全国で市長・市議会議員選挙 2013.10.22

イスラエルでは今日22日、全国的に市長並びに市議会議員選挙が行われる。最も注目されるのはエルサレム市。

エルサレム市長候補は、現職ニール・バルカット市長、リクード・ベイテイヌ党のモシェ・レオン氏、ユダヤ教系(正統派ではない)のハイム・エプスタイン氏の3人。

現在、エルサレム市の人口は88万4723人、うち有権者は57万6406人。東エルサレムのアラブ人にも投票権がある。エルサレムでは、市内181個所、東エルサレムには121個所に投票所が設けられ、朝7時から夜10時までの投票を受け付けて、即日開票となる。

選挙運動は、日本のような街頭演説はなく、ポスター(写真)が貼られたり、ちらしが郵便受けに入っていたり、記者の住む地域では、シナゴグにバルカット氏が来て、公聴説明会が行われたりした(写真)。その他、ボランティアの若者たちが、町中でバナーを掲げてチラシを配ったりしていた。

<エルサレム市・見通し>

エルサレムでは、現職バルカット氏が優勢である。バルカット氏は、エルサレム生まれのエルサレム育ち。スタートアップ(企業)で成功し、すでにミリオネア。現在、給料なしでエルサレム市長を務める。

敏腕ビジネスマンとして、エルサレム市の国際的な特徴を生かした町おこしを次々に行い、以前より町は活気づいている・・とはだれもが認めるところだ。しかし、住民からは、交通渋滞の解消や、町の清掃に課題があるとの要求も出ている。

エルサレムでは、ユダヤ教正統派の票がどこへ流れるかが今後の市政に大きく影響する。人数が多いからである。ユダヤ教正統派の中には、世俗派ビジネスマンのバルカット氏を快く思っていない者が多い。そのため、バルカット氏が圧勝できず、自由に市政を導けなくなる可能性も残る。

ところで、バルカット氏の対抗馬の1人、ハイム・エプスタイン氏は、ユダヤ教徒で、ユダヤ教系の政党の所属だが、正統派ユダヤ教徒ではない。そのため、同じユダヤ教でも正統派たちは、エプスタイン氏を支持していない。

エプスタイン氏は、なんとか東エルサレムのアラブ人の票を獲得しようと、「今後も神殿の丘でユダヤ人が祈らないようにする。」と公約し、問題となっている。

<ナザレ市長選挙>

ナザレの市長選挙も注目されている。ナザレでは、キリスト教徒のラミズ・ジャライシ氏が過去4回当選し、20年以上にわたって市長の座を独占している。

ナザレは、イスラエル国内のアラブ人都市としては最大。イエス・キリストの受胎告知や、少年イエスが育った町として観光資源にも恵まれている。にもかかわらず、町はいっこうに発展せず、治安も悪く、交通網は乱雑で危なく、市民が楽しむような娯楽施設もない。

観光客は大勢やってくるが、受胎告知教会などを見て数時間すごしただけで、ナザレに宿泊する観光客はほとんどいない。結果、ナザレの町は貧しいままである。

そういうわけで、経済的に裕福なキリスト教徒たちは、町を離れるようになった。かつてキリスト教徒の町だったナザレが、今ではキリスト教徒は全体の30%にまで減ってしまった。キリストの故郷、ナザレは現代においては、貧しいイスラムの町である。

ナザレの場合、イスラムの迫害でキリスト教徒が町を出たのではなく、経済的政治的理由でクリスチャン人口が減ったということである。

こうした状況に、ナザレ市民は新しい変化を求めるようになっている。今回の選挙で、今のジャライシ市長が続投するのか?

もしくは、反イスラエル活動で常にひんしゅくをかっている現職女性アラブ人国会議員ゾアビ氏(イスラム教徒)など3人の対抗馬のうちのだれかが選出されるのか、注目されるところである。

イスラエル銀行に初の女性総裁 2013.10.22

日本で言えば日銀にあたるイスラエル銀行。世界的不況の中でイスラエル経済を良好に保った前総裁スタンレー・フィッシャー氏がこの6月に辞任してから、今にいたるまで、まだ後任が決まっていなかった。

理由は、長年フィッシャー氏の元で副総裁を務め、次期総裁と目されていたカルニット・フラッグ氏(58)が女性だったからである。ネタニヤフ首相とラピード経済相は、これまでにフラッグ氏以外のいろいろな人を指名してきたが、次々に辞退された。

その間、結局フラッグ氏が暫定総裁をつとめ、最終的には結局、同氏が総裁に決まったというわけである。フィッシャー前総裁は、フラッグ氏は才能もあり最適人材が選ばれたと評価した。

