大嵐バイロン被害:1人死亡14人救出・ガザも洪水で悲惨 2025.12.12

イスラエル大雨で洪水・気温低下:死亡1人

大嵐バイロンは、12月10日(水)夜から11日、12日にかけて、イスラエルにとどまり、沿岸部や中央地域で、大雨になった他、南部ネゲブ地方含め、全国的な雨となった。同時に、10度以下という急激な気温の低下も記録した。

特に降水量が多かったのは、北部アトリートで200ミリ、ハイファで150ミリ、テルアビブに近いリションレチオンで120ミリなどとなっている。

洪水の被害が著しかったヤブネでは、道路からスーパーなどが浸水。8カ所から14人が車から救出された。また、自宅で男性(53)が、低体温の兆候を呈して死亡しているのが発見された。

以下はヤブネのスーパー、ラミレビ

道路の浸水は、ナハリヤ、スデロット、レホボトでも見られた。リションレチオンでは、学校で木が倒れ、10歳前後の少女2人が軽傷を負った。エルサレムでも、洪水に巻き込まれた車から脱出して、高台に逃れた人が救出された。

南部ベエルシェバや、ミツぺ・ラモン、死海でも雨が観測された。死海地域では、北部からの鉄砲水も発生したが、国道90号線の封鎖は近い地域に限定されていたとのこと。

ピークは12日朝(日本時間午後)には過ぎると予測されている。

www.ynetnews.com/environment/article/by46bjkzwe#autoplay

www.timesofisrael.com/man-found-dead-of-suspected-hypothermia-amid-winter-storm/

ガザ避難民のテント洪水:十分な保温もできず

ガザ地区では、避難民のほとんど全員がテントに住んでいる中で、この大嵐と低気温に見舞われている。

テント村は水浸し。テントの中が水浸しで、バケツで汲み出そうとする人もいる。道路は泥水に覆われている。子供たちはサンダルを履いている。

気温も下がっているが、毛布などもまだ不十分だという。支援物資は、停戦になって以来、毎日平均600台で入っていたが、今もまだ不十分であることがわかる。

ハマスの横領もあるが、冬に入って雨が降ることをまったく考えにいれていないということである。これから寒い冬に入り、伝染病もはやってくるだろう。

この点から見ても、ガザを支配するハマスが、ガザの人々のことなど、全く気にしていないことは明らかである。

abcnews.go.com/International/wireStory/winter-storm-rips-gaza-exposing-failure-deliver-aid-128308124

2024年に殺害された人質6人がガザでハヌカのろうそく点灯する映像公開 2025.12.12

イスラエル、また全世界のユダヤ人たちは、12月13日(日)夕刻から、22日(月)まで、ハヌカを祝う。9本ある特別なメノラーに毎日、ろうそくを灯して、イスラエルの独立を取り戻した時の神の奇跡を思う。

その3日前になる12月11日(木)、イスラエル軍が、ガザで発見した、ハマスが撮影したビデオクリップを、人質家族フォーラムが公開した。

(The Hostages Families Forum via AP)

映っているのは、2024年8月に、トンネルの中で殺害された状態で発見された、人質6人である。

ハーシュ・ゴールドバーグ・ポーリンさん(23)、エデン・イエルシャルミさん(24)、オーリー・ダニーノさん(25)、アレックス・ロバノヴさん(32)、カーメル・ガットさん(40)、アルモグ・サルシさん(27)

クリップは、ハマスがプロパガンダとして撮影した者と考えられ、かなり長い。ハヌカのろうそくに火を灯す様子もあった。ハヌカの歌を歌い、共に祈っている。笑顔で「ハグ・サメアッハ」とも言っている。

