ネタニヤフ首相府報道官が機密情報漏洩容疑:野党はネタニヤフ首相の無力を表していると批判 2024.11.4

イランへの情報漏洩が問題になっている中、ネタニヤフ首相府の中にも、イランではないが、海外へ情報を漏洩していた容疑で逮捕された人物がいた。

過去1年の間、ネタニヤフ首相府で報道官として働いていたイーライ・フェルドマン(32)と他3人である。フェルドマンらは、1日(金)、強制捜査の目的で逮捕された。

容疑は、国家安全保障に関わる極秘情報を、イギリスやドイツのメディアに流し、それが公開されたことで、人質交渉に影響が生じた可能性があるというものである。

フェルドマンは、イスラエル軍の広報部隊の将校で、西岸地区の広報官で、正統派ユダヤ教徒として初めてこの任務についたとして、賞賛されていた人物である。強硬右派のベングヴィル氏のオツマ・ヤフディ党の報道官も務めたことがあった。

セキュリティで完全にクリアにならなかったことから、正確には首相府長官の直下ではなかったが、首相府との関係はかなり近く、ネタニヤフ首相のすぐ後ろに立っている写真も公開されている。

こうなると、首相の落ち度にもなってくるため、首相府は、漏洩した機密情報は首相府を経由したものではないと発表していた。

www.timesofisrael.com/netanyahu-spokesman-suspected-of-leaking-intel-identified-as-eli-feldstein/

しかし、野党のラピード氏は、こんなことがあったということは、首相府の落ち度に他ならないと非難している。

フェルドスタインとその家族からは、本人はこの1年半の間、首相のために人生をささげていたとして、そんなことをするはずがないと主張。フェルドマンに近い情報筋からは、フェルドマンが、首相に捨てられたのだと言っていたと、チャンネル12は伝えている。

つまり、ネタニヤフ首相が、あえて情報漏洩をさせておきながら、しっぽ切りをしたと主張しているのである。

www.timesofisrael.com/netanyahu-spokesman-suspected-of-leaking-intel-identified-as-eli-feldstein/

政界では、海千山千の闇もいっぱいあるネタニヤフ首相である。家族たちの言い分もありなくもないかもしれない。

いずれにしても、この危機的な状況の中、情報のとりあいといった水面下でのやりとりがかなりあるのだろう。

レバノン北部でヒズボラ上級工作員拘束:ヒズボラロケット弾とドローンの雨 2024.11.4

イスラエル特殊部隊がレバノン北部急襲:ヒズボラ上級工作員拘束

イスラエル軍特殊部隊(25人)は、1日夜遅くに、レバノン北部トリポリ南部に海から入って、ヒズボラの工作員イマド・アフマズの身柄を拘束、また海から連れ去るという作戦を実施した。イスラエルは、アフマズを、ヒズボラの海軍に関する重要な情報源になるとみている。

現場はイスラエル国境から140キロも離れた地点であり、まさに予想外の奇襲であった。

レバノン運輸大臣は、アムハズは民間船の船長であり、民間の海軍研究所で勉強中の人物と主張し、軍との関わりを否定している。しかし、写真のアフマズをみれば、明らかに軍人の服装である。

なおアラブメディアは、UNIFIL(国連レバノン監視団)もこの作戦に協力したと伝えているが、UNIFILは、関与を否定している。

www.timesofisrael.com/israeli-commandos-said-to-nab-top-hezbollah-naval-commander-in-north-lebanon-raid/

www.ynetnews.com/article/rybrfsxbyg#autoplay

イスラエル北部へロケット弾とドローンの雨

アフマズが、イスラエル軍に拘束された翌日、ヒズボラは、2日(土)だけで、ロケット弾120発、ドローン6機がレバノンから、3機はイラクから発射された。イスラエル北部のハイファやその周辺を含む人口密集地に向けて発射した。以下はイスラエル軍のヘリコプターが迎撃する様子

レバノン南部での戦闘結果:ヒズボラの武器関連地点破壊など

IDFによると、これまでにドローンの保管施設54ヶ所、巡航ミサイル施設24カ所、ドローンと巡航ミサイルの製造施設8カ所、地下ならびに武器庫7箇所を破壊したので、ヒズボラのドローンは、保有していた30%しか残っていないと推測されている。

