most_popular&utm_source=website&utm_medium=article_end&utm_content=9

その後10日(木)午後、ガザ市でイスラエル軍に対する遠方からの狙撃があり、予備役兵のミハエル・モルデカイ・ナフマニ第一軍曹(26)が死亡した。10月7日以来914人目の戦死者となった。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/idf-says-reserve-soldier-killed-in-hamas-sniper-attack-before-gaza-ceasefire-took-force/

仮庵の祭りで嘆きの壁に集まるユダヤ人:ICEJ 仮庵に70カ国から福音派クリスチャン1500人以上 2025.10.10

ハマスとイスラエルの合意問題で、緊迫する中、イスラエルでは仮庵の祭りが行われている。10月8日(水)は、祭司の祈りの日で、エルサレムの嘆きの壁は、再び主に祈るユダヤ人たちで埋め尽くされた。

一方、福音派クリスチャンたちも、エルサレムで仮庵を祝っている。今年のICEJ(国際クリスチャンエンバシー)による、仮庵の祭りカンファレンスには、世界70カ国から約1500人が参加した。(エゼキエル8:23)

www.icej.org/blog/making-the-feast-2025-a-landmark-of-support-for-israel/

2日目にあたる10月7日には、園の墓で、出来事を覚えての祈りが捧げられていた。

4日目にあたる10日(金)には、毎年恒例、親イスラエルの想いとイスラエル人を励ますためのパレードが行われた。70カ国以上からの参加者だけでなく、イスラエル在住の人や、この日だけ駆けつける人も参加して、パレードの参加者は、2000人と伝えられている。宗教シオニストのユダヤ人も参加している様子がみられる。

石のひとりごと

聖書を持つ人々は、徐々にイスラエルに集められ、聖書を持たない、信じない人々は、徐々にイスラエルから離れていく。この傾向は、ますます深まっていきそうである。

人質全員解放へ:ハマスとイスラエルが停戦案第一段階に合意とトランプ大統領表明 2025.10.9

人質全員解放へ:ハマスとイスラエルが停戦案第一段階合意とトランプ大統領発表

エジプトのシェルム・エル・シェイクでは、ハマスとイスラエルの間接交渉が行われている。

(Telegram / used in accordance with clause 27a of the copyright law)

10月8日(水)からは、仲介のアメリカ(ウィトコフ特使、大統領顧問クシュナー氏)、エジプト、カタールに加えて、トルコ、ハマスとは別に人質を拘束しているテロ組織、イスラム聖戦代表も加わって、ガザ停戦に向けた、交渉に加わっていた。

そして同日、8日(水)(日本時間9日朝8時)、ホワイトハウスで、協議の結果報告を受けたトランプ大統領が、イスラエルとハマスが、交渉の第一段階に合意したと発表した。以下はその瞬間(後半部分)

ハマスとイスラエルが第一段階に合意したことを受けて、ネタニヤフ首相は、国会での承認を得た後、現地時間で本日午後には、ハマス、イスラエル両者が合意に署名する。その後、イスラエル軍は、ガザ内部の合意したライン(黄色?)にまで撤退する。

イスラエル軍の撤退の時間にもよるが、それから72時間以内、まず、生存している人質20人が11日(土)に解放され、場所がわかっている遺体も13日(月)までには解放が完了する見通しである。

最新の情報では、合意がすでに確定したとみえ、イスラエル軍はすでに撤退の準備を開始しているもようである。

トランプ大統領は、SNSに、「恒久的な平和への第一歩であり、中東全体にとって偉大な日だ」と、トランプ大統領は語っている。10日(金)に発表されるノーベル平和賞を意識してか、「平和をつくるものは幸いだ」と、聖書の言葉(マタイ5:9)を思わせる言葉で締めくくっている。