イスラエルでは、現在、法務大臣も女性。イスラエルの法律と経済。しきっているのは女性たちである。

イランは信用できるのか?:ジュネーブ交渉 2013.10.17

イランとP+1(アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、中国、ロシア)は、15-16日、ジュネーブで直接対話を行った。詳しい内容や合意事項などは発表されていないが、来月7-8日、再度集まって話し合うこととなった。

ところで、イランの核問題をまとめると次のようになる。

イランは、ウランの濃縮を平和利用として継続すると主張し続けている。しかし、イランのウランの濃縮は、平和利用だけとは説明しにくい部分があり、核兵器を目指しているのではないかという容疑がぬぐえない。しかし、まだ核兵器に至りつつあるとも断定できないというややこしい段階にある。

従って、現時点ではイランの「核兵器はつくらない。」という言葉を信用しない限り、イランの核兵器保有を阻止する確実な方法は、イランがいっさいウランの濃縮を停止し、かつ、今すでに保有している20%ウランをイランの外へ出すしか道はない。

世界はイランを信用できない。したがって、イランに対し、「すべてのウラン濃縮と現存する高濃度ウランをイランの外へ出すこと」を要求して、厳しい経済制裁を課してきたのである。

ところがこの度、イランでは新しい”穏健”派と目されるロハニ大統領が登場し、ウランの濃縮活動を継続したままで経済制裁を緩和してもらおうとしているのである。これを信用するにかしないのか・・まずはここからが話し合いの焦点である。

世界はイランのロハニ大統領とザリフ外相の態度が軟化しているのをみて、経済制裁緩和へと傾き始めている。しかし、甘い顔や言葉であっても、結局イランの主張は、基本的には前と変わらず、「イランはウランの濃縮を継続する。」なのである。

<イスラエルの主張>

イスラエルのネタニヤフ首相は今のイランは「羊の皮をかぶった狼。」だといい、「世界はだまされてはいけない。制裁を緩和してはならない。」と警告している。

来週、ネタニヤフ首相はバチカンのフランシス法皇に会うことになっている。そこでケリー国務長官にも会って、再度イランに関する警告することになっている。

イスラエルでは、ジュネーブでの交渉と平行して、戦闘機の空中空輸など、空軍の特別訓練も行ってイランを牽制する動きを明確にしている。

<イラン人スパイが危ない!?>

ワシントンポストの記者ダビッド・イギナシアスによると、エルドアン首相が、イラン人でイスラエルのためにスパイ活動をしているとみられるエージェント10人の情報をイランに昨年、流していたことがわかった。

イラン人スパイがイスラエルと接触したのがトルコであるため、エルドアン首相が情報を握っていたと見られる。情報を流した目的は、イスラエルへの敵意からだったとみられる。

*イランの公開絞首刑について

イランでは、上記のようなスパイはもちろん、麻薬関係やゲイなどでも公開絞首刑にされる。人権保護団体アムネスティによると、イランでは2012年中に、少なくとも314人が処刑されたという。

イギリスの大手新聞によると、その公開絞首刑で12分つり下げられた後、医師から死亡を確認されて遺体安置所に入れられた男性(37)が、実はまだ生きていたことが発見された。

男性の家族が処刑の翌日に遺体安置所に行ったところ、男性がまだ呼吸しており、生きていることがわかったという。男性はすぐ病院に収容され、治療を受けているが、回復すると同時に公開処刑のやりなおしということになっている。

世界人権保護団体は、男性の2回目の公開処刑をやめるようイランに要請している。また、イランでは公開絞首刑に子どもたちも大勢見物に来ている。人権保護団体は、その見直しもするよう、イランに要請している。

アメリカの破算、とりあえず延期へ 2013.10.17

アメリカの借金が上限に達し、もし10月17日までに、借金の上限を上げて新たな借金をできる状態をつくらなければ、アメリカ政府は支払いができなくなり、不渡りをだして破算という危機にあった。

アメリカの議会はこの期限の数時間前まで、紛糾していたが、期限が切れる数時間前に、オバマ政権の予算案に合意し、なんとか借金の上限を上げることができるようになり、破算はとりあえず乗り切ることとなった。

これを受けて、2週間以上業務を停止していた政府関係省庁も業務を再開する見通しとなった。

ただし、これは完全な解決ではなく、来年2月7日までとなっている。したがってそのころには再び今回のようなどたばた劇に陥ることになる。

インドのサイクロン:日本の台風 2013.10.17

先日、超大型のサイクロンがインドを直撃と、お伝えしたが、80万人が避難して、死者は17人だった。建物の被害は甚大で、家を失った人も多数。

しかし、14年前に同レベルのサイクロンが来たときの死者は1万人だったため、政府の避難誘導が評価されている。

<記録的な日本への台風の数>

日本でも、台風26号の被害は死者22人、行方不明27人で、捜索活動が難航している。この台風はBBCでも報じられていた。

しかし、来週さらに強い台風27号が、日本に上陸する可能性があると予測されている。今年9月以降に日本を襲った台風は8個となり、記録が残っている1951年以降では、1966年の9個以来だという。