以下はレバノン領内で武器を発見、押収するイスラエル軍の様子

以下は南レバノンの家屋子供部屋にある武器

以下は武器工場

イスラエル軍は、戦争勃発以来、ヒズボラ戦闘員2000人が死亡したとみている。また他の組織メンバー約100人。民間人数百人が死亡したとみている。

www.timesofisrael.com/130-rockets-10-drones-fired-at-israel-saturday-helicopter-downs-drone-south-of-haifa/?utm_campaign=most_popular&utm_source=website&utm_medium=article_end&utm_content=8

一方、UNHCR(国連人権保護団体)によると、戦争が始まってから、レバノンからシリアへ逃げて難民になっている人が、約50万人に上っているとのこと。その71%は元シリア人でレバノンで難民になっていた人で、29%はレバノン人とのこと。

reliefweb.int/report/syrian-arab-republic/unhcr-syria-short-brief-response-displacement-lebanon-syria-reporting-period-24-september-2-november-2024

ガザ・ジャバリヤ激戦でイスラエル兵3人死亡:ハマスは900人死亡 2024.11.4

ハマスとイスラエルの交渉は、進んでいない様子である。

ガザの特に北部、ジャバリヤでは、今も激戦が続いており、IDFによると、ジャバリヤだけで、ハマスなど戦闘員900人が死亡した。また700人を拘束したが、このうち、300人はテロ組織メンバーであると確認されている。

ジャバリヤでは、2日(土)からポリオワクチン接種2回目が始まっている。その近くへイスラエル軍による攻撃があり、子供4人と大人2人が死亡したとBBCなどが伝えて、イスラエルを非難している。

しかし、イスラエルは、この攻撃はしていないと否定している。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/idf-denies-world-health-organization-hamas-claims-of-israeli-strike-on-vaccination-center-in-gaza-city/

こうした中、北部での戦闘で、2日(土)の戦闘で、イスラエル兵2人が死亡したと発表された。イタイ・パリザット軍曹(20)、ヤイル・ハナニヤ軍曹(22)、また2人と一緒にいたもう一人が重傷となっている。

www.timesofisrael.com/two-soldiers-killed-in-north-gaza-idf-says-900-terror-operatives-dead-in-jabalia-op/

続いて3日(日)の戦闘で、手榴弾が爆発してシュヌール・ザルマン・コーヘン兵士(20)が死亡した。コーヘンさんに関する死因の詳細は不明である。

また、IDFは、31日(金)、ガザ南部ラファでの戦闘で負傷して、治療を受けていたヤルデン・ザカイ大尉(21)が死亡したと発表していた。

www.timesofisrael.com/idf-cpt-yarden-zakay-wounded-in-gazas-rafah-in-september-dies-of-his-injuries/

<石のひとりごと>

ガザの破壊は壮絶で、物資もおそらくかなり不足していることは否定できないだろう。しかしもうすぐ雨が降る時期に入る。気温も下がっていく。いい加減に戦闘をやめないと、ガザ市民だけでなく、イスラエル兵たちにとっても厳しいことになる。人質はいったいどこにいるのだろうか。早い解決を祈るしかない・・

大学新年度開始も学生数万人が予備役従軍中 2024.11.4

イスラエルでは、3日(日)、大学や短期大学など高等教育機関で新年度が始まった。イスラエルでは、秋の例祭で新年を迎えるので、この時期に新年度となる。

今年は、戦争になってから2回目の新年度である。Ynetによると、昨年度は、本来学生であるはずの5人に1人が、予備役兵として兵役についており、約7万人が大学に戻れなくなっていた。今年も同じぐらいになると予想されている。

Ynetによると、今年は、ヘブライ大学から2000人、テルアビブ大学から1600人、アリエル大学1900人、ベン・グリオン大学1700人、バルイラン大学1700人、テクニオン1000人以上とのこと。専門分野である工学部、医学部、法学部からも予備役に出ている。

