釈放されたテロリストがカイロで5つ星ホテルに滞在:隣には普通の旅行者たち 2025.10.27

イスラエルでは、解放された人質が、次々に病院から退院し、大勢の自宅近隣市民たちに、喜んで迎えられている。

こうした中、イスラエルから釈放された約2000人のパレスチナ人、特にガザ、西岸地区へも戻ることを禁じられ、国外追放となった終身刑レベルの極悪テロリストたち154人が、どうなっているのかが報じられ、注目されていた。

報じたメディアは、イギリス系のデイリー・メディアである。それによると、154人は、カイロの5つ星ホテル、ルネッサンス・カイロ・マイレージ・シティ・ホテルに滞在している。

154人のテロリストたちは、たとえば、1983年にエルサレムでバスを爆破して11歳の子供を含む6人を殺したサミール・アブ・ムーサ、1993年に国境警備隊員を拉致して殺したマフムード・イッサなど、終身刑レベルの殺人犯たちである。

欧米の裕福な旅行者たちが、水着姿で、極悪テロリストたちとプールで、隣り合わせになっているということである。

デイリー・メディアの記事によると、このホテルでは、ISかハマスかといったチェックは全く行われないまま、簡単に予約が可能だったとのこと。記事は、「Welcome to Hotel Hamas(ホテル・ハマスへようこそ」となっている。

www.dailymail.co.uk/news/article-15223429/Hamas-dangerous-terrorists-released-Israel-staying-luxury-resort.html

このホテルでの滞在費は、一泊一部屋が最低でも200ドルなので、毎日600万円近くかかっている。もう20日以上になるので、すでに1億2000万円近くになる。払っているのはだれなのか!!?カタールとかだろうか。世には限りなく不条理があるようである。

なお、エルサレムポストの記事によると、パレスチナ自治政府は、イスラエル人へのテロを決行して逮捕され、出てきた者には、年間14万5000シェケル(610万円)支払うことになっている。

これらのテロリストは、カイロでの休息?から、トルコ、カタール、チュニジアなど、テロリストの温床になっているような国々へと出ていくとみられている。

www.jpost.com/middle-east/article-871559

www.timesofisrael.com/terror-convicts-deported-under-gaza-ceasefire-staying-at-plush-cairo-hotel-report/

西岸地区で過激右派入植者たちがパレスチナ人村襲撃:入植者が“成果”を報じるSNSチャンネルも 2025.10.27

10月24日(金)から25日(土)、過激右派ユダヤ人入植者数十人が、エルサレム北部のヨルダン川西岸地区で、パレスチナ人たちの村を襲撃し、投石の応酬の後、入植者たちが、パレスチナ人の家屋や車両少なくとも3台、収穫時期のオリーブ畑にも放火する事件が発生した。

この地域の近くでは、この5日前に、過激右派たちが前哨地とよばれる、まだ承認されていない支配域を立ち上げたところだった。

この一連の衝突により、パレスチナ人3人、イスラエル人左派親パレスチナ活動家2人、過激入植者イスラエル人2人が負傷。暴動を起こした入植者の容疑者数人が逮捕された。

www.timesofisrael.com/three-cars-set-ablaze-in-overnight-settler-attack-on-west-banks-al-mughayyir/

こうしたパレスチナ人の村への攻撃は、これまでからも発生していたが、国際社会で、パレスチナ国家承認の動きにある中、激化の傾向にある。

以下は、入植者たちが、パレスチナ人女性2人に暴力を振るう様子がはっきり写っている様子。世界中に報じられた。

過激入植者が“成果”を報告するSNSサイト

過激右派は、What’s upに公開チャンネルを運営しており、ヨルダン川西岸地区で何をしてきたかを、堂々と発表している。

その一つのチャンネルによると、本当かどうかは別として、この1ヶ月で、パレスチナ人の住宅12棟と車両33台を焼失させ、パレスチナ人12人が負傷したとなっている。この他、タイヤパンクさせた車は何十台で、フロントガラス破壊は何100台、オリーブ畑も燃やしたなどと豪語している。

攻撃した村は、グシュ・エチオン南部のスリフに6回、ラマラ北部のアル・ムガイールに5回、シロ入植地に近いトゥルムス・アヤに5回などとなっている。ビデオや写真も投稿されている。

先週末のラマラに近い、デイル・ディブワン村への攻撃では、ダビデの星と共に、「アンシェイ・シュロメイヌからの挨拶」とスプレーしている様子もある。このグループのロゴとされる絵は、日本の忍者?にも見える。

www.timesofisrael.com/jewish-extremists-boast-of-attacks-against-palestinians-in-public-whatsapp-channel/

