コロナ法・特別緊急事態宣言でデモにも規制 2020.10.1

Knesset Spokesperson

超正統派たちと、同じイスラエル人かと思うのが、まったく違う文化で生きている世俗派たちである。全身を衣服で覆っている超正統派と違い、テルアビブ在住の同年輩の若者たちは、ランニングに半パンツ。体に刺青をしている人も多く、同性愛者が40%近くとも言われる。

この人々を中心に、エルサレムとテルアビブ、カイザリアでは、ネタニヤフ首相の辞任を求める大規模なデモが、毎週土曜夜に今も続けられている。超正統派の集まりとは、まったく別のものではあるが、どちらも大人数が集まるという点では同じである。

このため、政府が超正統派への規制を強化するには、世俗派の反ネタニヤフ首相デモの方もとりしまる必要があった。しかし、イスラエルは民主国家であるため、政府に対するデモを取り締まることが難しい。超正統派の集まりには厳しくするということができない状態が続いていた。

特に、ネタニヤフ首相は、超正統派政党の支持があるからこそ、今も首相でいられるわけなので、多くのイスラエル人は、今、超正統派に強い態度で出られないのは、ネタニヤフ首相が、政治的に彼らを優遇し、経済的にも彼らを支援しているからだと怒りを持っている。

しかし、国会は30日、感染が急速に拡大していることを受けて、コロナ法と、特別緊急事態宣言を出して、超正統派もデモも両方を取り締まることを決めた。審議は紛糾し、翌朝4:30にとられた決議では、賛成46、反対38で可決されたとのこと。

これによると、エルサレムの反ネタニヤフ首相デモは、通常1−2万人が集まるところ、最大でも2000人まで。20人ずつのカプセルにすることとなっている。また、参加できるのは、自宅から1キロ以内に在住の人のみとした。ということは、超正統派もこの人数は集まってもよいということであろうか。。。?

これについては、常に反発し合うリクードと、青白党だが、これについてはなんとか合意に至ったとのことである。これを受けて、ガンツ防衛相は、警察のチェックポイントに兵士を配置し、規制の強化をはかるよう指示した。

www.timesofisrael.com/hundreds-march-through-tel-aviv-against-law-limiting-demonstrations/

<テルアビブでデモ:警察と衝突>

この審議の夜、テルアビブでは、デモを含め、外出規制を強化することに反対する数百人規模のデモが発生した。ハビマスクエアから、テルアビブの大通りを歩くというデモである。このデモで2人が身柄を拘束された。エルサレムのネタニヤフ首相官邸前でも同様のデモが発生していたとのこと。

www.timesofisrael.com/hundreds-march-through-tel-aviv-against-law-limiting-demonstrations/

一般のイスラエル人の間では、感染が特に拡大しているのが、超正統派地域であるのに、そちらへの厳しい措置をとらないで、全国をロックダウンしていることから、ネタニヤフ首相が、政権にとどまりたいがために、超正統派のいいなりになっていると反発を訴える一般のイスラエル人は少なくなさそうである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。