テルアビブでナイフテロ:17人負傷 2015.1.22

水曜朝7時15分、テルアビブの中心で、パレスチナ人が、バス内部でナイフで乗客を刺し回るテロが発生した。犯人はバスから降りた後も通行人をナイフで刺している。

犯人はその後、バスの後続車に乗っていた刑務官3人に取り押さえられたが、被害は、重傷者4人、中等度の負傷者3人、軽傷6人他、ショックに陥った人など計17人に上っている。*負傷者の人数は、メディアによって格差あり。

テレビでは朝からひんぱんに実況中継を行っていたが、現場は、蜘蛛の子を散らすように走って逃げる人々、負傷した人の血があちこちにあり、壮絶な様相である。

<テロ犯に立ち向かうイスラエル人>

犯人はバスに乗ってすぐ運転手のヘルツェル・バイトン(55)さんを刺し、そのままバス内部の乗客を刺し回った。バイトンさんは、胸に2カ所負傷しながらも犯人を取り押さえようとし、周囲にいた乗客らも勇敢に協力していた。バイトンさんは重傷者の一人で現在、手術中となっている。

ネタニヤフ首相は、犯人を逮捕した制服の刑務官3人が、治安部隊として的確に対処していたとして、ねぎらいの電話をかけた。

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4617622,00.html
www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Recording-of-call-to-MDA-during-Tel-Aviv-terror-attack-released-I-feel-blood-all-over-my-body-388442

<予防がしにくい突発的単独犯か>

逮捕された犯人は、西岸地区トゥルカレム出身で、イスラエルへ違法に侵入していたパレスチナ人、ハムザ・マトルーク(23)だった。

犯行の動機について、昨年夏のイスラエルのガザ攻撃、神殿の丘での紛争への報復であると主張。インターネットで過激なイスラム主義を学んだと言っている。しかし、前夜は11時まで友人とともにいて、冗談を言い合い、犯行の予兆は全くなかったという。

今のところ、ハムザの単独犯とみられているが、ハマスはこの犯行を、「イスラエルに対する自然な反応だ。」と賞賛する声明を出している。

ネタニヤフ首相は、「パレスチナ自治政府が、こうした個別のテロを煽っているからだ。」と避難する声明を出した。首相が主張する通り、事件後パレスチナ人らはすぐに、このテロを賞賛するイラストをインターネットに流している。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/190268#.VL_PoKW9DCs

アメリカ大使館、日本大使館も、バスなど公共交通機関の使用を控えるようにとの通達を出しているが、エルサレムでも、バスは相変わらず満員だった。

先週まで全国的に相当寒かったイスラエルだが、今日から急に気温が上がったことで出かける人が急増している。エルサレムでも、午後には24度まで上がった。

北部シリア国境:厳戒態勢 2015.1.22

日曜、イスラエル空軍の攻撃で、ヒズボラ6人、イラン革命軍兵士6人(司令官1人を含む)の計12人が死亡したが、ヒズボラ、イランがそれぞれイスラエルへ報復すると言っていることから、北部シリア国境では厳戒態勢に入っている。

迎撃ミサイル配備の他、国境を走る国道は、閉鎖され、国境では、次々に配備される戦車や軍用車が目撃されている。

本日水曜には、国境を越えて不審者が侵入したとの情報があり、一時周辺住民は屋内から出ないようにとの指示が出た。こちらは午後6時の時点で解除となった。その前には国境で、ヒズボラの旗を掲げた車が、空中に威嚇射撃し、住民を恐怖に陥れていた。

ヒズボラはイスラエルに報復するとしながらも、イスラエルとの全面戦争は望んでいないと表明している。しかし油断はできない。イランでは、本日、死亡した司令官の葬儀が行われ、イスラエルの旗を群衆が踏みつけ、燃やす様子が伝えられている。

南部ベドウインの町で暴動 2015.1.22 

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4617695,00.html

ベエルシェバ近郊のベドウインの町らファット。非常に貧しく、高校など学校が麻薬売買の巣になっている。そのラファットに、先週水曜、警察が突入し、麻薬ディーラーらを逮捕した。この時の衝突で、警察官3人が負傷した他、アル・アジャール(22)が警察の発砲で死亡した。

これに対し、ベドウインたちが、アル・アジャールは麻薬関係者ではなかったと主張して警察に反発。暴力的なデモに発展し、警察との衝突で、ベドウインがさらに一人死亡した。以来、警察に火炎瓶を投げるなどの衝突が続いている。

