地上軍侵攻でハマスと戦闘に:ガザ空爆でハマス司令官ら5人死亡 2023.10.28

Gaza Strip, October 26, 2023, amid the ongoing war between Israel and Palestinian terror group Hamas. (Mahmud Hams/AFP)

イスラエル軍ガザ限定地上侵攻で戦闘も

ここ2日間、イスラエルの地上軍戦車部隊は限定的なガザ内部への侵攻を繰り返していたが、27日金曜夜、第162機甲師団(戦車隊)とジヴァティ歩兵旅団からなる地上軍が、数時間、ガザ地区内部へ入り、インターネットと電話回線を破壊して帰還した。イスラエル軍は、今回の地上軍侵攻についてもまだ前段階であると語っている。

ハマスは、ガザ北部のガザ市ベイト・ハヌーンとその周辺、中部のブレジで激しい戦闘になったと発表している。

ベイト・ハヌーン周辺へは、この前日の26日に、イスラエル空軍が激しい空爆を行っており、ハマスの司令官5人が死亡したと発表していた。

死亡したハマス指揮官たちは、10月7日の奇襲を計画した一人とみられるシャディ・バルド。カン・ユニスのロケット攻撃の指揮官であったハッサン・アル・アブドラ。ダラジ・ツファ部隊の指揮官ラファット・アッバス、福祉機関のイブラヒム・ジャドバ、タレク・マアロフ。

民間人に関する情報はないが、イスラエルは、この間も民間人たちには避難を呼びかけ続けたとのこと。

*ハマスの主要拠点はシファ病院の地下にあり:イスラエル軍報道官

イスラエル軍のハガリ報道官は、27日、記者会見を行い、ハマスの主要な拠点が、ガザ地区で最大の総合病院であるシファ病院の地下にあると、証拠映像や傍受録音などとともに発表した。

また、10月7日に奇襲がはじまるやいなや、大勢のハマス戦闘員数百人が、身を隠すために、ここへ逃げ込んでいたと報告した。その証拠もあるとのこと。

イスラエルは、病院を通過せずに、トンネルへ入る通路も把握している。病院地下通路を通じて、他の病院へも移動可能になっているとのこと。

www.timesofisrael.com/hamass-main-operations-base-is-under-shifa-hospital-in-gaza-city-says-idf/

まさに病院を盾にしていることは明白である。イスラエルがこれを攻撃したら、病院がまずは破壊され、病院たちが犠牲になってしまうが、そういう位置にハマスが拠点を置いていることに責任がないとは言えないということは明白である。

イスラエルは地上侵攻を行う:アメリカはこれを差し止めない

26日の記者会見で、ギャラント防衛相は、本格的なガザへの侵攻は間もなくはじまると述べ、いったん始まれば長くかかるとの見通しを語っている。「イスラエルが建国して75年間、こんな戦いはなかった。今は次の75年のイスラエルの存在を左右する戦いだ。」と述べた。

www.timesofisrael.com/idf-kills-5-hamas-commanders-gallant-israel-will-win-next-75-years-depend-on-it/

なお、イスラエル軍の地上侵攻について、アメリカは、これに赤信号を出して差し止めることはないと明言している。

アメリカは、万が一イランが関わる中東戦争になる場合に備えて、地中海に空母2隻を派遣している。さらに、26日、中東に駐屯する900人の部隊を派遣すると発表した。またアメリカはイスラエルに追加のアイアンドームシステム(迎撃ミサイル)2基を届けると発表している。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。