警察や軍は、こうした暴徒を一時的に逮捕するが、そのほとんどは、まもなく解放されている。ネタニヤフ政権が、強硬右派政党に支えられているためとみられている。

ルビオ米国務長官が確認したこと:戦後ガザにハマス関与なし・西岸地区併合に警告 2025.10.25

US Vice President JD Vance  in Kiryat Gat, Israel, October 21, 2025. (AP Photo/Francisco Seco)

アメリカは、10月13日に、トランプ大統領本人が来て、ガザの停戦を宣言。ウィトコフ特使、クシュナー大統領顧問に続いて、ヴァンス副大統領がイスラエル入りして、停戦と、ガザの復興への支援開始を強く宣言した。

ところが、そのヴァンス副大統領がまだイスラエルにいるうちに、イスラエルの国会で右派議員が中心となって、西岸地区併合に向けた法案を審議するという事態になった。

これはパレスチナ人との共存を真っ向から否定する動きともとれる。トランプ大統領が激怒し、ただちに、ルビオ国務長官をイスラエルへ派遣した。

これほどにアメリカの大物たちが続けて、イスラエルに来るのは異例と言える。

ルビオ国務長官は、24日(金)、イスラエルに到着し、キリアット・ガットのCMCC(文民軍調整センター)から声明を発表した。ルビオ国務長官がCMCCで明確化したのは、以下の通りである。

1)ハマスは戦後ガザの統治に関わらない

ルビオ国務長官は、トランプ大統領による停戦20項目以外のプランBはありえないと表明。「ハマスは、遺体をすべて返還し、非武装化しなければならない。今後のガザの統治に、ハマスが関わることはない」と明言した。

2)UNRWAは戦後ガザの支援に関わらない

また、ルビオ国務長官は、UNRWA(国連のパレスチナ難民支援組織)は、ハマスの子会社だとして、ガザ復興には関わらないと明言した。

これは、先週、国際司法裁判所が、イスラエルは国連組織であるUNRWAをガザ支援に関わらせる義務があると発表し、イスラエルがこれを拒否した後での発表である。アメリカは、イスラエルと同じところに立っていると明言した形である。

3)イスラエルは問題を共有しようとしている国際社会を失うべきでない:西岸地区併合はしてはならない

ルビオ国務長官は、イエローラインの向こう側、イスラエルの支配がない地域で、ハマスが、ガザ市民に暴力を古い、支配力を強化しているとの認識もあるが、アメリカとイスラエルとここにいる協力する国々とともに、前に進んでいく覚悟を表明した。

ルビオ国務長官は、今ガザでやろうとしていることは決して簡単なことではないと述べ、これからも上がったり下がったりするだろうと語った。しかし、最初の10日間の間に成し遂げたことを考えると、将来への希望もあると述べた。

その上で、イスラエルの右派議員たちによる、ヨルダン川西岸地区併合は、今始まったばかりのこのプロセス全体を脅威にさらすことになると警告した。アメリカとともに停戦維持に協力しようと集まっている国々が、一斉に帰ってしまうからである。

4)戦後ガザ統治にトルコとパレスチナ自治政府が関わるかどうかは未定?

アメリカが進めるガザ統治、復興について、イスラエルが懸念するのが、明らかにイスラエルに対立する立場を表明しているトルコとパレスチナ自治政府の関与である。

ルビオ国務長官は、明言はしなかったが、どの国がかかわるかは、イスラエルが、Comfortable 平安でいられるパートナーになるべきだと語った。

www.timesofisrael.com/rubio-at-gaza-ceasefire-hq-israel-has-met-its-commitments-hamas-must-disarm/

ハマスがパレスチナ諸派として共同声明:文民による独立委員会がガザ統治すると発表 2025.10.25

10月13日(月)にトランプ大統領が、ガザの停戦を宣言してから、10日が経過した。合意に従い、イスラエルは、ガザ地区53%を支配するライン、イエローラインまで撤退している。

このラインより海岸方面に、イスラエル軍はいないということである。法も秩序もなく、ハマスが、支配力を強化する動きに出ており、イスラエルに協力した者だとして、処刑する様子も伝えられている。

www.bbc.com/news/articles/cn51w77vlp9o

イスラエルでは、アメリカがCMCC(ガザ文民軍調整センター)を立ち上げ、ヴァンス米副大統領、ルビオ国務長官が、出入りして、停戦を継続させようとする中、23日(木)、ハマス、イスラム聖戦など、パレスチナ組織の代表たちが、エジプトのカイロに集まっていた。

