イスラエル感染者143人:まだまだ増える予想 2020.3.14

テルアビブ中心でマスクをつけている女性兵士 出展:Ynet / Avi Hai

イスラエルでは、厳しい規制が実施されているが、感染者は増え続け、14日朝、147人となった。多くは入院しているが、一部は自宅療養となっている。重傷者は2人。死者は今のところ出ていない。

しかし、検査しておらず、知らないだけの感染者は、まだまだいると懸念されている。

現時点で、自主隔離している人の数は、8万人とも10万人とも言われるが正確な数字は不明。*自主隔離人数はメディアによって格差あり。

しかし、このうち、2479人は医療従事者で、少なくとも949人が医師、635人は看護師とのこと。医療現場での感染の危険性の高さが問題になっいる。今後の医療現場での人出不足も懸念されるところである。

また、11日にネタニヤフ首相が、保育園と特殊学校以外の学校をすべて閉鎖としたので、14日金曜から、子供たち150万人が、家にいることになった。イスラエルの子供たちは、日本人の子供たちの10倍ぐらい、アウトドアで活動的でやかましいと筆者は思う。家の中でのバラガン(混乱)は想像を絶する。

www.ynetnews.com/article/SyyHSytrI

<イスラエル軍が軽症者様医療施設3箇所準備>

今後、感染者が激増してくることに備え、ネタニヤフ首相の指示に基づき、ベネット防衛相は、軍に軽症者用の医療センター3箇所(北部、中部、南部)を設営するよう、指示した。家庭内感染を防ぐとともに、重傷者が病院に入れるようにするためである。

センターは、ホテルや、学生寮が利用される予定で、各センターに1000人づつ、計3000人の収容施設になる。医療センターは来週中にも準備完了の予定とのこと。

www.jpost.com/Israel-News/Bennett-orders-group-facilities-to-be-opened-for-corona-patients-620878

<予備役兵訓練も延期>

イスラエル軍内部で新型コロナ感染が人がることは治安上、絶対に避けなければならない。イスラエル軍は、保健省が、100人以上の集会は中止とした基準を受けて、予備役兵の訓練も、来月の過越以降まで延期とした。

同時に、将来の爆発的感染に備え、軍事基地を一時的な医療センターにする可能性にも備えを始めたとのこと。

www.jpost.com/Israel-News/IDF-cancels-reserve-training-until-after-the-Passover-holiday-620874

<さらなる規制でイスラエル経済の50%が麻痺する?>

ネタニヤフ首相はほぼ毎日規制を強化しているが、イスラエルのテレビニュースによると、14日、安息日明けに、あらたな規制が発表されるとみられている。それによると、幼稚園も閉鎖、公共交通機関の利用規制、モールや商店の利用規制などとなっている。

こうなるとイスラエル経済の50%が麻痺することになり、食料の流通に障害が生じることも考えられる。人々は、来月の過越も念頭に、トレットペーパーのみならず、食料の買いだめに走りはじめている。

ネタニヤフ首相は13日、国民に対し、「イスラエルには、来月の過越の祭の分も含め、食料は十分ある(自給率100%)。スーパーに買いだめに走る必要はない。」と語った。

イスラエルでは、様々な準備はしつつも、今の所、まだ国家非常事態宣言を出すには至っていないとみている。

www.timesofisrael.com/israel-set-for-drastic-restrictions-on-workplaces-gatherings-no-lockdown-yet/

<石のひとりごと>

今朝、聖書を読んでいて以下の箇所が目に付いた。

・・・あなたがたは第50年目を聖別し、国中のすべての住民に解放を宣言する。これはあなたのヨベルの年である。あなたがたは、それぞれ自分の所有地に帰り、それぞれ自分の家族のもとの帰らなければならない。

この第50年目は、あなたがたのヨベルの年である。種を蒔いてはならないし、落ち穂から生えたものを刈り入れてもならない・・・(レビ記25:10−11)

無論、無論、今がヨベルの年だとは言わない。しかし私たちたちは今、くしくも、強制的に自宅で家族と過ごすようになっている。働きすぎと言われてもなかなか改善できなかった働き方が、一気に変化させられている。

人材派遣の仕事をしている友人は、自らも危機的な状況をかかえばがら、「今、日本はコロナに振るわれている。しっかりしていない者は振り落とされる。これで日本人の平和ボケがなくなる。規制緩和で腑抜けになった日本が、昭和40年代の姿に戻ると期待している。」と、気丈に語っていた。

彼女の言う、”振り落とされる”貧困者や、社会的弱者の人々のこれからを思うと、心が塞がれる思いがする。教会の出番だろうか。いずれにしても、今後、世界中で、人々の価値観や、人間社会のあり方は、今後大きく様変わっていくだろう。聖書は、”すべての人に”と強調する形で、次の様に言っている。

・・・・そのように、これらのことが起こるのを見たら、人の子が戸口まで近づいていると知りなさい。まことにあなたがたに告げます。これらのことが全部起こってしまうまでは、この時代は過ぎ去りません。この天地は滅びます。しかし、わたしのことばは決して滅びることがありません。

ただし、その日、その時がいつであるかは、誰も知りません。天の御使いたちも子も知りません。ただ父だけが知っておられます。気をつけなさい。目をさまし、注意していなさい。その定めの時がいつだか、あなたがたは知らないです。

それはちょうど、旅に立つ人が、出がけに、しもべたちにはそれぞれ仕事を割り当てて責任を持たせ、門番には目をさましているように言いつけるようなものです。だから、目をさましていなさい。家の主人がいつ帰ってくるか。夕方か、夜中か、鶏が鳴くころか、明け方か、わからないからです。

主人が不意に帰って来た時眠っているのを見られないようにしなさい。わたしがあなたがたに話していることは、すべての人に言っているのです。目をさましていなさい。(マルコの福音書13:29−37)

今しっかり目を開いて、何が起こっているかを見極め、あわてず、日々、委ねられている働きをしていこう。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。