ネタニヤフ首相は、トランプ大統領と電話会談で、このニュースの喜びを共有し、Xに「神の助けで、人質全員を連れ戻す」と書き込んだ。

ネタニヤフ首相は、今週末、トランプ大統領をイスラエルへ招き、国会でメッセージするよう要請。トランプ大統領もそれに応じると答えたとのこと。

しかし、トランプ大統領は、今回、すべての当事者を公正に扱うとしており、イスラエルには、今後ハマスへの攻撃はしないと約束させたとの情報もある。

人質解放に反対する者はいないと思われるが、強硬右派議員たちの出方も気になるところである。

また人質と交換に、イスラエルが釈放する終身刑テロリスト250人とガザで拘束した1700人の釈放についても、これから明らかになってくるとみられる。

停戦が発効した当日には、支援物資トラック400台がガザに入る。それ以降徐々に増やしていく予定である。

www.timesofisrael.com/trump-announces-deal-reached-on-first-part-of-his-gaza-plan-all-hostages-will-be-freed-very-soon/

ヘルツォグ大統領は、「イスラエル人は全て一つになって、人質と共に立つ」と述べ、今この時ばかりは、イスラエル人は、人質家族たちと一つであるべき時だとXに表明した。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/hailing-deal-herzog-says-all-of-israel-stands-with-the-hostages/

相次ぐ人質家族のトランプ大統領への感謝

このニュースが届くと、イスラエルからは、人質家族からの感動とトランプ大統領への感謝が相次いで出ている。

トランプ大統領自身も、それらのコメントをSNSなどで流しているという。以下は、10月7日から2年目を記念して、ワシントンに来ていた人質家族たちから、トランプ大統領への感謝のメッセージ。

リラン・バルマンさんは、双子の兄弟ガリさんとツィヴさんが帰ってくることの喜びを表明。叔母にあたるマカビット・メイールさんも、「こんな幸せなことはない」と語っている。

テルアビブの人質広場では、人々が集まり、感動とトランプ大統領への感謝が出ていた。

その後テルアビブの人質広場では、大雨になったが、黄色の傘やTシャツを着た人々が、集まっている。

ハマスとガザからの反応:トランプ大統領の仲介に感謝

Hamas negotiators, including Khalil al-Hayya (second from left) seen in a photo indicating success in the mediated Israel-Hamas negotiations on a Gaza hostage-ceasefire agreement in Sharm el-Sheikh

ハマスは、人質を全員解放するが、その代わりに、終身刑テロリスト250人含む約1950人のテロリストを受け取ることになる。

ハマスは、250人のリストを提出しているが、その内容についての詳細はまだ出ていない。

ハマスは、「囚人交換に合意し、戦争を終わらせることになった。イスラエル軍はガザから撤退し、人道支援物資が搬入される。」と発表。

戦争を終わらせるよう、仲介したアメリカのトランプ大統領に感謝を表明した。

また、「ガザ、エルサレム、西岸地区はじめ、地域内外で、占領者ファシストに対して、変わらない勇気を示した同胞たちに敬意を表明する」とも表明した。

同時に、“占領政府(イスラエル)”が、合意したことを遅延することなく、実施させるようにとも釘をさしている。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/hamas-demands-mediators-compel-the-occupation-government-to-fully-implement-gaza-deal/

ガザでも喜ぶ人々の様子が伝えられている。

世界首脳からも安堵の表明

ガザでハマスとイスラエルが第一段階であったとしても、停戦に合意したことについて、国際社会からは、平和への希望とともに、両サイドに合意したことを果たすよう求める声明が相次いだ。

スターマー英首相は、「これは世界中で深い安堵の瞬間だが、特に人質とその家族、過去2年間の想像を絶する苦しみに耐えてきたガザの人々にとってはまさに安堵だろう」と語った。カナダ、オーストラリアの首脳も、同様のコメントを出した。

イタリアも合意を歓迎するとし、平和維持軍が必要なら、出す用意があると述べた。

グテーレス事務総長は、「国連は合意の完全な履行を支持する」と表明。占領を終わらせ、パレスチナ人の主権を認めて、平和な二国家解決になるこのような機会を、失わないように求める」との声明を出した。

www.timesofisrael.com/world-leaders-praise-trump-mediators-for-gaza-agreement-express-hope-for-peace/