この会議は、シシ大統領が承認の元で行われ、次の段階(人質返還完了後)について話し合ったとのこと。

会議の後、ハマスは、パレスチナ諸派による声明として、パレスチナの文民からなる独立委員会が戦後ガザを統治することで合意したと発表した。

しかし、その文民が誰なのか、誰であればアメリカが承認するのかといった、詳細は含まれていない。また、この中にパレスチナ自治政府にファタハがいなかった可能性も指摘されており、それほど重要な意味がある会議ではなかったかもしれない。

ハマスは、ガザの支配には関わらないことへの準備はあるとしているが、武装解除には明確にはしなかった。

ハマスは、2005年から丸20年間、ガザを支配してきた。それを簡単に手放すことは考えにくい。

www.ynetnews.com/article/sjfqkdy0gl

www.timesofisrael.com/hamas-fatah-hold-talks-in-cairo-on-next-steps-for-gaza-truce/

以下は、停戦発効2週間後のガザ市の最新のドローン映像。すさまじい破壊である。復興には20-30年かかるとも言われている。

アロン・オヘルさん退院 2025.10.25

ガザから生還した元人質の1人、アロン・オヘルさん(24)が、10月24日(金)、病院から退院。ノバ・ミュージック・フェスから拉致されてから、2年ぶりに故郷、北部のラボンへと向かった。

アロンさんの右目はガーゼで覆われている。破片による負傷で、右目は視力を失っていると言われている。医師は将来、視力を回復するための手術を計画しているとのこと。

ラボンでは、イスラエルの旗を振って、興奮した住民たち、子どもたちに迎えられていた。アロンさんは、ガッツポーズと笑顔で応答している。アロンさんは、人々の深い愛に感謝を表明。人々の愛が、地下50メートルのトンネルにまで、届いていたことを伝えたいと語った。

アロンさんは、リハビリをしながら、少しずつピアノに向かうと言っている。

www.timesofisrael.com/released-hostage-alon-ohel-returns-home-to-cheers-by-supporters/

解放されて次に進む元人質:軍へ戻る人・結婚決めた人 2025.10.25

軍服に戻った元人質

2年間の人質生活の後、10月13日(月)に解放された20人の元人質たちは、文字通り、新しい自分の人生に立ち帰ろうとしている。

そのうちの1人、マキシム・ヘルキン大尉(36)は、ノバ・ミュージック・フェスで拉致され、2年間、ハマスの人質であった。ガザでは相当非人道的な扱いを受けたとみえ、顔色がすぐれないようである。

しかし、解放されてから、約1週間後、軍服を着て、所属していた輸送センターでの表彰式に出席。予備役時代の戦友たちと再会を果たした。

ヘルキン大尉は、民間人として家族の元に帰り、今、軍服を着て所属部隊に戻ることができたとして、支え続けてくれた人々に、深い感謝を述べた。

ヘルキン大尉は、イスラエルでは、民間人であり、兵役にも行き、両者が支え合っている。軍服を着ることに聖なる使命を感じると語るとともに、私が、こうして、軍服を着て、帰ってくることができたのは、みなさんの支えのおかげだとして、深い感謝を表明した。

解放されてから2日目に、ヘルキン大尉は、インタビューで、「ハマスの地獄の中では、イスラエルでの人質解放運動が力になった」と語っていた。いかに環境は地獄でも、我々は必ず勝利すると確信できた。

自分のことを国が忘れていない。人々は私が帰ってくるまであきらめてないと確信した。ならば帰らないという選択肢はない。私の民はそうはさせないと思った」と語っている。

ヘルキン大尉は、ロシア国籍を持つ母と娘(パートナーとの間の娘)があるため、ロシアが早期の解放を試みたが、成立しなかった。帰国後、母親に、ミュージックフェスに行って、帰るまでに2年もかかったことをあやまったという。

www.ynetnews.com/article/hynvxpl0gx

ようやく結婚にこぎつけたカップル

Former hostage proposes to partner Ziv Aboud (Photo: Or Geffen)

エリヤ・コーヘンさんは、10月7日に拉致され、今年2月、505日目に解放された元人質である。

エリヤさんは、ノバ・ミュージック・フェスに参加していて、ハマスの襲撃に遭い、キブツ・ライムのシェルターに駆け込んだが、そこに隠れたイスラエル人27人のうち、16人は、ハマスにひきずり出されて、銃撃や手榴弾などで殺害された。

