先にフランス軍が介入してイスラム勢力を追放した西アフリカのマリ北部ガオだが、自爆テロをきっかけに、イスラム側が盛り返して、10日本格的な銃撃戦となっているもよう。
*ガオには、アルジェリア人質事件の主犯ベルムフタルの家があった。そこにフランス人など18人の人質が集められていたという。アルジェリアからの人質もそこへ連行するつもりだったと見られる。
先にフランス軍が介入してイスラム勢力を追放した西アフリカのマリ北部ガオだが、自爆テロをきっかけに、イスラム側が盛り返して、10日本格的な銃撃戦となっているもよう。
*ガオには、アルジェリア人質事件の主犯ベルムフタルの家があった。そこにフランス人など18人の人質が集められていたという。アルジェリアからの人質もそこへ連行するつもりだったと見られる。
オバマ大統領が、3月中旬ごろイスラエルを訪問するとの予定が発表された。パレスチナ自治政府、ヨルダンも訪問する予定で、準備が始まっている。これに先立ち、2月には、就任したばかりのケリー国務長官がまずイスラエルとエジプトを訪問する。
今回は、オバマ政権発足早々の中東訪問となり、アメリカとイスラエルの関係強化を示すと同時に、シリア、イラン問題と重要課題が山積みの中東に、アメリカの存在を印象づけるねらいがあると思われる。
<失敗に学ぶ!?オバマ大統領>
オバマ大統領は前期4年の間、一度もイスラエルを訪問しなかった。逆に就任早々カイロで演説し、イスラム社会への理解・対話による接近を試みた。ところが結果と言えば、アラブの春で民主化は後退、イスラム主義が台頭、反米思想に拍車がかかるという逆の事態となってしまった。
いわば、イスラム社会にアメリカがふられた・・というところで、アメリカの中東での権威は大きく失墜したといえる。
今回のイスラエル訪問で、本来のアメリカの役割を回復し、中東和平に貢献する立場にもどれるかどうか注目される。
<サウジアラビアにアメリカのドローン(無人戦闘機)の拠点>
湾岸戦争後、サウジアラビアに駐留していたアメリカ軍は撤退したが、その後CIA(アメリカ中央情報局)が、極秘にドローンの拠点を維持していた事が明らかとなった。
これはサウジアラビアに拠点を置くアルカイダの動向を監視し、必要なら攻撃も可能にするためである。西アフリカでは、フランス軍が、マリでアルカイダ系イスラム武装勢力100人を殺害したとの情報もあり、欧米とイスラム社会の対立はますます深まる傾向にある。
アラブの春の発端となったチュニジア(アルジェリアとリビアの間の国)。その後の選挙で、イスラム主義・ムスリム同胞団を基盤とする政党アンナハダが最大議席数を持つ制憲議会が立ち上がり、憲法制定に向けて準備中だった。
ところが6日、世俗派の野党政党・党首のベルイード氏が自宅前で暗殺された。ベルイード氏がアンナハダを批判していたことから、犯行がムスリム同胞団と関連しているとの疑いが広がった。
これに怒った群衆が全国各地で,反政府デモ活動をはじめ、首都チュニスでは警察と暴力的な衝突で死者も出た。
チュニジアのジェバリ首相は、暗殺を非難すると同時に、現在の制憲議会を解散・早期に選挙を行うと発表した。
昨年7月にブルガリアで発生した自爆テロでイスラエル人5人を含む7人(犯人含む)が死亡した事件。ブルガリア政府は5日、犯行は、イランの指示を受けたヒズボラによるものであったとの調査結果を正式に発表した。
アメリカは、現在EU(ヨーロッパ連合)に対し、ヒズボラをテロ組織に認定するよう圧力をかけているが、フランスとドイツが反対していた。ブルガリア政府の発表が、この懸案にどう影響するか注目される。
なお、イスラエルは、ブルガリア政府の発表を歓迎するとのコメントを出している。
ここ7年ほどイスラエルでは雨が少なく、ガリラヤ湖の水位が下がって塩水が流れ込むとの懸念もあった。しかし今年に入ってからの大雨で、水位は回復。イスラエルの水道局が、7年つづいた干ばつと水不足が終了したと宣言した。
2日、ペレス大統領が正式にネタニヤフ首相を次期首相と認め、連立形成にむけた交渉を委任。本格的な交渉が始まった。
注目は獲得票2位の「未来がある党」のラピード党首をどう扱うか。社会及び政治体制の構造改革を求める市民の幅広い支持を受けているため強気である。連立加入にむけて、かなり多くの条件を提示しており、ネタニヤフ首相には頭の痛い相手。
もう一つの焦点は、「ユダヤの家党(極右)」また「宗教政党シャス」を入れる(入る)のかどうか。ユダヤ教正統派の青年も徴兵する法案がどうなるかを左右する重要ポイントである。
なお、「ユダヤの家党」は日曜日を休日にする案を連立条件に含めるもよう。土曜は安息日で商業施設が閉まっているが、日曜が休みになれば、市民はショッピングや映画を家族で楽しむことができるというもの。
<新議員初登庁>
