8日、ゴラン高原にて、再びシリアからの流れ弾がイスラエル領内に着弾したことがわかった。負傷者、被害はなし。
これで3度目となる。イスラエルはシリアに何度も警告を送っている。
南部でガザで再び爆発 2012.11.9
ガザとの国境で、小競り合いが続いており、火曜にも兵士が3人負傷したが、昨日、ガザとの国境付近の密輸トンネルで再び大きな爆発が発生し、付近に駐車中のイスラエル軍のジープが大破した。
幸いジープにはだれもおらず、最も付近にいたイスラエル兵も軽傷ですんだ。トンネルの位置からして、イスラエル兵の誘拐をねらったものと思われる。
パレスチナ側によると、同日、国境付近での衝突で、13才のパレスチナ人少年が死亡したとのこと。
どうなるアメリカとイスラエル 2012.11.9
アメリカでオバマ大統領の再選が決まった。今後アメリカはどうなるのか、イスラエルとの関係はどうなるのか、専門家の間で憶測がとびかっている。
<オバマ大統領再選、イスラエルへの影響>
オバマ大統領はこれまでの大統領より、相対的にイスラムに理解、イスラエルにはやや厳しい大統領だった。最近、オバマ大統領とネタニヤフ首相の関係が、冷え込んでいるということは内外に明らかになっている。また異例のことだが、ネタニヤフ首相は、ロムニー候補への支持を対外的にも明らかにしていた。
そのため、オバマ大統領再選のニュースは、ネタニヤフ首相の本音としては”残念”また少々”まずい”状況になったと言われる。閣僚の中には実際に落胆のコメントを出した者もいた。
ネタニヤフ首相は、オバマ氏に祝辞を出し、両国の協力関係強化を確認するコメントを出す一方、アメリカとのさらなる関係悪化を防ぐため、閣僚らに「独自のコメントを控えるように。」との指示を出した。
再選されたオバマ大統領が、来年1月のイスラエル総選挙控えたネタニヤフ首相に対し、パレスチナ問題などでイスラエルに圧力をかけるといった”復讐”をするのではとの声もあるが、専門家たちは、両首脳の個人的な不仲が、両国の関係悪化にはつながらないと分析している。
とにかく、アメリカとの関係修復が重要であることは、どの専門家も同じ見解。
<アメリカのイスラエルへの関心が今後低下していく見通し>
今回のオバマ氏再選は、黒人はじめ、スペイン系や女性票など、いわば社会のマイノリティと思われる人々の支持が基盤となった。
今後、オバマ大統領を支持したマイノリティの人々が、アメリカの伝統的なイスラエル支援の方針を継続維持するかどうか、イスラエルはみきわめていかなければならないとクリーマン教授(テルアビブ大学)は警告する。
また今回、ユダヤ人の票70%が、イスラエルには厳しいとみられるオバマ大統領に流れていたことも注目された。最近、アメリカの若年層ユダヤ人たちにとっては、アメリカのイスラエル対策は、優先順位の4から5番目にまで転落しているのだという。
アメリカの次世代ユダヤ人層のイスラエルへの関心が薄くなっているということである。これもまた今後、アメリカ世論がイスラエルから離れていく兆候のひとつである。
<オバマ大統領の中東政策はどうなる?>
オバマ大統領は、2008年、先の任期の初期、中東諸国をめぐってイスラム社会との和解をめざした。またイスラエルとパレスチナの和平推進に絶大な力を入れた。
しかし、その後、中東ではアラブの春が勃発、予想に反して親米政権が次々に倒れ、反米感情はこれまでにないほど高まってしまった。イスラエルとパレスチナの和平も頓挫して、再開の見通しすらない。大統領の中東政策は苦々しい経験しか残っていない。
今後オバマ大統領は、中東政策にはきわめて慎重になるとみられる。しかし、中東には現在棚上げ状態で、大統領の決断を待っている問題が山積みだ。緊急を要する課題とは以下の通り。
①シリア問題に介入するのかどうか②エジプトのイスラム主義政権へどう対処するのか。これに加えて、春夏までには、イランに対する軍事介入に関しても決断せざるを得なくなるだろう。
アメリカで21年間、外交に携わってきたツビ・ラフィア氏は、「もしロムニー氏が大統領に就任していれば、大統領オフィスに落ち着くまで最低1年はかかると思われる。しかしオバマ氏なら、明日にでもイランを攻撃しようと思えば可能だ」と語る。ただしオバマ大統領は軍事行動にはかなり慎重。
*先週、イランがペルシャ湾の国際空域において、アメリカの無人探査機に向かって発砲していたことがわかり、問題となっている。
<今が分岐点:これからアメリカはどうなる?>