*伊豆大島で行方不明の方の早期の発見のために、犠牲となられた方々のご家族、また家をなくされた方々を覚えて、また福島第一原発で台風被害への対処にあたっておられる方々のためにお祈り致します。

あくなきガザの挑戦:イスラエルに通じる地下トンネル 2013.10.14

先週、ガザからイスラエル領内のキブツ・エン・ハシロシャ付近(300mイスラエル内部)につながる本格的な地下トンネルが発見された。トンネルは、ガザとイスラエルを隔てる防護フェンスの下、深さ20mの地点を通って1.7Kmもあった。

トンネルは縦1.8mで、大人が立って歩けるほどある。内部はコンクリートでおおってあり、かなり本格的。イスラエル軍によると、トンネルの目的は、物資搬入ではなく、イスラエル兵の誘拐などテロ目的だとみられている。

イスラエル軍は、ブルドーザーなどでトンネルを破壊中。またセメントなど建築資材のガザへの搬入を停止した。

<ガザとイスラエルの間の現状>

ガザへの生活物資はこれまで、主にはガザとエジプト間のトンネルから搬入されていた。ところが、エジプト暫定政権がガザのハマスの母体ムスリム同胞団の鎮圧政策の一環として、ガザにつながるトンネルの大部分を破壊してしまった。

そのため、イスラエルからガザへの物資搬入量が増えていた。9月だけで、トラック5549台、15万トン以上もの物資が搬入されている。*イスラエルからガザへの無料のチャリティではなく、国連関係団体やビジネスの物資であるとに注意

ガザに出入りする記者によると、ガザの物資は十分であり、人々はちゃんと食べているという。したがってガザとイスラエルの間のトンネルは、テロ目的、またはイスラエルへの侵入が目的としか考えられない。

<あくなきガザの挑戦:トンネル発覚>

トンネルは、今回急に発覚したのではない。今年1月、ガザとイスラエルの国境付近で、雨水によって地下トンネルが崩壊し、ガザとイスラエルとの間にトンネル網が存在していることがわかった。

以来、イスラエル軍が、綿密に調査し続け、今回のトンネル発覚となった。

<ハマスの反応>

ハマスのスポークスマンは、「問題はトンネルではない。人々の心(ガザの閉鎖を続けているイスラエルへの憎しみ)だ。この心がある限り、トンネルはいくらでも掘られる。」と語った。

イランと国際社会が直接交渉:15-16日 2013.10.14

15-16日、ジュネーブにてイランと6カ国(アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシア、ドイツ)がイランの核問題について話し合う。先月、オバマ大統領とイランのロハニ大統領が30年以上ぶりに電話で対談して以来の進展である。

今回はイランからの提案によるる直接交渉再開である。イランは、「核開発をすべて停止することはできないが、国際社会の要請に応じて、開発活動を減少させる用意がある。」と言っている。

これは、イランの実権を握ると言われるハメネイ師の考えでもあるとイランは伝えている。

もしこの交渉が成立すれば、イランとイスラエル、さらにはアメリカをも巻き込む戦争への懸念がなくなるため、国際社会の期待感が高まっている。

<交渉の焦点>

核兵器製造への準備度は、20%に濃縮されたウランがどのぐらいあるかで予測することができる。20%ウランが核兵器に必要な量に達すると、そこから核兵器を製造するのにはさほど時間はかからない。

したがってイランが保有する20%ウランが、一定量以下でとどまるならば、核兵器への心配がなくなる。

IAEA(国際原子力機関)によると、イランは20%ウランをすでに200Kg保有している。これは核兵器に近いが、まだ若干足りない量だという。

6カ国は、イランが核兵器を製造しないことを確かにするため、この20%ウランの一部をイランの外へ出して監視することをイランに要求している。

しかしYネットによると、ウランは20%以下の低濃縮であっても核兵器と無関係ではなく、むしろ20%ウランより、複雑に核兵器に関係すると警告している。

ネタニヤフ首相はかねてより、イランの核開発はすべて停止させるべきだと訴えている。

<イスラエルでも論議>

イランの態度の変化を信頼するのか、しないのか。国際社会の流れに逆らってもいいのか・・? イランの態度の変化は、イスラエルでも論議になっている。

イラン在住のユダヤ人たちは、ネタニヤフ首相に対し、「イランは柔軟になっている。このチャンスを逃さないでほしい。」と訴えている。

シリアのOPCWが一時停戦を要求 2013.10.14

シリアでは13日、国際赤十字のスタッフ7人が何者かに誘拐された。14日になって7人は無事戻されたが、シリア内部はやはり戦争地帯である。

先週には、アラウィー派(アサド大統領側)の200人近くの村で全員虐殺されているのが発見された。さらに昨日はダマスカス市内で2件の自爆テロが発生している。

シリアで化学兵器の処理にあたっているOPCW(化学兵器禁止機構)は、危険すぎて入れない地域があるため、一時的停戦を要求している。しかし、反政府勢力は化学兵器のみに対処して安堵している国際社会の動きに反発しており、停戦に協力する気配はない。

