人質交渉で奪還求めるラリー「戦争をやめろ」:テルアビブとエルサレムで数千人 2024.5.6

エルサレムのデモの様子 May 4, 2024. (Courtesy: Pro-Democracy Protest Movement)

安息日明けの交渉で人質奪回を求めるデモ:テルアビブ・エルサレム

上記ハマスの攻撃の直前にあたる4日夜、毎週恒例になっている、人質交渉を政府に求めるデモが、数千人規模と大規模にテルアビブとエルサレムで行われた。

政府が、カイロでのハマスとの交渉において、人質奪還のために、戦争終結を受け入れたとの情報は誤りだと発信した後のことであった。これまでのデモで訴えてきたことが、完全否定された形だからである。

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人々は、戦争をしようとしている政府に反発し、政府を変えなければならないと叫び、「戦争をやめよ」とのプラカードを掲げている人もいた。

道路を封鎖しようとして、治安部隊と乱闘になる場面もあった。こうした道路封鎖のデモは、テルアビブでは、先週2日にも行われていた。

人質となっている息子の母親であるマタン・ダンガーケルさんは、「ネタニヤフ首相は、ハマスと合意できるチャンスを逃した。国民に対する犯罪者だ」と非難した。テルアビブでは、ネタニヤフ政権の崩壊を訴える人も多い。

エルサレムでは、首相官邸前で、デモが行われた。

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デモには、先に、ハマスがビデオで公表した人質のジョン・ゴールドバーグ・ポーリンさんの父親も参加していた。

「家族が息子のビデオクリップの公開を許可したのは、世界の指導者たち、ハマスと交渉している人々に、私たちが戦っているのは、ただ人質の人数ではなく、実在する一人一人のためであることを思い出して欲しかったからだ。」と訴えた。

デモ隊はその後、分散していき、一部は、一時エルサレムの主要道路ヤッフォ通りを封鎖した。YMCA前では、警察がバリアを形作るまで、デモを行ったこの日、テルアビブ、エルサレムでのラリーで、3人が逮捕された。

この日のラリーを計画した人は、翌5日日没から始まるホロコースト記念日を意識して、計画したという。「人質はすべて帰国させなければならない。我々は一人も見放さない。」と語っている。

www.timesofisrael.com/protesters-block-roads-clash-with-cops-as-pm-accused-of-scorning-hostage-deal/

かなり膨大なデモだが、これが国民全体の声ではないということもまた覚える必要もある。

ハマスとの戦争をやめるという選択肢はあるか/ ヤアコブ・アミドロール元IDF少将・国家安全保障顧問

アメリカではイスラエルに戦争をやめよという大規模なデモが発生し、国内でも同様のデモが発生している。確かにラファでの戦争になれば、多数の死者が出ることは避けられない。では、イスラエルには、ハマスとの戦争を今停止するという選択肢はあるのだろうか。

アミドロール国家安全保障顧問は次のように語っている。「もし、イスラエルが今、戦争を停止し、アメリカが推しているサウジアラビアなどの中東諸国を巻き込んだガザの戦後運営を開始した場合、ハマスは、そのまま温存されることになり、いずれ勢力を回復することになる。

ここまでイスラエルの滅亡を最終解決としている組織が、今と同じ場所に居続けることは、イスラエルにとって決して良いことではない。

アメリカの方策に合意する場合は、ハマスがその計画の中にいっさい入らないということを条件にしなければならない。しかし、それがどう実現できるのかは、興味深いところだ。(不可能にみえるということ)」

となれば、やはり、今ハマスが弱体化している間に、再起不能にまでにしておかなけれならないということになる。

www.jpost.com/israel-hamas-war/article-799360

なお、ネタニヤフ首相も、アメリカの計画のように、サウジアラビアなど穏健派アラブ諸国との協力で、ガザを復興させるだけでなく、貿易の拠点にまでする計画を持っている。

しかし、それは、ガザにハマスがいないだけでなく、非武装ということが条件であり、これも実現するかどうかは、興味深いところである(今は不可能にしかみえないということ)

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。