ロシア連邦ダゲスタンの空港で危険レベル反イスラエル暴動:ハマス・イラン・ロシアの繋がりは? 2023.10.30

they protest the arrival of an airliner coming from Tel Aviv, Israel. (AP)

ダゲスタン共和国の空港で暴動

29日夜、ロシア連邦の中のダゲスタン共和国の首都マハチカラの主要空港に、数百人が、パレスチナの旗を掲げて「アラー・アクバル」と叫びながら、ドアを破壊するなどして空港になだれ込み、一部は滑走路にまで及んだ。

暴徒らは、空港内にいた乗客たちや、空港から出る車を停めて、ユダヤ人かと聞き回っており、ユダヤ人やイスラエル人に暴力を振るう勢いであった。「子供殺しは、ダゲスタンに居場所はない」と書いたプラカードがあるなど、イスラエルのガザ攻撃に端を欲しているもようである。

ダゲスタンはイスラム教徒が大半の国である。

この日、ロシア航空会社のレッドウイングスが、テルアビブを出発し、このマハチカラ空港に午後7時に到着し、2時間のトランジットを経て、モスクワへ向かう予定になっていた。

別の情報では、混乱を避けるために別の空港へ着陸したという情報もあるが、そうではないものもあり、詳細は不明。いずれにしても、怪我人はでていない。少なくとも3人が警察に逮捕されたもようである。混乱を受け、マハチカラ空港は11月6日まで閉鎖される。

なお、Times of Israelによると、この飛行機には、イスラエルで医療処置を受けたダゲスタン人の子供たちが乗っていた。

www.timesofisrael.com/rioters-overrun-russian-airport-in-hunt-for-jews-aboard-flight-from-israel/

ロシアでポグロム再燃の懸念

この事件に先立ち29日朝には、建設途上にあるダゲスタンのユダヤセンターが放火され、「ユダヤ人に死を」という文字が壁に書かれていたという。

ロシアには、歴史的に反ユダヤ主義があり、社会の問題の吐口として、ユダヤ人たちを虐殺した「ポグロム」という土壌がある。ダゲスタン共和国の首都マハチカラでは、昨年、ウクライナ侵攻を続けるロシアからの30万人招集令を受け、暴動にまで発展していた。

www.bbc.com/japanese/63030260

社会的な不満をユダヤ人への暴行に向ける恐ろしい気配である。ネタニヤフ首相は、ロシア当局に対し、イスラエル国籍の人や、ユダヤ系市民を暴行や暴徒から守るよう要請するとの声明を出した。

www.timesofisrael.com/rioters-overrun-russian-airport-in-hunt-for-jews-aboard-flight-from-israel/

ハマス高官・イラン外相・ロシア外相がモスクワで顔合わせ

in Moscow on October 26, 2023. (Hamas Telegram channel)

ハマスとの戦争について、ロシアは、国連でハマスを非難しないなど、ハマスを擁護する立場をとっている。26日には、ハマス幹部が、モスクワを訪問。イラン外相とも会談を行なっていた。

会談の目的は、「アメリカと西側に支持されるシオニスト」との戦争であった。イスラエルは、ロシアに対し不快感を表明。よりバランスのとれた立場を取ることを要請した。

www.timesofisrael.com/moscow-hosts-hamas-delegation-and-irans-deputy-fm-prompting-israeli-outrage/

また同じ頃、ウクライナが、ロシアのテレビ局が、ウクライナが、ハマスを武装支援しているといった偽情報を流しているとして、これを閉鎖するよう、イスラエルに要請していた。

ウクライナは、ハマスとの戦争において、イスラエルの立場を支持するものであるとし、これはロシアが、ウクライナが、ロシアの反イスラエル政策に協力していると思わせる偽情報であると明言した。

www.jpost.com/israel-news/article-770676

ハマス、イラン、ロシアの結びつきが徐々に表にも出始めている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。