12歳以上に3回目ワクチン接種開始:新学期開始は混乱 2021.8.30

12歳以上のだれでも3回目ワクチン推進

イスラエルでは、29日から、3回目のブースター・ワクチンの接種が12歳以上に解禁になった。2回目の接種から5ヶ月以上経っていれば、3回目接種を受けることができる。これまでに3回の接種を完了した人は200万人近くとなった。これは全国民の21%にのぼる。

さらに接種を促すため、政府は、3回目接種を完了した人は、その1週間後から、帰国後の隔離(1週間)を免除すると発表。2回目接種から半年以内で、まだ3回目接種の対象にならない人についても、帰国後空港での検査で、陰性の結果がでるまでの24時間を自己隔離に軽減するとのこと。このルールの発効は9月3日からである。

しかし、逆に、集会や施設に入場するためのグリーンパスについては、2回目接種から6ヶ月まで有効とし、それ以降は、3回目接種を受けるか、陰性証明をとらなければならない。要は2回接種を受けても、その6ヶ月後には無効になるという考え方で、これも3回目接種を促そうとする手段であると思われる。これについては10月1日からの適応となる。

イスラエルがここまで3回目接種を促すのは、ぐずぐずしていては、次なる変異株が現れ、まだ接種が終わっていない人の間で感染が拡大し、またロックダウンということになるからである。

この半年後に4回目接種をするかどうか、その可能性はあるが、これからの動きを見てから判断するとホロビッツ保健相は語っている。ただし、3回目については、アメリカでようやくFDAの承認がおりたところで、4回目も本当に大丈夫なのかどうかは、まだ未確認の賭けであるということも忘れてはならないだろう。

www.timesofisrael.com/israel-offers-covid-booster-shot-to-all-eligible-for-vaccine/

しかし、この3回目接種に関する新しいルールが発表されるやいなや、航空券の売り上げが250%増えたとという。渡航禁止国は常に流動的だが、最終では、ブラジル、トルコ、メキシコ、スペイン、ジョージアが渡航禁止となっている。

www.jpost.com/israel-news/flight-ticket-demand-increases-by-250-percent-after-hm-announcement-678075

変動する感染状況も先読みでは減少方向??

1日の感染者は24日、1万人を超えたが、その後8000人台までさがり、再び、28日に1万2000人にまで増加と、変動が激しい。最終29日は、7071人であった。感染の指標のひよつとなる陽性率は、検査数10万2935件で、7.09%であった。

重症者はこれまでで最大の726人。人工呼吸器依存者は149人。60歳以上でみると、ワクチン接種していた人の重症者数は10%減少。接種していない人は20%増加であった。言い換えれば、接種していない60歳以上が感染して重症になる確率は14倍である。逆にワクチン接種を完了している人の場合は、14倍保護されているということでもある。

www.ynetnews.com/health_science/article/hj1ymndwf

イスラエルは今の現状ではなく、先を読んで動くので、凡人にはよくわからないこともある。

9月1日新学期再開は混乱

日本と同様、9月1日から始まる新学期をどうするかがイスラエルでも大きな問題となっている。これで再び感染が拡大するかもしれないからである。特にイスラエルでは、9月6日から新年祭りとなり、ヨム・キプール、仮庵の祭りと例祭シーズンに入り、学校が再び休みに入る。ならば、この例祭が終わるまで、新学期の再開を延期しても良いのではないかとの意見もある。

新学期開始の2日前になって、ベネット首相は、教育相と主な教育機関との最終のミーティングを行った。新学期を予定通り始めるかどうか、もう決まっていたと報じられていたが、やはり、まだ決定していないとみられる。

政府の計画では、新学期を始める条件として、登校の24時間前までに簡易検査を行うこととなっていたが、その簡易検査キットが十分に行き渡らなかったもようである。これについてはその効果についての疑問視もある他、地域によっては、ワクチンをしていない子供で陰性証明を提出しない子供は学校に出席させないところもあるなど、様々な混乱がある。

Times of Israel によると、実際のところ、イスラエル人で3-16歳の子供(190万人)のうち、12万4000人は、濃厚接触か何かで隔離中で登校できず。15万人は、感染拡大が著しく赤信号とされている地域にいるため、学校へは登校せず、オンラインで授業となる。しかし、この場合、IT環境に違いがあることで不公平もあることが課題である。赤信号地区の学校長らは、屋外での授業の許可を求めるところもある。

www.timesofisrael.com/bennett-to-meet-top-officials-in-last-minute-scramble-to-open-school-year/

さらに、ILTV(30日放送)によると、この週末での検査だけで、子供3000人が新たに陽性と判明。1万3000人以上の教師やスタッフが隔離されているとのこと。課題は満載だ。

さらに、新たな変異株が世界でもイスラエルでも出始めており、不気味な動きをみせている。本当にもうみな疲れた・・というところだろう。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。