反政府勢力にはいまや、アルカイダを中心に様々なサラフィストのグループが入り込んでいるが、国際社会は、この中でも穏健で”まともな”といえるシリア人の代表として自由シリア軍を連絡先としてつながりを維持している。

しかし、その頼りの綱である自由シリア軍の代表が今日、「ジュネーブのシリア和平会議がすすめられても出席しない。」との意向を発表した。シリア問題、まだまだ解決は見えてこない。

パキスタンの教会その後 2013,10.14

礼拝中に2つの自爆テロで80人以上の死者を出したパキスタンのキリスト教会。非常な恐れに包まれたが、日曜には変わらず礼拝が行われている。

BBCによると、この日曜には、イスラム教徒を含む多くのパキスタン市民が人間の輪をつくってとりかこみ、教会での礼拝を保護したという。

地中海で死に急ぐ難民 2013.10.12

シリアを筆頭に、ソマリア、エリトリアなどアフリカ諸国から地中海をわたってヨーロッパへ逃れようとする難民の舟が続出。地中海で次々に転覆し、数百人単位で死亡している。

11日(金)、イタリア沖のマルタ島付近で、難民を満載した舟が転覆。マルタから救出に向かったが、少なくとも50人が死亡した。同じマルタ沖では、先週も同じように難民(アフリカのソマリアとエリトリア人)の舟が沈没し、500人中、300人が死亡したばかり。

同じ11日(金)、イタリアのシシリー島近くでも難民船が拿捕され、500人以上の難民が救出された。同じく11日、アフリカ大陸を出発したばかりとみられる難民船が、エジプト沖で転覆。116人が救出されている。

こうした難民船は、相当おんぼろである上に、定員をはるかに超えて難民を満載している。近くを通る舟やヘリコプターをみると、難民らがいっせいに同じ方向に身を乗り出して助けを求めるため転覆するとみられる。

<難民はどこから来るのか>

難民は、シリア人の他、ソマリアやエリトリアなど祖国にいると死ぬしかない人々の他、アフリカからは貧困から逃れてくる難民もいる。女性や小さな子どもも多数いる。

BBCの調べによると、シリア人たちは1人1000ドルから2000ドルを斡旋業者にとられて、エジプトから舟に乗るという。助かっても多くは愛する家族を失っている。だれもこれほど危険な船旅になるとは思わなかったと助かった難民たちは言う。

EUヨーロッパ諸国は、難民受け入れに関するルールを設けている。簡単に難民を受け入れるわけにいかないため、どうしても救出が遅れるのである。死者が続出しているのを受けて、ルールの見直しが呼びかけられている。

しかし、ヨーロッパには元々ネオナチという反移民主義があるので、難民を受け入れるようになれば暴力の嵐になりかねない。社会的経済的にも難民を受け入れることはたやすいことではない。

この難民問題、中東アフリカだけではない。アジアでも、レバノンやイラクからの難民がインドネシアやオーストラリアに向かっていて難民船が転覆し、数十人からの死者を出している。

難民は、世界中で増える一方である。国際社会は今、大きなチャレンジを迎えているといえる。

<イスラエルに関して>

シリアはイスラエルの隣だが、シリア難民たちは、これほど命がけの船旅を選んでもイスラエルへ来ようとはしない。イスラエルが敵国として嫌われているともいえるが、イスラエル軍が、国境をがっちり守っているからである。

アフリカからの難民はイスラエルにも来ていたが、イスラエルは、南部国境に壁をつくって、がっちり入らないようにした。しかし、壁ができるまでに来たアフリカ難民が、南テルアビブに流れ、その地域が犯罪の巣窟となっている。

しかし、こうしたアフリカ難民の多くはクリスチャンである。南テルアビブでは、カリスマ派から伝統派まで様々なキリスト教の礼拝が毎週行われている。

先週、イタリア沖で300人が死亡したが、多くがエリトリア人だった。南テルアビブのエリトリア人たちは集まって追悼の集会を行い、祈りを捧げた。

今夜、インドで超巨大サイクロン 2013.10.12

今夜、インドに巨大なサイクロンが上陸する。その強さは、1990年に1万人以上が犠牲となった巨大サイクロンと同じぐらいだ予測されている。しかし場合によってはそれ以上の風速315Km/hになる可能性もあるという。

インドでは、海岸沿いの住民を中心に40万人が避難している。