第69回独立記念日:痛みを乗り越えて 2017.5.2

5月1日、日没とともにイスラエルは、第69回目の独立記念日を迎えた。

ヘルツェルの丘での国家記念式典を皮切りに、2日の今日は、国民の祝日で、様々な国家イベントが行われる。人々はバーベキューや、ビーチに行って楽しみ、イスラエル空軍機の編隊が、全国の上空を飛んで国民を励ますことになる。

大統領官邸では、特に貢献した兵士たちが賞を受ける。毎年恒例の聖書コンテストがエルサレムで行われ、全世界のユダヤ人の若者たちが、ネタニヤフ首相の前で聖書の知識を競うことになっている。まさに国をあげてのお祝い日である。

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4956150,00.html

<増える”近代ヘブル人”>

イスラエルの中央統計局によると、人口は、昨年より15万9000人増えて(1.9%増)868万人。昨年度に生まれたイスラエル人の赤ちゃんは17万4000人。新移民が約3万人。死亡は44000人となっている。

このうちのユダヤ人人口は、総人口の74.4%にあたる648万4000人。(アラブ人人口は20.8%にあたる180万8000人)。全世界のユダヤ人の数は1441万1000人であることから、地上にいる全ユダヤ人の43%がイスラエル在住ということになる。

また、イスラエルが建国してから、純粋にイスラエルで生まれ育った次世代イスラエル系ユダヤ人、いわば、”近代ヘブル人”が可能になったわけだが、その割合は、年々増えて、今年75%となった。

神への信仰については、総人口のうち9%が超正統派、11%が正統派、12%が保守派、24%がそこそこ保守派、44%は世俗派と答えている。

<繁栄し続けるイスラエル国家>

1948年に独立宣言がなされたときの総人口は80万6000人であったことから、今年はその10倍以上を数えた。少子高齢化の進む日本に比べ、イスラエルは相変わらず多産で移民も来ていることから、建国100年を迎える30年後の総人口は1520万人と推測されている。

独立当時の最大の都市は、10万人が住んでいたテルアビブであった。現在イスラエル最大の都市は、エルサレムで、人口86万5700人。現在、人口20万人以上の大都市は、8都市になっている。

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4955139,00.html

*ユダヤ人の国イスラエルを熱烈に愛するイスラム女性

イスラエル在住のアラブ人でイスラム教徒の女性サラ・ゾアビさんが、大胆にもネットに、ユダヤ人の国イスラエルへの熱烈な愛を宣言するビデオを投稿した。

この女性は、神がユダヤ人にイスラエルを与えたことは正しいことであったと認める他、4分にわたってシオニズムを支持すると述べている。また、イスラエルは、イスラム教徒である自分をそのまま受け入れるとして大絶賛している。

女性は最後に「アム・イスラエル・ハイ。イスラエル国家が永遠に生きますように」と宣言している。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/228920

<戦没者記念日:昨年からの戦没者は97人>

ただし、こうした繁栄はタナボタではない。今年も独立記念日に先立ち、1日、イスラエルでは、戦没者記念日が行われた。市民たちは、今年も厳粛に国家のために失われた命と、その遺族たちの痛みを共有する1日をもった。

独立記念日を祝う前に来るのは、戦没者記念日である。昨年1年で戦死、殉職した治安部隊兵士は60人。負傷した傷が原因で死亡した治安部隊兵士が37人。テロで亡くなった市民11人が、戦没者に新たに加えられた。

これで、1860年に旧市街から出てユダヤ人国家への道のりが始まってから、犠牲となった人の数は、23544人となった。また、テロで亡くなった市民は、3117人となった。(イスラエル国内のテロで死亡した外国人122人と、海外でのテロで死亡したイスラエル人100人を含む)

www.jpost.com/Israel-News/WATCH-LIVE-Israel-honors-fallen-soldiers-at-Western-Wall-ceremony-489396

国の式典としては、エルサレムのヘルツェルの丘、嘆きの壁で、リブリン大統領、ネタニヤフ首相も出席する記念式典が行われた他、全国各地で、戦没者を覚える式典が行われた。

*新しい記念ホール公開:ヘルツェルの丘

1日、ヘルツェルの丘では、ネタニヤフ首相が参列する中、新しく作られたメモリアルが一般公開された。メモリアルは、ヘルツェルの丘の入り口にあり、戦没者の名前が書かれたブロックでできている。

www.timesofisrael.com/israel-unveils-remembrance-hall-for-fallen-soldiers-ahead-of-memorial-day/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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