ビデオにむかって、「シャナ・トバ」と新年の祝いを告げるとともに、必ず帰るなどとも言っている。

6人は、共に語り合い、肩を寄せ合って共に祈る様子もあった。拉致されたからすぐの2023年12月の様子であることがわかる。暗いトンネルを歩く様子もある。

この他、映像の中での6人は、髪を刈りあったり、カードゲームをしたりしている。

6人はこの約8ヶ月後の2024年8月、ラファの地下トンネルで殺され、その2日後にイスラエル軍に遺体で発見されたのであった。イスラエル軍は、近くまで来ていたのに、6人を救出できなかったのである。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/newly-screened-footage-gives-unprecedented-insight-into-what-hostages-went-through-in-first-month-of-hamas-captivity/

もう死亡していて、この世にはいないのだが、まるで今もまだ生きているようである。ハーシュ・ゴールドバーグ・ポーリンさんの母親は、ポーリンさんの笑顔に目を止めていた。

今は亡き人質6人の家族たちは、「6人は、生きて帰るべきだった」と語り、なぜ彼らが死ななければならなかったのか、真実を追求し、国家が責任をとってこそ、癒しが始まると語っている。

イスラエル国民に対し、今年、ハヌカを祝うにあたり、人質と、戦死した兵士たちを忘れないでほしいと訴えた。

www.ynetnews.com/article/rkksf3om11e#autoplay

石のひとりごと

生き生きした6人の様子。なぜ今、ここにいないのかと思わない家族はいないだろう。

この人々はなぜ死ななければならなかったのか。主は皆の祈りを聞いてくださらなかったのか。

それでも、ユダヤ人は、すべては彼らの神である主のみこころであることを認めるしかない。ユダヤ人たちは、今年もハヌカを祝うのである。

行方不明のヨットの無事を確認:暴風雨バイロン到来中 2025.12.11

ギリシャ、キプロスを襲った暴風雨バイロンが、イスラエルに到来し、全国的な雨となっている。

沿岸部では大雨になっているが、今の所大きな洪水などの被害の報告はない。ピークは本日(日本時間今夜)と予測されている。

7日(日)から連絡がとれなくなっていた、イスラエルからキプロスへ向かっていたヨットだが、昨日、連絡がとれ、乗っていた5人全員の無事がわかった。

ヨットはその後、バイロンのピーク前にイスラエルへ到着するよう、急いでいるとのこと。

www.ynetnews.com/article/skv3rkpmzl

暴風雨バイロンの雨は、150ミリ以上になる可能性があり、海岸部、北部で洪水になると警戒されている。ネゲブへの鉄砲水で、南部にも洪水が発生するとみられ、様々な警戒体制がとられている。

IDF

軍では、週末に帰宅予定の兵士を早く帰宅させた。

また、10日(水)午後5時から、12日(金)朝6時まで(日本時間11日2時から12日午後1時まで)の外出は必要最小限とし、予定されていた軍の活動を保留にするなどの対処がとられている。

www.jpost.com/israel-news/defense-news/article-879944

(Photo: Kfir Sabag)

北部ヘルモン山(標高2100メートル)のイスラエル軍基地からは、今年初めての雪が降ったとの報告が出ている。

www.ynetnews.com/environment/article/bj9jniuz11g

ガザへの国際部隊派遣は来年初頭へ延期とトランプ大統領 2025.12.11

ガザへの国際部隊派遣は来年初頭へ延期とトランプ大統領

トランプ大統領は、先週、“2週間以内”、言い換えれば、今年中に、ガザについて、第二段階へ進ませると言っていた。

しかし、12月10日(水)になり、来年初頭にまで延期すると発表した。

第二段階では、多国籍軍による国際安定化軍(ISF)がハマスの武装解除をすすめるとともに、ISFとパレスチナ人文民管理職によるガザ地区の管理を設立していく委員会が立ち上がることになっている。

後者の委員会については、トランプ大統領側近クシュナー氏、ウィトコフ米特使、また元英国首相トニー・ブレア氏、元国連中東問題特使ムラデノフ氏が加わることになっている。