反イスラエルで大暴動になっていた世界各地にとって、この合意は、どう見えるのだろうか。冷や水になっただろうかとも思う。

石のひとりごと

2年という月日、最後まで諦めなかった人質家族たちとイスラエル市民たち。人質本人はいうまでもない。

また、このために祈り続けてきたクリスチャンたちにとっても、人質の解放はどれほどの感動になることだろうか。土曜日からの様子は想像を超える喜びになりそうである。

An art installation in Tel Aviv’s Hostage Square. Oct. 9, 2025.
(photo credit: GIDEON MARKOWICZ/TPS-IL)

それにしても、トランプ大統領、ノーベル平和賞発表の前日に、ガザ問題を停戦にこぎつけた。受賞になるかどうか注目される。

以前から時々思っていたことだが、ネタニヤフ首相が、トランプ大統領に取り入っている様子や、イスラエル国民だけでなく、ハマスやアラブ諸国指導者までが、トランンプ大統領に感謝を表明している。

トランプ大統領がそうだと言わないが、将来、イスラエルが手を組む反キリストはこんな流れで、世界のトップに立ち、力で黙らせて、第三神殿を実現してしまうのではないかと思ったりする。

実際、エルサレムでは、ベングヴィル氏が、神殿の丘を訪問。堂々と祈りを捧げて、ここに仮庵を立てるとまで言っていた。現代の熱心党ともいえる政治家や人々の第三神殿への熱意は高まる一方である。

最近、トランプ大統領が、関税で世界を大騒ぎさせたが、ローマ書にそのことも出ていて驚いたところであった。(2017年版)

すべての人に対して義務を果たしなさい。税金を納めるべき人には税金を納め、関税を納めるべき人には関税を納め、恐れるべき人を恐れ、敬うべき人を敬いなさい。(ローマ書13:7)

 

さらにあなたがたは、今がどのような時か知っています。あなたがたが眠りからさめるべき時刻がもう来ているのです。

私たちが信じた時よりも、今は救いがもっと私たちにもっと近づいているから。

夜は深まり、昼は近づいて来ました。ですから、私たちは、闇のわざを脱ぎ捨て、光の武具を身に着けようではありませんか。(ローマ書13:11-12)

 

ハマスとの交渉合意の中心にトルコの存在:ドーハでのハマス幹部暗殺未遂が用いられた!? 2025.10.9

ハマスとイスラエルの交渉は、これまでカタールが中心的な役割を果たしてきた。しかし、交渉は頓挫に近くなり、カタールももはや諦めかかっていた状況だった。そこへ、登場してきたのが、トルコであった。

トルコは、かつて中東ではめずらしく民主主義とイスラムの思想が共存する国であったことから、イスラエルとは長く良い関係にあった。

しかし、今のエルドアン大統領が、強硬なイスラム主義に方向転換し、イスラエルを敵視するとともに、ハマスを公に支援するようになった。イスラエルとの関係は急速に悪化した。

今問題になっているフロティーラ事件は、2010年にトルコが始めた、ハマス支援活動の一つである。トルコは、イスラエルが最近のフロティーラ船団を拿捕していることについて、海賊行為であり国際法に違反すると非難している。

こうした経過から、トルコには、カタールと同様、ハマス指導者が多数住んでいる。このため、先月、イスラエルが、ドーハでハマス幹部暗殺を試みる事件が発生すると、次はトルコではないかとの懸念が広がっていた。

www.timesofisrael.com/after-israel-strikes-hamas-leaders-in-qatar-turkey-worries-it-could-be-next/

こうした中、トランプ大統領は、ネタニヤフ首相に、公にカタールのアル・シャニ首相に電話をかけさせ、ドーハでの攻撃について謝罪させた。イスラエルが、トルコを攻撃することはないと、アメリカが保証した形になった。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/turkish-involvement-doha-apology-convinced-hamas-to-trust-us-will-hold-israel-back-official/

この経過の後で、トランプ大統領が、トルコに、ハマスに停戦案に合意させるよう圧力をかけたとみられている。

ハマスも今はイランの支援が受けられなくなっており、カタールとトルコとの関係は維持しなければならない立場にあるため、合意せざるをえなかったとも考えられる。

こうしてみると、ドーハにおける、イスラエルのハマス高官5人暗殺未遂は、ネタニヤフ首相が言っていた通り、完全な失敗ではなかったといえるかもしれない。

www.timesofisrael.com/leveraging-long-nurtured-hamas-ties-turkey-in-the-thick-of-efforts-to-end-gaza-war/

