イスラエルは実験台:ファイザーに研究用の個人情報開示約束か 2021.1.15

ワクチン接種順番まち 出展:テルアビブ市

こうした中、イスラエルのメディアは14日、政府が、ファイザー社に、ワクチン接種を受けた人々の個人情報、特に医療に関する情報にアクセス権を与えていたと報じた。

先に述べたように、ファイザーのワクチンは十分な治験を行った上で承認を受けたわけではない。このため、ファイザー社は、今、ワクチンを受けているイスラエル人のデータを集めて研究を続けているということである。

副作用はいうまでもないが、たとえば、ある薬剤や、抗生剤を服用している場合、ワクチンに影響はあるか、また年齢や、特定の疾患を持つ人になにか影響は出るのかなど、各人の健康状況を元にしたデータ集めを行っているいうのである。

これは、実質的には、大規模な人体実験であると同時に、個人情報保護に違反している可能性がある。イスラエルメディア各社は、政府が、これだけ大量のワクチンを、競争が激しい中で入手できたのは、ファイザー社とのこの情報アクセス権を与えたからだと伝えた。

www.ynetnews.com/article/rJmSuKa0w

無論、この個人情報開示について、許可を出しているイスラエル人個人はだれもいない。しかし、今のところ、大きな問題にはなっていないようである。個人情報を開示したくないばかりに、ワクチンを控えるという人はどのぐらいいるだろうか。実際のところ、世界の役に立つなら、別に良いという人が少なくないかもしれない。

www.timesofisrael.com/how-well-does-the-vaccine-work-israels-real-world-stats-can-be-globes-guide/

ファイザーのCEOはユダヤ人である。イスラエルが、このままワクチン接種を世界最速ですすめて、本当に世界で最初に、コロナから離脱する国となれば、文字どおり、世界はユダヤ人に助けられることになる。

<石のひとりごと>

今回、イスラエルがファイザー社と個人情報へのアクセスとひきかえにワクチンを大量に得たということがわかったので、筆者は少々だが、安心した。イスラエルが世界で最初にワクチンから離脱したとなれば、その功績よりも、我先にワクチンを買い込んだと非難されるかもしれないと思ったからである。

WHOによると、現時点で存在するワクチンは、3200万回分。その95%は、世界10カ国(アメリカ、中国、イギリス、イスラエル、UAE,イタリア、ロシア、ドイツ、スペン、カナダ)が使用しているだけだとのこと。イスラエルは、小さい国でありながら、特別に膨大な数のワクチンをまわしてもらっていたということである。

しかし、イスラエルが、我先にワクチンを買い込んだことで、国をあげての人体実験をしてくれたとなれば、世界もイスラエルを非難することはできないだろう。日本でもワクチンが出回るのは、ちょうどイスラエルでの”実験”が終わるころになりそうである。

ワクチンのリスクは、かなり明らかにされた後だろう。感謝なことである

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。