アル・アジャールの葬儀は日曜に行われたが、その時の渋滞で、前後左右を車で囲まれて動けなくなった警察車両が、群衆に投石などで襲撃された。警察車両は防衛仕様になっているが、それでもかなりのダメージを受けており、中にいた5人の警察官の命に危険が迫る状態だたという。

昨日火曜、周囲の車を蹴散らしながら逃げようとする警察車両の様子が公開された。今後のイスラエルとベドウインの関係悪化が懸念されている。

現在、イスラエル領内に定住しているベドウインは、約20万人で、全人口の3.5%を占める。その50%がラファットに在住している。

ベドウインは、常にイスラエルで最も貧しい人々で、彼らの町は、犯罪の温床になっている。イスラエルは、ベドウインの生活向上のために様々なプロジェクトを展開しているが、状況は改善していない。

ISISの捕虜になった日本人:イスラエル国内の報道 2015.1.22

ISISが日本人捕虜2人の殺害予告をしたことについては、日本のテレビニュースを交えながらイスラエルでも報じられた。

後藤健二さんが、シリアへ出発前に、「非常に危険なところに行く。何が起こっても責任は私自身にあります。何が起こってもシリアの人々に責任を負わせないでください。」と語っているビデオも流されている。クリスチャン(日本基督教団田園調布教会所属)らしいコメントだ。 http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/190263#.VL_RVaW9DCs

世間からは若干変人扱いされている湯川さんを助けに行くと言っていたという点も、クリスチャンらしい発想と言える。

www.christiantoday.co.jp/articles/13401/20140530/goto-kenji.htm?utm_content=buffer92c44&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer (後藤さんの救いの証など:日本語)

後藤さんの妻には昨年11月ISISから、20億円の身代金要求のメールが入っていたという。身代金支払い期限の72時間が刻々と迫る中、政府は対策本部をヨルダンの日本大使館において、ISISとの交渉を試みている。安倍首相と政府が適切な対応をすることができるように。

主が、今、後藤さんに深く臨んでくださり、語り導いてくださるように。後藤さんが湯川さんとコンタクトがあるのかどうかは不明だが、湯川さんが救われるように。ご家族や所属教会を励まし、強めてくださるようにと祈る。

イスラエルの攻撃か:ヒズボラとイラン兵士12人死亡 2015.1.20

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4616860,00.html

19日、イスラエル軍とみられるヘリコプター、もしくはドローンが、ゴラン高原のシリア側で、走行する車に向かってミサイル2発を発射。ヒズボラの軍事指導者ジハード・ムグニエ(25)を含むヒズボラ戦闘員6人と、イラン革命軍兵士6人が死亡した。

ジハード・ムグニエは、2008年にイスラエルに暗殺されたヒズボラのカリスマ軍事司令官イマド・ムグニエの息子である。この件については、ヒズボラは今もイスラエルに対する深い恨みをもっている。その息子がまたイスラエルに殺されたのである。ヒズボラは、ただち報復すると警告した。

イスラエル軍からの正式な発表はないが、諜報機関によるとゴラン高原で重大なテロを計画していたとみられる。
www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/190132#.VL2f06W9BCs
 
19日、ジハード・ムグニエの葬儀が行われ、群衆が「イスラエルに死を」と叫んでいる様子が伝えられている。他の5名の葬儀は20日に行われる。イランは19日、司令官1人を含む革命軍兵士6人が、死亡したことを確認したと発表した。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4616784,00.html

ヒズボラは、シリア内戦に加勢しているため、イスラエルとの全面戦争は避けると見られるが、ヒズボラがイスラエルに向かって配置しているミサイルは10万発に及ぶ。

イスラエルは、北部シリアとの国境付近に迎撃ミサイルを配置した。

パリ・テロ攻撃の波紋・その後 2015.1.20

パリでのテロ以降、ヨーロッパは対テロ対策で緊張が続く。ベルギーでは、安息日にかけてシナゴーグなどユダヤ関連施設周辺に数百人規模の軍が派遣されている。町に兵士が立ち並ぶのは、戦後30年以来だという。

ガザ地区では、昨年12月にISISと名乗る過激派らがフランス・カルチャー・センターを爆破した経過があるが、19日、フランス大使館前で、200人がシャルリー・エブド社に反発し、フランスやアメリカの国旗を燃やすなどのデモを行った。