エリヤさんは、アロン・オヘルさん、ハーシュ・ゴールドバーグさん、オール・レヴィさんとともに拉致された。

エリヤさんのパートナーであったアブードさんもそこにいたが、遺体の下になっていたので、そのまま難を逃れたという。アブードさんの甥は殺害されていた。エリヤさんは、ノバ・ミュージック・フェスの後で、アブードさんにプロポーズする予定で、指輪も用意していたとのこと。(アブードさんは知っていた)

その後アブードさんは救出され、エリヤさんの解放運動に、黄色のドレスで解放を訴えていたことで知られている。

エリヤさんは、今年2月に解放されたが、一緒に人質になったアロン・オヘルさん、エルカナ・ボブホットさんが解放されるまで、婚約はしないと誓っていた。エリヤさんは、解放された際、拉致されたそのシェルターに行っていた。

当時、放り込まれた手榴弾を投げ返して死亡した、アネル・シャピラさんが、「こんなふうに殺されるわけにはいかない」と叫んでいたのを思い出したと語っていた。

www.timesofisrael.com/ex-hostage-eliya-cohen-terrorists-killed-captive-who-tried-to-flee-before-we-entered-gaza/

しかし、それから2年、その2人が解放されたことにより、エリヤさんは、正式にアブードさんに結婚を申し込み、2人は結ばれることになった。

www.ynetnews.com/article/s1pjwpdcgx

石のひとりごと

イスラエルのニュースを読んでいて思うのだが、これほどの被害を受けても、ハマスへの憎しみはほとんど、全く出てこない。以前聞いたことがあるが、ユダヤ人にとって、不条理なテロはいつの世にもあるのであり、それが来たら、「自分の番が来た」と思うとのこと。

やられたことに怒りを持ち続けても、自分が潰れるだけ。そんな負けは絶対に受け入れない。パウロが言うように、すでに達しているところからのスタートである。

イスラエル人たちは、世界のだれよりも迫害され、憎まれているが、もしかしたら世界のだれよりも、祝福され、幸せな人生を歩んでいるのかなと思ったりする。

自分の国の中で、自分の価値を知っており、同胞たちからも愛されている。自分も同胞を愛している。こんな民はどこにもいないだろう。

今も丹波篠山市にウクライナの旗:酒井隆明市長が2022年プーチン大統領に抗議文も 2025.10.25

戦争が終わるまで!?丹波篠山市役所にウクライナの旗

先日、丹波篠山市に行くことがあり、その市役所に、市の旗と日本の国旗、ウクライナの国旗が並んでいるのに気がついた。

丹波篠山市HP

市役所で聞くと、今の酒井隆明市長(70)が、2022年2月24日に、ロシアがウクライナへ侵攻したことを受けて、平和を訴える目的で掲げたという。まだ戦争が終わっていないため、今もまだ掲げたままである。

酒井市長は、2022年、3月3日付で、プーチン大統領に抗議文まで出していた。「世界中の人々は、貴国の暴挙を注視しています」とかなり率直に書いている。以下の丹波篠山市長日記に、今もアップされている。

www.city.tambasasayama.lg.jp/gyoseijoho/shichonoheya/shichonikki/2022/3/20802.html

