不気味なレバノン情勢:サウジアラビアVSイラン 2017.11.15

レバノンのハリリ首相が、4日、サウジアラビアで突然、「レバノンはヒズボラとイランに乗っ取られた。自分はヒズボラに暗殺されそうだ。」として、辞任表明してから10日になる。

ヒズボラ(イラン)とレバノン政府は、「サウジアラビアが、ハリリ首相を拉致して、無理やり辞任表明させたのだ。」とサウジアラビアを非難した。レバノンのアウン大統領は、「サウジアラビアはハリリ首相をすぐにも帰国させるべきだ。」と述べた。

一方、サウジアラビアは、ハリリ首相は自分の意思で、辞任宣言したのだと反論。レバノンにいるサウジアラビア市民は、すぐにもレバノンから退去するよう通達した。

するとヒズボラは、「サウジアラビアは、イスラエルにレバノンを攻撃させようとしている。」と言った。無論、イスラエルは、こんなコメントが出ても、完全無視状態だった。

www.timesofisrael.com/nasrallah-says-saudi-arabia-imposed-lebanon-pms-resignation/

ハリリ首相本人は、上記のようなやり取りがある中、沈黙を保っていたが、1週間ほどして、「サウジアラビアに拉致されたのではない。辞任表明は自分の意思であった。」とのコメントを出した。

www.timesofisrael.com/lebanon-saudi-arabia-must-clarify-why-hariri-hasnt-returned/

アメリカのティラーソン国務長官は、ハリリ首相がサウジアラビアに拉致されたのではなく、自分の意思で辞任宣言をしたと認識しているが、ハリリ首相は、いったん帰国し、きちんと辞任すべきだとも語った。この後の動きはまだ伝えられていない。

<代理戦争のイエメンが悲惨>

イエメンでは、イエメン政府を支援するサウジアラビアと、シーア派反政府勢力フーシ派を支援するイランとが、代理戦争を繰り広げている。

10日ほど前、イランがイエメンからサウジアラビアへ弾道ミサイルを発射し、サウジアラビアの迎撃ミサイルが撃墜するという事件があったが、それ以来、サウジアラビアは、イエメン包囲網を強化している。これにより、国連などの支援物資(食料や薬)が、難民たちに届かなくなってしまった。

イエメンでは、内戦勃発から2年、これらが発生し、すでに2000人が死亡。子供達27000人が深刻な栄養失調だという。サウジアラビアとイランの戦争でツケを払っているにはイエメンの子供達である。

www.bbc.com/news/world-middle-east-41932807

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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