アフリカのニジェールでは、イスラム教徒らが、フランスに対するデモを行っていたが、だんだん暴力的となり、6つのキリスト教会に放火して破壊した。

<イスラム過激派の限りない残虐性>

ISISの登場以来、イスラム過激派の暴力がさらに残虐性を増して来ている。ナイジェリアのボコハラムは、200人の少女を誘拐して世界に知られるようになったが、昨年末、ISISの参加に入ると表明。残虐な行為を続けている。

19日、ボコハラムは、隣国カメルーンからも、80人を誘拐した。カメルーン軍の反撃で、24人は解放されたが、まだ多くは拉致されたままである。

また、BBCによると、衛星写真上、ナイジェリア北部の住民3万人がいなくなり、消滅したとみられる町がある。少なくとも2000人は死亡したと懸念されている。http://edition.cnn.com/2015/01/19/africa/cameroon-boko-haram-kidnap/

ISISは、最近では、同性愛者をビルの上から突き落として殺害する様子が伝えられた。また、以前誘拐したヤジード教徒のうち、高齢者や子供、病気の者たちが、解放されて戻って来た。つまり、使いようのない者は不要というわけである。

安倍総理イスラエル訪問:日本・イスラエル・ビジネスフォーラムより 2015.1.20

安倍晋三総理がエジプト、ヨルダンを訪問し、18日からイスラエルを訪問。ネタニヤフ首相、リブリン大統領との会見し、中東の過激化を止めることへの協力を確認。日本・イスラエルのビジネス・セミナーで両国の友好関係を深める道作りを行っている。

19日には、ヤド・バシェムを訪問して献花。ネタニヤフ首相夫妻と安倍首相夫妻そろっての夕食会。明日20日は、ラマラのパレスチナ自治政府のアッバス議長を訪問し、日本が援助して来たエリコ周辺の視察を行う。

安倍首相訪問は、イスラエル国内では、ほとんどニュースになっていないが、エジプト支援に430億円、ヨルダンの難民支援、対テロ支援に120億円の円借款を約束ことは、イスラエル人らの注目を引いているようである。

<安倍首相とともに日本から280人のビジネスマン>

安倍首相の公式訪問の取材は、日本から来た外務省付きの記者らが取材を行っているので、大手新聞社でも現地記者が取材できるのは限られているという。

唯一、取材できたのが、18日にエルサレムで行われた、ネタニヤフ首相、安倍首相ともに出席する日本・イスラエル・ビジネス・フォーラム(JETRO/日本貿易振興機構主催)だった。

JETROスタッフによると、セミナーには、日本から来たビジネスマン280人(費用は税金ではなく自前だと強調)とイスラエル人ビジネスマン300人が登録。実際には500人程度の経済人がセミナーに参加したとみられる。

両国とも参加者は、社長やビジネスマンで、日本からは日本総理府関係者、外務省、大使館関係者も来るなど、ほとんど全員が黒などダークカラーのスーツ姿、会場も5つ星ホテルのウォルドルフ・アストリアホテルで、高級感ただようセミナーだった。

セミナーでは、ネタニヤフ首相と安倍首相が冒頭で挨拶を行い、両国が、国をあげてビジネス・パートナーであることをアピールした。

ネタニヤフ首相は、今後数年間、日本とのパートナーシップ強化のために特別予算を計上していることを明らかにした。方策の一つは現在東京にあるイスラエルの貿易事務所を大阪にも設置する。

ネタニヤフ首相は、「イスラエルとの連携を決めた日本政府の決断は両国にとってよい決断である」と語った。

一方、安倍首相は、「両国は共に資源がなく、イノベーション(技術革新)が重要だ。イスラエルは、毎年新しい技術でスタートアップ国と言われる。イスラエルとの協力は不可欠だ。」と語った。

今回は特に、両首脳が見守る中、ICT(情報通信技術)分野での研究協力に向けた署名式が行われた。日本はサイバーセキュリティが弱く、情報は筒抜けと指摘されるところだが、今後、サイバーセキュリティでは世界一とされるイスラエルとの共同研究をすすめる。

