24時間感染者6000人突破・医療体制逼迫:政府は規制強化できず 2020.9.23

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24時間で6000人突破:病院体制逼迫

18日から若干中途半端といえる全国のロックダウンに入った。感染者は、一時2000人台にまで下がったが、23日朝、24時間で6861人、検査に対する陽性率は11.6%を記録した。現在のアクティブな感染者は5万9169人と、6万人に近づいている。

地域別で見ると、最も深刻なのはエルサレムで、先週だけで、3000人が陽性と判明している。

www.timesofisrael.com/virus-surges-to-6861-daily-cases-ahead-of-cabinet-meet-on-tightening-closure/

入院している人は、1348人。このうち、重症者は、22日朝の第回で、668人と1週間で130人も増えた。このうち159人が人工呼吸器依存となっている。死者は、19日30人、20日36人と危機的な様相となったが、21日は6人、22日は17人となり、計1285人となった。

病院の逼迫状況だが、保健省データとしてTimes of Israelが伝えたところによると、全国の主要病院に設置されているコロナ病棟は、のきなみ満室以上になっているという。

エルサレムのハダッサ・エインカレムは129%、ハダッサ・マウントスコーパスは100%、ネタニヤのラニアド・ホスピタルは120%、ラマット・ガンのシェバ医療センター(コロナ対策中枢病院)は109%

www.timesofisrael.com/israeli-virus-cases-per-capita-overtake-us-deaths-surpass-global-average/

重症者、人工呼吸器依存者の多くは集中資料室でのケアが必要となるが、その場合、病棟で看られる限界は、10−15人である。それが668人(人工呼吸器159人)いるのだから、10以上の大病院の集中治療室がすでに満杯ということになる。いかに病院が逼迫しているかは想像に難くない。

マンパワーへの影響も大きい。テルアビブのイチロフ・ホスピタルのファイア教授は、救急室の仕事量が多く、スタッフに限界が来始めていると言っている。この病院では、他の病院から回ってくる患者も受け入れているので、患者は廊下にも溢れているとのこと。もうすぐそれができなくなるとファイヤ教授。

www.ynetnews.com/article/84FD9Y4UJ

保健省は、緊急性のない手術は後回しにするよう、各病院に指示した。しかし、ユダヤ人の場合、人の命にかかわる問題に順番をつけることに対し、病院側は困惑を表明している。

こうした状況を受けて、緊急用の地下駐車場病棟の開設をすすめている。これに加えて、ガンツ防衛相は、ガムズ教授の指示によるクラスター対策捜査班への人員を600人増やすとともに、コロナ専門病棟となる野戦病院(200床)の準備を軍に指示した。

www.timesofisrael.com/gantz-orders-idf-to-build-field-hospital-for-virus-cases-as-hospitals-fill-up/

イスラエル軍は、日本の東北大震災、またネパールの地震災害など、非常に優秀な野戦病院を設立できることで知られている。しかし、今回は、疫病対策ということなので、立ち上げに数週間かかるみこみとのこと。冬の感染症シーズンに備える形である。

www.jpost.com/israel-news/gantz-instructs-idf-to-begin-preparations-for-coronavirus-field-hospital-643041

コロナ閣議:規制強化できず

コロナ閣議
出展:Koby Gideon (GPO)

医療の逼迫状況を受けて、コロナ閣議では、ロックダウン強化の可能性について話しあった。ネタニヤフ首相は、反ネタニヤフ首相デモに制限をつけるべきだと主張した。

嘆きの壁に行けるのはそこから1キロ以内に住んでいる人に限られるのに、デモに参加するとなると、全国からでもエルサレムに移動できるのは、どう考えてもおかしいというのである。

しかし、超正統派政党シャスのデリ党首は、逆に、デモへの参加を許可しているなら、人々が嘆きの壁に行く際の移動制限も撤廃するべきだと主張した。

今のままであると、来週にはヨム・キプール、そして、大勢が4種の植物を買い求めて、仮庵を飾る仮庵の祭りが控えている。超正統派としては、この時期の外出制限はかなり厳しい。

しかし、感染拡大を鑑みて、シャス党のデリ投手は、シナゴーグの閉鎖も認めてもよいとも言った。ただし、その場合は、デモも全面的に取り締まるべきだとしている。

デモの取り締まりは、政府としては、民主主義保護の観点から、またデモの訴えが、首相自身の汚職に関するものでもあるため、とりしまりにくい。

このように真正面から意見が対立したことから、結局、コロナ閣議では、感染拡大を受けて規制を強化をするという結論を出すことができなかった。

コロナ担当ガムズ教授は、皆はことの深刻さがわかっていないと頭を抱えている。

www.timesofisrael.com/cabinet-readies-new-virus-rules-as-netanyahu-pans-farce-of-rallies-against-him/#gs.gca1r6

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。