テルアビブ・左派世俗派らがシナゴーグを包囲:宗教的価値観に反対訴え 2023.9.26

シバゴーグ周囲をとりまくデモ隊たち スクリーンショット

先週火曜、右派のユダヤ教価値観である、テルアビブにある、ユダヤ教正統派組織、ローシュ・ヤフディのシナゴーグが、数百人の左派リベラル派たちに包囲され、罵倒されるという事件が発生していた。

シナゴーグ内部では、ラビ・イーガル・レビンシュタインがメッセージしていた時であった。ラビ・レビンシュタインは、「LGBTQの人々は、異常者だ」と言ったり、イスラエル軍で戦闘部隊にいる女性については、「クレイジー」だと言ったラビとして知られる。

ユダヤ教正統派の宗教的価値観では、LGBTQは認められない。また、女性が戦闘服を着て戦場で戦うということも、およそ受け入れられないことなのである。

これとは正反対に、テルアビブは、「中東のゲイ・キャピタル」と呼ばれるほどに、LGBTQにはオープンな町であり、男性と女性の平等という点についても推し進めている町なのである。

とはいえ、実際に、世俗派ユダヤ人が、同胞のシナゴーグを包囲するまでになるということは、これまでにはあまりなかった。今の司法制度改革反対デモが続く中で、出てきた現象であろう。

ただ、逆に正統派の多様性だけは認めないという、一種、矛盾のように思えなくもないのだが。。

www.timesofisrael.com/protesters-hound-homophobic-rabbi-in-tel-aviv-amid-uproar-over-religious-group/

<石のひとりごと>

イスラエルでは今、司法制度改革問題が発端となり、右派、言い換えれば、宗教的価値観を重視するグループと、左派の世俗的価値観の対立という側面が明らかになりつつある。

これまでは世界のグローバル化と言われていたが、トランプ前大統領のあたりから、再び世界は保守化になりはじめた。言い換えれば右派や極右が問題になってきたということである。

しかし、その後、それに反発して、人権を主張する左派が台頭し始めた。左派は、人権を守るなど、いわば良いことを主張していることから、右派よりも強硬に主張しても悪いとは思わないという一面が伴いやすい。したがって、イスラエルでは、今後は、右派より左派の方が危険だと懸念されるようになっていた。

これは全世界的な流れとは聞いていたが、イスラエルで、左派たちがシナゴーグを包囲する様子からは、いよいよそれが明確になってきたと緊張を覚える。

ラビ・レビンシュタインを支持するということではないが、これはやがて、将来的には、聖書の教えに忠実なキリスト教会が、世俗の世界の非常識となり、迫害、包囲される予兆といえるかもしれない。

アメリカではもうすでにその流れが顕著になり始めていることから、ニューヨークのTimes Square Churchのディレナ牧師が、それに備えようとするメッセージを発信している。(事項参照)

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。