しかし、アメリカ以外にどの国が、ISFとこの委員会に加わるのかは、まだ明らかではない。トランプ大統領は、それについても来年年明けに発表するとしている。

しかし、ハマスは、基本的に完全な武装解除には応じないとしているほか、多国籍軍のガザでの駐留は、「占領」だとして反対を表明している。多国籍軍は、レバノンのUNIFILのように、国境周辺に限ると主張している。

イスラエルにとっても、まだ、最後の人質遺体、グヴィル軍曹が戻ってきていない。ハマスの非武装化も断固として達成するつもりである。ISFにトルコが加わることにも反対を表明している。

これでは、武装衝突になる可能性が高く、明確にトランプ大統領の計画に参加すると公宅に表明している国はない。クリスマスも近いことから、トランプ大統領は、第二段階の発表を延期したと、Times of. Israelの記事は書いている。

www.timesofisrael.com/not-in-time-for-christmas-trump-delays-gaza-peace-board-unveiling-to-early-2026/

複雑すぎるガザの現状:反ハマス勢力増加も期待うすし

ガザ地区では、現在、イスラエル軍が、イエローラインまでの領域、ガザ地区の58%を管理している。200万人近いガザ市民は、ほぼ全員が、その外側のハマスが支配する地域にいる。

様々な情報によると、ハマスは、今も数千人はいるとみられ、停戦になって以来、その地域での支配力を強めている。

最新のニュースでは、6ヶ月前から、ハマスが乳児用食料を、大量に横領していたとの訴えも出ている。それらを高値で売るなどして、人々の従順を余儀なくしている。

また住居を破壊することで、ビーチに住むしかなくなった人々に、借地料を取り立てているといった情報もある。

こうした中、ガザには、反ハマス勢力もいる。先週、南部ラファで、イスラエルとも協力していると言われていた、反ハマス部族の最高指導者、ヤセル・アブ・シャバブが家族間抗争?で死亡した。*イスラエルとの協力はアブ・シャハブ自身は否定

その後、すぐに後継者、ガッザン・アル・デュハイニが立ち上がり、変わらぬハマスへの反抗を表明している。

エジプトの治安関係者によると、反ハマス勢力は、まだまだ小さいものの、増加傾向にあるという。停戦以降だけで、400人増え、今は、1000人になっているとみられている。

新しい指導者になった後も、イスラエルとの協力は継続している可能性はあるが、イスラエルからのコメントはない。

ガザの反ハマス勢力について、西岸地区の大学で国際情勢を教えるパレスチナ人、ガッサン・アル・カティブ氏は、ガザでは、ハマスによって、生活が崩壊したことから、ハマスへの支持は低下していると語る。

しかし、一方で、反ハマス勢力は、イスラエルとの協力が疑われていることから、裏切り者との認識であり、こちらも支持率は低いという。反ハマス勢力は、ハマス鎮圧を目指すイスラエルに利用されていると考えられている。

パレスチナ自治政府に主要勢力であるファタハ(アッバス議長所属)も、反ハマス勢力とは無関係だと強調している。

www.jpost.com/international/article-879895

アムネスティ(国際人権保護NPO団体)10月7日のハマス襲撃を非人道的戦争犯罪と非難:最後の人質遺体返還を要求 2025.12.11

アムネスティ(国際人権保護NPO団体)が、2年以上たって初めて、10月7日のハマスのイスラエル人襲撃とその後の行為が、非人道的な戦争犯罪であったと認め、これを、国際人道法に違反として、非難する声明を出した。

アムネスティは、これまでからも、ハマスの行為を戦争犯罪とは位置付けていたが、非人道的と表現するのは今回が初めてである。

173ページにわたる報告書の中で、アムネスティは、死亡した民間人は、パレスチナ人テロリストによる殺人、絶滅、投獄、拷問、強制失踪、強姦など、非人道的な扱いを受けた証拠を提示している。

また、人質とその遺体を返還しないという点でも国際法に違反しているとも記載しており、最後の一人になっているラン・グヴィリ軍曹の遺体を速やかに返還するよう要求している。

