ブルガリア・テロ犠牲者帰国 2012.7.20

18日夜に発生したブルガリアの空港でのテロ犠牲者は、最終的に6人(イスラエル人5人とブルガリア人運転手1人)と発表された。7人目の遺体は自爆テロの犯人。

19日午後、負傷者32人が、まずイスラエル軍の特別機で帰国して病院へ。続いて夜に重傷者3人。5人の遺体は夜中過ぎに、それぞれ別の特別軍用機で帰国した。葬儀は20日に行われる。犠牲者は以下の通り。

ペタハティクバのイツィク・コレンギさん(28)、アミール・メナシェさん(28)、アッコのマオル・ハルシュさん(25)、エリオール・プリシュさん(26)、リション・レツィオンのコハバ・シュリキさん(44)

コハバ・シュリキさんは、長年の人工妊娠治療でやっと妊娠。夫とともにブルガリアへ出発直前、空港から電話で友人たちに喜びの報告をしていた。一緒にいた夫のイツィクさんは自らも負傷。「ちぎれた足があちこちに飛んでいた」とショックさめやらぬ様子でメディアに語っていた。妻の死を知らされ「妻にゆっくりしてもらいたかった。それがこんな結果になってしまった」語ったという。

<犯人は?イスラエルは報復するか?>
今回自爆したとみられる犯人は、一時、スエーデン人のイスラム主義者メディ・ゲザリと発表された。しかし、これについてスウェーデン政府がその存在を否定。また他にも別の名でのIDを所持していたことがわかり、正式な身元はまだ発表されていない。

ブルガリアでは、今年1月にも、イスラエル人をねらったとみられるイラン系テロリストが逮捕されている。今回、ネタニヤフ首相は、テロ勃発後まもなくから「犯人はイランの指示を受けたヒズボラだ」と名指しで非難。なんらかの報復をすると明言しており、今、世界は、イスラエルの動きに注目している。

なお、イランは関与を否定している。

シリア:ダマスカス中心部、国境付近でも戦闘 2012.7.20

シリアでは、昨日、国防相ら高官3人が反体制派の攻撃で死亡。激しい戦闘がいよいよダマスカスの中心部に発展している。ダマスカス全体が戦闘地域になっているため、一般住民は逃げる場所を失っているという。
戦闘は国境でも行われており、イラクとの国境を反体制派が制覇しているとイラクが伝えている。トルコとの国境でも戦闘が行われており、トルコ国境も一部制覇したと伝えられた。イスラエルとの国境、ゴラン高原は無事。

アサド大統領は、政府軍の戦闘の様子と、新しい国防相の就任式をテレビで放送し、健在ぶりをアピール。しかし実際はすでにダマスカスを離れてシリア内の別の町にいる可能性を指摘するメディアもある。

<国連安保理、決裂>
シリアに対する厳しい制裁(軍事介入も含む)を西欧諸国が提案、19日採択が行われた。しかし、ロシアと中国が再び拒否権を発動し、否決となった。

問題は、20日に期限切れとなる国連のシリア監視団(300人)。ロシアは、シリアへの制裁なしで監視団の期限だけを45日延長するという独自の提案を提出、採択を求めたが却下された。

現在、監視団をどうするかの議論が行われているが、本日20日までに延長が決まらなければ、監視団は撤退となる。

中国のアフリカ進出

中国が昨日、200億ドル(前回の2倍)のアフリカへの借款を決定したと発表した。近年中国はアフリカの資源を目的に資金援助を続けており、2009年の時点で、アフリカの最大の経済パートナーは中国となった。新しい形の植民化だとの批判もあがっている。

(緊急速報)自爆テロでイスラエル人7人死亡:ブルガリア 2012.7.19

18日18:30(日本時間19日0:30)ごろ、ブルガリヤの空港で、移動用バスが爆破され、乗っていたイスラエル人7人が死亡。20人以上が負傷、うち3人が重傷。現在、空港は閉鎖されている。