一方、大学への入学希望者にも変化が出ているという。長引く戦争で、PTSDを患っている人も多い。心理学やソーシャルワーク、理学、作業療法を学ぼうとする学生が増えている。

また、実際面での活躍を希望してか、テクノロジーやエンジニア関連、医学部への志望者も増えている。アイアンドームなど、イスラエルを今守っている迎撃ミサイルは、アメリカのMITとも対等に立つテクニオンの技術である。国への貢献意識の高さを思わされる。

戦争での活躍も考えてか、アラビア語とその文学を希望する人が40%、イスラム教と中東研究を希望する人も31%増えているとのこと。敵だからと敬遠するのではなく、それを学んで理解しようとする。イスラエル人らしい動きだと思う。

www.ynetnews.com/article/hytzwjn11jl

しかし、今世界では、イスラエルの研究機関や研究者に対するボイコットが拡大しているとのこと。先日、京都大学へ行く機会があったが、日本でも学者の間では、イスラエルに関する情報は、おおむねネガティブとのことであった。

石のひとりごと

イスラエルは、好きで戦争しているのではない。戦争などまったくやりたくないのに、させられているのである。大事な知的能力を持った若者たちは、本当に学びたいと思っている。

筆者の友人は、イスラエルの大学で日本語を教えているが、前学期に教えたテクニオンの学生が、「ガザでの予備役から今日戻ったので、またカタカナの練習帳を提出できていません。でも必ずやります」と連絡があったとのこと。どんな状況でも学ぶことを諦めない姿勢に頭が下がりますと言われていた。

ホロコーストサバイバーのツェグレディ・ヤーノシュさんが、ホロコーストの最大の損失は、人命とそれ以上に、知的財産とその成長の機会が失われたことだと言っていた。それはユダヤ人だけのことではなく、世界全体にとっての損失なのである。

イスラエルからは、世界に貢献する技術力が、あふれるほどに存在している。にもかかわらず、世界はイスラエルを非難し、イスラエルの研究者をボイコットする。それは、自分で自分の首を占めているようなものだと思う。

イランのハメネイ師がイスラエル軍事拠点攻撃準備を指示したとNYT他 2024.11.1

イランのハメネイ師が、アメリカの大統領選の前に、イスラエルへの反撃を示唆していると昨日、伝えたが、本日、ニューヨークタイムスに続いて、アメリカメディアのアクシオスも、ハメネイ師が実際に、イスラエル攻撃を指示し、準備が進められていると報じた。

それによると、攻撃は、イランからではなく、イラクからで大量の弾道ミサイルとドローンが発射されると予想されている。

www.jpost.com/breaking-news/article-827067

IDF base on October 31, 2024. (Maayan Toaf/GPO)

ネタニヤフ首相は、31日の国防軍士官訓練校の卒業式で、先のイランへの攻撃で、イスラエルはイラン上空が無防備になっており、イスラエル軍は、イランのどこにでも到達できると語った。

www.timesofisrael.com/iranian-leader-khamenei-said-to-order-reprisal-attack-on-israeli-military-sites/

ヒズボラのロケット弾で農作業中のイスラエル市民ら7人死亡:イスラエルはベイルート攻撃 2024.11.1

ヒズボラのロケット弾でイスラエル人とタイ人7人死亡

31日(木)午後、ヒズボラのロケット弾が、メトゥラの林檎園に着弾。そこで働いていた5人が死亡。1人が重傷となった。

www.mako.co.il/news-channel12?subChannelId=2084e720e1ba1910VgnVCM200000650a10acRCRD&vcmid=49c2c593fa3e2910VgnVCM100000700a10acRCRD

死者のうち1人はキブツ・ダフナに所属するイスラエル人、オメル・ワインスタインさん。4人の子供の父親だった。4人はタイ人労働者だった。

メトゥラは、レバノン国境に隣接する町である。イスラエル軍は、危険は低くなったとして、市民は自宅に戻れると発表したために、一部の市民が戻っていたとのこと。

メトゥラの市長は軍に不要に帰宅を許可したと抗議の声をあげている。

また同日、この数時間後に発射されたロケット弾約25発が、ハイファ周辺へ飛来。キリアット・アタ地域のオリーブ畑にいたイスラエル人ミナ・ハッソンさん(60代)と、その息子のカルミさん(30代)が、迎撃されたロケット弾の破片によって死亡した。道路上の車も破損していた。

