フーシ派(イラン傀儡)がUAEへ弾道ミサイル:ヘルツォグ大統領訪問中も 2022.1.31

イエメンのフーシ派 ウィキペディア

フーシ派とUAEの最近の対立

時事通信社の記事よりhttps://www.jiji.com/jc/article?k=2022011701035&g=int

UAEでは、1月17日に続いて24日にも、イエメンのフーシ派が発射した弾道ミサイルが着弾している。これを受けて、アメリカ政府は、自国民にUAEへの渡航中止の勧告を出していた。

こうした中であったが、イスラエルの大統領府は、特に逼迫した危険はないと判断し、予定されていた訪問は実施すると発表していた。

しかし、UAE防衛省は、ヘルツォグ大統領がアブダビに到着した30日にも、フーシ派の迎撃ミサイルが飛来し、一発を迎撃したと発表した。そのほかのものは、UAE国内に着弾したが、空き地であったため、被害はなかったとのことである。

 

*イラン傀儡のフーシ派:アメリカとの関係

イエメン内戦のしくみ
(NHK忘れられた内戦のゆくえより)https://www3.nhk.or.jp/news/special/new-middle-east/forgotten-civilwar/

2015年から続く内戦中のイエメン(アラビア半島先端部)で、政府を攻撃する反政府ゲリラの代表的なグループがフーシ派である。フーシ派は、イランの支援を受けている。

一方、これと戦うイエメン政府軍は、サウジアラビアの支援を受けている。

UAEなど湾岸諸国もサウジアラビアの陣営ではあるが、これらの国は一応2019年にイエメンからは軍を撤退させた。

イエメン内戦は、結局、イラン(シーア派)とサウジアラビア(スンニ派)の代理戦争だと言われている。

この内戦において、アメリカは、トランプ前大統領の時は、明確にサウジアラビアを支援する立場だった。しかし、バイデン大統領になってからは、サウジアラビアに対して厳しい態度をとりはじめた。

バイデン大統領がこの方針をとったのは、7年目に入る内戦で、事態はもはたなにがなにやらわからないほど複雑となっている。国際支援も内部に入れない事態となり、イエメン国内(人口1600万人)は、戦闘と壮絶なまでの貧困で地獄絵となっているからである。

1日も早く、この内戦をやめさせなければならない。バイデン大統領は、内戦を続けるサウジアラビアへの軍事支援を停止した。しかし、イエメンでサウジと戦うフーシ派はイランの支援を受けており、こちらは戦いを止める気はない。サウジとしては、イランとも対話を余儀なくされたと思われるが、その方向に進展は報じられていない。

要するに、サウジアラビアが戦っているのは、最終的には、アメリカの敵でもあるイランである。アメリカは、結局、サウジアラビアと同じ陣営に立つことになるだろう。実際、アメリカは、UAEのアブダビに、2000人の部隊を駐留させている。

イスラエルも同じ立場で、今回、ヘルツォグ大統領は明確にUAE(サウジアラビア)の側に立つと表明した形である。

フーシ派が今、サウジアラビアと共に立つUAEを攻撃するのは、最終的には、今、核合意をめぐって対立するイランとアメリカの問題とも無関係ではないということかもしれない。

フーシ派のUAE攻撃:そのねらいは?

今フーシ派が、UAEを攻撃するのは、UAEは危ないので取引はしない方が良いというメッセージを発しているとの分析がある。しかし、それ以上にも深いこれまでの流れがあることもしておいたほうがようだろう。

フーシ派は今年1月3日、紅海を航行中のUAE旗をかかげる輸送船を拿捕した。船の中には11人の乗組員がいる。こうした中、サウジアラビアとUAEは、イエメンへの攻撃を続け、80人が死亡する事態となった。フーシ派はこれに反撃すると言っていた。

www.theguardian.com/world/2022/jan/24/united-arab-emirates-intercepts-two-ballistic-missiles-targeting-abu-dhabi

16日、国連安保理は、フーシ派に拿捕した船を直ちに解放し、停戦に向けた交渉に戻るよう指示した。しかし、フーシ派は、UAEが主張するように医療関係物資ではなく、武器を運搬していたとして、これを拒否した。

www.aljazeera.com/news/2022/1/16/houthis-reject-un-call-to-free-uae-flagged-ship

その翌17日、フーシ派は、ドローンでUAEに攻撃をしかけた。石油タンク3基が爆破され、外国人労働者3人(パキスタン人とインド人2人)が死亡した。さらに、アブダビ空港にも火災が発生する事態となった。フーシ派は犯行声明を出し、ドローンを国境に配備したと発表。イエメン問題は新たな状況に入ったと報じられていた。

その1週間後の24日、再び2発の弾道ミサイルがUAEに向けて発射された。F16戦闘機がこれに対処し、被害はなかったが、フーシ派はこれについても犯行声明を出した。これを受けて、アメリカはUAE国内にいるアメリカ市民に、注意を呼びかけていた。

この経過の中、ヘルツォグ大統領夫妻がUAEの訪問を決行したというわけである。フーシ派とその背後にいるイランに対し、UAEを叩くということは、イスラエルを叩くことでもあると宣言したようなものである。

すると、フーシ派は、ヘルツォグ大統領がUAE訪問中の30日に弾道ミサイル2発を発射し、これに屈しないと返答した形である。UAE空軍はこれを迎撃しており、被害の報告はない。

www.timesofisrael.com/as-herzog-visits-uae-intercepts-ballistic-missile-fired-by-yemens-houthis/

石のひとりごと

今の時代に限ったことではないとは思うが、今世界には、多くの“戦争のうわさ”であふれかえっている。ウクライナ情勢、台湾情勢、北朝鮮、イラン情勢・・・しかし、大きな構図でみれば、アメリカ、イスラエルを中心とした勢力と、ロシアと中国を中心とした勢力の衝突という図式になるだろう。これは言い換えれば、聖書的価値観と、聖書なし価値観の対立のようなものである。

この2大勢力は、いつか衝突することになり、それが世界に大混乱を起こすことになると書かれているが、それも容易に想像できる時代に私たちはいる。

先日の国際ホロコースト記念日で、ベネット首相が言っていたように、普通に子供を育てられる日々が当たり前とおもってはならない。それがいかに特別なことかを覚え、感謝しなければならないということである。

また、戦争の噂を聞くと恐ろしいのではあるが、だからといって座り込んではならない。今という貴重な日々を感謝して楽しみながら、覚悟もしつつ、物理的心理的、そうして霊的にも準備しておきたいと思う。その準備とは、天地創造の神に会う準備である。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。