3日、新国会メンバー120人が初登庁した。今回は新顔が49人に上り、喜びの議員1日目となった。
3日、シリア国営放送が、イスラエルに爆撃されたと思われる場所の映像を発表。多くの車両とともに隣接する建物が被害を受けた様子が映し出された。
3日、ニューヨークタイムスは、攻撃されたのは、ダマスカスの主要な生物化学兵器の要所だったと伝えた。この研究センターは北朝鮮との関連もあり、欧米が長年制裁の対象にしてきた施設だったという。
この件について、イスラエルもアメリカも公式の発表はしていないが、ドイツで行われている防衛関係の会議で、バラク国防省が、直接ではないが、イスラエルが攻撃したと示唆する発言を行った。
<アサド大統領とイラン>
3日、アサド大統領がイランのジャリリ防衛長官とダマスカスで会談している様子が報道され、「イスラエルはシリアの状況を悪化させようとしている。」と非難した。イラン「テルアビブが昏睡状態になる」などと相変わらず豪語を繰り返している。
*もしアサド政権が崩壊して、シリアをコントロールできなくなった場合、イランはレバノンや地中海へのアクセスを失い、イスラエルへの攻撃も難しくなる。そのためイランは最後までシリアのアサド政権を支援し続けるとみられる。
<トルコの意地悪発言>
トルコの外相は、「アサド大統領は、自国民にはスカッドミサイルを撃ち込むくせに、なぜイスラエルに報復しないのか」と報復をそそのかす発言。
エルドアン首相も「地域全体に何がおこってもおかしくないような行動だ。歴史はイスラエルを赦さないだろう。」と敵意に満ちた発言を行った。
<レバノンの反応>
「レバノンへの武器搬入を阻止する」といわれているレバノンだが3日になってようやくコメントを発表。頻繁に領空侵犯しているとしてイスラエルを非難した。しかし、レバノンもまた国境で搬入されようとする武器を拿捕したりしている。
<フランス首相、マリ入り>
マリ北部でイスラム部造成力と戦っていたフランス軍が最後の武装勢力拠点を攻略したのをうけて2日、フランスのホーランデ首相がマリを訪問した。マリ市民はイスラム勢力から解放してくれたフランス首相を感謝で迎えた。
しかし、マリ北部では、フランス軍介入で勝利した勢いにのりすぎて、マリ軍兵士が北部に住んでいた一般のアラブ人やトゥアレグ人をリンチするなどの人権侵害が行われている。これを受けて、イスラム武装勢力が報復に戻ってくる可能性が懸念されている。
フランス軍はできるだけ早く撤退する方向でアフリカ連合軍に引き継ぎを急いでいるが、問題は始まったばかりだとホーランデ首相も語った。
<イギリス首相、パキスタン首相とアフガニスタン大統領を招待>
先にアルジェリアを訪れていたイギリスのキャメロン首相は、リビアもサプライズ訪問した。
また、キャメロン首相は今週末、アフガニスタンとパキスタンの大統領をイギリスへ招いて、来年NATO軍が撤退した後の治安について話し合う。3者会談はこれで3回目となる。
これらの地域ではイスラム原理主義武装組織タリバンが、勢力をいまだに維持しており、2日にもタリバンの自爆攻撃で23人が死亡したばかり。
キャメロン首相が、こうしたイスラム武装勢力への対策を積極的に行っているのは、それがイギリス本土を守ることになるからだと説明している。
1日午後1時過ぎ(日本時間午後8時過ぎ)、トルコの首都アンカラにあるアメリカ大使館前で、自爆テロが発生した。この爆発で犯人と、大使館のトルコ人スタッフの1名が死亡。複数が負傷している。
一時アルカイダ系の犯行かとも懸念されたが、犯人は極左(極端な社会主義者でレーニン派などとよばれる)で、アメリカに協力するトルコ政府に反発するグループに属する者だった。ちょうどこの日、シリアとトルコ国境の迎撃ミサイルシステムを操作するアメリカ軍兵士400人がトルコ入りしたところだった。
トルコは、シリアの内戦に関して明確に反政府勢力側を支援しており、西側と歩調を合わせる形になっている。そうしたトルコ政府に反発し、昨年から今回の極左グループの他、クルド人勢力やイスラム主義勢力によるテロ事件が頻発していた。
昨年から中東でアメリカ大使館がねらわれるのは、エジプト、チュニジア、リビア(ベンガジで大使を含む3人死亡)に続く4国目。イギリス政府は、イギリス人に対し、アメリカ大使館に近寄らないよう警告しているという。
混乱続くエジプトだが、昨日金曜、ムルシ大統領官邸周辺に約6000人が終結し、「出て行け!」などと叫びながら、デモ隊の一部が大統領官邸に火焔瓶を投げつけるなどの暴力行為に及んだ。
この日の前日、大統領支持派と、反ムルシ派の指導者がはじめて顔合わせし、「双方とも暴力には訴えない」ということで同意したという情報がある。このことについて、反ムルシ派の中で対立が発生した可能性もある。
