ヘルツォグ大統領がUAE歴史的初公式訪問：アブラハム合意の祝福を強調 2022.1.31

昨年12月にベネット首相が、UAEを訪問したのに続いて、UAEのモハンマド・ビン・ザイード皇太子の招きに応じる形で、30日、ヘルツォグ大統領夫妻がUAEに到着した。イスラエルの大統領が、湾岸諸国を公式に訪問するのは、文字通り初めてのことで歴史的なことである。

特に今は、イエメンのイラン系組織フーシ派が、UAEへの攻撃を行なっている中での訪問だったので、イランと対峙する湾岸諸国とイスラエルによるアブラハム合意の存在を強調した形である。

30日、ヘルツォグ大統領夫妻を乗せた飛行機は、これも歴史的と言えるが、サウジアラビア上空を通過して、30日（日）朝、UAEのアブダビに到着した。空港で迎えたのは、シーカー・アブドラ・ビン・ザイード・アル・ナヒヤン外相であった。

到着後に向かった宮殿では、UAEの事実上の最高権威者であるモハンマド・ビン・ザイード皇太子に迎えられた。歓迎の式典では、ハティクバと、UAEの国家が演奏され、21銃の敬礼が行われた。これは国家元首に対する最高の敬意を意味する。

中東であれほど憎まれたイスラエルの大統領が、湾岸アラブの国でこれほどの表敬を受けるようになるなど、だれが想像できただろうか。以下はその様子　Roi Avraham (GPO)

その後、ヘルツォグ大統領は、ザイード皇太子と2時間の会談を行った後、予定外に、皇太子の私邸に招かれての会談も行った。

その中で、ヘルツォグ大統領は、まず、先頭に立って、イスラエルとの協力に踏み切り、大胆に推進しているUAEに感謝を表明した。また、イスラエルはUAEの治安維持にコミットしていることを強調。共に地域の治安を守っていくことへの決意を語った。

次項で解説するが、ここしばらく、イエメンでサウジアラビアが支援するイエメン政府軍と戦っているイラン傀儡組織フーシ派が、UAEへもミサイル攻撃を行なっている。イスラエルは、正式にこれを非難する声明を出しており、ザイード皇太子は、会談のはじめにあたり、これに感謝を表明した。

ヘルツォグ大統領はまた、アブラハム合意（イスラエルとUAEなど湾岸諸国や北アフリカアラブ諸国との国交と協力合意）に参加する国が、さらに出てくることを望んでいると表明。自身のUAE訪問が、その可能性をアピールすることになればと語った。

またヘルツォグ大統領は、「中東全体と、そこに住む人々に、祝福と平和のメッセージを届けたい。平和は繁栄、地域社会に発展をもたらすものである。」語った。

ザイード皇太子は、両国が、それぞれの国と国民のため、共通の目標をもって突き進んでいくとの決意を表明した。

ヘルツォグ大統領は、このほか、アブダビの首長であるビン・ラシード・アル・マクトン首相はじめ、閣僚やビジネスの指導者とも会談が予定されている。イスラエル人25万人と伝えられているエキスポ2020現地にも赴き、関係者と会談することになっている。

この後、ヘルツォグ大統領夫妻は、アブダビのユダヤ人コミュニティ代表たちとの会談も行った。UAEに在住するユダヤ人は500人とのこと。（Times of Israel記事）

ヘルツォグ大統領は、ザイード皇太子への称賛と感謝を伝えるとともに、アブラハム合意を実現した、前ネタニヤフ首相とトランプ前米大統領への感謝も表明した。また、バイデン大統領もこれを支持してくれていると語った。