ガザで巨大地下トンネル摘発:ハマスがISISに武器供給か 2016.3.13

木曜、エジプト軍が、シナイ半島(エジプト領)とガザにつながる巨大な地下トンネルを発見し、破壊した。トンネルは、トラックが一台通れるほどの大きさで、長さは、ガザからシナイ半島へ3キロにも及んでいた。

エジプトは、ガザ地区とシナイ半島の間に1キロの緩衝地帯を設けている。そこでみつかったトンネルは、水を流し込んですべて破壊している。しかし、この巨大トンネルは、エジプトに発見されずに、シナイ半島内部までつながっていたようである。

イスラエルは、もしハマスが、3キロにも及ぶ巨大トンネルを建設していたとしたら、イスラエル領内へ3キロ入り込んでいるトンネルの可能性もなきにしもあらずである。その場合は発見が難しいという。

しかし、最近ガザ地区で、トンネルの崩壊事故が相次いでいるところをみると、トンネル建設の材料(木材とセメント)が不足してきているのではないかとの見方もある。

<ハマスとシナイ半島ISISの協力関係>

巨大トンネルは、シナイ半島で、エジプト軍と戦っているISISに武器を届けていたのではないかとみられている。以前にエジプト軍が、押収したISISの武器が、ハマス武装組織が製造したものだったからである。

実際、この巨大トンネルからは、給湯タンクの中に隠されていた武器弾薬もみつかっている。

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4777038,00.html

COGAT(ガザ・西岸地区とイスラエルの間の物流を管理するイスラエル軍の部署)のヨアブ・モルデハイ陸将補が、パレスチナメディアのインタビューに応じたところによると、ハマスとシナイ半島のISISとの間に協力関係があるのは間違いないという。

ハマスは、サラフィストたちがシナイ半島に行ってISISに加勢するのを許可している他、ISIS戦闘員負傷者をガザで治療しているとモルデハイ氏は、関与した者たちのフルネームとともに公表している。

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4777370,00.html

一方で、土曜、ハマスが、高官らをエジプトに派遣したとのニュースが入っている。ハマスがエジプトとの関係を修復しようとしているのではないかとみられている。http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4777368,00.html

*ガザの人々の暮らし

ガザ地区は現在、イスラエルとの国境とエジプトの国境も閉鎖されている。そのため、基本的にガザの人々はガザ地区から出られないという、監獄のような状態に置かれている。しかし、多産のイスラムである。人口は増え続け、現在人口は195万人にのぼっている。

この大勢の人口に電力を供給できるだけの発電所がガザ地区にはない。電力は、エジプトから少しと、ガザ地区のすぐ近く、イスラエル領内アシュケロンの発電所に大きく依存している。にもかかわらず、ハマスはそのアシュケロンにむかって、ロケット弾を時々撃ち込んで来る。電気をもらいながら、攻撃しているというわけである。

しかし、いくら攻撃されても、また電気代の支払いがなくても人道上、ガザへの電気を止めるわけにいかず、今や電気の供給は最低限となっている。結果、1日のうちの、停電時間は8-12時間である。こうした状況の中、ガザ地区では病院はじめ、商店や、資金に余裕のある人々の間で太陽発電が普及しはじめているという。

www.reuters.com/article/us-palestinians-gaza-solar-idUSKCN0WB1OC

よく考えてみれば、なぜ今までそれを思いつかなかったのか?とも思わされる。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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