バスに乗っていたのはイスラエルから到着したばかりのツアーグループ40人で、明らかにイスラエル人をねらったテロ。自爆テロという報告の他、バスに仕掛けられていた爆弾という報告もある。いずれにしてもかなり大きな爆発だったもよう。イスラエルからは緊急対策チームがブルガリヤに向かっている。

現在、ブルガリア在住のユダヤ人に警戒が呼びかけられている。イスラエルのベン・グリオン空港では、ブルガリア、クロアチア、セルビア、ギリシャ、南アフリカ、タイ、トルコ、アゼルバイジャンへの出発便を停止している。

<イランの責任:ネタニヤフ首相>

最近、キプロスなど複数の国でイスラエル人をターゲットにしていたとみられるテロリストが逮捕されいる。その多くにイランが関わっていることから、ネタニヤフ首相は今回のテロは「イランの責任」だと非難声明を出した。

<海外にいるイスラエル人に警告>
毎年のことであるが、この時期、大勢のイスラエル人が海外に旅行に出ている。今年は例年よりイスラエル人をねらったテロの可能性が高いとみられている。今朝は、ロンドンオリンピックにあわせて、ロンドンにいるユダヤ人コミュニティに警戒態勢をとるよう、支持が出されたところである。

アサド政権崩壊近し!?イスラエル巻き添えの可能性 2012.7.19

シリアで、副国防相でアサド大統領の義の兄はじめ、国防相、内務省などの高官3人が自爆テロで死亡した。要塞のようなところにいる3人が死亡したことで、シリア情勢が急激に動き始めている模様。この状況を受けてアサド政権は、これまで以上に反政府軍や市民を攻撃している。

<イスラエルの懸念>
追いつめられたアサド大統領が、化学兵器や高性能ミサイルをレバノンのヒズボラに委譲する可能性がある。さらにシリア政府が南部地域のコントロールを失い、他のイスラム勢力によってゴラン高原への攻撃もあり得る。さらに、メディアの目をそらすために、イスラエルを攻撃してくる可能性もある。

現在、バラク国防相は、ネタニヤフ首相と対策にあたっている。

シリア:戦闘はダマスカス市内へ 2012.7.18

シリアの反政府勢力が、大統領府のあるダマスカス市内での戦闘に入っている。政府軍は戦車やヘリコプターなどで応戦しており、本格的な戦争状態である。市民たちは続々とヨルダンなどに避難中。

反政府勢力は「アサド政権打倒までは時間の問題だ」と伝えてきたが、夜になりアサド政権側はそれを否定する声明を出した。

<化学兵器への懸念>
イスラエル軍諜報部の情報によると、アサド政権は、イスラエルとの国境ゴラン高原に駐留していた部隊をもダマスカスに向かわせ、かなり追いつめられた様子。今懸念されるのは、アサド大統領が化学兵器を使うのではないかということである。

先に離反したシリアの元駐イラク大使ファレス氏は、アサド氏が化学兵器を使用する可能性が高い(もしかしたらもう使ったかも知れない)と語っている。ファレス氏は、アサド政権にはアルカイダがついているとも証言している。

<ポスト・アサドをめぐって>
ここへ来て、シリアのムスリム同胞団が登場し、全シリア市民は戦闘に参加すべきとの呼びかけを行っている。ヒズボラやイランが、ポスト・アサドの準備を始めているという報告もある。

<国際社会>
国連安保理は、20日までに、シリア対策についての採択を行う。西欧と足並みをそれえないロシアには、シリア問題特使のアナン氏、中国には国連総長のバン氏が最終交渉を行っている。アナン氏の記者会見では、ロシアの譲歩は得られていない模様。


■石のひとりごと「ネルソン・マンデラ」
昨日、ネルソン・マンデラが、元南アフリカ大統領が、94才の誕生日を迎えた。27年も白人からの差別と投獄を受けながら、大統領になると、「今は復讐するときでない。共に国を建て上げる時である」と白人を赦し、和解する道を国民に実践してみせた。彼によって人種差別の南アフリカは大きく変えられたのである。