その後、日本から来た日本企業で、イスラエルへの進出をもくろむ会社社長がそれぞれの社のプレゼンテーションを行った。

1)食品系

チョーヤ梅酒(株)の金銅重弘社長は、「梅酒の梅はプラムではない。日本にしかないアプリコットの類いだ。」 とこだわりを披露。梅酒がイスラエルの常識になってほしいと語った。なぜイスラエルなのかを聞くと、社長は、「イスラエルにはお金のある人が多いから。」と答えた。

チョーヤは、毎年一回、ラビを招致してコシェルの認定を受けた梅酒を、イスラエルの空港内で販売している。今回の会場でも梅酒をふるまっていた。今後さらにイスラエル国内に市場をひろげたいと語る。

チョーヤと並んで、ジャパンウィークでも単独で出店していた福岡県ブランドの日本酒「梵」が今回も酒を振る舞っていた。

次にキッコーマンの染谷光男社長。イスラエルでは寿司が相当な人気でもあることから、キッコーマンの醤油は、すでにイスラエルのスーパーでも普通に買えるようになっている。しかし、 500CCの醤油が、30シェケル近くする(約1000円)。

キッコーマンは、特にすぐれたコシェルであるウルトラ・コシェルの認定をとっている。キッコーマンでは、醤油文化をイスラエルにさらに浸透させるため、3年まえから毎年、すしのコンテストを行っている。

2)投資系

伊藤忠の投資系会社の安達俊久社長が、イスラエルのベンチャー企業への投資への意欲を語った。

「イスラエル人は、失敗を恐れない。また失敗してもやり直せる環境がある。”奇人変人”を受け入れるイスラエルには、0から全く新しい発想が出て来る」と評価(?)。日本はその点には弱いが、それを何倍にも拡散することができるとアピールした。

変わりどころでは、若手投資企業のサムライ・インキュベーター(テルアビブ本社)を経営する榊原健太郎氏。まだ若いがこれまでにイスラエルのベンチャー企業十数社に投資し、利益を上げている。日本企業の誘致活動も行う。http://www.samurai-incubate.asia/?lc=jp

最近では、テルアビブでトヨタとともにハッカソンを開催するなど、数多くのイベントをイスラエル国内で開催し、投資する企業をさがす。毎週木曜、テルアビブでサムライナイトを無料で開催し、イスラエルと日本を結ぶ働きをしている。

榊原氏は、若手らしい元気なプレゼンを行い、2015年には30社に投資するとの目標を語り、イスラエル人らから歓声があがった。なお、テルアビブには、もう一つ若手の岡田一成氏が経営するジャパンイノベーションセンターがある。

3)サイバーセキュリティ系

ザインエレクトロニクス(株)の飯塚哲哉社長が、イスラエルからはウイルスに感染した情報が非常に少ないと評価した。この他、情報通信研究機構(NICT)の坂内正雄もプレゼンテーションを行った。

この他、参加していた企業は、IBM, 三井物産、富士フイルム、三菱商事、パナソニック、みずほ銀行、前川製作所、欧州三井住友銀行など多数。

セミナーは2時間ぐらいだったが、ネタニヤフ首相と安倍首相に出番が終わるやいなや、報道陣はほとんど全員退散。チョーヤやキッコーマン社長らが、プレゼンテーションを行う中、最後まで残ったビジネスマンは3分の1程度だった。

会場右側日本人席、左側イスラエル人席だったのだが、閉会後、案の定、右側は整然としてごみもまったく落ちていないのに、左側は、プログラムやらなにやらが散らばり、むちゃくちゃになっていた。

セミナー後は立食ビュッフェ。ローストビーフや、新鮮なサーモンなど、高級料理がならんでいて、JETROの人にどうぞと言われるまま、思わぬお相伴にあずかってしまった。

<石のひとりごと>

今回、エジプトやヨルダンで相当な額の円借款を決めた日本。額が大きいので、イスラエル人らから、「Interesting」と言われた。いつもは非常に陰のうすい日本が若干、注目を得たようである。

しかし、表立ってイスラエルと手を結び、首相が、西側の対テロ政策に同調する発言をするなど、今後、日本も世界テロから無縁ではなくなってくるかもしれないと、私たち国民も覚悟を決めておいた方がいいだろう。

イスラエル側に立っているカナダの外相は、安倍首相とほぼ同時に来たが、パレスチナ自治区を訪問した際、卵や靴をなげつけられ、「カナダは歓迎しない」とのデモに遭遇している。