ヒズボラの攻撃で、1日に市民7人が死亡するのは、7月にマジダルシャムスで子供たち12人が死亡して以来、最悪の日となった。

イスラエルのレバノン南部への攻撃が激化しているのに合わせて、ヒズボラは、ロケット弾と多数のドローンを発射する傾向にある。

イスラエルの攻撃も続く:ベイルートへの攻撃も

suburb of Beirut, Lebanon, Friday, Nov. 1, 2024. (AP Photo/Hussein Malla)

一方、イスラエルのレバノン内ヒズボラ関係地点への攻撃もかなり激しく続いている。Times of Israelによると、昨日だけで、イスラエル軍は、レバノンとガザへ200箇所を攻撃したとのこと。

南レバノンへの一連の攻撃では、ヒズボラの対戦車部隊指揮官のムハンマド・ハリル・アリアンが死亡していた。

また、イスラエル軍は昨日、ベイルート南部の市民に、避難を呼びかけ、人々が急ぎ脱出する様子が確認されていたが、本日11月1日深夜すぎ、ベイルート南部で少なくとも10回の空爆があったとレバノンのメディアが伝えている。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/lebanons-official-news-agency-says-at-least-10-strikes-hit-south-beirut/

アメリカのホフスタイン中東特使がイスラエル訪問

Ma’ayan Toaf (GPO)

レバノンで、激しい戦闘になっている中、イスラエルとレバノンの間での停戦仲介を進めているアメリカのホフスタイン中東特使がイスラエルに到着。ネタニヤフ首相と会談した。

レバノンでは、ヒズボラがリタニ川まで撤退しても良いと言っているといった情報もあり、停戦に入れるかもしれないという希望が出始めている。

ネタニヤフ首相は、ホフスタイン氏に、仲介に感謝を表明しつつも、結局のところ、紙の上で合意するかどうかの問題ではなく、イスラエルが、実質的に約束が守られているかどうか(ヒズボラがリタニ川以南には存在しない)を確実にする権限を維持するということであり、その現状の元で、北部住民が帰宅できるようにするということだと伝えた。

www.timesofisrael.com/israel-said-seeking-us-commitment-for-freedom-of-action-if-hezbollah-breaches-truce/

またイランの闇バイト摘発:治安関係情報流していたイスラエル人3人逮捕 2024.11.1

イスラエルを亡き者にすると言っているイランだが、そのイランに協力して金をもらうという闇バイトのような、イスラエル人スパイがまた2人摘発、逮捕された。

逮捕されたのは、ロッドに住んでいるラファエル・グリエフ(32)とその妻ララ(32)であった。2人は、治安部隊のあとをつけて、その自宅や車などの写真やビデオをイラン当局に

驚いたことに、グリエフは、アゼルバイジャンからイスラエルへ移住する際に、すでにイランのスパイの一因として移住していた。グリエフがイラン工作員と接触を始めたのは2021年からとみられている。

妻の協力も得ながら、テルアビブの諜報機関モサドや、イスラエル国家治安研究し(INSS)に所属すする研究員の情報を収集していた。特にINSSのある女性研究員の情報を集めていたとのことだが、その仕事で、1日に600ドル(約12万円)を稼いでいた。

日本の闇バイドのように、連絡は高度に暗号化されたアプリを使っていたようである。

グリエフは、またイラン指導者に変わって、イスラエル国内で暗殺を遂行する人物の捜索も行っていた。その他イスラエル国内の電力会社、テルアビブの公共防空壕、ガザの人質の写真など様々な写真などをイランに送っていた。

グリエフ夫妻が、検挙された時点でイランから受け取った給与は2万6000ドル(約400万円)。安易に稼げることから、誘惑に負けたと言っているとのこと。

www.ynetnews.com/article/hk1leemwyg

また2人が摘発された数時間後、テルアビブ近郊のブネイ・ブラックに住む、アシェル・ビニヤミン・ワイスを逮捕した。ワイスは、ある科学者の写真や映像を撮影し、東エルサレム在住で、その科学者を暗殺する使命を受けていた人物に送っていた。