シリア、イラク、アフガニスタンなどの国も、今は勢力争いをするときではない。まずは国を建て上げるというビジョンをもって和解してくれたらと心から願わされる。

マンデラ氏の実話の映画「インビクタス」必見。*ネルソン・マンデラ氏は、メソジスト

正統派に軍配-徴兵制(タル法) 2012.7.18

8月1日に期限がせまったタル法。正統派も一般市民と同様に徴兵を義務づけるかどうかについて、ネタニヤフ首相は、連立政権の有力政党カディマのモファズ党首と論議を繰り返し行っていた。

しかし、本日、首相が最終的に正統派に憂慮した方針を選択、”歴史的改革”を回避することが明らかになったため、モファズ党首が、カディマの連立政権離脱を発表するに至った。

<ネタニヤフ首相の妥協案>
モファズ氏は、プレスナー委員会の提案「正統派神学校学生の80%には、一般市民と同様に18才で徴兵の義務を課す。拒否するものにはペナルティあり」を支持していた。これに対し、ネタニヤフ首相が提示したのは、「18-23才までの間に50%の学生は兵役につく。残りの50%は23-26才までの間に警察や刑務所などでの社会奉仕をする」というもの。

変革は徐々に行わなければならないというのが首相の考えである。モファズ氏は「首相は、みみっちいことはやめて大胆に先へ進むことを望む」と述べた。

<解散・総選挙になるか?>
カディマが党として政権から離脱しても、カディマ議員すべてが離脱するかどうかはまだ不明である。現時点では、たとえカディマが離脱しても、ネタニヤフ首相は、まだ過半数を維持できる。野党からは早期に解散、総選挙をとの声があがっているが、もしそうなっても早くても来年になる見通し。

リビア第一回議会選挙:ムスリム同胞団敗北

リビアで、カダフィ大佐失脚後はじめての自由議会選挙。200議席中、80席を決める第一回選挙では、優勢と言われていたムスリム同胞団が17席で敗北し、リベラル(世俗)のジブリル首相の党が30席を獲得して、優勢となった。

次に一般候補者から120議席の選挙が行われ、最終的なリビア議会の「色」が決まっていくことになる。

シリア:ダマスカス郊外にも戦火 2012.7.17

先週、政府軍が本格的な武器による攻撃を行って200人以上の死者が出たシリア。今朝から首都ダマスカス郊外でも戦火が上がっている。反政府軍らは、NATOによる軍事介入を求めている模様。

赤十字国際委員会(ICRC)は本日、シリアの状況を「内戦」と認め、ジュネーブ協定に基づいて、当事者たちは「戦犯」として裁かれることになると示唆した。

<停戦監視団期限は20日:安保理はどう決断するのか>
シリア国連停戦監視団は、現在、先週のタラムセ村虐殺現場に入り、調査を行っているが、シリア政府軍が本格的な武器で町を攻撃したことは明らかだと報告している。

この監視団の期限は7月20日。国連安保理はそれまでに、シリア問題についてどうするのかを決断しなければならない。シリア問題特使のアナン氏は現在、モスクワ入りし、これまで安保理で常に拒否権を発動してきたロシアとの交渉を行っている。

<混迷深まるシリア国内とロシア>
ロシアがここまできてもまだ国際社会と足並みをそろえないのは、シリアが化学兵器などの大量破壊兵器を使用する可能性があること、アサド政権を追放した場合、その後に出てくる者がさらに危険な者になる可能性が高いこと、またそれによってロシアは中東への足がかりを失うなどが上げられている。

深まる社会問題で焼身自殺未遂 2012.7.17

テルアビブで、社会の矛盾、不公平なシステムに抗議する大規模な市民デモが始まってからちょうど1年になる。15日には、テルアビブで、1万人が集結し、政府に「貧しい者から搾取し、金持ちだけが栄える仕組みを是正せよ」といったデモ集会を行った。エルサレム、ハイファでも同様のデモが行われた。