日本はパレスチナ人には相当支援を行っているので、安倍首相が靴を投げられることはないと思うが、そうした中東の本質は、アメリカですらよく理解できていないと言われる。日本の外務省がよく理解した上で、中東という火の中に手を突っ込んでいただきたいと思うところである。

安倍首相を直接拝見するのは初めてだったが、背たけや雰囲気などは、テレビで見るのと全く同じ安倍首相だった。中国人とも韓国人とも違う、「日本」のにおいがしてきそうな人物だった。

ヨーロッパ・ユダヤ人危機!? フランス・テロ事件の波紋とその後 2015.1.17

先週9日にパリで17人が死亡したテロ事件。その後様々な動きや論議が続いている。主にユダヤ人に関するその後の動きと論議について以下にまとめる。

<ヨーロッパ各地で テロ警戒態勢:ユダヤ人学校休校> http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4615831,00.html

フランスでのテロ事件から、ヨーロッパでは、いつ同様のテロが発生するかわからない状況が続いている。 

15日、ベルギーでは、テロを計画していた組織へ警察が突入。シリア帰りのテロリスト2人を射殺した。取り逃がした者があったため、ベルギーでは16日、万が一に備え、ユダヤ人学校を休校にする措置をとった。オランダ、デンマークでも同様の措置がとられた。

ベルギーでの突入の後の16日、フランス、ベルギー、ドイツ、イギリスの警察は、これまでにISIS関連者などイスラム過激派、少なくとも30人を逮捕している。今後、こうした動きに対し、報復テロの可能性も懸念されている。

CNNがワシントンの情報筋として伝えたところによると、フランス、ドイツ、ベルギー、オランダで、テロが発生するとの警告がある。パリでは、16日、電車駅では、爆弾テロの懸念から乗客を避難させ、駅を一時閉鎖した。

イギリスでは、テロは発生していないが、危険分子を2人逮捕した他、ユダヤ関連の施設を中心に警備体制を強化している。

ヨーロッパのユダヤ同盟代表のラビ・メナヘム・マーゴリンは、EUの内務省に対し、ユダヤ人学校の校長や教師が、銃を所持して自衛する許可を要請した。

イギリスのキャメロン首相は、ホワイトハウスのオバマ大統領を訪問。現在シリア・イラクで行われているISISへの攻撃を含め、今後のテロ対策について会談。一方17日、ケリー国務長官がパリを訪問し、アメリカはフランスとともにあるとのメッセージを伝えた。

アメリカは、先週パリで行われたテロへの反対と言論の自由を訴えるマーチ(ネタニヤフ首相を含む40カ国首脳とともに200万人が参加)に参加しておらず、批判の目が向けられていた。

<言論の自由に限界はある!?:イスラム教徒ら各国で大規模デモ> http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4615892,00.html

今回ヨーロッパを混乱に陥れたシャルリー・エブド紙のイスラム教預言者モハンマドを風刺した絵は、イスラム教徒には侮辱と映るものだった。しかし、同社は、テロの後にも、新たなモハンマドの風刺画を出し、テロに屈しない姿勢を見せている。

ヨーロッパが「言論の自由」で一致する中、17日、イスラムの金曜礼拝後、アルジェリア、セネガルなどアフリカ諸国、パキスタン、イスタンブール、ヨルダン、レバノン、カタールやバハレーンなどで、イスラム教徒による「言論の自由にも限度がある。」と訴えるデモが発生した。

アルジェリアとヨルダン(アンマン)では2000人以上のデモとなり、ヨルダンのアブダラ国王も参加している。エルサレムの神殿の丘でもデモがあったが、衝突にはなっていない。

法王フランシスは、テロには断固反対するとの立場を明確にしたが、同時に、「他者の宗教には敬意を払うべき。もしだれかが私の母を侮辱したら、殴られると思わねばならない。」とのコメントを出した。

これはテロを正当化するともとられかねないコメントだとしてニュースに取り上げられている。なお、法王は現在フィリピンの台風被害地域を訪問し、明日はマニラで、世界最大ともいわれるミサが行われる予定。

<イスラエルはどこまで関与すべきか?>

今回のテロではユダヤ系食品店が襲撃され、ユダヤ人が4人殺害されたことから、ネタニヤフ首相は、率先してテロに対抗するコメントを出している。11日、パリで行われた反テロを訴えるデモにも参加し、オーランド大統領らとともに先頭に立つ姿が報じられている。