10月7日にベン・グヴィル国家安全保障相が神殿の丘で祈り 2025.10.9

強硬右派政治家のベン・グヴィル安全保障相は、10月7日(水)朝、ハマス襲撃の2年間に、エルサレムの神殿の丘に入り、勝利を宣言し、堂々と祈りを捧げていた。

神殿の丘は、基本的にはイスラム側、ヨルダンの管理下にあるため、ユダヤ人もクリスチャンもその中で公に祈ることは許されていない。

しかし、昨年から、イスラエルの警察が、岩のドームから離れた特定のエリアに限り、これを許可するとしていた。平伏して祈ることも許可している。

今回、ベングヴィル氏が祈りを捧げたのはそのエリアではあった。しかし、こうした動きにはハマスも怒りを表明し、10月7日の襲撃は、「アルアクサ(神殿の丘のイスラム名称)の襲撃」だと命名し、最終的には、アルアクサでの勝利が目的だったと言わせることになっていた。

湾岸諸国も、こうした動きに反発を表明している。サウジアラビアは、「占領軍の保護下で、イスラエル当局者と入植者たちが、アルアクサを襲撃した」と非難した。

ベングヴィル氏は、ガザについて、人質解放とハマス殲滅という目標を完璧に遂行するよう、ネタニヤフ首相に訴えていた。

今回の停戦合意については、まだ確かな声明を出していないが、どう出てくるのか、注目されている。

www.timesofisrael.com/ben-gvir-boasts-israel-victorious-on-temple-mount-leads-prayers-on-holy-site/

ハマスとイスラエルの間接交渉2日目:ハマスは即時戦闘停止とシンワル兄弟の遺体返還要求か 2025.10.8

ハマスが、トランプ大統領の案に基づき、人質全員を解放する用意があるとして、交渉に応じる姿勢を示したため、ハマス代表のハリル・アル・ハヤらと、イスラエル代表団が、エジプトのシナイ半島のリゾート、シャルム・エル・シェイクに入り、間接的な話が始まっている。

September 29, 2025, in Washington, DC. (Win McNamee/Getty Images/AFP)

本日10月8日(水)2日目となり、イスラエル代表のロン・ダーマー氏と、アメリカのウィトコフ特使と、トランプ大統領親族で、米中東顧問のクシュナー氏、またカタールのアル・タニ首相、トルコの諜報部長のイブラヒム・カリン氏が加わる。

本格的な話は、今日から24時間で煮詰まるものと予想されている。

アメリカのウィトコフ特使と、中東顧問のクシュナー氏は、トランプ大統領が提示しているガザ停戦案20項目の立案者とのこと。

エジプトが報告したとYnetが報じたところによると、ハマスは、人質交換の前に、戦闘を完全に停止することを求めている他、イスラエル人人質との交換にイスラエルが釈放する250人の終身刑収監者の中に、その最高位であるマルワン・バルグーティ(終身刑5回プラス40年の刑)を含めている。

バルグーティが釈放されるかどうかはまだ確実ではないが、バルグーティの妻ファダワが、西岸地区のラマラを出て、カイロに到着している。再開の準備のような動きではないかと注目されている。

またハマスは、ヤヒヤ・シンワルと、モハンマド・シンワルの2人の兄弟の遺体の返還も求めているとのこと。

トランプ大統領は楽観視を表明しているが、これらをイスラエルが受け入れるかどうかはまだ不明といえる。今日明日の24時間での交渉が今後の指針になるとして注目されている。

www.ynetnews.com/article/sjprsdx6ll#autoplay

 

October 6, 2025. (Israel Defense Forces)

ガザでは、イスラエル軍の攻撃は、一時停止とされているが、危険な状況には対応するとして、攻撃や空爆も発生している。

また、カンユニスでは、手榴弾が暴発する事故があり、予備役兵3人が負傷。1人は重傷とのこと。

www.timesofisrael.com/three-idf-reservists-wounded-two-seriously-in-apparent-grenade-accident-in-gaza/