これらの犯罪行為について、今回、アムネスティは、ハマスの軍事部門、アル・カッサム旅団が主な責任者で、この他にも、イスラム聖戦、アルアクサ殉教団、組織とは無関係の民間人も、程度には差があるとはいえ、犯罪に加わっていたと明記しているとのこと。

www.jpost.com/international/article-879982

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/in-first-amnesty-accuses-hamas-of-crimes-against-humanity-during-oct-7-attack-and-gaza-war/

なお、アムネスティは、イスラエルに厳しい報告を出すことも少なくない組織である。

昨年12月には、パレスチナ人を大量虐殺したとして、イスラエルを非難する報告を出していた。

負傷兵増加の見通し:PTSDを予防する効果が期待されるプログラム 2025.12.11

IDF Chief of Staff Lt. Gen. Eyal Zamir meets with troops wounded in Syria, at Sheba Hospital in central Israel, November 28, 2025. (Israel Defense Forces)

イスラエルでは、ガザとの戦争の2年の間に、2万2000人の負傷兵が出ている。

その半分以上にあたる58%は、PTSD(心的外相後ストレス症候群)と診断されている。

イスラエルは、このままであれば、2026年末までに、新たに1万人が負傷して、リハビリセンターに来ると予測している。

このため、政府のリハビリセンターへの予算、83億シェケルのうち、半分近い41億シェケルは、心理的ケアに充てられているという。イスラエル軍は、2024年3月に、兵士のメンタルケアの部署を立ち上げている。

それでも、イスラエルはまだガザや西岸地区、レバノンなど各地に、兵士を送り込まなければならない。イスラエル軍は、現在、厳しい人員不足に直面している。このため、いよいよ超正統派の若者を徴兵するかどうかで大揉めになっているところである。

こうした中、テルアビブ大学と、イスラエル軍医療部隊、アメリカ国防軍が、世界で初となる、PTSDを予防するプログラムのテストを行い、効果が認められたと発表した。

Prof. Yair Bar-Haim, (Courtesy/Tel Aviv University)

プログラムを開発したのは、テルアビブ大学の心理学神経科学スペシャリストで、国立トラウマ回復センターの代表者でもある、ヤイール・バル・ハイム博士である。

PTSDは、日頃から、自分に差し迫る危機に鈍感な人がなりやすいという傾向があるという。そういう人が、PTSDになると、危機的な状況でない時にも、自分の身に危機になるかもしれないことに注意を集中させてしまうことで、症状が出るという一面があるとも考えられている。

このため、ヤイール・バル・ハイム博士は、逆に危機的になりうる状況に慣れる訓練を考えたということである。いわば、PTSDのワクチンのようなものだろうか。

訓練は、コンピューターを通して、1回目は、普通の声と脅威の声を聞かせて、どちらが危機かを、すばやくクリックさせる。2回目は、普通の顔と脅威の顔を見せて、どちらが脅威かを選ばせる。一回につき160回で7分間、このプログラム4回を、日をおいて実施する。

プログラム自体は、単純で、ゲーム感覚とのことだが、兵士たちが、現場において、危機的状況に、より集中できるようになるという。

最初の調査は、2012年から始まり、2014年のガザとの戦争では、すでに実戦からの結果も得ていた。それによると、訓練を受けていた兵士でPTSDになった人は、2.6%だが、受けていなかった兵士は、7.8%だった。

その後、2022―2023年にかけて、イスラエル兵800人で行われたテストによると、このプログラムを受けていて、PTSDになった兵士は、1%だったのに対し、プログラムを受けていなかった兵士は5.3%と、5分の1に抑えられていた。

また、この時、オリジナルのプログラム、改善が加えられたプログラムと、プラセボの兵士でみたところ、最も予防効果を発していたのは、オリジナルのプログラムだったという。

このプログラムはまだ軍の、メンタルケアに取り入れられていないが、今後に期待がよせられている。

www.timesofisrael.com/computerized-prevention-program-could-lower-ptsd-to-1-of-former-combat-troops/