フランス政府は、ネタニヤフ首相が参加すると聞いて、あわててパレスチナ自治政府のアッバス議長を招致しなければならなかった。フランスはイスラエルだけを歓迎するわけにはいかないのである。

ヨーロッパでのテロ事件はイスラエルと無関係でないことは明らかだが、イスラエル国内では、イスラエルが、そこまで率先して首を突っ込むべきかどうか、疑問視する意見も少なくなかった。

また、パリでは、ネタニヤフ首相が首脳のためのバスに割り込みする様子が目撃され、ラピード元財務省は、「イスラエルの恥をさらした。」と指摘した。*海外でのイスラエル人観光客は、順番無視や落書きなど横柄な態度で知られ、嫌われる傾向にある。

なお、これが原因とは言わないが、3月に総選挙を控え、ネタニヤフ首相の支持率は低下する傾向にある。

生きているうちに移住してほしかった・・:ユダヤ人犠牲者4人 2015.1.17

<ユダヤ食品店犠牲者4人:エルサレムに埋葬>

パリのユダヤ食品店でのテロで死亡した4人のユダヤ人の遺体は、イスラエルに運ばれ、13日、ネタニヤフ首相、リブリン大統領や政府閣僚らが見守る中、エルサレムで埋葬された。死亡した4人の詳細は以下の通り。

ヨアブ・ハタブさん(21) 

チュニスのチーフラビの息子で学生。イスラエルを訪問し、パリに戻ったばかりだった。食品店で殺害される直前、友人に「フランスのユダヤ人に困難な時代が来る。だから少なくとも安息日を守る努力をした方がいい。」とメッセージを送っていたことがわかった。

フランシス・マイケル・サアドさん(63) http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/190042#.VLm7eqW9BCs

マイケルさんは、6月に妻とともにイスラエルへ移住する予定だった。2人の子供たちは2年前にイスラエルに移住している。息子のヨナタンさんは、父が亡くなったことが悲劇だとは思わないようにしていると語る。

「父の死は、多くのユダヤ人の(イスラエルへの移住を促進する)助けとなる。父の死は、神のための犠牲だと思う。今は、たとえ5ヶ月でも、イスラエルへの移住を躊躇するべき時ではない。」と訴えている。

ヨハン・コーヘンさん(22)

ヨハンさんは、襲撃された食品店で働いていた。警察によると、テロリストが3歳児を殺害しようとするのを防ごうとして殺害されたという。ヨハンさんの恋人は、「これからどう生きていったらいいのかわからない。」と深い喪失をフェイスブックに綴る。

フィリップ・ブラハムさん(40代)

フィリップさんは、敬虔なユダヤ教徒でシオニスト。安息日の前に買い物に来ていて被害にあった。友人たちに「もうすぐ移住する。」といつも言っていたという。

このユダヤ系食品店でのテロでは、ヨハン・コーヘンさんと同スーパーで一緒に働いていた、マリ出身のイスラム教徒、バサナ・バシリーさん(24)が、とっさに冷凍室の電源を切ってユダヤ人客を中に隠し、15人の命を守っていたことがわかった。

フランス政府は、この功績により、バシリーさんにフランス国籍を提供することを決めた。事件後、20万人がバシリーさんの功績をたたえ、帰化を求める署名をしていたことを受けての処置。http://www.bbc.com/news/world-africa-30847333

<イスラエルへのユダヤ人移住促進に関する波紋>

パリでのテロ事件が発生した直後、ネタニヤフ首相は、「フランスのユダヤ人は早くイスラエルへ帰還すべき。」と発言していたが、フランスのボルス首相は、「もしユダヤ人10万人がフランスを去れば、もはやフランスではなくなる。」と述べ、とどまることを進める発言をした。

またヨーロッパのユダヤ同盟代表ラビ・マーゴリンは、「イスラエルへの移住は恐怖からでなく、愛からくるべきだ。」とネタニヤフ首相に反論すした。しかし、すでにイスラエルに移住したフランス人は口を揃えるようにして、「フランスでは反ユダヤ主義が悪化している。早くイスラエルへ帰還するべき。」と言っている。

事件発生1週間後に、ユダヤ機関の移住説明会に参加予約した人は2000人に上った。通常1月は説明会への希望者が少なく、150人程度だという。ユダヤ機関は、今年中にフランスからの移住する人は、最大1万人と予想している。 http://www.haaretz.com/jewish-world/jewish-world-news/.premium-1.637379

