エルサレム中央バスステーションでナイフテロ:連続テロ警戒 2021.9.15

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17歳パレスチナ少年がナイフによるテロ

13日月曜午後、常に大勢の人で混み合うエルサレムの中央バスステーション。そのすぐ横、ヤッフォ通りに面した食品雑貨店の中で、超正統派イシバ学生2人(20歳代)が、パレスチナ人(17)にナイフで上半身を複数回刺されるというテロ事件が発生した。

テロに及んだのは、ヘブロン近郊に在住するパレスチナ人のバシル・シャワムラ(17)。バシルは、治安部隊に現場で撃たれて重症となり、エルサレム市内の病院に搬送された。被害にあった2人は、事件直後は、中等度の負傷と報じられていたが、2日後には退院できている。

今のところ、このテロは、バジルの単独テロとみられているが、ハマスとイスラム聖戦は、このテロを、ギルボア刑務所からの脱獄と関連づけて、賞賛する声明を出した。

脱獄事件後まだ2人捕まらず:ヨム・キプール前にガンツ防衛相がパレスチナ人に警告

6日にギルボア刑務所から脱獄した6人のうち、4人は逮捕されたが、2人はまだ捕まっていない。1人は、西岸地区のジェニンに逃げ失せた可能性が高いとみられている。パレスチナ人の間では、脱獄者らをヒーロー視する傾向があり、ガザのハマスも、この事件を理由にロケット弾を撃ち込んできている。

また、この事件の前に、2件のナイフテロが発生していた。10日金曜に、エルサレム旧市街で、パレスチナ人が、イスラエル兵にナイフで襲いかかり、その場で撃たれて死亡。エルサレムの中央バスステーションでのテロの数時間前にも、西岸地区でパレスチナ人がイスラエル兵を刺そうとして、未然に逮捕された。

イスラエルでは、15日(水曜)日没からヨム・キプール(大贖罪日)に入る。この日は、社会全体が完全ストップする日である。宗教にはあまり関係のない、世俗派と言われる人々の多くも含め、80%以上が断食する。警察官や兵士も同様である。電車、バス、店舗も全部閉まる。この日をめがけて、アラブ諸国がイスラエルを攻撃した戦争が、1973年のヨム・キプール戦争であった。

ガンツ防衛相は、14日、西岸地区で警備にあたっているコハビ参謀総長を訪ね、そこから、パレスチナ人テロ組織に、ヨム・キプールを狙った手をしないように、イスラエル軍は西岸地区全域で警備に当たっていると警告を発した。

今後、パレスチナ人によるテロの波になっていくことが懸念され、エルサレムのテロ事件の後、エルサレム市内には、警察官2000人が配備された。

www.timesofisrael.com/israel-gears-up-for-escalation-with-major-attack-said-foiled-in-recent-days/

全国イスラエルの刑務所も緊張続く

イスラエル国内で、繊細な状況が続いているが、パレスチナ人を収監している刑務所も、緊張した状況が続いている。

現在、イスラエルに収監されているパレスチナ人は、4000人。脱獄事件のあと、イスラム聖戦関係者など数百人が、捜査のために個人の持ち物を没収されて、移動させられたとのこと。

パレスチナ人受刑者クラブ(パレスチナ自治政府組織)のカドリ・アブ・バクル代表によると、刑務所内部では、慢性的な拷問があり、「ナチス」のようだと訴えた。また、ズベイディはじめ、今回、脱獄して再逮捕された4人とは、逮捕後まだ面会できておらず、どんな状況に置かれているかわからないと訴えている。パレスチナ側の報道によると、ズベイディは病院に搬送されている可能性がある。

アブ・バクル担当者によると、脱獄者たちへの支持表明とともに、刑務所の環境改善を訴えて、パレスチナ人受刑者1380人(4000人中)がこの金曜からハンガーストライキに入り、来週からこれに加わる受刑者が出てくる見通しとのこと。

www.timesofisrael.com/1400-palestinian-prisoners-in-israel-to-launch-hunger-strike/

ギルボア刑務所・脱獄協力者は11人:脱獄の試みは常習か

脱獄に関する情報が徐々に明らかになってきた。ギルボア刑務所内での脱獄に使われた地下トンネルは、昨年11月から掘り始められており、これに協力した者は、11人にのぼるとみられている。現在、シンベト(国内治安組織)は、受刑者5人の尋問を行っている。

www.timesofisrael.com/jailbreak-probe-said-to-find-11-gilboa-prisoners-started-tunnel-dig-in-november/

現在、イスラエルにある刑務所は、30箇所で、1万4000人が収監されている。このうち1万人が犯罪で、4000人が治安上の収監者、パレスチナ人である。今年1月にイスラエルの刑務所協会の代表に就任した、カティ・ペリー氏によると、過去10年の間に300件以上の脱獄未遂があったとのこと。今まで脱獄を食い止められただけでもマシだと刑務所ペリー氏は主張している。

治安問題で収監されているパレスチナ人は、自分が悪いことをしたとは思っていないので、脱走を試みるのを抑止するのは難しいのだろう。

www.timesofisrael.com/prisons-chief-weve-foiled-300-escape-attempts-in-the-past-decade/

石のひとりごと

今回のエルサレム中央バスステーションでのテロは、わずか17歳の少年によるものであった。日本でいうなら高校2年生だろうか。よく考えれば、高校2年生にこのようなテロをさせてしまうような社会が、イスラエルのすぐ隣にあるということである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。