ラマダン2回目の金曜アルアクサ12万人:24日はパームサンデーとプリム 2024.3.23

エルサレムも緊張の中、ラマダン中2回目の礼拝日を迎えた。旧市街のアルアクサモスク(神殿の丘)には、先週より4万人も多い12万人が祈りを捧げた。衝突は発生せず、平穏に終わっている。

エルサレムは、3大宗教(ユダヤ教、イスラム教、キリスト教)の聖地である。今週日曜24日はキリスト教(カトリックとプロテスタント)のパームサンデーである。キリストがエルサレムに入ったことを祈念する。続いて金曜日は、キリストの十字架刑を記念するグッドフライデー、日曜日は復活祭である。

<エルサレムのプリム:42年ぶり「アルローヤダー」パレードを予定>

キリスト教がパームサンデーを祝った24日の日没から25日日没までは、ユダヤ教のプリムの祭りである。

プリムは、聖書の中のエステル記を朗読し、これを覚える例祭である。物語は、ペルシャの王の側近、ハマンが、ユダヤ人を抹殺しようと策略するが、ユダヤ人でありながら、それを隠してペルシャの王妃になっていたエステルとその叔父モルデカイの機転で、逆に死刑にされ、ユダヤ人は生き残るという逆転劇である。

ユダヤ人にとってはまさに祝いの日であり、毎年、イランといったその時々にイスラエルが対峙する敵に対する勝利を覚える時になる。祝いの象徴として、プリムでは、超正統派ユダヤ教徒の男性などは特に、ベロンベロンになるまで酔うことが定められている。この日のエルサレムの街中では、志村けんのよっぱらいみたいになっている黒服の超正統派たちをみかける。

今年は、エルサレムで、42年ぶりに「アドローヤダー」と呼ばれるパレードが行われることになっている。「アドローヤダー」とは、「モルデカイに祝福あれ」と、「ハマンは呪われよ」という言葉の違いがわからなくなるまで、酔っ払えという意味である。

「アドロヤダー・パレード」は、1900年代、建国前のテルアビブで始まったイベントで、エステル記を読むとともに、その時代、時代に、現れている敵の前に逆転劇がありうることを覚えて、それらを象徴するような大きな人形の山車とマーチングバンドが、群衆の間をパレードしていく。

1933年には、ヒトラーも題材にされて問題になったことがあるという。その後、パレードはテルアビブからハイファなどで行われるようになり、1980年が最後になっていたようである。

そのアルローヤダー・パレードを、42年ぶりに、エルサレム市が開催するということである。エルサレム市は、10月7日の事件以前に、これを企画して準備を始めていた。その後、戦争となり、今もまだ続いているのだが、エルサレム市は、これを中止せず、25日の午前10時から14時までの間、30台の山車でパレードを実施する。ステージも7ヶ所が設置されるとのこと。

深い悲しみのある人も決して少なくないが、だからこそあえてこの祝いをするということで、どんな内容になるのか、人々はどんな反応をするのか注目される。

<29日(金)はイスラムの祈りの日とグッドフライデー(イエスが十字架にかかった日)>

その後の29日金曜日、エルサレム旧市街は、アルアクサモスク(神殿の丘)へ行くイスラム教徒の群衆と、十字架を担ぐなどしてビアドロローサ(十字架の道)を行くキリスト教徒たちでいっぱいになることが予想される。

ただ、今年は海外からの旅行者が極端に少ないので、キリスト教関連の例祭がどのようになるかは不明である。いずれにしても、このような中でテロや、治安部隊との衝突が発生しないように。エルサレムの平和のために、特に祈る週である。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。