10月7日を前にスコット(仮庵の祭り)始まる 2025.10.8

10月6日(月)日没から、イスラエル、また世界のユダヤ人たちは、仮庵の祭り(スコット)に入った。この日から13日までが仮庵の祭りとされ、8日目にシェミニ・アツェレート、シムハット・トーラーと続いて、聖書年間朗読の完了を祝う日となる。

この日は、各家庭や地域で、仮の建物がベランダや庭に設置され、その中で、共に食事をする。

この日は、様々な人間を表すとされる、4種の植物、エトログ(シトロン)、ルラブ(なつめやしの葉)、ハダス(ミルトスの枝)、アラバ(柳)、を束ねて、4方向に向かって揺り動かし、天地創造の神に感謝をする。(レビ記23:40)

エルサレムでは、今年もこれらを販売する特設会場が賑わっていた。

以下は例祭前のマハネイ・ヤフダ(オープンマーケット)の様子

以下は、10月7日(火)の朝、旧市街と嘆きの壁の様子

また、アルーツ7によると、ヘブロンでは、10月8日(水)、家父長の洞窟にユダヤ人1万2000人が集まって、早朝の祈りを捧げたとのこと。

www.israelnationalnews.com/news/415945

神戸のシナゴーグにて

今年も、6人のクリスチャンたちとともに、神戸のシナゴーグでの奉仕に行ってきた。

シナゴーグ屋上に建てられたスッカの中で、ラビ・シュムリック家族親族はじめ、シナゴーグに関係する人々や、イスラエルからの旅行者も来ていた。

10月7日の犠牲者と人質を覚えるセクションがあった他、各テーブルに祈りのことばが、あり、参加者全員で人質の解放を祈っていた。

10月7日ハマス襲撃から2年目:痛みを共有するイスラエル人・政府とは溝続く 2025.10.8

仮庵(スコット)の初日にあたる10月7日(火)は、イスラエル南部にハマスが侵攻して1200人を虐殺、251人を拉致して行ってからちょうど2年目であった。

この件を覚える式典やイベントについては、昨年も、政府と民間の間で一致せず、別々に行っていた。今年は、10月7日が、仮庵の祭りとちょうどかぶったことから、政府によるイベントは、来週行うとしている。

一方、人質家族とその周辺の民間団体によるイベントは、10月7日を中心に行われた。
300人以上の犠牲者を出した、ノバ・ミュージック・フェスティバルの会場や、被災したキブツ、モシャブでは、7日(火)朝、サイレンとともに黙祷するとともに、被災現場で、犠牲者と人質、悲惨な出来事を覚え、残された人質の解放を訴えるイベントが行われた。

テルアビブでは、7日(火)夜、ヤルコン公園で、犠牲者や人質になっている人々を覚えるイベントが行われ、約3万人が参加した。

(Alon Levin/Pro-Democracy Protest Movement)

ステージには、実際に当日、ハマスに破壊された車が置かれ、近くには、弾丸だらけのシェルターも設置されていた。人々は、「Bring Them Home」と書かれたTシャツを着て、黄色のリボンをつけていた。

イベントでは、ノバ・ミュージック・フェスでの襲撃を生き延びて、ユーロビジョンにも出場したユバル・ラファエルさんが歌った他、人気ポップスターのエデン・ハソンさんが、「What do you want from me」という歌を歌った。

この歌は、苦難に直面する中で、「私にいったい何を求めるのですか。もう十分です。何か語ってください」と神に疑問、というよりは率直な怒りを投げかけるような歌である。

これらのイベントでは、不思議なほどに、ハマスへの怒りは出てこない。一方で、政府への怒りが目立っている。

イスラエルが、中東で最強の軍備を持つとうことは、イスラエル市民も自覚するところである。それが、一テロ組織であるハマスにここまでの犯罪を許してしまった原因は、ネタニヤフ政権と軍の失策であったとして、政府を非難している。

また、政府はハマス殲滅を主張して戦争に入ったが、2年たってもまだ戦争は終わらない。それなら、もっと早くに、ハマスとの交渉を行って人質を取り戻すべきだったと訴えている。

政府への嫌味のごとく、トランプ大統領に、あなただけが人質を取り戻せると、訴えていた。

www.timesofisrael.com/grief-defiance-and-hope-30000-gather-in-tel-aviv-to-mark-two-years-since-oct-7/