なお、市としては、政治的な意図はなく、平和を求めることが目的と強調されていた。

酒井市長は、最初2007年に、前市長が健康上の理由で辞任した後の選挙で市長に就任。以後4期、今も現役の市長である。

2018年に、篠山市から丹波篠山市と改名したのは、酒井市長とのこと。市民に愛されている市長さんと察する。

ロシア・ウクライナ情勢

Putin and Trump last met in person at a US base in Alaska in August 2025

トランプ大統領は、ガザに次いで、ウクライナ戦争でも停戦に持ち込む意欲は満々で、10月16日(木)に、プーチン大統領と電話会談を行った。

結果、2週間以内に、ハンガリーで、米露首脳会談を行うと発表していた。

その後、10月20日(月)、ウクライナと欧州は、とりあえず、今の最前線における即時停戦を呼びかけたが、ロシアはこれを受け入れなかった。

ロシアは、ドンバス地方におけるロシアの完全な主張をウクライナが承認することなどをあげており、強気姿勢を崩していないのである。

これについて、ゼレンスキー大統領は、絶対に受け入れないと言い続けている。

そうして、21日夜から22日にかけて、ロシアは、キーウなど、ウクライナへの攻撃を実施。子供を含む7人が死亡した。

ロシア側が、戦闘を停止する気がなく、会談をする意味がないとして、トランプ大統領は、22日(水)、会談は中止と発表した。

ロシアとウクライナの戦争は、今の所、終わる気配は見えていない。

www.bbc.com/japanese/articles/c0exgelpn35o

www.bbc.com/japanese/articles/crexw595x0xo

アメリカが進めるガザ戦後ビジョン:イスラエルの見通しは? 2025.10.24

ガザでは、生存する人質が全員解放され、遺体も徐々に返還が進んでいる。こうした中、アメリカが見ている次の段階の動きが見え始めている。

アメリカが進めるガザ戦後ビジョン

ガザでは、生存する人質が全員解放され、遺体も徐々に返還が進んでいる。こうした中、アメリカが見ている次の段階の動きが見え始めている。

Yoan Valat/Press Pool

10月13日(月)、トランプ大統領は、自らエジプトのシャルム・エル・シェイクでのガザ停戦に関する国際カンファレンスに出席し、停戦を宣言。

アメリカは、停戦後ガザ管理のシステム構築を進めている。

トランプ大統領に続いて、ウィトコフ特使とクシュナー大統領顧問がイスラエルに到着。

続いて、21日(火)には、ヴァンス副大統領がイスラエルに来て、キリアット・ガットに拠点を置く、ガザ戦後の治安を監視するCMCC(Civil-Military Coordination Center(文軍協力センター)の発足を発表した。

CMCCは、ガザ支援にあたる国連、NGO、民間部門代表などを統合する機関である。約200人のべ雨軍要員が中心となり、イギリス、カナダ、ドイツ、デンマーク、ヨルダンからの軍派遣者との協力体制を維持する。

CMCCは、ガザの復興に向けた治安維持と復興を監督する役割を担うことになる。

まず、ガザへ搬入される物資は、CMCC(Civil-Military Coordination Center)が、監視し、ドローン含め、武器関係物資が入らないようにする。

Netzarim corridor in the central Gaza Strip, on August 22, 2025. (Eyad BABA / AFP)

そこから人々への配布についてだが、アメリカは、これまで、UNとは別に、GHF(ガザ人道財団)による配布センターの運営を行なっていた。

しかし、ハマスの妨害もあり、武力衝突が多発し、国連からの批判、非難が絶えない状態だった。

このため、アメリカは、GHFに変わる人道支援の方法を提案している。

それによると、イスラエルが撤退したラインに沿って、12―16カ所の人道支援センターを設立。避難民は、そこから物資を受け取ることになる。これを「人道主義ベルト」と命名する。

この人道主義ベルトには、元テロリストだった者が、自主的に武器を提出して、恩赦を受ける手続きをする場所や、CMCCが、ハマスの非武装化を進める拠点の設置も計画されている。

アメリカは、このシステムが確立されるまでの前段階として、モロッコとUAEの赤十字と、クリスチャン福音派のサマリタン・パースが、現在のGHFの働きを引き継ぐとしている。

www.ynetnews.com/article/byb1fw00rlx

アメリカは、ガザ停戦を通して、中東でのコミュニケーションが進み、アブラハム合意への参加国(イスラエルと国交正常化)が増えて、地域全体が発展するという大きなビジョンを表明している。

国連は、アメリカのこの支援システムが、結局、GHFと似ているとして、懸念を表明している。アメリカは、まだ決定的な案ではないと述べ、この案は、いろいろ模索する中での一案だと返答している。

www.timesofisrael.com/us-military-says-ceasefire-hq-will-be-able-to-assess-real-time-developments-in-gaza/

イスラエルによる今後の見通し

イスラエルは、基本的には、アメリカに賛同する立場である。ネタニヤフ首相は、ヴァンス副大統領を歓迎していた。また、INSS(イスラエル国家安全保障研究所)は、戦後ガザの地図を発表した。

それによると、イスラエル軍が、イエローラインから国境に駐留を続けて支配し、それ以外の地域が5地域(デイル・アル・バラ、ガザ、カンユニス、ガザ北部、ラファ)に分けて、管理される形になっている。管理者が誰になるかは未定。

地図には、物資は外から搬入される検問所の位置や、ガザ内部での配布場所も提示されている。

www.inss.org.il/publication/gaza-day-after/

しかし、問題は、ガザ将来の計画における、明らかにハマスの支援者であるトルコと、パレスチナ自治政府の役割である。

ネタニヤフ首相は、ヴァンス副大統領との会談において、この2つの関係者は、今ガザに入るべきではないと主張している。また、この計画の成功の可否は、ハマスがどう出るかにかかっている。