テルアビブでは、デモ隊が抗議の声を上げる中、モシェ・シルマンさん(57)が、国と、ネタニヤフ首相、シュテイニッツ経済相に、社会構造の問題を問う手紙を読み上げた後、ガソリンをかぶり、自ら火をつけて焼身自殺をはかった。周囲の人々があわてて火を消し止めたものの全身90%の火傷で重傷となっている。

<生活を保護できない生活保護制度>
シルマンさんはハイファ在住。父はホロコースト経験者である。予備役兵として46才まで従軍し、その後も時々徴兵されていたという。小さな運送業をしていたが、引っ越しを機に税金の請求書が届かなくなり、気がついた時には支払額が高額になっていた。

この額を全額支払うことができなかったため、国は会社のトラックを没収。最終的には自宅もさしおさえられた。このころシルマンさんは、脳梗塞を煩い、働けなくなった。しかし障害は軽いと判断され、障害者手当を受けることはできなかった。公営住宅を申し込んだが、これも聞き入れられなかった。

最終的に受け取れた年金は、1ヶ月たったの2400シェケル(約5万円)。これでは家賃はおろか、食事もままならない額である。妹に助けられながら、知り合いにワンルームの部屋をなんとか無料で借りていたが、そこからも来週には出ることになっており、ホームレスになる寸前だった。

シルマンさんのケースは、昨年から市民デモが訴えてきたことの集積のようなものであると言われる。(生活できない生活保護などの矛盾)お金のない人はどこまでも搾取され、金持ちは景気回復の名の元に常に利益を得るシステムだという。

こうした背景の中で、正統派が従軍しない、働かないのに、社会保障だけは受け取っていることもクローズアップされていいる。イスラエルの社会は、建国60年を過ぎた今、価値観が急速に変化している。システムがその変化についていけていないようである。ネタニヤフ首相の荷は大きい。

ロンドン・オリンピックのテロ対策 2012.7.13

27日から始まるロンドン・オリンピック。世界的にイスラム勢力が台頭する中、オリンピックで国際テロが発生するのではないかと懸念されている。イギリス政府は、昨日、治安のための兵力7500人に、さらに3500人を加えると発表した。

また、オリンピック会場上空を侵入禁止空域とし、1ヶ月間、空軍が監視することになっている。

なお、イスラム教徒は今月中旬よりラマダン(1ヶ月間、日がのぼっている間は断食する)に入る。ラマダンが、テロへの抑制となるか、イスラム意識の高まりとともに、逆に危険となるのか、とりなしが必要である。

シリアが化学兵器を動かし始めた!? 2012.7.13

12日、シリアではたった一日の政府軍による攻撃で、市民ら200人以上が死亡したことがわかった。またこれとは別に、アメリカからの情報では、シリアが、サリン神経ガスなどの化学兵器を倉庫から動かしはじめているという。

化学兵器を反政府勢力に対して使用するつもりなのか、反政府勢力に奪われないように安全なところに移そうとしているのかどうかは不明。シリアは世界でも最大の大量破壊兵器保有国と言われ、これまでからも、国際社会から、管理責任を問われてきたところである。

<シリアのイラク大使がシリアから離反>
シリア外交官のトップとも言えるイラクへのシリア大使、ファレス氏が、シリアからの離反を表明。現在、カタールにいるもよう。先に逃亡したシリア軍将軍のトラス氏につづいて、トップクラスの政府高官の離反は二人目。

しかし、アサド大統領本人は先週、ドイツのテレビインタビューで「国が危機にあるときに、大統領は逃亡しないものだ」と語り、この内戦の中、はでに軍事演習を行って、強気の姿勢を変えていない。

<国連特使アナン氏の努力>
混迷し続けるシリア情勢について、ロシアと中国の協力がないため、国際社会は全くの無能状態である。アナン特使は、アメリカの反対をおしきってイランにまでおもむき、シリア休戦にむけた協力を要請したが、解決の糸口はみえていない