コロナ最前線:ファイザーワクチンに感染・重症化予防効果あり 2021.1.26

イスラエルでは、昨年12月以降、人体実験的に、世界最速で国民(子供含まず)へのファイザーのワクチン接種がすすめられている。世界が注目する中、約1ヶ月、このワクチンには、感染を予防する効果があるとの希望的な結果が、各国で報じられた。

イスラエルでは、これまでに266万3200人が1回目のワクチン接種を終え、122万人が2回も終えた。このうち、2回のワクチン接種を完了し、さらに1週間が経過した12万8000人の中で、なおコロナに感染した人は、20人(0.01%)であったことから、感染予防率は、95%以上との結果になった。(マカビー保健機関調べ)

またこの感染した20人のうち、10人は基礎疾患を持っていたにもかかわらず、全員がきわめて軽症ですんだことから、ワクチンに重症化を予防する効果も期待されている。ニューヨークタイムスも、ファイザーのワクチンに、高い予防効果があるという希望的な結果だと報じた。

www.nytimes.com/2021/01/25/world/middleeast/israels-vaccine-data.html

www.ynetnews.com/health_science/article/Hk2URcnku

また、マカビー保健機構は、今月はじめ、一回目の接種から3週間の時点(二回目接種直前)で接種を受けた人々と、まだ一回も接種していない人を比べたところ、感染者数は、接種していた人々の方が、60%低かったと報告していた。一回の接種でもある程度の効果はあるということになる。

また、感染者5万777人で調べたところによると、60歳以上で、2回目の接種から2日目の時点で感染した人の場合で、重症化して入院した人は、接種していないで感染し、重症化した人より60%少なかった。ワクチン接種後十分時間が経っておらず、コロナに感染した場合でも、ワクチンを受けていれば、重症化を免れる可能性が証明された形である。

しかし、同時に、60歳以上の人で、ワクチンが、本格的に効果を発するのは、最初のワクチンから23日後、2回目のワクチンから2日目以降であり、それまでは、感染する可能性はまだあるということも知っておく必要があるということである。

www.timesofisrael.com/israel-sees-60-drop-in-hospitalizations-for-over-60s-in-weeks-after-vaccination/

イスラエル人の友人たち(30−40歳代)からは次々に、笑顔でワクチンを受けている写真が送られてくる。保健省は、2回の接種を完了した人に、グリーンカードを発行しており、これを持っている人は、海外旅行、モールでのショッピング、イベントなどへの参加ができるようになる。ステイホームにうんざりしている人々がワクチン接種を急ぐ助けになっているようである。

しかし、イスラエルでも、60歳代の人で、ワクチンに消極的な人が多かった。このため、政府は、一時ティーンエイジャーの接種を優先させた。若者がウイルスを拡散させていると考えられているからである。このため、一時混乱も生じたが、テレビニュースで説明がなされていた。

<副反応について>

ワクチンの副反応について、イチロフホスピタルが発表したところによると、2回の接種を完了した医療従事者1735人の37%になんらかの副反応を認めた。このうちの半数以上にあたる51%が、2回目の後に接種を受けた腕に痛みやだるさを訴えていた。

アレルギー反応を経験した人は5%で、そのうち、ERでの治療を必要としたひちは、1.23%であった。86%は、まったくなんの副作用もなく、翌日も普通に出勤していたとのこと。

www.timesofisrael.com/2nd-vaccine-dose-causes-37-of-health-workers-side-effects-mostly-a-sore-arm/

またワクチンが始まってまもない昨年12月、1回目のワクチンの副反応について,1000人に一人が倦怠感や、接種部位の違和感などを訴えたと伝えられていた。イスラエルにおいては、なんらかの副反応が出るのは、2回目というケースが多いようである。

www.timesofisrael.com/1-in-1000-israelis-report-mild-side-effects-from-vaccine/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。