その人物は先月、イランへのスパイ容疑で逮捕されたイスラエル人(ユダヤ人)7人(19-23歳)のうちの一人だった。

mtolive.net/闇バイト!?イスラエル人7人がイランに雇われて/

日本での闇バイトもどきのスパイ行為が、イスラエルの若者の間で広がっている。それがイスラエルを滅ぼそうとするイランによるものなのであり、今特に緊張が高まっている時なので、事態は深刻である。

このイランによる闇バイトがどこまでどう広がっているのか、すぐれたIT技術を持つイスラエルがどう摘発していくのか、注目される。

www.timesofisrael.com/israeli-couple-from-lod-man-from-bnei-brak-are-latest-charged-with-spying-for-iran/

イランがアメリカ大統領選挙前にイスラエルへの反撃を示唆 2024.10.31

イランは終わってない:米大統領選挙までにイスラエルへ反撃を示唆

イランが7月に続いて4月にも200発のロケット弾やミサイル、ドローンをイスラエルに向けて発射したことに対し、10月26日、イスラエルは、テヘラン他、イラン国内の軍事施設を攻撃。イランのミサイル能力を大きく削減したとみられている。

またその後の情報では、イスラエルが、イラン革命防衛隊の弾道ミサイル製造施設が攻撃対象になっていたこともわかっている。

しかし、イランはまだイスラエルを攻撃する気のようである。CNNが、独自のソースの情報として伝えたところによると、イランが、アメリカ大統領選挙(11月5日)までに、イスラエルへの厳しい痛みを伴う攻撃を行うと行っていると報じた。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/source-to-cnn-iran-will-deliver-definitive-painful-response-to-israeli-attack/

具体的なことは不明だが、その気配はあるのか、上記の情報が出る前に、ホワイトハウスの報道官が、「イランはイスラエルへの攻撃をするべきではない。もし攻撃すれば、アメリカはイスラエルの自衛をサポートすると警告する声明を出していた。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/white-house-iran-should-not-respond-to-israels-retaliation/

at the Ramon Airbase in southern Israel, October 29, 2024. (Israel Defense Forces)

また、イスラエルにもその気配は伝わっているのか、30日(火)、イスラエル軍のハレヴィ参謀総長が、南部のラモン空軍を訪問した際に、「もしイランが、また大量のロケット弾やミサイルで攻撃してきたら、イスラエルは前回、攻撃しなかったところを攻撃する。イランは手を出さない方がよい。」と語っていた。

ハレヴィ参謀総長は、イランとの攻防は、まだ終わっていないとの認識を表明し、前の攻撃が部分的だったのは、イランの攻撃がまたあると予測されたからだと言っていた。

www.timesofisrael.com/idf-chief-if-iran-attacks-israel-again-well-hit-places-we-spared-this-time/

アメリカ大統領選挙:イスラエル人は66%トランプ支持

イスラエルのテレビ、チャンネル12が行った世論調査では、イスラエル人の66%がトランプ氏を支持すると答えていた。ハリス氏を支持すると答えたのは17%で、わからないが17%と、圧倒的にトランプ支持だった。

www.timesofisrael.com/poll-shows-israelis-massively-favor-trump-over-harris-in-us-election/

イスラエルへの対処について、ハリス候補は、イスラエル支持を強調しているが、党内の60%は、戦争のエスカレートの責任は、イスラエルにある(つまり、イスラエルが止めるべき)と答えていた。

一方、トランプ候補の共和党では、ハマスに責任があると答えた人が60%だった。この視点で見れば、イスラエル人がトランプ候補を支援するのも理解できる。

www.timesofisrael.com/poll-democrats-republicans-split-on-israels-responsibility-for-wars-escalation/

しかし、アメリカ・ファーストのトランプ候補がいつまでも、イスラエルを支持するはずはない。101人の人質の中には、アメリカ人も含まれている。いつまでも延々と戦争を続けることは支持しないだろう。