石のひとりごと

まさにPTSDのワクチンのような感じである。なので、ワクチンと同様、プログラムを受けておけば、PTSDをある程度予防できるとはいえ、なってしまう兵士もいる。

それにしても、訓練で使われる怖い顔をみただけで、すでに心に染みつきそうな感じもする。

記事を書きながら、日本人には、とうてい、ついていけそうもないと思わされたが、イスラエルが置かれている状況が、それほどに厳しいということも実感できるのではないだろうか。

受け入れ難い状況を、しっかり直視して、その対策をしていくという、いつものイスラエルの様相ともいえる。

イスラエルに大嵐バイロン到来で記録的大雨と洪水警告:イスラエル人のヨット不明のまま 2025.12.10

ギリシャとキプロスを通過し、洪水をもたらしていた嵐、バイロンが、12月9日(火)夜(日本時間本日朝)から、イスラエルに上陸し始めている。

風速80メートル/時、降水量は、100-150ミリで、警報は全国的に出されているが、特にヘルツェリアなど、海岸部都市で、深刻な洪水になる可能性があるという。救出用のボートが準備されている。

Times of Israelによると、排水が追いつかなくなると予測されており、エレベーターの使用や、地下の駐車場は使わないようにするなどの指示が出ている。

テルアビブでは、2020年の大雨の時に、エレベーターに取り残された男女が死亡する事故が発生していた。

ベン・グリオン空港も警戒に入っている。高速道路については、洪水になりやすい地域をマッピングし、追加のポンプが用意されているほか、早い警告を出すためのパトロールを強化している。

北部で洪水になると、南部のネゲブ地方に向けて、鉄砲水になる。大雨の直撃はなくても、こちらでも洪水になる可能性が高い。

www.ynetnews.com/environment/article/by5rfcbgze

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/storm-byron-begins-to-hit-israel-as-officials-warn-of-difficult-conditions-rain-expected-like-weve-never-seen/

こうした中、アシュドドからキプロスへ、向かっていたヨットが、キプロスに到着する直前、12月7日(日)から、コンタクトが取れなくなっており、今も行方がわかっていない。ヨットには、イスラエル人5人が乗っているとのこと。

嵐が発生している最中に、なぜ出航が認められたのかなども含め、捜索と捜査が進められている。

www.jpost.com/environment-and-climate-change/article-879804

また、イスラエルが、この大嵐に見舞われるということは、ガザも同様である。駐留しているイスラエル兵たちはどうするのか。テント生活の人々への打撃は計り知れない。主のあわれみを祈る。

テルアビブ市がクリスマスの挨拶:サイバーウイーク開催中 2025.12.10

テルアビブでは、12月8(月)から11日(木)の3日間、テルアビブ大学で、毎年恒例で、今年15回目になるサイバーウイークが行われている。

サイバーウイークは、国際的なサイバーセキュリティのカンファレンスである。

サイバーセキュリティの専門家、技術者、業界リーダーや、スタートアップ、投資家や学者、外交官や、政治家まで様々な人々が、99カ国から11000人以上参加している。

イスラエルには、政府機関としての国家サイバー総局(INCD)があり、サイバーウィーク主催者の中にあがっている。

イスラエルは、この分野では、文字通り世界をリードする国である。

cyberweektau.com/about/

 

こうした中、テルアビブ市が、世界に向けて、クリスマスの挨拶クリップを発表した。

イスラエルでは、今週末12月14日(日)日没から、22日(月)までハヌカの祭りに入る。その後にクリスマスと、祭り気分の12月ということである。

 