2014年は2013年の倍にあたる7000人がイスラエルへ移住している。現在、フランスにいるユダヤ人は50万人。このうち、多くは家族の中に既にイスラエルへ移住した者を持つため、移住はしやすいはずである。

しかし、フランスのユダヤ人の中には、テロが横行するようになってもまだ、「イスラエルは言葉も環境も違う。私たちはユダヤ人だが、フランスで生まれたフランス人だ。」と言っている人が少なくないという。

イスラエル国内では、フランスやヨーロパからの移住者をみこして、アパートの建設がすすんでいるが、今でも全国的に慢性的なアパート不足に供給が間に合わず、押し寄せる移民の波で、さらに家賃が上がると懸念されている。

テルアビブのサファリからサイ3頭脱走 2015.1.17

テルアビブ近郊ラマット・ガンのサファリパークで、監視員が居眠りしたすきに3頭のメスのサイが脱走した。目撃者が警察に通報し、10分後には確保されたが、3頭が逃げ、人が追いかけるかわいらしい映像が公開されている。なお、居眠りしていた警備員は解雇された。

www.youtube.com/watch?v=wjDXwfY0cvk

このうちの1頭がサファリに到着した時の飼育員らのビデオもあわせてどうぞ。

www.youtube.com/watch?v=vX50rOtIk8A

厳しい寒波:ガザで2人死亡 2015.1.10

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4613477,00.html

先週水曜から始まった厳しい寒波は、10日、まだ続いている。昨夜の安息日入りの夜、エルサレムでも氷点下。一時激しく雪が降り、2013年ほどではないが、翌朝にはきれいに雪化粧したエルサレムとなった。

エルサレムへの幹線道路は続けて閉鎖されたが、ちょうど安息日だったので混乱はなし。現在、10日午後、雪はもう降っていないが、気温はまだ低いまま。厳しい寒波は明日には若干、緩和するみこみ。

今回の寒波で、ゴラン高原では-9度を記録。水道管が凍って水がとまった地域もあった。ガリラヤ湖は、雨と雪で水位が7cm上昇。南はネゲブ砂漠のミツペラモンまで雪が降った。

パレスチナ自治政府は、先週から非常事態宣言を出していた。避難民がまだ多数いるガザ地区では、2ヶ月の女の子と1ヶ月の男の赤ちゃんが2人、寒波で死亡した。(ガザ地区健康省報告による)

パリのテロ事件とユダヤ人社会 2015.1.10

シャルリー・エブド社で12人、パリのユダヤ系食品店が占拠され人質4人が殺害されたテロ事件。10日夕刻現在、ユダヤ系食品店を襲撃した犯人の妻はまだ逃走中で、フランスでは今も高い警戒態勢が続けられている。

この事件発生直後、警察は、万が一に備え、パリの最も著名なシナゴーグを閉鎖。そのまま土曜日も閉鎖したままとなった。このシナゴーグが、安息日に閉鎖されるのは第二次世界大戦以来とイスラエルのメディアが報じている。

www.jpost.com/International/Landmark-Paris-synagogue-closes-on-Shabbat-for-first-time-since-World-War-II-387262

アムステルダムでは、親イスラエルラリーが、予定されていたが、テロの懸念があるため、中止となった。

フランスTV局の電話インタビューで、スーパーを占拠したアムディ・クリバリ容疑者は、犯行はイスラム国の支持であったこと、ユダヤ系食品スーパーを襲撃した理由はユダヤ人だからであり、(イスラエルが)イスラム国やパレスチナの領土を抑圧しているからだなどと述べている。

digital.asahi.com/articles/ASH1B66C1H1BUHBI02V.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH1B66C1H1BUHBI02V

フランスにはヨーロッパで最大のイスラム教コミュニティとユダヤ教コミュニティがあるが、特に2014年のガザとの戦争以来、ユダヤ人に対する反ユダヤ主義暴力が悪質化しながら多発するようになっている。

ネタニヤフ首相は、オーランド大統領に電話をかけ、多数の犠牲者に対する追悼を述べ、事件が落ち着いた後も、ユダヤ人社会の保護に務めるよう要請した。

2014年、イスラエルへ移住したユダヤ人の中で最大の移住元は、フランスだった。今年もフランスはじめ、ヨーロッパのユダヤ人たちが早くイスラエルへ帰還するよう、とりなし必要。