イラン強気崩さず:アメリカとの対話を拒否 2021.3.1

イラン・イスラム最高指導者・ハメネイ師 スクリーンショットhttps://english.khamenei.ir/news/8151/Those-who-hoard-nukes-tell-Iran-not-to-have-ordinary-missiles

イラン外務省は、28日、バイデン大統領が、イランとの核合意に復帰する意向を伝えたことについて、あくまでもアメリカが先に、イランへの経済制裁を解除することが条件だとして、その動きがない今は、まだアメリカとEU3カ国(イギリス、フランス、ドイツ)との対話を再開する時ではないと判断したとして、正式に対話を断る声明を出した。

バイデン大統領は、イエメンの親イラン組織フーシ派のテロ組織指定を取り消すなど、イランへの歩み寄りともとれる策を打ち出し、いわば、アメを提供するかたわら、シリアとイラク国境の親イラン組織拠点への軍事攻撃というムチも与えて、アメリカとの対話に、圧力をかけていた。

また、アメリカは、1月にイギリス、フランス、ドイツが、IAEAにイランの核合意違反を訴えたのに続いて、IAEAに、その査察を拒否するイランに対する非難決議を出すようにも働きかけていた。

そのどれも功を奏さず、イランがアメリカとの対話を断ってきたということである。テヘランタイムスは、もしIAEAが、イランへの非難決議を実施するなら、JCPOAは、事実上、崩壊すると述べ、そうなれば、イランとアメリカの交渉の余地はなくなると述べた。

www.tehrantimes.com/news/458630/Things-to-do-in-Washington-when-the-JCPOA-is-dead

バイデン大統領は、これを残念としながらも、まだ希望が終わったわけではないとし、イランとの対話には、今も前向きであることを表明した。

イスラエルの中東問題エキスパートたちは、イランがそれでもまたJCPOAから出て行かないことに注目する。アメリカと同様、イランも本当のところは、経済制裁の緩和がどうしても必要なので、アメリカとの対話を望んでいるはずだとし、今は、それを最も有利な形で実現するよう、非常にしたたかな作戦で、事をすすめていると分析している。

*イランのJCPOA(包括的共同行動計画)2015の違反内容

イランは、2018年にトランプ大統領がJCPOA、核兵器開発に関する合意から離脱すると、イランも取り決めから逸脱するようになった。今年1月には、もはやウランに関する取り決めを遵守しないと宣言していた。これを受けて、JCPOA締結国の、イギリス、フランス、ドイツは、1月5日、イランが合意を遵守していないとして、紛争解決手段の手続きを始めると発表した。もしこれが功を奏しない場合は、国連安全保障理事会に通達されることになる。

その後、最も最近の情報によると、イランは、合意では、ウランの濃縮は3.67%までとなっているところ、すでに20%にまで上げたものを17.6キロ生産していることがわかった。さらには、60%にまですることはたやすいと豪語した。(核兵器に必要なウランは90%)。

さらにイランは、IAEA2月23日からは、IAEAの査察受け入れを停止した。非常に強気で、危険な状況といえる。

www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/20210224_13/

<どんな解決がありうる?:イスラエル国家治安研究所のアモス・ヤディン氏>

アモス・ヤディン氏
出展:wikipedia

イランの態度は非常に危険ではあるが、アモス・ヤディン氏は、イランが、それでもJCPOAも枠組から出ていないことに注目する。結局のところ、イランとアメリカは、双方ともに、JCPOAの枠組みの中で、まるく収めたいと思っているとヤディン氏は見ている。

となると、どちらもが引くか、どちらもが動きを停止して保留状態におくか、どちらもが、遵守できる形に新たな交渉をするか、の3つになる。できれば、最後のどちらもが遵守する形で、イランをJCPOAの枠組みにおいておくことが、イスラエルや中東にとっての得策になると語る。

イスラエルは、基本的に、アメリカがイランと交渉を再開することに反対しているが、アメリカの経済制裁だけでは、イランがへりくだってくることがなく、国内からの政権打倒も実現しなかった。このため、アメリカには交渉を再開してもらい、その終着点(合意期限)が、はるか将来遠くになることが望ましいとヤディン氏は、現状を語る。

しかし、これについては、イスラエルと、湾岸スンニ派諸国では、注目点が違っているとも指摘する。イスラエルにとっての最大の懸念は、イランの核兵器だが、湾岸諸国、特にサウジアラビアにとっては、イランの勢力拡大こそが最大の懸念である。アメリカは、そのどちらの懸念にもこたえなければならないので、難しい交渉になると言っている。

しばらくは、アメリカとイランの知恵比べということになるようである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。