イスラエルによると、ハマスは、2023年10月7日の時点では、戦闘員3万人、5つの地域旅団、24の大隊、140の中隊と組織もはっきりしていた。その後2年の戦闘で、ハマスは、重要な指導者たちをほぼ失い、組織としても、ほぼ解体状態になり、今ではガザ市に残留する中央部隊だけになっている。

しかし、残存ハマスは、その後新たに戦闘員2万2000人を雇用しているとイスラエル軍は見ている。ただ、この新兵たちは、訓練がほぼなされていないだけでなく、弱いとみられている。

統率力に欠けると同時に、重要な武器もないため、本格的な戦闘ではなく、ゲリラ戦がせいいっぱいとみられている。

石のひとりごと

これはまだまだ青写真で、これからどうなるかは、まったく未定である。青写真だけで終わるかもしれない。

ただ将来が、ほとんど見えない中だからこそ、ボツになっても落ち込まず、まだ見ぬ、より良い予想外の可能性に期待して祈れる時代ではないかと思う。

ヴァンス副大統領訪問中にイスラエル国会で西岸地区併合審議:トランプ大統領激怒・急遽ルビオ国務長官派遣 2025.10.24

ヴァンス米副大統領来訪中に右派議員たちが西岸地区併合への動き

アメリカが、トランプ大統領本人から乗り出して、成功させようとしているガザ停戦だが、それを妨害する動きが、イスラエル国内から出た。

ヴァンス米副大統領がまだイスラエルにいる時に、ネタニヤフ首相お足元の右派議員たちが、西岸地区のイスラエルへの併合に関する法案2つに関する法案の予備審議を行い、1つ目の案件について、賛成25、反対24とぎりぎりだが、初回審議を通過した形となった。

これが、法律になるには、今後国会で、3回の可決が必要であり、現在、国会の外務部門と、防衛部門で審議されている。

おそらくは通過しないが、ヴァンス米副大統領が来ている最中でのことで、ネタニヤフ首相にとっては、大きな恥になったと言われている。

(Photo by AHMAD GHARABLI / AFP)

なお、法案の1つは、西岸地区全域に、イスラエルの主権を発動するというもので、もう一つは限定した地域、マアレイ・アドミムを併合するという法案だった。

この法案を提案したのは、強硬右派のアヴィ・マオズ議員で、「“ユダヤ・サマリア地区(西岸地区)”は、聖なる方、主がイスラエルに与えた地域である。そこに戻ることは贖いであり国リバイバルを意味する。土地の繁栄にもつなが

Noam MK Avi Maoz in the Knesset plenum, October 22, 2025. (Dani Shem-Tov/ Office of the Knesset Spokesperson)

る。ユダヤ・サマリア地区にイスラエルの主権を発動することは、ずっと前にするべきことだった。」と述べた。

ネタニヤフ首相とそのリクード党は、現時点ではまだこれには反対を表明する立場である。ところが、リクードのトップに近い、ユリ・エデルステイン氏が、反対票ではなく、棄権したことで、賛成25、反対24になり可決となったのである。

エデルステイン氏は、「祖国のすべての地域に、イスラエルの主権を置くことが日常の秩序につながる」と述べ、右派議員は、全員この法案に賛同するべきだとも述べた。

ネタニヤフ首相にとっては、まさに足元からの反旗である。リクードでは、エデルステイン氏を今のポジションから下ろすという話になっている。

www.timesofisrael.com/2-west-bank-annexation-bills-get-initial-nod-with-mks-rebelling-against-pm-as-vance-visits/

こうした動きに対し、トランプ大統領は、「これがこれまでのすべてを覆す可能性がある」と激怒。「もし西岸地区を併合したら、イスラエルは、アメリカのすべての支持を失うだろう」とも語った。

トランプ大統領は、すぐにルビオ国務長官をイスラエルへ派遣。後には、イスラエルがそんなこと(西岸地区併合)をすることにならないだろうと語っている。

www.timesofisrael.com/trump-says-israel-not-going-to-do-anything-with-the-west-bank-as-us-fumes-over-annexation-vote/

右派議員の動きの背後にあるパレスチナ国家承認への懸念

エデルステインほどの議員を含む右派議員たちが、この時に西岸地区併合法案に踏み切ったのは、トランプ政権が、パレスチナ国家承認を、イスラエルに押し付けてくるのではないかという懸念が出ているからである。