石のひとりごと

ベン・アリさんの歌からは、理解を超えた主の選びの中で苦悩するイスラエル人と主との関係が、聖書時代と変わりがないと感じ、なんとも心が動かされた。

また、イスラエルでは、ハマスへの憎しみが、訴えの中心になっていないことに注目させられる。

憎しみが何をも生み出さないことをユダヤ人はよく知っていると思う。一方で、将来に目を向け、これからどうするのか、何をなすべきなのかで、意見が分かれているのである。

世俗派で左派傾向にあるテルアビブでは、上記のように、ハマスとの交渉に積極的でないネタニヤフ首相を非難している。一方、エルサレムに多く在住する保守派で宗教的な右派たちは、逆にネタニヤフ首相が、ハマスとの交渉に臨んでいることに不満を訴えている。

世界では、保守派とリベラルの対立が、目立ち始めているが、イスラエル国内でもその傾向はみられるということである。

このように、イスラエルでは、このように、自由に政府を非難できていることに世界は注目すべきである。一方で、ガザの人々は、ただただハマスへの恐怖に流されて、言うことも行動も支配されている。

10月7日において、ガザの人々も、何が発端となって、こんな悲惨な惨めな状況に陥ったのかを考えているだろう。ハマスが原因であることは、わからないはずはないが、ガザ内部からハマスを非難する声は出ていない。

それでも世界はイスラエルを非難し、ハマスを支持する者までいる。この様子からも、世界が、どこか脱線し始めているのではないかと想うところである。

10月7日から2周年:世界都市では親イスラエルと反イスラエルのデモ・暴動が混在 2025.10.8

10月7日は、イスラエル人1200人が虐殺された日である。世界都市では、犠牲者追悼イベントや祈り会が開催された。

ドイツでは、ベルリンのブランデンブルグ門で、犠牲者の写真が貼ってある椅子が、1000席以上並べられて、石を置く追悼イベントが行われた。

アメリカのニューヨークでは、セントラルパークで、数百人が、イスラエルの旗を掲げて集まり、詩篇を朗読して人質のために祈る集会が行われた。

コロンビア大学では、1200の空席が並べられて、犠牲死者を想うイベントが行われた。

一方、逆に、まさにこの10月7日に、イスラエルを非難する動きもみられた。

以下は、オーストラリアのメルボルンに掲げられたハマスを賞賛する看板。「パレスチナに自由を。10月7日をまたやれ」などと書いている。

世界の都市では、イスラエルに抗議する大規模なデモが行われ、暴動になって、警察との衝突にもなっていた。

Times of Israelは、この日反イスラエルデモが行われた都市は、シドニー、ロンドン、パリ、ジュネーブ、アテネ、テサロニキ、イスタンブール、東京、ジャカルタ、ストックホルムなどと伝えている。デモはドイツでも行われていた。

www.timesofisrael.com/anti-israel-protests-held-worldwide-on-second-anniversary-of-hamas-attack/

www.ynetnews.com/article/skijfbmaxl#autoplay

石のひとりごと

10月7日に、大きな虐殺をされた側のイスラエルを、ここまで非難するのはどういうわけだろうか。

ハマスの犯罪行為を、すべて無視して、イスラエルだけを非難している。そこには、憎しみも見え、異常事態、霊的背景があると考えざるを得ない。

10月7日:東京では親パレスチナデモと親イスラエルのメモリアルも 2025.10.8

ハマスのイスラエル人虐殺が行われた10月7日から2年目を迎え、日本でも読売新聞は、当時の様子や、犠牲者家族の証言などを報じていた。

一方、東京、渋谷では、7日(火)、親パレスチナデモが行われていた。参加者は、「イスラエルはジェノサイドを止めるべき」と叫び、日本政府に、イスラエルへの制裁を求めていた。

news.jp/i/1348511786087727497?c=768367547562557440

一方、イスラエル人牧師のデービッド・トゥルーベック師のFBの投稿によると、東京では、10月7日に、ハマス襲撃を覚えるメモリアルが行われていた。

日本人クリスチャンや、在日イスラエル人が参加している様子がうかがえる。