アメリカの借金は、40兆ドル(約3200兆円)に上ると報じられている。これ以上進むとアメリカ経済が崩壊する可能性もあり(財政の崖)、今期の大統領が少しでも改善できるかどうかで今後アメリカがどこへ向かうかが決まってくる。
またアメリカは、イラクやアフガニスタン攻撃、様々な中東政策で明らかな成果を出すことができず、権威とリーダーシップを失いつつある。そのため、中東はじめ、アジアでも地域独自の勢力が立ち上がりはじめている。
テルアビブ大学のクリーマン教授は、これはアメリカに、世界のリーダーとしての自信と熱意が落ちているからだと分析する。それは実際に力を失うよりも深刻な傾向だと教授は考えている。
また、クリスチャンの視点からすると、オバマ大統領が「同性結婚容認」「中絶容認」であることは決して小さなことではない。
オバマ大統領が当選してから、コロラド州とワシントン州でで”医療において”大麻の使用が合法化された。
また本日8日、ワシントン州では同性結婚の合法化を可決したとの報道が入ってきている。
アメリカの道徳が急速に落ちていく可能性がある。今回の結果を多くのアメリカ人クリスチャンの多くが危機感を持って受け取っている。
<日本との関連>
アメリカの国債を最も多く抱えるのが日本である。アメリカがこれほどの借金をかかえながらまだ破綻しないのは日本が借金の徴収をしていないからともいわれる。もしアメリカが破綻したら、日本も共倒れということになる。
また、アメリカの勢力が落ちると言うことはアジアでのアメリカの勢力が落ちることも意味する。すると今上昇気流に乗っている中国がいよいよ進出してくるだろう。まずは台湾がとりこまれ、日本にもせまってくるかもしれない。日本がアメリカの後ろ盾を失った時の、北朝鮮の動きも気になるところだ。
中国の指導者も来週、交代となる。世界はいよいよ新しいステージにすすんでいるようである。
ニュヨークの被災者を覚えて 2012.11.9
スーパーストーム・サンディの被害からまだ回復していないニューヨークを再び7日、強い雪と風を伴う嵐が吹き荒れてた。被災地では家を失い、避難所でくらす人に十分な暖房ができず危ないため、どこかへ避難するよう指示された人もいる。彼らの住宅対策が急務となっている。
また、65万世帯がまだ停電しているが、今回の暴風雪であらたに16万世帯が停電した。ガソリン不足も続き、ニュヨークではまだスタンドの25%しか営業を再開できていない。
ゴラン高原に近づくシリア内戦 2012.11.6
3日、イスラエル北部、ゴラン高原とシリアの間の非武装地帯にシリア政府軍の戦車3台が侵入しているのが発見された。同時に付近の山で小さな山火事があったことから、関連性も指摘されている。
5日、シリアとの国境をパトロールしていたイスラエル軍のジープに流れ弾が当たったが、負傷者はなし。この時、イスラエルとの国境から1キロのシリアの村で政府軍と反政府軍の衝突があり、シリア人2人が死亡していた。
シリアの内戦がじわじわとイスラエル国境に近づいているため、ガンツ参謀総長が現場を視察。警戒を強めている。
*シリア情勢アップデート
<自爆テロで50人以上死亡>
シリアでは5日、ハマで自爆テロが発生、シリア政府軍兵士が少なくとも50人死亡した。ダマスカスでも市民を含む11人が死亡。シリア政府軍の空爆で、反政府勢力も20人死亡した。この日のシリア全国の死者は計130人にのぼっている。
先週、反政府勢力に捕まった政府軍兵士7-8名が縛られた状態で集められ、銃殺される映像がインターネットに流され、問題となった。
<カタールで反政府勢力が会合>
3日から4日間の予定で、シリア国民議会(SNC)が、カタールにおいて会合を行っている。シリア国民議会(SNC)は、欧米が、アサド政権崩壊後に新政府を形成する勢力として期待している組織である。
しかし、この組織、代表リアド・セイーフ氏をはじめ、アサド政権によってシリア国外に追放されて数十年になる人々ばかりで構成されている。
最近になってアメリカのクリントン国務長官は、「これではシリア内部で実際に血みどろの内戦を戦っている反政府勢力を統治できるとは思えない。」とコメント。このままでは欧米の継続した支援が期待できない状況となってきている。
これに対処する形で、カタールの会合では、シリア国民議会にシリア現地の自由シリア軍のメンバーを加えることが議題となっている。
西岸地区でパレスチナ人の子どもがイスラエル兵を挑発 2012.11.6