トランプ大統領が出している停戦への20項目で行くと、パレスチナが国家として成立する可能性がゼロではない。どちらにもころべる形なのである。

アメリカはイスラエルに完全に味方なのかどうなのか。イスラエル国内では、生存する人質20人全員を一気に奪回したトランプ大統領を信頼しようとする考え方と、そうでない考え方と両方ある。

GCC Summit in Riyadh, Saudi Arabia, May 14, 2025. (Alex Brandon/AP)

そのアメリカは、今、サウジアラビアとイスラエルの国交正常化を進めており、その結果として、サウジアラビアが、アブラハム合意に加盟することを目指している。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/trump-predicts-israel-and-saudi-arabia-will-normalize-ties-by-end-of-year/

11月には、ビン・サルマン皇太子をホワイトハウスに招待しており、この件を話し合うとみられる。

しかし、サウジアラビアは、その条件として、強力に、パレスチナ国家(ガザと西岸地区)設立を挙げている。このため、右派議員たちの間では、トランプ大統領が、イスラエルにこの件への譲歩を要求してくるのではないかとの懸念が広がっているのである。

強硬右派シオニスト政党のスモトリッチ財務相は、もしサウジアラビアが、イスラエルとの国交正常化の条件として、パレスチナ国家承認を要求するなら、「けっこうです。ラクダに乗っていてください」と、敬意を逸する発言をした。

国内からは失礼な表現だとして激しいバッシングを受け、スモトリッチ氏は後で謝罪を表明するという経過もあった。

www.timesofisrael.com/smotrich-on-saudi-normalization-no-thank-you-keep-riding-camels/

ネタニヤフ首相にとっても、パレスチナ国家承認は、ぜったいに受け入れられないことである。とはいえ、イスラエルにとって、アメリカの支持は絶対に失い得ないものである。

ネタニヤフ首相の難しいアメリカとのやりとりが続いている。

www.timesofisrael.com/2-west-bank-annexation-bills-get-initial-nod-with-mks-rebelling-against-pm-as-vance-visits/

www.timesofisrael.com/forging-a-durable-peace-for-gaza-obviously-impossible-but-trump-did-get-all-20-living-hostages-back/

神殿の丘近くで約2700年前のアッシリア碑文遺跡発見:聖書のリアルがまた世界へ 2025.10.24

10月22日(水)、IAA(イスラエル考古学局)は、エルサレムのダビデの町、神殿の丘の近くで、2700年前のアッシリア語による碑文が刻まれた石片を発見したと発表した。

石片は、神殿に近い、ダビデの町のヒゼキヤ王の水路近くで発見されていた。IAAは、発掘現場から出てくる砂をふるいにかけて、重要なものがないか探す方法を続けているが、そのプロジェクトにより発見されていた。

IAA

石片は、2.5センチの陶器の断片で、そこに書かれている文字は、当時アッシリアで使われていたアッカド語である。断片は、その分析から、当時、アッシリアの中心地が複数あった、チグリス川地域から来ていることがわかった。

断片に彫り込まれている碑文には、アブの月の初日の支払いに税金の遅れが出ていること。また「手綱の持ち主」と書かれている。アッシリアの歴史記録によると、これは、王室を意味することばだという。

碑文の中に、正確な日程はないが、石片の分析からは、第一神殿時代の終盤にあたる、紀元前7―8世紀であるとされている。

聖書によると、この頃のユダ王国のヒゼキヤ王は、アッシリアに税金を納めなかったために、やがて、セナクリブがエルサレムに攻め込んで来たとなっている。(第二列王記18:13-14)

この発見は、この事実を証明するものといえる。

考古学的発見の中でも文字は特に重要である。この時代からの考古学的発見は、初めてであり、聖書のリアルがまた証明されることとなった。

www.timesofisrael.com/biblical-tax-notice-1st-ever-assyrian-inscription-found-near-jerusalems-temple-mount/

人質遺体2人返還:アリエ・ザルマノヴィッツさん(85)とタミール・アダルさん(38)2025.10.23

キブツ・ニール・オズ住民2人の遺体帰国

ハマスは10月21日(火)夜、タル・ハイミさんの遺体に続いて、遺体2人を赤十字に引き渡した。検証の結果、遺体は、キブツ・ニール・オズの住民、アリエ・ザルマノヴィッツさん(85)とタミール・アダルさん(38)と判明した。

