北部ベドウイン地域で一家5人銃殺:アラブ系地域殺人犠牲者188人に 2023.10.2

9月27日、イスラエル北部では、アラブ人6人が、犯罪系とみられる殺人事件で命を落とした。

一人は、ハイファ道路上で、朝9時ごろ、車の中にいたアテフ・アブ・カリブさん(50代)が、近づいてきた2人組の男に、何度も銃撃されて死亡した。調べによると、犯罪に関わっていた親族と間違えられて殺されたとみられている。しかも、それは、数日前のアラブ人殺人に対する報復の可能性が高いという。間違いで報復されたということである。

その同じ日の午後3時、ハイファから22キロほど離れたベドウインの町、バスマト・タブーンで、ダレカさん一家5人が、自宅の庭に入り込んできたマスク姿の複数の男たちに銃殺される事件が発生した。

殺された5人は、母親のザイナブ・ダリーカさん(43)とその息子のモハンマドさん(25)、ワリードさん(17)とアドハムさん(14)ともう一人(20代)で、ザイナブさんの夫のハッサンさん(49)は、その場にいて負傷したが生き残った。また、ワリードさんとアドハムさんの兄弟であるアフマドさん(18)は、かろうじて現場から逃げて助かった。

アフマドさんの証言によると、犯人はまず一人で入ってきて、ザイナブさんを撃ち、それから全員に向かって長い銃を乱射した。まもなく2人入ってきて、すでに倒れている家族たちにさならる銃撃を行っていた。また、ハッサンさんによると、男たちはわずか6メートルほど先から発砲していた。ハッサンさんは、「撃つな」と叫んだが、止められなかったという。

この事件により、ハッサンさんは、妻と息子、甥3人を一気に失ったことになる。ハッサンさんは、トラックの運転手で、犯罪とは関わりがなく、なぜ家族がこのように殺されるのかわからないとのこと。予告はおろか、そういう気配もなかったという。葬儀には数百人が参列していた。

ハッサンさんは、「警察はなにもしない。もしこれが、ユダヤ人への脅威であれば、もっと対策がとられていただろう。」と、怒りを表明している。確かに、犯人に関する結果は、1週間近くなってもまだなにも出ていない。

バスマト・タブーンのライード・ザビアット市長は、エスカレートする暴力について、政府、特にネタニヤフ首相と、ベングビル国家治安相を非難する声明を出した。

www.timesofisrael.com/survivors-of-shooting-that-killed-5-relatives-dont-know-why-they-were-targeted/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。