西岸地区で、小さな子どもたちが、ひどい言葉でイスラエル兵にくってかかるところが撮影され、ユーチューブに流された。周囲にはカメラをむけたジャーナリストらがおり、兵士を挑発して子どもに暴力をふるうところを狙っていたものと思われる。http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4301487,00.html
兵士らは、子どもたちの挑発にのっていない。イスラエル軍では、こうした策略に警戒するよう兵士に伝えてあったという。
爆弾おとし!?アッバス議長発言 2012.11.6
先週、イスラエルの国営放送チャンネル2の直撃インタビューに答えたアッバス議長の発言で、イスラエル・パレスチナ双方が論議の嵐となった。(11月3日オリーブ山便り送信分参照)
問題はインタビューの中でアッバス議長が「自分はツファット出身の難民だが、そこを訪問しても、帰って住む気はない。」「パレスチナは、西岸地区、ガザ地区、東エルサレムで、それ以外はイスラエルだ。」と語ったことである。
これは伝統的にパレスチナ側が主張してきた「パレスチナ難民の(イスラエルへの)帰還の権利」を放棄したような発言である。ガザでは4日、これに抗議する数百人規模のデモが発生した。
アッバス議長は後に、「コメントは自分自身について語っただけで、パレスチナ難民の帰還の権利を放棄したわけではない」と語った。
<信用するのかしないのか:イスラエル>
イスラエルのネタニヤフ首相は、アッバス議長の発言に対し、「信用ならない。(後のコメントについて)アッバス議長はすでに意見を変えている。」と言った。これに対しペレス大統領はアッバス議長とは交渉すべきとの考えを明らかにした。
また、オルメルト元首相は「アッバス議長は唯一交渉できるパートナーだ。ネタニヤフ首相は、そのアッバス議長を退け、逆にハマスに力を与えているようなものだ。」と激しく非難した。ツィッピー・リブニ氏もオルメルト氏と同意見であることを表明した。
ネタニヤフ首相は「もしアッバス議長が本気なら、和平交渉の席に着く用意はある。エルサレムとラマラ(パレスチナ自治政府)は(車で)7分しかかかからない。」と語った。
アメリカ大統領選挙とイスラエル 2012.11.3
<アメリカ系イスラエル人はロムニー支持>
6日のアメリカの大統領選挙まであと3日となった。イスラエルでは一足早く、アメリカから移住しイスラエル人となった人々の不在者投票が行われた。
出口調査によると、有権者約16万人のうち、8万人が投票。うち85%はロムニー候補に投票したことがわかった。
これは、オバマ大統領が、外交においてはイラン問題に集中しすぎたことが原因ではないかと専門家は語っている。
イラン問題はまだ終わってはいないものの、ネタニヤフ首相が、「少なくとも来年春までは軍事介入はない」との見解を示して以来、イスラエルでは関心のトップではなくなっている。その点、ロムニー候補は、イラン問題を含めて、イスラエル支持の立場を明らかにしていた。
*アメリカ在住のユダヤ人は、「オバマ大統領支持が優勢」との結果がでている。イスラエルでの結果が一概に「ユダヤ人はロムニー支持」とはいえないことに注意。
<モルモン教とイスラエル>
ロムニー候補はモルモン教徒。そのモルモン教はイスラエル支持の宗教である。
モルモン教の聖典の内容は、イスラエル民族のヨセフ(創世記)の子孫とされるリーハイという人物とその一族の歴史。リーハイはエレミヤと同時期の人物で、神が彼を危険から守るため、イスラエルからアメリカへ移動させたという。
モルモン教では、この独自の聖典とともに聖書(旧約新訳)も信じている。そのため聖典には、復活したイエスがアメリカに現れたとも書かれている。
元はイスラエル民族から始まり、そこへ信仰によって異邦人も加えられたと考えており、イスラエルへの思いは深い。エルサレムにはモルモン教の大きな総合聖書大学もある。ロムニー候補のイスラエル支持は、彼の宗教にも裏付けされているということである。
<イスラエル総選挙との関連>
イスラエルでも来年1月22日に総選挙が行われる。現在、水面下で様々な動きがあるが、それらが確定するのはアメリカ大統領選挙後だとみられている。
もしオバマ大統領が再選されると、オバマ氏と不仲だと言われるネタニヤフ首相は不利になる。するとリクード・イスラエル・ベイテイヌ党内部から造反するものや、対立候補たちの動きを活発になる思われる。
<スーパーストーム・サンディの影響>
