シリアのホワイトヘルメッツ救出:イスラエル軍 2018.7.24

シリアの内戦で反政府勢力が劣勢となり、戦いがゴラン高原付近で激しくなってくる中、23日、シリアのホワイトヘルメッツとその家族ら400人以上が、イスラエルを経由してヨルダンに避難を完了した。救出作戦を実施したのはイスラエル軍である。

ホワイトヘルメッツは、シリアの内戦中、白いヘルメットをかぶり、激しい戦闘の中を走り回って、負傷者たちの救出にあたってきた市民グループである。世界は、英雄として彼らの働きを伝えてきた。このホワイトヘルメッツは、反アサド派である。

先週、シリア軍は、まずヨルダンとの国境ダラアを制圧、続いてゴラン高原のシリア側への攻撃を始め、南部で一部はイスラエルとの国境近くにいるISへの攻撃もはじめた。反政府勢力は、北部で唯一残っている支配域イドリブ地方へ行こうとしているが、その道路も遮断されかかっている。

このため、ゴラン高原クネイトラ地域にいたホワイトヘルメッツたちは、シリア軍に挟まれた形となった。アサド政権はホワイトヘルメッツを敵視しており、もし捉えられたら拷問、死刑になってしまう。

これを見て、カナダ、アメリカが、イスラエルとヨルダンに、隊員とその家族の救出を要請。イスラエルは、この時、ガザ国境で、自国の兵士一人を失い、ガザへの攻撃の真っ最中であったが、国際社会の要請に応じ、シリアからのホワイトヘルメッツ救出する役割を引き受けたのであった。

救出は、クネイトラ地域からイスラエルを経由して、ヨルダンに移送し、その後西側に移動させる計画であった。しかし、クネイトラも、ヨルダン国境も、今現在、戦闘が行なわれている地域であるため、非常に困難であった。

ヨルダンは当初、800人を受け入れると伝えていたが、23日、最終的にイスラエルを経由してヨルダンにたどり着いたのは、422人(隊員98人とその家族。

400人あまりは、途中で、シリア軍とISの戦いが激しくなり、ヨルダンまで到達できなかったものもいたようだが、最初の集合地に間に合わなかったり、どこへ連れて行かれるかわからないとして、イスラエル軍に身を任せなかった者もいたとのこと。

2度とないチャンスであったことを思うと、なんとも恐ろしい決断であったと思う。

www.timesofisrael.com/some-white-helmets-declined-to-evacuate-via-israel/ 

ホワイトヘルメッツの救出について、アサド政権は、「犯罪行為だ」と非難したが、国際社会はイスラエルの貢献に賞賛を送っている。

www.jpost.com/Middle-East/Inside-the-secret-and-unprecedented-rescue-of-the-White-Helmets-563216

これで、シリア領内で救急医療活動をしているのは、NGOでクリスチャンの団体FAI(アメリカの福音派で、世界の紛争地で医療支援活動を行っている)だけとなった。(FAIについてはオリーブ山便り7/19日記事参照)

<ホワイトヘルメッツはヨルダンから西側へ>

ヨルダンにたどり着いたホワイトヘルメッツ422人が、ヨルダンに滞在できるのは最長3カ月。カナダが、隊員50人とその家族で計250人近くを引き取ることが決まっている。その他は、イギリス、ドイツが引き取る予定とのこと。

<ホワイトヘルメッツはイスラエルの貢献を認めず>

国際社会は、イスラエルの貢献を認めているが、アラブ諸国ではやはりイスラエルはタブーである。ホワイトヘルメッツによる23日の公式の発表では、救出にイスラエルが関わっていたことは含まれていなかった。ヨルダンも同じである。

西側でもフランスの外務省も、報告の際、イスラエルが関わっていたという事実は報告しなかったという。

www.jpost.com/Middle-East/White-Helmets-fail-to-acknowledge-Israels-part-in-their-rescue-from-Syria-563253

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。