Times of Israelが伝えた情報によると、トランプ氏は、自分が当選した場合、1月20日の就任式までに、ガザでの戦争を終えるよう、ネタニヤフ首相に期限を切っていたことがわかった。

www.timesofisrael.com/trump-told-netanyahu-he-wants-gaza-war-over-by-time-he-enters-office-sources/

しかし、来年1月20日までに戦争を終わらせる、言い換えれば、停戦にもちこむことについては、イスラエル国内でも意見が分かれている他、停戦後のガザをどう管理するのかについても、イスラエルと国際社会は一致していない。ゴリ押しがどういう結果をもたらすかはわからない。

さらに、イランはその前に、イスラエルを攻撃すると言っている。明日何が起こるのか。もはやわからない。聖書には次の様に書いてある。

だから、神の国とその義とをまず第一に求めなさい。そうすれば、それに加えて、これらのものはすべて与えられます。だから、あすのための心配は無用です。あすのことはあすが心配します。労苦はその日その日に、十分あります。(マタイ6:25、32〜34)

ヒズボラのナスララ後継にナイム・カッセム就任:どうなる?レバノンとイスラエルの停戦交渉. 2024.10.31

ヒズボラのトップにシェイク・ナイム・カッセム就任

イスラエルは、ベイルートで、30年以上、ヒズボラの党首を務めたハッサン・ナスララ党首を暗殺したあと、後継者と目されていたハッサン・サフィディエンも党首就任前に、殺害していた。

その後、党首なし状態が続いていたが、28日(月)、ヒズボラは、副総司令官だったシェイク・ナイム・カッセム(71)が、新しい党首に就任したと発表した。

ヒズボラは、1982年に、アマルという組織から分裂してできたテロ炉指揮である。カッセムは、アマルからヒズボラを創設した一人で、最初の指導者アッバス・アル・ムサウィの元で、副最高指導者の地位に立っていた。

1991年にムサウィがイスラエルに殺害された後、1992年にナスララが最高指導者となったときも、カッセムは副指導者の地位に留まり、今に至っている人物である。

この発表の翌29日(火)、イランのペゼシュキアン大統領が、カッサムのヒズボラ指導者への就任に対し、祝辞を述べた。

カッセムは、ナスララ党首が死亡した際の声明発表の時、汗をふきながら発表していた人物で、ナスララ党首ほどのカリスマ性はないと言われている。イスラエル軍では、仮の任命であり、そう長くはないだろうと見ている。

www.timesofisrael.com/hezbollah-names-deputy-leader-naim-qassem-as-secretary-general-successor-to-nasrallah/

ところが、そのカッサムが、28日(月)、就任後初の演説(録画)の中で、ネタニヤフ首相私邸にドローンを到達させたことをあげ、「今回はまだ時でなかったかもしれない。しかし、ネタニヤフ首相を、演説中にもイスラエル人が殺すかもしれない」とその死を示唆する発言をした。

しかし、同時に、停戦交渉で、合意できる内容になれば、停戦に応じる構えは見せ、今の所そこには至っていないと語っていた。

www.timesofisrael.com/hezbollah-names-deputy-leader-naim-qassem-as-secretary-general-successor-to-nasrallah/

アメリカ仲介・レバノンとイスラエルが国連決議1701の回復にむけた交渉:60日停戦なるか

ヒズボラは、ハマスを支援するという目的でイスラエルへの攻撃を行ってきた。しかし、イスラエルによるポケベル爆破で大きな被害を受け、ナスララ党首やその周囲の高官たちも死亡したことを受けて、ヒズボラは内部から崩壊し始めているとの報告がある。

同時にカタールで行われているハマスとイスラエルの交渉は、案の定なかなかすすんでいない。これを受けて、アメリカはまず、イスラエルとレバノン(ヒズボラ)との間に停戦を実現することを目指し始めたようである。

www.timesofisrael.com/flipping-approach-us-pursues-calm-in-lebanon-that-will-then-spread-to-gaza/

Jan. 4, 2024 (Photo: Amos Ben-Gershom/GPO)

仲介は、アメリカから来ているホフスタイン中東特使。停戦案は60日で、国連決議1701の履行に持ち込むことを目標にするとのこと。(写真は今年1月のイスラエル訪問時)