カイロのタハリル広場では再び反ムルシ派の大群衆が終結している。BBCによると、タハリル広場の治安が悪化しており、女性に対する性的な犯罪も増加しているという。
最も懸念されるのは、ムルシ大統領支持派と反ムルシ派の直接衝突である。先週、エジプト軍最高司令官が、「このまま混乱が続くなら、再び国が転覆するだろう。」との見通しを語っている。
30日未明、シリアからレバノンのヒズボラへ、ロシア製地対空ミサイルなどを輸送中だった車両をイスラエルが空爆したとみられる問題について。
1日たった今日になりイランが、「テルアビブが深刻な事態になる」と報復攻撃を示唆。シリアも「サプライズ報復の準備がある。」と言っている。
エルサレム市内の様子は特にかわりないが、テレビのニュースでは、全国的に新しいガスマスクの配布が行われ、市民たちが受領している様子が報じられていた。
具体的にどのような攻撃がいつどこであるのかは全く不明だが、イスラエルだけでなく、海外のイスラエル大使館などが狙われる可能性も懸念されている。
特にインドのニューデリーでは、イラン人テロリストによるイスラエル外交関係者へのテロ事件からちょうど1年が近づいているため(2月13日)、すぐにイスラエル大使館周辺の警戒態勢に入ったという。
<国連:攻撃されたのはシリアからヒズボラへの武器輸送車両隊>
シリアは、攻撃されたのは武器輸送車両ではなく、シリアの軍事科学研究センターだったと主張。イスラエルが西側諸国と策略してシリアの反政府ゲリラを助けるために軍事介入したとして、国際法違反だと国連に訴えていた。
しかしBBCは31日、国連の情報として、「攻撃されたのは武器輸送中の車両」だったと伝えた。アメリカもシリア政府に対し、「武器をレバノン(ヒズボラ)に移動させないように」と釘をさした。
アメリカの情報筋によると、今回の攻撃についてアメリカはイスラエルより事前連絡を受けていたという。これについてはイスラエルもアメリカもコメントを出していない。
<なぜ高いリスクを負ってでも攻撃したのか>
今回、もしイスラエルが本当に、シリア領内で攻撃していたとしたら、大変なリスクを承知の上で攻撃したことになる。専門家は、それほどシリアからヒズボラへの武器移送事情、または化学兵器事情が深刻だったということだと語る。
イスラエルが他国領内での攻撃を行うのはこれで2回目。昨年、スーダンからガザへ武器を供給しているとみられるスーダンの武器工場をイスラエルが攻撃したといわれている。(この時もイスラエルはノーコメントを通した)
この時、スーダンはイスラエルへの報復を叫んだが、実際に報復されたという報告はない。
今回も、危険な武器がヒズボラの手に渡ってから戦うよりも、たとえ国際的なリスクを負ってでも、国土からできるだけ遠いところで処分するという、イスラエルの防衛の原則を発揮したものと思われる。
29日夜から、レバノン領内に12機のイスラエルの戦闘機が侵入したとの情報があったが、翌30日早朝、イスラエル空軍がシリアからレバノンのヒズボラに向かったとみられる武器輸送トラックの一団を、シリア領内で、空爆したとアメリカ情報筋などが伝えた。
トラックの一団が運んでいたのは、ロシア製最新の地対空ミサイルSA-17。もしこれがヒズボラの手に渡れば、イスラエルの戦闘機を撃ち落とす能力を備える事になり、イスラエルとヒズボラの軍事力の関係が逆転する可能性があった。
<空爆したのはダマスカス近郊の化学兵器工場?>
ところが、30日夜になり、シリア政府がイスラエルが攻撃したのは、武器輸送のトラックではなく、ダマスカス北西のジャマラヤにある科学研究センターだったと発表。攻撃は30日01:30。建物が破壊され、2人死亡、負傷者5人と伝えた。
ジャマラヤはヘルモン山のすぐ近くで、確かに化学兵器が保管されているとみられる地域である。シリアの発表によると、イスラエルの戦闘機がヘルモン山の方角からレーダー網をかいくぐってシリアへ侵入、空爆後、同じ経路で帰っていったという。
イスラエルが、シリアの化学兵器がヒズボラに引き渡されようとするのを空爆で阻止した可能性もある。
この一連のことについて、イスラエルからの正式な発表はない。
<シリア・ヒズボラからイスラエルへの反撃はあるか?>
今回の攻撃はシリア政府に対して、「イスラエルは、ヒズボラに化学兵器を含む武器を引き渡すことは断じて容認しない」との明確なメッセージとなった。シリアもイスラエルと争う余裕はないと思われるので、反撃の可能性は低いとも分析されている。
しかし、これに先立ち、イランが「シリアへのいかなる攻撃もイランに対する攻撃とみなして、反撃する。」と言っており、油断はできない。
イスラエルもハイファ近郊にアイアンドーム(迎撃ミサイル)2基を配備したところで、イランのバックアップを受けるヒズボラの反撃に備えたとも受け取れる。