なお、このビデオが発表された後に、嵐バイロンが到来するという、なんとも皮肉な流れである。まあそんなことには、いっさい負けないイスラエル人だろう。

イスラエル、は戦争中であり、傷ついている人も多いのだが、それでも前に進むという感じである。

ガザ第二段階の論議始まる:ハマスは武装解除拒否も武装凍結は示唆 2025.12.8

ガザでは、人質の解放が進み、あと一人、ラン・グヴィル軍曹の遺体が残されているだけとなった。イスラエルは、ハマスは、遺体の場所を知っているはずだとして、速やかに引き渡すよう、仲介者を通してハマスに伝えている。

Ben Gurion Airport, October 13, 2025, near Tel Aviv. (AP/Evan Vucci)

こうした中、トランプ大統領が、ガザ停戦20項目に基づき、第一段階はほぼ完了したとして、2週間以内にも第二段階が始まるだろうと表明した。

ネタニヤフ首相も、ドイツのメルツ首相訪問時の共同記者会見において、まもなくハマスの武装解除という第二段階に進み、その後、ガザ全体の非過激化を進める時が来たと述べた。

それが可能であると考える理由として、第二次世界大戦後にドイツと日本などで、国家レベルの非過激化に成功したことを例として挙げていた。(当時の日本は、過激化されていたという認識である)

しかし、トランプ大統領の20項目による第二段階は、多国籍軍による国際安定化軍(ISF)によるハマスの武装解除となっており、これに合わせてイスラエル軍は撤退。パレスチナ人文民管理職によるガザ地区の管理を進めるとなっている。

ネタニヤフ首相は、国際安定化軍(ISF)が、ハマスの武装解除ができるとは思えないとの考えを表明しており、撤退する気はないとみられる。

一方、ハマスは、武装解除とガザからの離脱も考えられないと明確に拒否を表明。国際安定化軍がハマスの武装解除をすることはできないと言っている。

Bassem Naim, an official in Hamas’s political wing, speaks in Istanbul, Turkey, December 5, 2024. (AP/Francisco Seco)

しかし、ドーハ(カタール)で・ガザのハマスを主導する者の一人、バセム・ナイムは、パレスチナ国家樹立に向けたプロセスの一環として、武器の凍結、または格納する用意はあると表明した。

バセル・ナイムは、この武器凍結・格納の期間として、5―10年という長期期間を上げた。

その間に、パレスチナ国家を樹立するということだが、その間、武器には触れないと言っている。

www.timesofisrael.com/hamas-ready-to-discuss-freezing-or-storing-its-weapons-says-terror-group-official/

トランプ大統領の20項目は、おおさっぱであることから、双方が様々な捉え方で、それぞれの動き方をする可能性が出てくるので、ハマスがこんな自分中心の意見を出してくると思われる。

実際のところ、ガザではイエローラインが新たな国境のようになっており、それを境に、ハマスとイスラエル軍の衝突が頻発している。イスラエル軍が反撃で空爆したこともある。

AP

また、グヴィル軍曹の遺体引き渡しも終わっていないので、家族たちは、第二段階に進むことに反対を表明している。

第二段階の議論が始まっているが、理想的な計画と現状には、大きな開きがあるように思う。

 

ドイツのメルツ首相イスラエル訪問: イスラエルからドイツへアロー3迎撃ミサイル納入後 2025.12.8

ドイツは、欧州では、最もイスラエルを支持する国である。しかし、ガザでの人道状況については、イスラエルに反対を表明する傾向にあった。

ドイツは、今年8月、ガザで武器が使われないようにすることを理由に、スペインやカナダとともに、イスラエルへの武器販売を停止すると発表した。しかし、ドイツは、これを11月に解除すると発表していた。

www.timesofisrael.com/merz-to-visit-israel-for-1st-time-as-german-chancellor-will-meet-pm-and-visit-yad-vashem/

at the Holzdorf Air Base, eastern Germany, on December 3, 2025. (RALF HIRSCHBERGER / AFP)

この後、イスラエルは、ドイツと昨年9月に契約していた、アロー3長距離迎撃ミサイルのドイツ空軍への引き渡しを12月3日(水)に完了した。イスラエルの防衛輸出取引では史上最大となる、46億ドルの取引であった。

www.timesofisrael.com/israel-delivers-arrow-3-to-germany-in-largest-defense-export-deal-ever/

