新型コロナ感染者2万人以下へ:死者数は不変 2020.10.22

Staff members at Haifa's Bnai Zion Medical Center during the 2020 coronavirus (Courtesy Micha Brickman)

イスラエルでは、新型コロナの感染者数が、24時間で1100から1200人。現在感染しているとされる人は、28日の時点で、1万9559人と2万人を割り込んだ。

感染が急激に減少していることから、政府は18日から、規制の緩和を始めている。現在、赤ゾーンとして今も規制を継続している地域は、エルサレムのラマット・シュロモーのみとなった。

重症者も一時900人に近づいたが、今は,596人。人工呼吸器依存者は、232人となった。しかし、人工呼吸器に依存した人は、死亡するケースが多く、24時間の死者は、まだ15−20人に及んでおり、病院の負担はまだ非常に重いという。

死者数はこれまでに2291人。イスラエルの病院では、もう死が間近という患者の家族には、防護服を着せてICUに入れるように計画してはいるのだが、間に合わないケースが多く、周囲に家族がいないまま、孤独に死んでいく患者が多いという。

A worker from “Hevra Kadisha,” Israel’s official Jewish burial society, prepares bodies before a funeral procession at a special morgue for COVID-19 victims, during a nationwide lockdown to curb the spread of the coronavirus, in the central Israeli city of Holon, near Tel Aviv, Monday, Oct. 12, 2020. (AP Photo/Oded Balilty)

さらに、亡くなった後は、きちんと遺体を清掃し、葬儀しなければならないが、死者が多く、間に合わないので、霊安室に並べられている様子も伝えられている。無論、家族がこうした部屋に入ることはできない。

実際のところ、この孤独という点が、新型コロナの最も惨酷な点かもしれない。

www.timesofisrael.com/number-of-active-coronavirus-cases-drops-below-20000-for-first-time-since-july/

<コロナ禍での孤独死121人>

日本にも孤独死の人の家を片付ける仕事をしている会社がある。イスラエルでは、この仕事を担うのは、ZAKAと呼ばれる、ユダヤ教正統派が運営する救急隊である。

ユダヤ教では、遺体の世話をすることは聖なる仕事とみられており、医療従事者ではなく、こうしたユダヤ教関係者が行うことになっている。このため、ZAKAの本来の働きは、捜索や、テロ被害者の救出であるが、無残な遺体の収容も行っている。

ZAKAによると、2020年から、コロナ禍を通ってきたこれまでに、自宅で孤独死していた人は121人に上るという。ZAKAは、隣人に目を配るよう、呼びかけている。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/289497

<石のひとりごと>

かつてキブツでの生活が中心であったイスラエルのユダヤ人たちも、今では個人主義が中心、スマホ文化の日常となっている。家族関係にも変化が出ているもかもしれない。

孤独死など、かつてのイスラエルではありえなかったと思うが、イスラエルもまたそんな時代に突入しているのだろう。

幸い、コロナは今軽減しはじめている。しかし、これから冬にかけて、コロナとともに、風邪やインフルエンザも出回ってくると医療関係者は懸念を表明している。続けて、独居の、特にホロコーストで家族を失った人々を覚えて、とりなしを。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。