カリブ海から北上し、寒冷前線と合流したサンディはスーパーストームとなり、大統領選挙戦も終盤に入った10月29日、ニューヨーク、ニュージャージーなどの東海岸で、甚大な被害をもたらした。
死者は現時点で95人。ニュージャージーの海岸では、波による洪水、火災で町がなくなったところもある。ニューヨークとニュージャージーではまだ300万人近い家屋が停電したまま。最悪の場合は、11日ごろまで電気の回復の見込みがないという。
マンハッタンでは、地下鉄に15億トンもの水が流れ込み、まだ一部しか開通できていない。ガソリン購入にも長蛇の列で、復興の障害となっている。被害総額は500億ドル(4兆円)に上るとみられる。被災地が経済の中心であるため、今後アメリカ経済に影を落とすと懸念されている。
オバマ大統領の被災地への対応はアメリカ人の75%が満足したとの調査結果が出ている。
アッバス議長の思い-イスラエル国営放送直撃インタビュー 2012.11.3
パレスチナ自治政府のアッバス議長は、昨日、イスラエル国営放送チャンネル2の直接インタビューに応じ、テレビ放送された。その中で、アッバス議長は、「パレスチナの国は西岸地区、ガザ地区、東エルサレムであって、それ以外はイスラエルだ。」と断言。
「自分の生まれ故郷はツファット(イスラエル北部の町)で、イスラエルに追放された身だが、そこを旅行者として訪問しても、戻る気はない」との思いを明らかにした。また、自分が在職する限り、外交と政治、交渉によって解決策を模索し、暴力(第三インティファーダ)に訴えることはないと語った。
シリア停戦ならず 2012.10.28
26日から”停戦”に入ったシリアだが、1日目ですでにダマスカスで爆発があり死者が出たほか、2日目までにすでに146人以上が死亡。(43人が政府軍兵士、53人が市民、50人が反政府勢力)。実際にはどちらが先に攻撃したのかは不明である。
<シリア特使ブラヒミ氏の懸念・・・イスラムどうしの戦いが中東全域へ>
今回の停戦にもちこんだのは国連ならびにアラブ連盟シリア特使のブラヒミ氏。停戦が守られなかったことについて、「このまま放っておくと、アラウィー派対スンニ派が、イスラム教シーア派とスンニ派の争いにすりかえられて、中東全体に広がっていく可能性がある」と懸念を語っている。
<解説>
シリアのアサド政権は、アラウィー派と呼ばれる小さな一派で、シーア派そのものではない。しかし、現在アサド政権と戦っている反政府勢力はスンニ派である。混乱に乗じて、シーア派組織がシリアに入り込み、今やシーア派対スンニ派という、別の構図にすりかわりつつあるということ。
ハリケーン・サンディが来る 2012.10.28
大統領選挙を間近に控えたアメリカでは、明日29日ごろ、ハリケーン・サンディが東海岸に上陸すると予測されている。サンディは、カリブ海で甚大な被害をもたらし、これまでに61人以上が死亡している。
サンディは現時点ではカテゴリー1(強さとしては一番低いレベル)だが、最悪の場合、東海岸に上陸後、寒冷前線と合体しスーパーストームになり甚大な被害をもたらす可能性も指摘されている。
ニューヨーク州、バージニア州など東海岸の州では非常事態宣言が出され、住民らは、家の窓を補強したり、食料を備蓄したりしてサンディの上陸にそなえている。
<2030年までに1億人以上が死亡する?> ロイター9月26日
発展途上国20カ国で構成する「気候変動に脆弱性を持つ諸国会議」の委託で研究していた、国際援助に関する団体DARAが先月9月26日に以下のような報告書を提出していた。
もしこのままいくと、地球温暖化や異常気象により、飢餓や災害で死亡する人の数は年間500万人、2030年までに1億人以上が死亡する。
ネタニヤフ首相、再び大胆な動き 2012.10.26
来年1月22日の総選挙にむけて、各党名簿作りなどで忙しくなっている。そんな中、25日夜、ネタニヤフ首相が、自らの党リクードと、右派のイスラエル・ベイテイヌ党(リーバーマン党首・現外相)を合併すると発表。国民を驚かせた。
今後は「リクード-イスラエル・ベイテイヌ党」ということになる。これは日本でいえば、民主党と社会党か公明党が合併して民主・社会党とか民主・公明党になるようなものである。来年1月の総選挙には、2党合体した中で選挙名簿が作成される。
現在、リクードの議席数は28だが、次期選挙では23-24に減ると見られている。イスラエル・ベイテイヌの議席は現在15席。ネタニヤフ首相はこの二つの党が合体することで、治安の維持、経済政策においてより力強い政府になると主張している。