60日以内に、イスラエルとレバノンの国境からリタニ川(最大30キロ)までの間に、いかなる武装勢力も存在しない状況にするということである。

この間、イスラエル軍は、南レバノン国境から撤退する。代わりにレバノン軍が入って、その地域のヒズボラのインフラをすべて破壊する。アメリカが議長で、欧米系諸国(イタリア、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア)とUNIFIL、中東諸国の監視下に置くとされている。

イスラエルがこれに合意するかどうかは、まだわからない。しかし、レバノンのミカティ暫定首相は、30日(水)、ここ数日中にも合意が成立する、アメリカ大統領選挙までに、停戦が実現するとの期待を発表した。

とはいえ、実際の現場では、イスラエルとヒズボラの応酬はエスカレートしているので、楽観はできない。むしろ、バイデン政権が交代前に、ちょっとでもよい絵図を残しておきたいだけなのではとの懸念もなきにしもあらずである。

www.timesofisrael.com/lebanese-pm-says-hoping-for-ceasefire-in-coming-days-us-drafted-truce-deal-leaks/

停戦交渉の背後でイスラエルとヒズボラの戦闘エスカレート:イスラエルはレーザー迎撃ミサイル導入発表 2024.10.31

停戦交渉が始まっている中、イスラエルとヒズボラの戦闘はエスカレートする様相にある。イスラエルは、今こそ、ヒズボラに降参させて、交渉を有利に持ち込もうとしている様にも見える。

イスラエルのヒズボラへの攻撃

30日(水)イスラエルは、レバノン南部、バールベックの住民に移動を警告し、その後空爆を実施した。レバノンの地方行政は60人が死亡したと言っている(未確認)。またこの地域には、3000年前のローマ時代のユネスコの世界遺産があったことも問題となっている。

www.timesofisrael.com/drone-hits-nahariya-idf-warns-lebanese-to-flee-baalbek-as-us-mediators-head-to-region/

NYTは、これまでに南レバノンでイスラエルが破壊した建物は1085棟であるとし、激しい破壊の様子を報じた。

www.nytimes.com/2024/10/30/world/middleeast/israel-lebanon-border-photos-video.html

さらに、イスラエル軍は、30日(水)、ヒズボラのエリート部隊ラドワン部隊副総司令官ムスタファ・サファディを暗殺した。ヒズボラにとってはかなりの打撃であるとみられる。

また、29日(火)には、国境から6キロ離れたヒアムという町で、イスラエル軍戦車2両が走行していると伝えられた。レバノンで、最も深い地点にまでイスラエル軍が及んでいることになる。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/israeli-tanks-said-to-enter-deepest-point-in-southern-lebanon-so-far-in-fighting/

ヒズボラのイスラエルへの攻撃

一方、ヒズボラは、毎日、特にここ数日は、1時間から数時間おきに、ロケット弾や、ドローン、ミサイルをイスラエルに向けて発射している。

29日(火)の朝、少なくとも50発のミサイルが、西ガリラヤ地方に飛来。1発が、マアロットに近いマアロット・タルシバの家屋に着弾した。

アラブ系イスラエル人のモハンマド・ナイムさん(24)が死亡。少なくとも13人が負傷した。

ナイムさんは、サイレンが鳴ったため、弟と妹をシェルターに走らせたが、自身は間に合わなかったとのこと。

www.ynetnews.com/article/r1ht2mrljl#autoplay

また、30日からは、北部国境周辺から、ハイファやアッコ方面、ナハリヤなどにもロケット弾やドローンが飛来している。30日(水)には、メトゥラで農業に従事していた2人が負傷(1人重傷)し、ナハリヤには、ドローンが、航空工場に着弾した。被害は小さかったとのこと。

www.timesofisrael.com/drone-hits-nahariya-idf-warns-lebanese-to-flee-baalbek-as-us-mediators-head-to-region/

イスラエルはレーザー迎撃ミサイルシステム(5億ドル)導入を発表

ヒズボラはイスラエルに向けて15万発のロケット弾やミサイルを持っていると言われていた。だいぶ消費したのではないかと期待したい。しかし、イスラエルも限りなく迎撃ミサイル(1発4-5万ドル(1発700万円ぐらい)を消費させられている。

