<しみついた憎しみと過激派の扇動>
今回、テロや暴動を行っているのは、10-20才代という若者たちだが、イスラエルに対する異様なほどの憎しみを持っているのがわかる。
先週土曜に旧市街で夫を殺され、自身も重傷をなったアデルさんによると、事件当時、助けを求めたが、付近にいたパレスチナ人らは、助けるどころか、重傷のアデルさんにつばをはきかけた。
www.timesofisrael.com/i-yelled-for-help-and-they-spit-at-me-says-victim-of-jerusalem-attack/
今日、テコアでリンチされそうになった女性も、パレスチナ人の目には殺意があったと言っている。
若者たちが、植え付けられた憎しみを、今が時とばかりに行動に移している背景には、ハマスなど過激派の扇動があるといわれる。
パレスチナの子供たちは、イスラエルを憎む事を”3度のめし”ほどに当たり前に育っている。無職で目的のない人生であれば、栄光に満ちた扇動に乗って、イスラエル人を殺すのもそう難しくないのかもしれない。
ハマスは、イスラエル人の好むヒット曲を替え歌にし、イスラエルへの攻撃をあおるようなビデオクリップにしてネットに流している。 http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4707797,00.html
替え歌の内容は、今回のエルサレムでのテロを謳歌し、「我々は神の兵士。シオニスト(ユダヤ人)を炎と剣とミサイルで亡き者にするために遣わされた。」とヘブル語で歌っているのである。
また、土曜日の旧市街で、従軍ラビを殺害した件で犯行声明を出したイスラム聖戦は、その直後、自爆テロ攻撃の再開を予告、脅迫するビデオをアップした。
こうした動きの中、パレスチナ自治政府のアッバス議長は、最初のテロから1週間近くになってからはじめて、テロを非難し、暴力をやめるようにとの声明を出した。
しかし、それも、「入植地を拡大し続けるイスラエルが悪い。入植活動をやめよ。」とのコメントつきであり、イスラエルへの嫌悪を高めるだけに終わっている。
ネタニヤフ首相は、暴力の波を押さえようとして、監視カメラを増やすとともに、治安部隊を増強。より厳しい対応を指示した。また、テロリストの実家の破壊をすみやかに行うよう指示し、昨夜も西岸地区のパレスチナ人の家2軒を破壊している。
しかし、力に力で立ち向かっても、効果は出ていない。かといって、ここで譲歩すれば、テロ集団は、勝利したといってますます暴力の波は高まるだろう。難しい事態である。
<イスラエル国内からの批判>
政府が、テロの波に対処できていないことを受けて、イスラエル国内では、ネタニヤフ首相の対策に批判の声が高まりはじめている。
テロの被害を最前線で受けている西岸地区の入植地の指導者たちは、火曜夜、首相官邸で、ネタニヤフ首相と会談。徹底したテロ対策とともに、入植地の住宅建設保留の措置を解除してほしいと訴えた。
これまでは、テロが発生すると、その反撃の一つとして、入植地の建設を許可するという対策を何度か行ってきたからである。
しかし、今回、ネタニヤフ首相は、テロ対策については徹底すると言っているが、入植地の建設保留解除は行っていない。アメリカとEUからの圧力に屈していると入植者たちはみている。
www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/201512#.VhU7EqUWnA8
*入植地問題
入植地の問題は非常に複雑で、ここでは説明しけれないものである。一つ明らかなことは、パレスチナ側にとって、この問題は、神殿の丘の次に大きな関心事となっているということである。
パレスチナ国家建設を目指す中、その中に点々と存在する入植地。それが拡大し、住民が増えていくと、国の領土が分断されてしまう。入植地は、国になるための根本的な障害になる。
しかし、イスラエルの方では、国内の住宅価格が沸騰する中、多少危険でも、安いため、入植地に住むユダヤ人の数は増える一方で、子供も次々に生まれる。イスラエルにとっても、入植地に住宅は必要なのである。
治安と物価高騰。このどちらにも、政府は有効な対策を打ち出していないとして、右派イスラエル我が家党のリーバーマン党首は、「ネタニヤフ首相は、退任すべきだ。2016年には選挙のやりなおしだ。」と言っている。
同じ右派からも様々な意見で批判されるのだから、左派野党からの批判は当然である。
政治的ではあるが、聖書勉強会も催しているネタニヤフ首相。軍の力や知恵だけでなく、主にも助けを求めている事だろう。主がその声に耳を傾け、助けてくださるように祈る。