この4日後の12月7日(日)、ドイツのメルツ首相がイスラエルを訪問した。メルツ首相が、5月に就任以来、初めてのイスラエル訪問である。また、欧州の首脳が、イスラエルを訪問するのは、1年半ぶりでもあった。

メルツ首相は、ネタニヤフ首相と会談。サル外相、カッツ国防相他、防衛関係者も交えての会談も行い、両国の関係が不動であることをアピールした。

メルツ首相は、ヤド・ヴァシェム(ホロコースト記念館)を訪問。記念ホールだけでなく、歴史ミュージアムも回り、ホロコーストの責任を負うドイツは、今後もイスラエルを支持し続けると表明した。

ドイツとイスラエルの国交は、今年60周年を迎えるとのこと。

ヨーロッパ諸国は、ロシアとの対立に直面している。ネタニヤフ首相によると、多くの国が、イスラエルの武器を購入したいと言っているとのことである。

2年ぶりにクリスマス前の賑やかさ戻るベツレヘム 2025.12.8

クリスマスといえば、イエスが生まれた町、ベツレヘムである。ガザでの戦争に加え、西岸地区でも衝突が絶えなかったこともあり、過去2年の間、町を上げての盛大なクリスマスの祝賀は、行われなかった。

しかし、今、ガザが停戦になっていることを受けて、2年ぶりに、キリスト降誕教会前広場に、大きなクリスマスツリーが設置され、12月6日(土)、点灯式が行われた。

広場は、数千人の人々でいっぱいだった。西岸地区だけでなく、イスラエルからや、世界各国からも訪問客がいたとのこと。停戦になってから、海外からの観光客もゆっくりだが、戻ってきているのである。

ベツレヘムは観光で持っている町である。コロナで大打撃を受け、2022年に、いったん回復したが、2023年10月7日で再び大打撃となった。

この2年間の打撃は、コロナ以上だったという。ベツレヘムでの失業率は、14%から65%で、住民4000人が町を出たとのこと。

ツリーの点灯は、文字通り、ベツレヘムの人々の希望となっている。

www.timesofisrael.com/christmas-festivities-return-to-bethlehem-after-2-years-of-war-in-gaza/

ハマスは場所を知っているとイスラエル主張:最後の一人ロン・グヴィル軍曹の遺体返還を要求 2025.12.6

ガザに残されている人質の遺体は、ラン・グヴィリ軍曹一人になっている。イスラエルは、仲介者に対し、ハマスは、遺体がどこにあるのか把握しているはずだとして、直ちに引き渡すよう伝えたとのこと。

www.timesofisrael.com/israel-told-mediators-that-gaza-terror-groups-can-reach-body-of-last-hostage-report/

一方、12月4日(木)、ラファでは、イエローラインから出てきたハマスに対し、イスラエル軍が攻撃を実施。ハマスの大隊長など司令官を含む40人が死亡したとTimes of Israelは伝えている。

www.timesofisrael.com/anti-hamas-militia-leader-yasser-abu-shabab-killed-in-internal-clash-in-gaza/

こうした中だが、トランプ大統領は、ここ2週間の間に、ガザは、第二段階に進むと示唆している。

www.timesofisrael.com/us-seeking-to-declare-transition-to-phase-2-of-its-gaza-plan-in-coming-weeks-official/

イスラエルは、「ハマスの完全な武装解除から譲歩することはない。イスラエルに危機になることを黙認しない」と警告している。停戦崩壊が懸念されている。

石のひとりごと

一人だけになった人質の遺体。ガザにのこされたまま、停戦が崩壊し、戦闘拡大することや、トランプ大統領の言う、第二段階に入ることに家族は反対を訴えている。

その心の痛みは想像を絶する。グヴィル軍曹の遺体が、早くイスラエルへ戻れるよう祈る。