これに対する対処として、イスラエルの防衛省は、28日(月)、レーザーで迎撃するアイアン・ビーム・システムの導入をすることを発表した。開発と生産は、アメリカの防衛関連企業で、イスラエルの防衛企業ラファエルが契約したとのこと。

アイアン・ビームシステムは、5億ドル(約770億円)するが、迎撃にかかる費用は、格段に低くなる。来年後半には、配備と稼働が始まる見通しである。

www.timesofisrael.com/iron-beam-laser-interception-system-set-to-become-operational-in-2025/

石のひとりごと

戦争のむなしさというか、愚かさというか。人命と資産の無駄遣いとしか言いようがないが、殺しにくる敵を前に、だまって待つだけにはいかない。しかし、そうなると相手にも死者が出て、またエスカレートする。

わかっていても止められない。結局のところ、間に入れるのは主だけである。

ガザ北部ベイトラヒヤへの攻撃で子供20人含む93人死亡:アメリカもイスラエルに説明要求 2024.10.31

イスラエルの攻撃でベイトラヒヤ5階建建物倒壊

ガザ北部、ジャバリヤとならんで、ベイトラヒヤでも激しい戦闘が行われている。激しい戦闘の中、テロリスト60人を拘束していた。

そのベイトラヒヤで、30日(水)、イスラエル空軍が、5階建てビルへの攻撃を2回行ったところ、建物が倒壊。中にいた避難民たちが下敷きになった。

ガザ保健省(ハマス)によると、少なくとも93人が死亡。20人は子供で、犠牲者の半数以上は、女性と子供であったと報じている。

しかし、建物は瓦礫となっており、まだ掘り起こされてない遺体があるかもしれず、死者数は増える可能性が高い。アメリカは、イスラエルに対し、説明を求めている。

イスラエル軍によると、このビルが避難所になっていることは把握していなかったという。またビルを標的にしていたわけではなかったが、そこにいた戦闘員に焦点を当てて攻撃したところ、その影響でビルが倒壊したと説明している。

www.timesofisrael.com/us-presses-israel-to-explain-horrific-gaza-strike-in-which-over-20-kids-said-killed/

ガザ北部は人道崩壊の様相か

ベイトラヒヤ、ジャバリヤなどガザ北部では、非常に激しい戦闘が行われており、いったい何人が死んでいるのか、正確な数字はもはやわからなくなっている。人道支援物資も十分に届いていない。

今日になり、ジャバリヤから避難しようとした人々の中にテロリストがいないか確認するため、イスラエル軍が、服を脱がせて調査している様子を、イスラエルのメディアが自ら報じた。非人道的だと問題になっている。

 

また消えた輝く笑顔たち:ジャバリヤでイスラエル兵4人と負傷兵1人死亡 2024.10.31

ガザ北部の避難民たちの悲惨さの一方、29日(火)、イスラエル軍でも、ジャバリヤでまた兵士4人が死亡。4人はジャバリヤでの作戦中、建物が爆発して死亡した。同時に1人が重傷となっている。

4人は、陸、空、またサイバー領域において多次元的な高度な作戦を遂行するゴーストユニットと呼ばれる、エリート部隊の退院たちだった。

エホナタン・ケレン大尉(22)、ニシム・メイタル軍曹(20)、アビフ・ギルボア軍曹(21)、スタフナ・オール・ハイモフ軍曹(22)

www.ynetnews.com/article/skxpjragkx#autoplay

また同じ日、ジャバリヤでの戦闘で重傷を負った中隊長のガイ・ヤコブ・ネズリ少佐(25)が、治療中の病院で死亡した。

全員、輝く様な笑顔で、家族たちの痛みはほんとうに計り知れない。

www.timesofisrael.com/idf-officer-succumbs-to-wounds-sustained-fighting-hamas-in-northern-gaza/

この兵士たちは、ガザ市民になんの恨みも持ってない。それなのに、戦争で死ななければならなかった。ガザ市民は悲惨だが、イスラエル人の傷もまた相当に深いことも覚えなければならない。