アリエさんは、10月7日、キブツ・ニール・オズの自宅から拉致された。ハマスのバイクに負傷して出血しながら拉致されていくビデオが残っていた人である。

ハマスは11月の時点で、遺体の写真を公開し、アリエさんの死亡が確定していた。

アリエさんが死亡した時に一緒にいた人質のファルハン・アル・カディさんは、2024年8月に解放されている。アリエさんは死ぬ前に、愛する孫娘や家族のことを多く話して、死の瞬間には、キブツと、友人たち、愛する孫娘や息子たちに、さようならと言ったという。アル・カディさんは心が引き裂かれる思いだったと語っていた。

アリエさんは、キブツ・ニール・オズ創設者の1人で、本当に汗を流して農業労働に勤しんだ人として尊敬されていた人だった。アリエさんの妻は1997年に死亡しており、遺族は2人の息子と5人の孫だった。

タミールさんは、イスラエル軍予備役軍曹で、キブツの副治安維持コーディネーターでもあった。ハマス襲撃時は、

(Maya Alleruzzo/AP)

家を出て、キブツの護衛にあたっている時に、殺害されていた。

自宅を出る時、妻とこどもたちには、隠れて鍵をかけ、絶対外へ出ないように指示していた。タミールさんの祖母ヤファ・アダルさんは、ハマスに拉致され、その映像も流されたが、48日後に解放された。

タミールさんの遺体を迎えた遺族は、両親と、妻ハダスさんと子供たち2人、兄弟3人を含む一族である。

これにより、ガザに残留している遺体は13人となった。

www.timesofisrael.com/hamas-says-it-will-hand-over-bodies-of-two-more-deceased-hostages-tuesday-night/

キブツ・ニール・オズでの葬儀

(写真:Tomer Shunem Halevi)

キブツ・ニール・オズでは、10月23日(木)、まずタミールさんの葬儀と埋葬が行われた。キブツ住人など1000人以上が参加した。

軍関係者で、治安要員でもあったため、ヘルツォグ大統領、政府を代表してキッシュ教育相、またハレヴィ元IDF参謀総長の姿もあった。

ヘルツォグ大統領は、元人質の多くの葬儀に出ている。

アリエさんの葬儀は、明日予定されている。タミールさんの葬儀には、アリエさんの遺族も出席していた。

www.ynetnews.com/article/hjls4vw0gl

ガザから人質遺体タル・ハイミさん(41)引き渡し:イスラエルからガザのパレスチナ人遺体15人引き渡し 2025.10.22

13人目の遺体引き渡し:タル・ハイミさん(41)

ハマスは10月20日夜、13人目となる人質の遺体1人を赤十字に引き渡した。検証の結果、タル・ハイミさん(41)であることが判明した。残る人質遺体は15人となった。なお、ハマスは、続いて21日夜にも、2人の遺体を引き渡すと言っている。

今回遺体となって帰還したタルさんは、キブツ・ニール・イツハクの自衛団隊員で、10月7日は、キブツの入り口付近で、他の隊員たちとともに、侵入してくるハマスと戦って死亡した後、拉致されていた。

Ela Haimi, second from left, with her four children,  (Nir Davidzon/IDFWO)

タルさんには、妻エラさん、子供は、ニールさん、エイナフさん、ウディさん、タルさんが殺害された7ヶ月後に生まれたロタンさんである。

夫の葬儀の準備をするエラさんは、辛い気持ちがある一方、安堵もあるという。これはどの家族も言っていることである。

エラさんは、子供たちに、「お父さんが帰ってきた」と伝えることができてよかったと語っている。

www.timesofisrael.com/hamas-hands-over-casket-with-apparent-remains-of-hostage-after-gaza-truce-tested/

すぐ来るはずの治安部隊がなかなか来なかったことが、夫の死につながったとの思いはあるが、子供たちは、国は、遺体になっても、戦った兵士を忘れることはないと知ることができたとも語った。最後の1人まで、諦めてはならないと訴えた。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/widow-of-tal-haimi-says-return-of-his-body-shows-nation-does-not-forget-its-fighters/

イスラエルはパレスチナ人遺体15人引き渡し

タルさんのIDが確認された後、21日(火)、イスラエルは、トランプ大統領の停戦20項目に乗っ取り(人質遺体1人につき、ガザのパレスチナ人の遺体15人)、ガザで死亡したパレスチナ人15人の遺体を、赤十字を通じてガザへ引き渡した。

これまでに13人の遺体が戻ってきたことから、イスラエルは、これまでに、計165人の遺体をガザへ引き渡したことになる。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/israel-sends-bodies-of-15-palestinians-to-gaza-in-line-with-deal-red-cross-says/